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2023年12月24日
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 ダイハツは2023年4月のドアトリム不正、5月のポール側面衝突試験不正に加えて、新たな不正が発覚した。
 12月20日、ダイハツ工業の第三者委員会は、トヨタ自動車など他社ブランドを含め64車種・3エンジン、174件(海外分含む)の不正があったとする報告書を公表した。64車種のうちトヨタブランドは22車種・1エンジン。
 ダイハツは国内外で販売する全車種を出荷停止とした。
 マツダは12月21日、ダイハツが生産している商用車の「ボンゴ」と「ファミリアバン」の受注を停止した。
 SUBARUは、ダイハツに生産を委託している「プレオプラス」「シフォン」「サンバーバン」「サンバートラック」「レックス」「ジャスティ」の6車種の受注を停止した。
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TOYOTA 公式サイト
ニュースリリース
2023年12月20日
ダイハツ工業による認証申請における追加不正行為の判明
 12月21日、国土交通省は、道路運送車両法に基づき報告内容の裏付けや、他に不正がないか調べる必要があると判断し、大阪府池田市のダイハツの本社を立ち入り検査した。不正行為の事実関係を確認し、型式指定の取り消しなどの行政処分を出すかどうか検討する。
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 第三者委員会の貝阿彌誠委員長は、「ミライースで成功した短期開発をとくに2014年以降加速させた。認証部門はデザイン決定に時間がかかったり設計変更があったりといったスケジュールのしわ寄せを受け、管理職はほとんど現場に行くこともなく、経営者は認証に無関心だった」と、記者からの質問に答えた。
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衝突試験部署はピークの3分の1
共同通信 / 2023年12月22日 
 ダイハツ工業の認証不正を調査した第三者委員会の報告書は、自動車の安全試験や認証に関わる部署の人員削減が不正の一因になっていたことを示唆した。衝突試験などを担う安全性能部署の人員数は、ピークだった2010年比で22年は3分の1に減っていた。車の短期開発に加え、人員削減に象徴される品質軽視も不正拡大の背景にあった可能性が高い。
 第三者委が新たに認定した不正は174件に及んだ。認証試験に不合格となって計画が狂うことを防ぐため、試験車両に加工を施したり、認証手続きのチェック機能を担う「法規認証室」が虚偽の書類を作成したりした。
 報告書によると、コスト低減の一環で安全性能部署は11年から人数が減少。14年以降はピーク時の4割以下にとどまった。認証室の人員も減り、09年比で15年は43%となった。不正件数は15年が最多だった。
 第三者委が実施した社員らへの聞き取りでも「開発日程の厳しさに対して人員が圧倒的に不足している」「型式指定制度の重みを正しく理解できている人が少ない」といった声が寄せられた。
  ―  引用終わり  ―
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 下記の日経クロステックの記事に、自動車メーカーで開発設計者を経験したコンサルタントが第三者委員会の報告書の内容について「技術検証力が不足した報告書」としたとある。
 自動車メーカーの開発設計出身のアナリストは「ダイハツ工業の言い分を表層的になぞっただけの報告書」とし、「不正は設計主導だ」と断じている。
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開発現場の知見が薄い調査報告書の中身
近岡 裕 日経クロステック
2023.12.21 日経クロステック
 不正問題についてダイハツ工業は組織防衛に入った──。ダイハツ工業の不正を調べた第三者委員会が2023年12月20日に公表した調査報告書(報告書)。その中身を自動車業界の人間が読めば、ダイハツ工業の思惑が見えてくる。同社が今、考えているのは不正への反省でも真因(問題を引き起こした本当の原因)の追究でもない。ただ、会社を守ることである。
  ―  引用終わり  ―
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 無理を強いてることが明らかだったようで、上司は部下が課題提起しても「それでどうするんだ」とオウム返しの対応が多いとされ、風通しの悪さを想像させる。
「正直あると思う」「上との風通し悪かったのが原因かと」
「ダイハツ」試験データ不正問題
2023/12/21 TBS NEWS DIG
  ―  引用終わり  ―
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 国土交通省の型式指定が取り消されて出荷停止が長引いた場合、ダイハツ救済のための軽自動車業界の再編が起こることも想定される。
 不正発覚が続いた日野自動車は、トヨタとダイムラートラックが共同出資する持ち株会社の傘下で、三菱ふそうとの経営統合がすすめられている。
  
 12月21日、ダイハツは、減収が見込まれる部品の仕入れ先への補償に向け個別交渉を始めたことが報じられた。
 ダイハツの主要な仕入れ先は423社。このうち売上高に占めるダイハツへの依存度が10%以上の会社は47社。
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 ダイハツの全車種出荷停止を受けて、民放テレビ各局は新車のCM放送について「個別の出稿の詳細についてはお答えしておりません」とした。
 今年4月に同社の海外向け乗用車の不正が発覚した際に、複数の局がCMを放送するのを取りやめており、それが継続される形になるとみられている。









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最終更新日  2023年12月24日 06時00分08秒
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