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2005年01月17日
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カテゴリ: 小説
 ほのかのふっくらした目元には、青黒い隈が浮き出ている。幼いほのかの顔立ちには、それはなんとも不釣り合いだった。
 昨日の疲れとショックはまだまだほのかには残っているはずだ。それに、ほのかは凛太郎におびえたり、明を化け物とさげすんだりすることもなかった。
 それどころか、こうして弁当を作ってきてくれている。
「藤崎さん……僕と明のこと、怖くない?」 凛太郎はほのかの耳元に、に小声で尋ねた。
 乃梨子や他のクラスメイトたちたちは明の話に笑い転げていた。明はリレーの最中、転びそうになって、ジャージのズボンが脱げそうになった苦労話を大まじめにしていた。
 ほのかは箸を握ったまま、しばし考え深い横顔を、凛太郎に見せていた。
「怖い」
 小さくほのかは言った。凛太郎は胸の痛みを感じながらも、ほのかの率直な意見を聞こうとする。
 ほのかは凛太郎にまっすぐ顔を向けた。

「でも、好き」
「え?」
 凛太郎の頬は熱くなった。そよ風が、凛太郎の頬をさますように吹いた。
 ほのかは何度も瞬きしながら言った。
「私ね、おばあちゃんがお花の先生してるの。だから、小学生の頃からまだとっても下手なんだけど、生け花やってるの」
 ほのかは言葉を探すように、箸を手にとって何度も握った。
「それでね、生けやすい花と、そうでない花ってあるの。花自体はすごく綺麗なんだけど、いざ活けようとすると茎や枝が堅かったり、反対に花びらがすぐ落ちちゃう花」 凛太郎は、何度も瞬きしながら話すほのかに、新鮮な驚きを感じた。こんなに一生懸命、生き生きと話すほのかを見たのは初めてだった。
「そういう花を、嫌いだって言って避ける人もいる。でもね、私はそれは人間の都合だと思うの。生け花っていうのは、あくまで人間が作った芸術なの。人間が勝手に、自分の思うように、花をいじくって、自分の好みにあてはめていくだけだって言う人までいるくらいだから。でも……」
 ほのかは、少しうつむきながら慎重に語り続ける。
「私はたまに、花の声が聞こえるような気がすることがあるの。今日は晴れてて気持ちいいね、とか雨が降って嬉しい、とか。そんな時、花と人間が気持ちを通じ合わせられることだってあるんだなあ、って思うの。植物と人間で、大きな違いはあるんだけど」
 ほのかは凛太郎に微笑みかけた。ふわっとした笑顔が、まばゆい露となって凛太郎の心にしみいった。

 ほのかの笑顔が、凛太郎の視界でぼやけた。
「風で、目にゴミが入っちゃって……」
 凛太郎は照れ笑いしながら、ぐいぐいと手の甲で目をこすった。
「私も……」
 ほのかも鼻をすすりながら、目頭に手を当てる。

 めざとく乃梨子が聞きつけて、尋ねる。
「いや~、乃梨子ちゃんが今日はひときわ可愛くてよかったなあって……」
「ええー、明くん、私はァ?」
「君もカワイイよ、もちろん」
 明は乃梨子以外の女子にもかわいい、と言いまくる羽目になった。
「藤崎さん、どんな花が好きなの?」
 凛太郎は、照れ隠しにほのかに尋ねた。 ほのかはポケットから取り出したハンカチで涙をぬぐいながら答えた。
「桜。あの、はかないんだけど、凛としてて、芯が強そうな感じが好き……」
「僕も」
 凛太郎は大きくうなずいた。今はもう散ってしまった校庭の桜。そして、鈴薙があの夜、凛太郎に見せたまぼろしの桜が目に脳裏によぎる。
 小さなころから、桜を見ると、奇妙に切なくなった。大切な、けれど、思い出せない記憶がそこにあるような気がする。
(まさか、僕の前世で、なにかが……)
 凛太郎はフッとそう思った。
 だが、何も思い出せなかった。
 凛太郎の物思いを晴らすかのように、ほのかが明るい声で言った。
「ねえ、清宮くん。今度、桜の季節になったら、私、桜を生けようと思うの。私、いつもおばあちゃんと生徒さんの作品展に、一点だけ展示させてもらってるんだけど、見に来てくれる?」
「うん、行かせてもらうよ。絶対に」
 凛太郎は大きくうなずいた。
 クラスのみんなや乃梨子、そしてほのか。 みんな今、昨日の惨状が嘘だったように幸せそうに笑っている。
(みんなを僕が守らなきゃ――。僕のせいでみんなをあんな目に二度と遭わせちゃいけない――!」
 ほのかの笑顔を見つめながら、凛太郎はそう決意した。 

               つづく





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最終更新日  2005年01月17日 16時09分48秒
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すいません~  
夜緋  さん
あのぉー……

日記リンク

しても構いませんか?テーマから入って見に来るのが面倒なので…。 (2005年01月17日 16時40分47秒)

Re:神域の花嫁 47 鬼に愛された少年(01/17)  
凛太郎くんが精神的に強くなってきましたね。
ほのかちゃん、本格的に凛太郎くん争奪戦に参戦でしょうか!?(笑)
でも、ほのかちゃんの強さには惹かれるものがあるので、頑張ってほしいです(*^_^*)
いや、ちゃんと明くんを(一応)応援してますよ?(笑)
鈴薙さんや先生は口がうまいからなぁ・・・・・・(笑)
(2005年01月17日 20時23分16秒)

Re:すいません~(01/17)  
ユミティ  さん
夜緋さん

 日記リンク大歓迎です!
 これからもよろしくお願いします。
(2005年01月18日 01時48分28秒)

Re[1]:神域の花嫁 47 鬼に愛された少年(01/17)  
ユミティ  さん
ふーたろー5932さん

 ほのかちゃんの陰のなさは、弓削先生あたりに見習わせたいですね。
 鈴薙さんや弓削先生って、過去にいろんな人に手を出してきたんだろって感じですね。泣かせた女(男も・笑)は数知れずって感じ(^^; (2005年01月18日 01時50分19秒)

Re:神域の花嫁 47 鬼に愛された少年(01/17)  
三月うさぎ さん
 凛太郎くん、いい友達ができてよかったですね。
 彼女候補になったりして?
  (2005年01月18日 02時00分12秒)

Re[1]:神域の花嫁 47 鬼に愛された少年(01/17)  
ユミティ  さん
三月うさぎさん

 ほのかちゃんは凛太郎くんの彼女候補にはなるかもしれませんが、凛太郎くんには彼氏候補がたくさんいるので、なかなか大変なのではないかと(^^;
(2005年01月18日 13時30分24秒)

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