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2025.05.13
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カテゴリ: 映画 韓国の監督
​​ カン・スンヨン「1980 僕たちの光州事件」シネリーブル神戸
映画 は​
​血まみれの一人の青年が、闇の町を銃を引きずるようにし、ヨロヨロと歩いてくる姿​
​を映しだし、突如、暗転して 「1980」 のタイトルが映し出され、花輪が飾られた食堂でジャージャー麺という料理をする、 店主のオジイサン の様子が明るく映し出されます。
1980年 5月17日 ですね。中華屋さんを新規開店してご機嫌の おじいさん は、お店を継いでくれるかもしれない孫の小学生 チョルス君 が可愛くてしようがないのですが、チョルス君にはお店を継ぐ気持ちはありません。もっと、かっこいいお仕事がしたい。 お母さん は妊娠中ですが、お店の手伝いを頑張っています。 お父さん はソウルの大学を出た秀才ですが、なんか、ちょっと、人には言えない活動家らしいですね。でも、開店の、 この日 にはチンドン屋のピエロの格好で、一緒に記念写真に写っています。 お父さんの弟 、だから 叔父さん は、陽気な呑気者で、お店の出前持ちです。 お母さんの妹 叔母さん も同居しています。 チョルス君 の仲良しは ヨンヒちゃん 、隣の パーマ屋さんの娘 です。 ヨンヒちゃんのお父さん は軍隊で働いています。
 で、 映画 はこの日から10日間、 5月27日 までの間に、 光州市 の下町で、 平凡に暮らしていたこの家族に起こった出来事 を、あれから 40年以上 たって、 1980年 の、 あの日 おじいさん も、 叔父さん も、 叔母さん も、おそらく、 お父さん も失ってしまった チョルス君の記憶 をたどるようにして描かれた作品でした。
​ あの時、小学生だった ​チョルス君​ は、今、50歳を越えているはずです。 10年ほど前 だったとおもいますが、 チョルス君 と、ほとんど同い年で、 光州生まれのハンガンという女性作家 「少年が来る」(クオン) という、あの時死んだ少年や少女たちのことを小説に書きました。​​​​​​ 彼女 はその後、 ノーベル文学首 で讃えられましたが、この 映画の監督 カン・ズンヨン チョルス君の体験 を映画にしようと考えた気持ちの奥底には、 ハンガン という作家が、あの作品を書いた気持ちとつながるものがあると思いました。​​​​​​​
映画のはじまり で、銃を引きずって歩いていたのは、成り行きで民主化運動に加わることになった、 呑気な出前持ちの叔父さん でした。 叔父さん 市民虐殺の現場 から、自宅の中華食堂のお隣の、 パーマ屋さんのご亭主 チョルス君 仲よしのヨンヒちゃんのお父さん が仲良く暮らしていたはずの隣人たちを拷問し、銃を向け、情け容赦なく皆殺しにした悪い軍人の一人だったことを知り、​
​​ 「一矢、報いん!」 ​​
​ まあ、そういう気もちでしょうね。瀕死の姿で街を歩き、自宅を通り過ぎ、パーマ屋さんまでたどり着きます。一旦は、銃を、お隣の家族に向け引き金に指をかけますが、幼い ヨンヒちゃんの姿 に思いとどまり、銃を自らに向けて引き金を引きます。
が、最後に ヨンヒちゃん に残した言葉は​
​「チョルスとヨンヒは仲良くしてほしい。」 ​​
​ でした。
韓国の現代史 において、人びとが追い求めてきた
​「希望のことば・祈りのことば」 ​​
ですね。胸を打たれました。
 この映画を観た前後に、全く、偶然ですが、気鋭の翻訳者、 斎藤真理子 「韓国文学の中心にあるもの」(イースト・プレス) ​を読みました。ボク自身が韓国の現代小説や映画を読んだり見たりするうえで、何も知らないことを思い知らされた本でしたが、この作品の メッセージの深さ を思い知る、絶好の読書でしたよ(笑)。
 何はともあれ監督に 拍手! でした。
監督・脚本 カン・スンヨン
キャスト
ソン・ミンジェ(チョルス 少年)
カン・シニル(祖父)
キム・ギュリ(母)
イ・ジョンウ(父)
ペク・ソンヒョン(叔父)
キム・ミンソ(叔母)
ハン・スヨン(ヨンヒの母)
チョン・スジン(アモーレおばさん)
2024年・99分・G・韓国
原題「1980」
2025・04・14・no059・シネリーブル神戸no309




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最終更新日  2026.01.04 11:51:14
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