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2021.04.26
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カテゴリ: 読書
司馬遼太郎も昭和を代表する歴史小説家なので数多くの名作を生み出す一方,駄作や微妙な作品も数多く作っている。



新装版 播磨灘物語(1)【電子書籍】[ 司馬遼太郎 ]

簡単なあらすじとして,本作は黒田官兵衛を主人公とした長編歴史小説になる。
文庫本で全4巻。『竜馬がゆく』や『坂の上の雲』が全8巻,『翔ぶが如く』が全7巻というのに比べたら短いが,だいたい2~3巻くらいで終わらせる司馬遼太郎としては全4巻というのは長いというべきだ。
さて,内容なのだが,黒田官兵衛の祖父の世代から始まる。もちろん,祖父の世代や父の世代は比較的にあっさりと,第1巻の中ほどで終わり,主人公としては官兵衛である。
そんな官兵衛の人生についても濃淡があり,秀吉の中国大返しから天王山の戦いまではゆっくりと描きつつも,光秀が死んだ後は唐突にダイジェストになって終わる。

苦言を2つばかり呈するが,1つは構成上のことだ。

後書きを見てみると,
「ふりかえってみると,最初から別に大それた主題を設定して書いたわけではなく,戦国末期の時代の点景としての黒田官兵衛という人物がかねて好きで,好きなままに書いてきただけに,いま町角で,その人物と別れて家にもどった,という実感である」(4巻,講談社文庫新装版,362頁「あとがき」より)

こう見ると,あんまり構成を考えて書いていたわけではないようだ。
個人的には,関ヶ原の戦いとき,官兵衛が九州でした活躍なんかも書いてくれて良いと思うのだけれど。

もう1点の苦言としては,あまり読んでて熱くなる場面なんかがなかったところ。
司馬遼太郎の作品にはどこか魔力があって,たとえば『竜馬がゆく』だとか『燃えよ剣』なんかを読んでいると,名もなき若者でしかない主人公が,「俺は天下のために役立つ男になりたい」と怪気炎を揚げたりする。もう,読んでいるこっちまで「俺もなにかできるのではないか?」と思わせられるのだが,『播磨灘物語』にはそれがない。
言ってしまえば,黒田官兵衛という男について,司馬遼太郎が無欲で恬淡な人物として捉えているからそういう描写がなかったのかもしれない。
唯一あるとすれば,官兵衛が荒木村重により土牢に幽閉されてしまったところくらいか。なお,このとき竹中半兵衛が命をかけて官兵衛の子どもを助けてくれるシーンがあり,熱い友情を感じさせるのだけれど,伏線めいたものが全くないのでなんか燃えない。
もっとこう,創作でいいから桃園で酒飲みながら義兄弟の契りを交わしたとか,逆に半兵衛の失策を官兵衛が助けた話を入れておいて欲しかった。


新装版 播磨灘物語(1) (講談社文庫) [ 司馬 遼太郎 ]





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最終更新日  2021.04.26 14:23:51
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