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久しぶりに 大学の図書館
で借りました。今年の 芥川賞
ですね。今どきの大学生は、芥川賞なんて読まないようです。 市民図書館
では考えられませんが、新刊の棚にありました(笑)。日射は絶えず南下りの鋼板屋根を熱している。空に浮く一点の発光から届くものとは思えないないほどの分厚い熱は平らになって屋根面を圧し、鋼板の面に蓄えられ、同時に昨日よりも速度を増した北風の対流により奪われてゆく。ただ日射から受ける熱の方が大きいせいでほんの少しずつ面の温度は上がり、膨張する鋼板は裏面に貼りついた野地板を圧しながら熱を分け与える。それは屋根裏の至る所で行われ、さらに下のボード状の発砲系断熱材や等間隔に勾配方向に流れる垂木を押してゆく。ある境界を僅かに超えた瞬間、一本の垂木が裂けるような甲高い音を発した。振動は瞬時に梁、柱、壁へと伝搬し、減衰しながら室内に押し止められた空気を小さく震わせた。今ここにあるのはその音の残響。誰の耳にも届いていない。誰の記憶にも残らない。誰もいないこの場で鳴ってすぐに消えてなくなった音の名残り。(P001)
塀の外にはひとりの青年が立っていた。しばらくの間、そこに立ったままこちらをじっと見つめていた。 語り手
語り手は何者なのか、 それが、多分、この作品の肝ですね。
青年の視線は低い塀に落ちていた。「売り物件」と書かれた看板が貼り付いている。目を向けながら、瞳は遠いところを見ていた。数日前の雨の日、青年は傘をさしながら同じようにその場に立っていた。塀の内側には大人の男が三人いた。若いスーツ姿の男が一人と作業着姿の男が二人。長い雑草を踏み倒して進み、足早に周囲に沿って一周した後、扉を開けて中に入った。一通り素早く見回し何やらメモを取り終えると、外に出て険しい表情で短い言葉を交わす。一人が振り返って全体をぼんやりと眺めながら、何かにけりをつけるようにしてつぶやいた。「更地にした方がなにかとね」
青年は塀の外でその言葉を聞いていた。用が済むと三人の男たちはこの場から去っていった。「売物件」の看板が掲げられてからもう二年が経とうとしていた。(P004)
誰だかおわかりでしょうか? 語り手 は、この 青年 の突拍子もない行動や、この家を建てた 建築家 や 大工、左官たち 、この家に住んだ 二つの家族 のことを語り始めます。
納得!でした。
追記
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