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2023.06.22
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カテゴリ: 読書

最近,実写映画化するというのでキャンペーンも打っていたので,読んでみた。


大名倒産 上 (文春文庫) [ 浅田 次郎 ]

あらすじとしては,大名の妾の子である四男,松平小四郎が,長男の急逝等の事情から,突如として丹生山(にぶやま)藩を継ぐことになってしまうのだ。
そんな丹生山藩なのだが,石高は3万石しかないのに借金は25万両。毎年の利息だけで3両という危機的状況である。
主人公はどうにかこうにか,丹生山藩の建て直しに奔走する,といういう物語になる。
ここで裏事情としては,実は主人公の父親であり,前藩主の陰謀がある。なんと前藩主はもはや借金を返済できないことを悟ると,財産隠しの上,あえて不祥事を連発して幕府に改易,取り潰しをさせてしまおう,責任は藩主である主人公に取らせて切腹させ,自分と家臣は隠し財産を分配して余生を送ろう,主人公は妾の子だし愛情もさほどない・・・などと考えているのだ。

見どころと言えば,実直な主人公の奔走ぶり,主人公に献身的な家臣や友人たち。

参勤交代に多額の費用が掛かるというのならば,凄まじいまでの強行軍で領地まで駆け抜けて費用を節約したり,兄の結納金がなければ相手の親に誠心誠意頭を下げたりもする。

そして,どことなくこの作品は現代を描いているようにも見えるのだ。
幕末の藩主と同様に,現代日本も毎年多額の負債を垂れ流しており,毎年のように赤字である。
主人公の父親である前藩主なんかは,見事に逃げ切りの世代であるが,若者は前世代の残した膨大な負債を解決しなければならない。なんとも身につまされる話ではある。

一方で残念な所もある。
登場人物に,神々が登場するところである。これが本作をつまらない小説にまでしてしまうのだ。
上巻では貧乏神が登場する程度であるが,下巻になると貧乏神に加えて七福神かかなり前面で登場する。
これら神々は人間には見えないが,陰ながら,丹生山藩の建て直しに協力してくれるのである。
丹生山の名物である鮭を江戸で売るため,船の手配に協力してくれたりするし,最終的には上杉謙信の隠し金を主人公に与えたりもしている。

私見だが,そんなふうに神々が出てきちゃうと,懸命に生きる人間たちというテーマがボヤけてしまうのだ。実際,下巻になると七福神にはそれぞれ細かな設定もされているのだけれど,その反面,下巻も半ばになると主人公たちの描写がかなり薄くなる。
特にひどいのが上杉謙信の隠し金だ。たとえば,主人公たちが一発逆転を賭けて懸命に捜索した結果見つかったというのならばまだしも,七福神の力添えで財宝を発見した領民が献上するというのはどうだろう?

参勤交代費用を浮かせるために頭を使っていたとか,鮭を特産品として売り出すため運動をするとか,そういうので良かったんだよ…。


大名倒産 下 (文春文庫) [ 浅田 次郎 ]

なお,巻末のあとがきを見ていると著者もソロバンをはじきながら本作を書いたようである。
どうにかして鮭の販売やらでなんとかできないかとやりつつ,どうしようもなかったのかもしれない。

余談だが,浅田次郎は『蒼穹の昴』も読んだけれど,こちらでも「龍玉」という,手に入れれば王になれるキーアイテムなんかが出てきてきていた。これも僕はあまり好きじゃなかったなぁ…。





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最終更新日  2023.06.30 22:29:49 コメントを書く


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