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2024年05月14日
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テーマ: 軍艦(25)
カテゴリ: 船舶・navy
 中国上海市で2022年6月に進水した中国3隻目の新型空母「福建」が上海の埠頭で、艦載機発進用の電磁式カタパルト(射出機)の射出実験を行ったと、2023年11月27日付の香港紙、インターネットに出回っている映像を基に明報などが報じた。
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=台湾見据え海軍力増強
―中国
時事通信  2024年5月1日
 中国3隻目の空母「福建」が1日午前、初めての試験航海を行う。国営新華社通信が伝えた。就役に先立ち試験航海を複数回行い、艦載機の射出などを確認する見通し。
 習近平政権は台湾侵攻の可能性を念頭に、空母の建造をはじめとする海軍力の増強を急いでいる。中国が「台湾独立派」と見なす頼清徳副総統の総統就任を今月20日に控え、けん制する狙いもありそうだ。
 上海海事局は4月30日、「軍事活動」が行われるとして今月1~9日に上海沖の東シナ海に航行禁止区域を設定していた。
 福建は2022年6月に進水した。動力は通常型で、満載排水量は約8万トンと大型化した。リニアモーターを用い、効率的に艦載機を射出する電磁カタパルト3基を装備している。
  ―  引用終わり  ―
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■リニアモーター
 電磁式カタパルトはリニアモーターの一種。
 リニアモーターの回転式モーターに対する欠点は、1.損失が多く消費電力が増える、2.地上一次式の場合、動かそうとする対象が界磁の付近に無い部分でも励磁するので出力を上げると損失も増える、3.減速機が無いため、制動に必要なブレーキ力が大きくなる、などである。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
 電磁式カタパルト(でんじしきカタパルト、Electromagnetic catapult、電磁カタパルトとも)は、リニアモーターによって航空母艦から固定翼機を発射するシステムである。
 アメリカ海軍とイギリス海軍が共同開発したものはEMALS(イーマルス、Electromagnetic Aircraft Launch System 電磁力航空機発射システム)と呼ばれる。
  ―  引用終わり  ―
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 電磁式カタパルトの蒸気式カタパルトに対する利点と欠点の抜粋
利 点
・母艦の機関を選ばない
 瞬間的に大電力を使用することから原子力機関を必要とするイメージがあるが、必要なのは高性能な発電機と瞬間放電が可能な蓄電システムであり、動力は原子力や蒸気タービン、ガスタービン、ディーゼルエンジンを問わない。蒸気カタパルトの場合はカタパルト専用にボイラー(蒸気発生装置)を搭載しないのであれば、機関が原子力か蒸気タービンの必要がある。
・航空機に無理な荷重をかけない。
・最大出力が121MJに上昇
 蒸気カタパルトは動作原理上、約95MJで頭打ち。
・長寿命
・消費エネルギーが少ない
・ エネルギー効率が高い
・電気的接続のみで、機器配置の制約がより少ない
・海水から真水への淡水化の需要が低下する
・システムの起動が早い
・保温が不要
・発艦間隔の短縮
 電磁式では45秒で再充電が完了するため、理論上は1分で2機の発艦が可能であり、平均2分に1機間隔で発艦を行う蒸気式に比べて短縮される。
欠 点
・エネルギーを高効率で電力に変換できる発電機が必要
・瞬間放電できる貯蔵システムが必要
 カタパルト作動時には 2~3秒で121MJの電力が要求されるため、大容量で自然放電が少なく、必要時に瞬間的な放電が可能な電力貯蔵システムが必須。
・母艦の負担増
 他のカタパルト同様に母艦側の燃費悪化、無補給行動期間の制限、建造・運用・メンテナンスコスト上昇等は避けられない。
・作動後に冷却が必要
・高コスト
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 最先端兵器の価格が高いのは常。利点は多く欠点が少なく見える電磁式カタパルトだがいまだ実用化されたとは言い難い。
 ジェラルド・R・フォード(CVN-78)に世界で初めて搭載された電磁式カタパルトの運用・維持・管理技術は、いまだ確立されていないようだ。
 2024年3月1日、アメリカ・バージニア州でアメリカ海軍の最新技術「電磁カタパルト」を使った発射実験が行われ、36トンの車が時速約240kmで発射された。この実験は、アメリカ空母のジョン・F・ケネディの甲板で実施された。
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米海軍の最新空母「ジョン・F・ケネディ」
2024.02.23 乗りものニュース編集部
就役は2025年の予定
 アメリカ海軍は2024年2月22日、ジェラルド・R・フォード級空母の2番艦「ジョン・F・ケネディ」の電磁式カタパルトの射出試験を実施したと発表しました。
 「ジョン・F・ケネディ」は2024年現在、バージニア州ニューポートニューズ市にあるハンティントン・インガルス・インダストリーズ(HII)社のニューポート・ニューズ造船所で建造中です。
 艦番号はCVN-79で、2015年8月22日に起工、2019年10月29日に進水、そして2019年12月7日に命名式を実施しています。就役は2025年の予定ですが、このたびアメリカ海軍の正規空母としては必須装備といえる電磁カタパルトの最初の動作テストが行われました。
  ―  引用終わり  ―
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 川崎重工業は大容量ニッケル水素2次電池「ギガセル」について、航空母艦からの艦載機射出に使う電磁式カタパルトへ転用できるとして、「DSEI Japan 2023」(2023年3月15~17日、幕張メッセ)にパネルで展示した。電磁式カタパルトの電源として、大電力の放電が可能な特徴を生かせると説明している。」
 ギガセルの「30-K7」型モジュールは電圧が約36Vで容量は5.4kWh。電磁式カタパルト向けには300個を使い、32MWの出力を得る想定。キャビネットに並べて、格納庫のようなスペースに設置すると想定している。
 出力が大きい原子力機関搭載艦ではなく、発電量が比較的小さい通常動力艦に電磁式カタパルトを装備するときより有効かもしれない。





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最終更新日  2024年05月14日 06時00分13秒
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