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ようやった!人間とはかくありたし! と 嵐山光三郎 にも ぞっこん となりました。(笑)
ああ、私も味わいのある秘湯に行きたい~。 ただ、本の内容はそれだけではないのです。あちこちに旅をすると 嵐山光三郎 と縁のある作家が登場するわけです。 文士オンパレード! 作家たちのプライベートが紹介され “ちむどんどん” しました。私の好きなローカル線の旅もよかったです。たくさんある 嵐山光三郎 の本の中から、いかにも私が選びそうな本ですね。お恥ずかしい。
「引越しらしい引越しをしたことがない」 と、 父 は遺作となった 『火宅の人』 に書いている。 と 檀ふみ が紹介しているように、 娘 が 父 と一緒に過ごしたのは二十年ほどで、その間の半分ほどは家に帰らず、残りの半分もどれほど家におちついていたか、とある。これを読むまで私はもっと家族をないがしろにしていたのではないかと勝手に想像していたので、逆に私はある程度 父 と 娘 が一緒に住んでいたことにびっくりした。 妻 は、 娘たち子ども は、どれほど身勝手な 父 を恨んでいたのだろうと。
「生涯何十回となく引越したろうが、いつも手ぶらで、ノソノソと新しい家にもぐりこんでいっただけである」
「まるで、その部屋をガラクタで埋めて、埋め終わるとハイそれまでよ、とまた新しい無染の環境に向かって走り出して行くかのようだ」
ここのくだりに行き当たったとき、ハラリと一枚、目からウロコが落ちるような思いがした。病床で 父 がこの本を書き上げてから、 私 がきちんと読み通すまで、じつに二十五年の月日が流れていた。その四半世紀のあいだに、どうやら 私 は、 父 を 石神井の家 にがんじがらめにしばりつけてしまっていたらしい。 父 は 私 にとって、生きているときはもちろん、死んでからも 石神井の主 だった。思い出のなかにはいつも、食堂の大テーブルの指定席にどっかりと腰をおろし、ビールを飲み、煙草を吸い、料理をし、『刑事コロンボ』を見、ときに子供たちに訓戒を垂れている父がいる。
「新しい環境を、その都度自分の流儀で埋め尽くし、埋め終わると同時に別の天地に遁走したくなる(『火宅の人』)」
追記
100days 100bookcovers Challenge備忘録 … 2024.05.10
100days 100bookcovers Challenge備忘録 … 2024.03.20
100days 100bookcovers Challenge備忘録 … 2024.03.07