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本当に大学の教員を目指すのなら、必読の書。 本著を読んでから、それを目指すのと、 本著を読まないまま、それを目指すのとでは、 色んな意味で、大きな違いが出てくるだろう。 私は、本著に登場する水月昭道さんの『高学歴ワーキングプア』は、既読である。 また、鷲田小彌太さんの著作では、『社会人から大学教授になる方法』も読んだ。 さらに、主要参照文献に挙げられているものの中では、 『街場の大学論』はもちろん、『理系のための人生設計ガイド』等々も読んでいる。しかし、それらの著作と本著が決定的に違うのは、大学教員を目指すという観点からの、現時点におけるリアルタイム・速報性と共に、既刊書よりも相当内部事情に突っ込んだリアリティ・現実味である。それは、数多くのケース・事例紹介によって、より一層強く読む者に伝わってくる。研究だけでなく、教育、そして雑務にと、様々な業務に追われる大学教員の日々の生活や、その職に到達するまでの、かなり不安定でリスキーな生活実体が、克明に描かれている。また、その背景にある、大学や大学院の現状が、かつての牧歌的時代と大いに違うことや、そこで働く教員の、組織や年齢構成等についても、その様子が手に取るようによく分かる。本著の事例を通じて、改めて認識したのは、その職に辿り着くまでの競争の激しさ。学位や論文・著作等の成果はもちろん、その専門分野におけるレベル、オリジナリティの他、周囲との協調性、ネットワークに至るまでの、人間性も大いに問われている。さらに、語学力や海外生活の経験の有無が、かなり重要なポイントになってきているようだ。
2012.03.24
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今日、アニメの第2シリーズが終了した。 私が、既刊のお話しの中で、最も感動的だったと思っている 『PCP』が連載初回の読者アンケートで、2位に大差を付けて1位を獲得、 そのアンケート集計票を、最高がおじ・川口たろうに墓前で見せるシーンで。 これで、11巻の途中までが、アニメで放映され、 その後については、第3シリーズに引き継がれることになった。 そのスタートは、秋ということなので、しばらく先の話。 コミックスの方は、それまでに、また何冊か発刊されることだろう。 ***さて、本著は2010年12月に発行された、キャラクターブックである。コミックス11巻と同時に発行されたものなので、アニメ・ファンの人が、第2シリーズまでのお話しを振り返るために読むのにも、本当に、ちょうどいいタイミングの内容になっている。その構成は、各キャラクターと作中作品紹介に、全体の約3分の2の紙幅を費やしているが、その後に続く、各キャラクターによる妄想座談会や、架空のジャンプ巻末コメント、原作の大場さん、漫画の小畑さんへのインタビューといった本著のための企画ものも、とてもよく工夫されたもので、面白いものに仕上がっている。ただ、難点は文字があまりにも小さいこと。『グラサンピッチャー』のネームなどは、視力の弱い人には「点」にしか見えないのでは?全体として、情報量はとても多く、充実した内容でたいへん結構なのだが、読む気を減退させる、この文字サイズだけは、如何なものかと言わざるを得ない。
2012.03.24
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発売されたばかりの頃に、わざわざ書店まで出かけ、 本誌が並んでいる書棚まで辿り着いたとき、 突然、買おうか買うまいか、迷いが生じた。 そして、その時は、結局スルー。 過去、本誌を購入した経験は一度だけ、今から8年前のこと。 その時も、芥川賞を受賞した二つの作品が掲載されていた。 それは、当時19歳11か月で、最年少受賞した綿矢さんの『蹴りたい背中』と 20歳5か月で、綿谷さんに次ぐ若さで受賞した金原さんの『蛇にピアス』。 読んでみて、『蹴りたい背中』は、何となくピンとこなかったし、『蛇にピアス』については、描かれている世界そのものに好感が持てなかった。綿谷さんについては、その後読んだ『インストール』の方が断然面白かったし、金原さんについては、その後、全く作品を読んでいない。そして、今回の本誌購入の動機も、もちろん、芥川賞受賞の二作が掲載されているからである。前回購入したときの、綿谷さんと金原さんの、メディアでの取り上げられ方は凄かったが、今回も、田中さんと円城さん、特に田中さんはすっかり時の人だ。その流れに乗せられて、本誌購入のため書店に出かけたのだが、現物を眼の前にしたとき、ふと思い出したのが、8年前に読んだ、受賞二作を読んだときの、自分の印象である。これらは、本当に自分が読むべき作品なのか?それ故、その時はスゴスゴと敵前逃亡してしまったのだが、その後も、ずっと心のどこかに、引っかかる気持ちが残り続けた。それで、取り敢えずは読んでみて、合わなければ合わなかったでイイじゃないかと、書店の書棚から姿を消した時期になってネットで注文、ようやく本誌を入手したのである。 ***そして、読んでみての感想は、「芥川賞選評」における、各選考委員の意見と重なるところがとても多かった。中でも、『道化師の蝶』については、高樹さんの 一見いや一読したぐらいでは何も確定させないぞ、ぞという意志を、 文学的な志だと受け取るには、私の体質は違いすぎる。 それが「位相」の企みであると判ってはいるが、 このような努力と工夫の上に何を伝えたいのかが、私には解らない。(p.365)『共喰い』については、宮本さんの、 小説の構成力、筆力等は、候補作中随一であることは、私も認める。 しかし、私はこの「共喰い」という小説を生理的に受けつけることができなかった。 (中略) 田中さんは、そんな描写によって何を表現したかったのか。(p.370)という一文に大いに共感した。芥川の作品に対し、そこに爽やかさや清々しさを求めることは、お門違いだが、様々な人生の機微に触れることを求めることは、誰にとっても至極当然の姿勢である。そんな芥川の名を冠に頂く文学賞でありながら、今回の受賞作からは、それが感じられない。書店で本誌を眼の前にしたとき、突如湧きだした嫌な予感は、間違いではなかった。 ***「わいせつ、もしくは公序良俗に反すると判断された表現が含まれています」この記事を公開しようとしたら、こんな一文が表示され、ストップがかかってしまった。宮本さんによる選評の引用の一部を削除して(中略)とすることで、やっと公開できた。どれ程の内容なのか、興味のある方は、本誌を実際に御覧ください。
2012.03.24
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カスタマーレビューには感情的なものが目立つ。 まぁ今、何をどう言おうとも、公務員を擁護するようなスタンスを取れば、 その時点で、あちこちから集中砲火を浴び、火だるまになるのは避けがたい。 著者も、それは十分に分かったうえで、本著を出版しているはず。 本著で言う「公務員」とは、大凡「国家公務員」のことである。 著者自身が元大蔵官僚、キャリアの中でもエリート中のエリートだったから、 当然、その主張は自らの立場・キャリアを擁護するものとなる。 まぁ、官僚の中にも古賀さんのような、ちょっと毛色の変わった人もいるけれど。 *** 役所の仕事では、いわゆるスタンドプレーが嫌われます。 ボトムアップで組織として仕事をするのですから、 局長が誰であろうと、課長が誰であろうと、 それほど仕事の内容が違うわけがないということです。 こうした考え方は、しばしば「改革」を難しくしますが、 継続的かつ着実に仕事をしていくためにはプラスです。 そして、よしんば改革をするとしても、一人だけではできないわけですから、 つまり、組織を変えなければできないのですから、 必ずしも、こうしたやり方では改革ができないということにはならないでしょう。(p.33)「個」より「組織」を重んじるという価値観を、どうとらえるか。それによって、著者の主張の受け止め方は、かなり違ってくるはず。 取締役が執行役になるべきではありません。 また、その能力もありません。 そして、日本の場合、大臣や政務官が短期で変わることが多いのですから、 取締役といっても社外取締役に近い存在でしょう。 社外取締役が業務の執行に携わってもろくなことはないでしょう。 つまり、政治家が役人に変わって仕事をしようなどと思ってはいけないということなのです。 政治主導というと、たとえば、政務三役が行政のかなりの部分を実際に行うことだと 誤解している人たちが少なくないようですが、決してそういうことではありません。 政治家は政治家としての役割を果たし、 官僚は官僚としての役割をはたすというだけのことです。(p.134)これも、チームプレイをどうとらえるかで、受け止め方が違ってくる。政治家に何を求め、官僚に何を求めるかである。 いずれにせよ、財務省をはじめ、外務省、経済省、総務省などに The Best and the Brightest が集まっていましたし、 今でもその傾向は大きく変わっていないようです。 商社やメガバンクなどにも優秀な学生が集まるのですが、 国の仕事をしたり、国を動かせるような立場に立ってみたいという思いもあって、 給与が一流大企業よりかなり低いにもかかわらず、 優秀な人材が一流官庁に集まるのでしょう。(p.74)「The Best and the Brightest」は、本著の中でしばしば登場する言葉。こういう意識を持っていること自体を、肯定的にとらえるのか、それとも否定的にとらえるのか。それによって、著者の投げかける言葉の響き方は、かなり変わってくるはず。 こうしたシステムの大きなメリットの一つは、 大学卒業生の中のThe Best and the Brightest を採用できるということです。 エリート・システムを廃止すれば、 少なくとも給与面では一流民間企業よりかなり低い公務員への志望は減少するでしょう。 「給与の問題ではない、志だ」という人もいるかもしれません。 しかし、待遇と給与を総合したものが大きく劣れば、当然、志望は減ってきます。 問題は志だけではありません。能力です。 能力のある人を公的セクターが採用できなくなれば、 国家の行政能力は大きく低下してしまうでしょう。(p.237) どんな人間に、自分たちの生活に直結する行政という仕事の実務を委ねたいのか。誰がやっても一緒、やりたい人がやればイイと思っている人は、そうはいない。それなら、しかるべき人材を集めるため、どうすればよいか。収入に拘らず、超過勤務も厭わずの、志も能力もある人々で満ち溢れる世の中にしよう! 日本の公務員の数は1000人あたりで先進国で最も少なく、欧米の2分の1程度です。 それゆえ、公務員の人件費も対GDP比でOECD諸国の中で最も少なくなっています。 公務員比率(一般政府雇用者対労働力人口比率)は5%、 公務員給与比率(一般政府雇用者給与対GDP比)は6%と アメリカやイギリスに比べても、2分の1から3分の1です。 北欧諸国やフランスと比べると、さらに相対比は小さくなります。 つまり、日本の公務員の数は圧倒的に少なく、それゆえ、残業なども多く、 公務員は大変よく働いているのです。 日本で圧倒的に高いのは国会議員、地方議員の給与です。 公務員の人件費削減などを主張するより、 先ず自らの年俸、歳費を削るべきではないでしょうか。 「仕分けされるべき」は政治家であって、決して公務員ではないのです。(p.222)「天下り」を、再就職・出向ととらえる考え方と共に、世間で喧伝され、多くの人たちが思い描いているイメージとは異なり、公務員の数や給与は、決して多くないというのが、本著における著者の主張の目玉。これも、今は、多くの人にすんなりと受け入れられるものではないようだ。
2012.03.20
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閉塞感が充満するこの時代を、これからどう生きていくか。 本著は、そのヒントを若者に与えようというものである。 読み始めると、著者の勢いにグイグイと引っ張られていき、 ページを捲る手が止まらない。 文章も平易で明快、とても読みやすいので、 スイスイと読み進めることが出来る。 また、途中で挿入される『ここまでに手に入れた「武器」』も、 大きなサイズの文字を用いてインパクトが強く、しかも理解を助けてくれる。 *** このように、勉強して高学歴を手に入れ、 高スキルの職業に就けば人生が安泰であるというのは、 ほとんどの業界において崩壊している。 前述したように、医師ですら事実上のワーキングプア状態で働いている人が たくさんいるのである。(p.25)周知の事実である。しかし、改めてその現状を次々にを突きつけられると、時代の流れを強く感じる。 ★勉強ブームの影には「不安解消マーケティング」がある。 勉強すれば大丈夫と安易に思うな!(p.31) ★全産業で「コモディティ化」が進んでいる。 賃金を下げないためにはコモディティになるな!(p.41)この二つの「武器」は、本著の中で私が最も共感したもの。特に「コモディティ化」は、時代を読むキーワードであると感じた。 本田教授は「人間力」といった客観的に数値化することのできない、 性格的特性を重視する傾向が広まることで、若者の無気力や諦め、 社会に出ることへの不安を助長することにつながってしまう可能性があると指摘する。 そうした能力の多くは、多分に生得的なもので、 教育や努力を通じていかに身につけるかも解明されていない。 性格の明るさやコミュニケーション力というものは、人の個性そのものである。 企業が人を評価するうえで、人格や感情の深部にまで介入するのは間違いだ、 というのが本田教授の主張だ。(p.81)東京大学・本田由紀教授の、『多元化する「能力」と日本社会』における、「大学で各個人が学んだ専門知識を、もっと企業は評価すべきだ」という主張に対し、著者は頷けるところもあるが、現実的でないと述べる。しかし残念ながら、何をどう頑張ればいいのかについては全く言及していない。 マスメディアは人口の多い層をターゲットにする。 労働人口で見ると、日本はいまだに製造業従事者がいちばん人口の多いマーケットになる。 だから、その市場にとって耳に心地よいストーリーをメディアは流したい。 そうすることで視聴率が稼げると考えるからだ。(p.131)この姿勢は、何もマスメディアだけに限ったことではない。「民主主義」という、心地よい言葉を前面に押し立てて民衆を煽り、多数派の立場や意見さえ尊重すればいい、それが最も大事なこと、真理なのだとばかりに、少数派を叩きまくることで支持率を高めていくのが、現在大流行の政治手法である。と、色々考えさせられながら、ウンウンと頷きつつ、スイスイと読み進めてきた本著だが、第8章「投資家として生きる本当の意味」に入ったあたりから、「んっ?……」という部分が、急速に増え始めた。しかし、ここからが、投資家である著者が、本著の中で本当に述べたかったことのはず。この第8章や、それに続く第9章「ゲリラ戦の始まり」で書かれていることこそが、今の時代において、これから目指すべき生き方ということになるのだろうが、私としては、「そうかなぁ……」と感じるところが多かった。どうやら、私には、まだまだ時代に付いていく思考回路、姿勢が備わっていないらしい。
2012.03.20
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1990年9月、孫正義は日本に帰化し、韓国姓「孫」を名乗るようになった。 「あんぽん」は、それまでの旧姓・安本を音読み、韓国風に発音したもので、 孫は、中学時代、そう呼ばれることをひどく嫌っていた。 それは、出自を隠して生きてきた孫の自尊心を、深く傷つけるものだったから。 そんな『あんぽん』をタイトルに背負った本著であるが、 実は、孫正義自身について語っている部分は、ごく僅かである。 同じ佐野さんの『カリスマ 中内功とダイエーの「戦後」』とは、かなり趣が違う。 本著は、彼に繋がる血脈を辿ることで、孫正義に迫ろうとするものである。 ***孫正義の父・三憲は孫家の血を継ぐ者。その父(孫正義の祖父)は生活に窮し、半島から日本の鉱山に出稼ぎにやって来た。そして、李家の血を引く祖母との間に初子が生まれると、佐賀県の鳥栖に居を移し、そこで小作を営み始める。終戦後、祖父は妻子と共に、一度故郷の大邱に戻るが、そこでは生活が成り立たず、再び日本に命懸けで密航。そして、鳥栖駅前で養豚や密造酒販売で生計を立て始める。孫正義も、そのような環境の中で幼少期を過ごした。その後、父はパチンコ店経営で成功し、その姉弟も同業を営むようになる。一方、19歳で三憲と結婚した母・玉子は、李家の血を引く。地元では評判の美人で、芸能事務所からスカウトも訪れたという。そして、その弟は、山野炭坑で発生した爆発事故で死んでいる。 ***本著を通じて感じるのは、海を越えてやって来た一族の逞しさ、強かさである。そうでなくては、とても生きのびていけない過酷な環境の中で、孫正義は育った。彼が放つオーラ、そしていかがわしさ、胡散臭さの源を、そこに見る気がした。本著が佐野さんの数ある作品の中で、最も重要な代表作の一つとなったのは間違いない。
2012.03.20
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この一週間、『バクマン。』をひたすら読み続け、 若き漫画家と集英社の編集者たちの世界に浸っていたので、 本著における作家と編集者たちの世界にも、スッと入り込むことが出来た。 しかも、本作の編集者たちが勤めているのは「集英社」を捩った「灸英社」。 このお話しの中で、私の一番のお気に入りは、唐傘ザンゲこと只野六郎。 初登場の「序ノ口」は、彼の人柄がよく出ており、 お話しのシメの部分は、作家として向上していこうとする姿勢が、 ちょっぴり感動的で、とても清々しい気分になれる。さらに「職業、小説家」は、変にリアリティーがあって、これは、著者自身か或いは特定の人物がモデルになっているのではないかと感じた。彼の妻となる元子も、なかなか良いキャラクターの持ち主で、「天敵」での編集者・小堺相手の名演技には、私もすっかり騙されてしまった。さらに、それを上回る親近感を感じさせられたのが、彼女の父・光男。自分の娘の夫になるだろう男の「小説家」という職業に大いに不安を抱いているのに、居酒屋で出会った男が、その仕事を小馬鹿にしたようなことを言いだした途端、頭に血が上って大げんか、警察のお世話になってしまう……う~ん、父親だぁ。そして、そんな六郎の対極に位置づけられるポジションにいるのが熱海圭介。六郎が爽やかな好青年として描かれているのに対し、熱海の方は、周囲がまるで見えてない、世間知らずな男として描かれる。まぁ、世間知らずと言えば、寒川心五郎の方が、より年季が入っているとも言えるが。編集の方も、獅子取、小堺、青山と、皆とても個性的。伝説の編集者・獅子取は、常軌を逸した行動を常とする人物で少々恐ろしいが、それに比べると小堺はパッとしないし、青山はかなり爽やか系。でも、青山の「小説誌」での雄叫びは、ひねた息子の父を見る目を変える程のものだろうか?そして、本編を読んだ後に、書き下ろしの「巻末広告」を見ると、これがなかなか楽しい。唐傘は第135回直本賞を受賞しているし、寒川も同じ時に候補になっている。しかし、熱海はまだまだ賞には縁遠いレベルのようである。以上、本作は、私がこれまでに読んだ東野作品の中で、最も楽しめた作品だった。
2012.03.19
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TSUTAYAの2階で、先週借りた7~16巻を返却した後、 1階の書籍売り場に行くと、今月発売された17巻が平積みしてあった。 流れで『キャラマン。』と一緒に、2冊1,100円で購入。 レンタルは10冊で600円だったから、結構割高に感じてしまう。 それでも、ちゃんとカラーのカバーが付いていて(レンタル本は外してある)、 誰も開けたことのない真っ新のページをめくっていくのは、やはり気持ち良い。 恐らく、今巻以降は、このまま購入し続けることになるだろう。 さて『バクマン。』、この後何巻まで発行されるのか? ***ベテラン作家たちの台頭を、裏から糸を引いていたのは、やはりあの七峰徹。今回は、財力にものを言わせ、会社を立ち上げネームをつくっていたのだ。しかも、それらの作品がジャンプで評価され、会社のネーム作りの実力が証明されると、ベテランたちへのネーム供給を打切り、今度は自らペンを取って亜城木夢叶に勝とうとする。この事情を知った佐々木編集長は、七峰からのネームを受け取る条件として、読切作品が3位以内に入らなければ、今後彼の作品は一切使わないと宣告する。七峰の横暴を阻止せんと、1位から3位までの独占に向け結束する福田組。最高と秋人は、佐々木編集長のヒントをもとに、1位獲得を目指す。それにしても、今回もやはり異彩を放っていたのはエイジ。「ぱんちらファイト」についての雄二郎とのやりとりの中では、 よく東先生にぴったりの話 見つけたと思います で原作誰がやってるんですか? 嘘言わないでください 東先生が考えてないのは確か………………ですと、原作者が他にいることを見破っただけでなく、 リサイクルはいい事です! 使い捨てはよくないですケドと、七峰の真のねらいまで見事に言い当てている。福田の言葉を借りれば、まさに 新妻師匠 もはや地球人じゃねーなそして結果は、1位高浜、2位亜城木、3位に東の自作が食い込んで、今シリーズ終了。次は、エイジが超カッコイイ・ダークヒーローの新作発表に向け動き出すというお話し。最高と秋人は、ダークヒーローと正義、W主人公の王道バトル新作で対抗。これで、いよいよアニメ化を実現できるのか!?
2012.03.18
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遂にTSUTAYAで借りてきた最新刊に到達。 アニメ放映中のお話しからは、随分離れた所までやって来たものだ。 秋から始まる「バクマン3」で、この辺りは放映されるのだろうか。 もし放映されたとしても、それはもう年末という時期かも知れない。 さて、今巻ではエイジが、10週連続アンケート1位を獲得すれば、 嫌いなマンガを終わらせる権限を、編集長から貰うというお話し。 エイジが終わらそうとしている作品は何なのか? 周囲が心配をつのらせるなか、エイジは1位を獲得し続ける。やがて、エイジはその終わらせる作品を発表。それは、自らの作品『CROW』だった。 自分で終わらせたい形で終わらせられないのは大嫌いです 僕だって人気マンガを編集部が終わらせたくないのは知ってますし 商業誌ですから それが当然だとも思います ケド僕は描く前から決めてました 終わらせる時期は自分で決め 1番人気の時にカッコ良く終わらせる それができそうで嬉しいです 編集部も最初はできるなら もっと続けて欲しいと言いましたが すぐわかってくれたですこれを聞いて、『CROW』終了阻止のため、1位奪取に奮起する福田組。またしてもバトル勃発。エイジは、この対決を受け入れ、最終回まで連続1位を取り続けると宣言。それは、17~18週連続で1位獲得という、信じられない条件。福田、高浜、そして亜城木夢叶が、全力をあげ果敢に挑む。中でも、最高・秋人はカラーページを活用して、これまでの集大成と言えるハイレベルな作品を完成させるが、それでもエイジには及ばず、『CROW』は終了することに。その後、エイジは、最高に永遠の宿命のライバル宣言。そして、次回作は「世に出たマンガで1番のマンガ」宣言までやってのける。さらに、これに続く巻末2話は、ベテラン作家の大攻勢開始のお話し。これを裏から演出、糸を引いているのは、あのダーティーキャラのようだ。
2012.03.16
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同じ号で、同じ話で対決。 いよいよ、亜城木夢叶の『CPC』と、七峰徹の『有意義~』が、ガチ勝負。 それを最高・秋人が承諾したのは、小杉が伝えた服部からのメッセージ 「差を見せつけてやれ」。 七峰作品は、秋人の言葉通り「船頭多くして船山に上る」状況。 そして、七峰のネット上の支援者たちは、次々に彼の元を離れ去り、 予想通りの、いや予想以上の惨憺たる内部崩壊。 そして、呆気ない幕切れ。その後に始まった新シリーズは、中井がメイン。しかし、このキャラ、本当に酷い男に成り下がってしまった。それに対して、男を上げたのは平丸で、さすが人気投票第3位の面目躍如。そして、久々に今巻では露出が増えた蒼樹譲だが、平丸の彼女になるのにはまだ抵抗が……。さらに、次のシリーズでは、『CPC』の模倣犯が出現、秋人が大いに悩むというお話しで、最高に原案をダメ出しされるほどのスランプに陥る。それも、2度目の模倣犯があらわれた時点で、気持ちを完全に切り替え、それを逆手に取ったお話しで、3位に順位を上げ、完全復活を果たす。今回は、短いインターバルで、次々に新しい展開が繰り広げられた。テンポが良いと言えば良いし、深まりがないと言えばない。まぁ、単調なリズムを払拭しようと、意図的に短編を続けたのだろう。最高・秋人のコンビ以上に、大場・小畑コンビも色々と考えているのだ。
2012.03.16
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『シンジツの教室』で、七峰徹デビュー。 『TRAP』連載時、毎週のように亜城木夢叶にファンレターをくれた中学生が、 今度は手強いライバルとして、目の前に現れる。 パッと見は、とても好青年なのだが…… 実は七峰、ネットで繋がる協力者たちの意見を集約し、作品を創っていた。 そんな邪道な方法で生み出された『有意義~』だが人気は上々、一気に連載へ。 作品を生み出す裏舞台を知った新人担当・小杉は、事実を誰にも言い出せない。 一方、同じく舞台裏を知った最高と秋人は、自分たちの力で七峰を倒そうと決意。そして、その事実を知らないエイジは、作品を見ただけで 2世が元祖を超えたら面白いですケド でも 亜城木先生と違って作者の顔が全然見えませんとその作品に潜む真実を看破してしまうのは、流石である。七峰は作品の更なるレベルアップを図るため、スーパーアシとして中井を呼び寄せる。その効果が現れ、2週目も『PCP』を上回る2位を獲得するが、翌週には9位へと転落し、『PCP』より下位の座に甘んじることに。それ以後も低空飛行は続き、七峰は次第に追い詰められていく。と言うことで、前巻の終盤から登場した、最高・秋人の新たなるライバルは、これまでのキャラクターに比べて、ダーティー色がとても濃い存在。見所は、この強敵を、いかにして倒すかというところなのだろうが、今巻結末部で、相手は自滅が避けられない状況にあるのは明確、勝負はもう見えてしまっている。
2012.03.16
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「人気作家読切祭」は「人気作家恋愛読切祭」として、 読者アンケートで1位を争う企画へと変更。 エントリーしたのは、新井、エイジ、蒼樹、平丸、亜城木、秋名、福田。 またしても、新たなるバトルの勃発! そして、この読切作品は、亜城木夢叶の作品ながら、 原案から真城が一人で取り組むことに。 秋人は、「PCP」と共に、白鳥との「恋太&ピース」を手がけていることから、 読切は自分一人でやりたいと、真城が言いだしたため。 このことが発端となり、真城と秋人の間には、徐々に溝が広がり始める。そして、秋人は真城との仕事場を離れ、打合せにも顔を出さないように。香耶は大いに心配し、亜豆は静観の構え。一方、エイジは「恋太&ピース」は、白鳥の作品と言い放つ。思うようにネームが捗らず、追い詰められる真城。そこへ「恋太&ピース」における白鳥への支援を全て終わらせ、秋人が戻って来る。秋人のアドバイスを受け、真城主体の読切はイッキに完成へ。しかし、結局このイベントの勝者は、流石の蒼樹譲!! ***さて、今巻最大の見所は『バクマン。』キャラ人気投票結果発表!!10位岩瀬、9位吉田、8位が蒼樹で、7位は福田。蒼樹も福田も、6位のラッコ11号より下という、何とも言い難い微妙な結果。そしてこの作品の主役の一人・高木は5位、ヒロイン亜豆も4位(香耶は12位)。そして、3位は大健闘の平丸一也。ところが、純粋なるこの作品の主役・真城最高は、驚きの2位止まり。それに対し、見事1位の座を主役から奪い取ったのは、ライバル・新妻エイジ。作中の作品だけでなく、現実の人気でも1位を獲得してしまうスゴイ男。まぁ、私としては、何と言っても秋人の順位が低すぎるのが不満。最高より上の順位でおかしくないと思うし、少なくとも亜豆よりは上じゃないと……。さらに、香耶も亜豆よりは、上でイイと思うけどな。いったい、どんな人たちが、この投票に参加したのだろう?
2012.03.16
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TVアニメ放映中のシーンを遙かに通り越し、 『PCP』好調の中で、新たなる展開を見せ始めた今巻。 「NATURAL」を追い抜き、「CROW」に肉薄したことで、 編集長から直々に、連載継続を認められた亜城木夢叶。 そんな中、岩瀬愛子の存在感が、益々大きくなってきている。 それに対し、福田組の露出は激減(蒼樹紅、ほとんど登場しない……)。 逆に露出が増えたのが、亜城木夢叶の新アシスタント・森屋秀一と白鳥シュン。 特に、白鳥は色んな意味で、今後のお話しのキー・パーソンになっていきそう。それというのも、『PCP』はドラマCD化され(亜豆が声優として参加)、さらにノベライズ(小説版)まで決定したものの、アニメ化は難しいことが判明したため。最高は、自分たちの夢・作品のアニメ化を実現しようと、『PCP』意外に、もう一本の作品を描く手立てを真剣に模索し始める。そんな時、白鳥が描いたネームに、秋人が手を入れた作品が、次第に形を成し、服部の助力もあって、とうとうジャンプに掲載されることに。白鳥は、母親から漫画家になることを強く否定されていたのだが、姉の助けもあって、この作品は連載に向け、大きく動き始める。さらに、状況の大きな変化をもたらしそうなのが、人気作家読切祭の開催。連載終了が決まった平丸、蒼樹だけでなく、連載2本を抱えるエイジまでもが、これにエントリー。それを知った最高と秋人も、迷うことなくエントリーを申し出て、今巻は終了。秋人は、三本もの作品の原作をこなせるのか?最高は、二本の作画をこなせるのか?そして、岩瀬はどういう形で、これに関わってくるのか?そして、秋人の白鳥との共作に否定的なエイジ……彼らからもう目が離せない!
2012.03.11
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真城くんの ネームより文章の方が想像できるという着眼点… 自分の絵の欠点に自ら気付き 新妻くんに負けまいとする姿 そして今の 高木くんのシリーズでやりたいという提案 もう君達は僕を超えて……嬉しいよ 今巻は、エイジを超えるという高いハードルに、最高と秋人が果敢に挑み続け、 マンガ家・亜城木夢叶が、編集・服部哲を超える瞬間が描かれる。 『完全犯罪クラブ』は、『PCP(完全犯罪党)』とタイトルを改め連載開始。 その初回、遂に読者アンケートで2位に大差を付け、1位を獲得する。そのアンケート票を、最高がおじ・川口たろうに墓前で見せる場面は、これまでのお話しの中で、最も感動的な場面に仕上がっている。それに比べると、「NATURAL」の声優オーディション会場から、最高が亜豆を連れ去る場面は、あまりに定番過ぎて、私的にはちょっと……。ところで、今巻のお話しの中で、結構重要な役どころを務めているのが岩瀬愛子。そして、やっぱり気になるのが静河流。あと、残すところ2回となったTVアニメの第2シリーズ。今巻のどの辺りまでが描かれるのだろうか?
2012.03.11
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遂にTVアニメの放映話に追い付き、追い越した。 昨日の放映分、第23話「勝ちと負け」も、とてもイイところで終わり、 その後どうなるのか、メチャクチャ気になってしまうものだったが、 それを、とうとうコミックスで先に読んでしまった。 続きを知ることが出来て、嬉しいという気持ちもあるが、 それは同時に「一週間待つ楽しみ」を味わえなくなってしまうことでもある。 ただ、第2シリーズは第25話で終了し、第3シリーズは今秋再開とのこと。 よって、もうすぐ「一週間待ち」どころか、「半年待ち」になるのだ。コミックスでは、亜城木夢叶の次の作品に向けての準備に、最初から服部が関わり、港浦に指示を出していることが明らかにされている。と言うか、亜城木夢叶を巡るここまでの一連の動きは、全て服部の思いとアイデアによってコントロールされてきたとさえ思わされる。そして、コミックスでは、そこに静河流の存在が加わることで、亜城木夢叶の目指すべき方向が、より明確化されることになる。時間等の関係だと思われるが、アニメに静河流が登場しないのは、やはり、お話しの深みを失わせることになってしまっている。『完全犯罪クラブ』に、同名タイトルの映画があることもコミックスで知った。しかし、アニメにも良いところはある。『完全犯罪クラブ』のネームを、最高と秋人が初めて港浦に見せる場面なんかは、コミックスで見るより、TVアニメで見たときの方が、臨場感があった。そして、次の放映である第24話「表現力と想像力」も、コミックスで見る限り、とてもワクワク、盛り上がるお話し。第2シリーズの感動的が締めくくりに向けて、動画ならではの、素晴らしい演出を期待したい。
2012.03.11
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静河流、いきなり冒頭からか…… アニメでは登場しないけど、結構重要キャラみたい。 そして、その担当の山久も、静河が登場することによって、 その行動振りや、キャラクターイメージに随分違いが出ている。 それと、連載が決まった『ひらめきタントくん』も、 本来のタイトルは『走れ大発タント』という、NHKでは放映がきついもの。 もし民放なら、ダイハツは喜んでスポンサーになってくれたろうし、 そのCMには、きっと最高や秋人たちが登場したことだろう。さらに、アニメでは描かれなかった「内言」のコマがあることで、そのキャラクターの行動の真意が、きちんと説明されている。例えば、福田組集合の場面での、エイジの2本同時連載についてのコメントなどは、原作のコミックスの方が、読んでいて分かりやすく、スムーズ。今巻のお話しは、せっかく連載の始まった「タントくん」を、エイジや服部の発言により、亜城木夢叶自らが放棄するに至るお話しだが、その放棄発言後の編集長と服部の会話も、アニメでは描かれなかったもの。しかし、これもまた結構重要シーンだと私は感じた。このように、今回はアニメでは描かれていなかった場面に、お話しの展開上で、かなり重要なものが多々見られた。それだけでも、コミックスを読んだ価値が十分にあった。特に静河流、これは普通外せないでしょ?
2012.03.11
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今巻のお話しのメインは、秋人と蒼樹紅の関係と、 岩瀬愛子の秋人への想いが、見吉香耶の誤解を招き、 それと連動して、最高と亜豆美保の仲まで険悪になるということ。 そんな一連のお話しの中で、亜豆はものすごく残念なキャラクターに。 アニメを見た時も思ったけど、亜豆がもう少し賢い女性なら、 こんなグチャグチャした状況には、多分ならなかっただろう。 それに比べて、蒼樹紅はさらにイメージアップ。 まぁ、この辺は性別や年齢、個人の好みで、相当違った見解になるだろうけど。しかし、今巻で際立ってカッコイイのは、やっぱり福田。いつもお節介の固まりのような男なんだけど、それが嫌みにならないところがスゴイ。本当に「福田組」とネーミングするだけのことはある。それに対し、秋人が言ったように、中井は自業自得としか言いようがない。そして、岩瀬は服部とエイジの力によって、その才能を、マンガでも開花していくことになる。それにしても、服部とエイジの亜城木夢叶への思い入れは、本当に半端無い。ところで、静河流って、これで終わり?
2012.03.10
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『バクマン。』は、ずっと土曜の夕方にTVアニメを見ている。 そして最近、続きがどうなるのか知りたい欲望が急速に高まり、 とうとうガマンしきれず、この度、コミックスで読むことにした。 購入も考えたのだが、現在16巻も発行されていることが最大のがネック。 それは、経済的問題以上に、本を置くスペースの問題。 現在、月に10~20冊の本を購入しているが、その置き場を確保できず、 ほとんどのものは、読んだらすぐ古本屋さんに売却している状況。 そこで今回は、TSUTAYAで借りることにした(本をレンタルするのは初体験)。アニメで現在放映されているのは、コミックスで言うと10巻目辺りのお話しなので、それ以降を借りて来るつもりだったのだが、10冊まとめて600円でレンタルできるとのことだったので、今日は、7巻から最新の16巻までを借りて来た。そして、この第7巻は、『疑探偵トラップ』の連載打ち切りが決まり、次の作品を「ギャグ」路線で行くか「シリアス」路線で行くかで、最高・秋人と担当の港浦が激しく対立していくというお話し。さらに、秋人と蒼樹紅が急接近したり、そこへ岩瀬愛子が絡んできたりと……。既に、アニメで放映済みのお話しだったけど、アニメとは、ちょっと違う設定や登場人物、セリフなんかもあって、結構楽しめた。例えば、アニメはNHK絡みだから当然だが、舞台となっている出版社・少年誌は、遊栄社の『週刊少年ジャック』だが、コミックスでは集英社の『週刊少年ジャンプ』。さらに、私の記憶が確かならば、トレジャー新人漫画賞で新妻賞を受賞した、静河流の『斜本(日本の終わり)』は、アニメでは登場しなかったはず。そして、これも私の記憶が確かならばなのだが、編集部での服部と吉田氏との、亜城木夢叶についての評価場面も、アニメでは無かった?特に、次の服部の発言はかなり重要で、お話しの流れとして無くては困るものなので、私の記憶が飛んでしまっているだけのような気もするが。 そうじゃなくて 何て言うか これだけ描けてしまうから 余計に思うのかもしれませんが 小手先で描いているとでもいうのか……さらに、エイジと雄二郎の、亜城木夢叶作品についてのやりとりも同様。 亜城木先生は主人公に自己投影しないですから 他の人はキャラが弱いとか冷めてるとか心がないとか言うかもしれませんケド 心がない?……… それか?足りないもの……ところで、それまで「嫌な女キャラ」だったはずの蒼樹紅が、この辺りから急にカワイイ女キャラへと変貌していく。これも、岩瀬愛子のキャラを際立たせるためのイメージ・チェンジか。でも、蒼樹紅。イイですね。
2012.03.10
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本著の著者・山本さんは、菅直人代議士の公設秘書、都議会議員2期を経て、 1996年には、衆議院議員に初当選した人物。 しかし、2期目当選後の2000年、政策秘書給与流用事件で実刑判決を受け、 獄中で433日を過ごした(民主党初の除名処分者)。 そこには、精神障害、知的障害、聴覚障害、視覚障害を持つ人たちや、 認知症老人、肢体不自由者等、一般懲役工場での作業が困難な人たちがいた。 そんな受刑者たちは、「寮内工場」と呼ばれる場所に隔離されており、、 山本さんは、そこで刑務官たちの仕事をサポートする指導補助を命じられる。山本さんは、受刑者たちに作業を割り振るだけでなく、失禁者が後を絶たない彼らの、下の世話まですることになる。本著は、そんな経験を持つ著者ならではのルポタージュ。塀の外からは窺い知れない、タブーとされてきた世界が、明らかにされる。 ***本著のタイトル『累犯障害者』とは、「あとがき」で、山本さん自身が述べているように、刑法56条でいうところの累犯者ではなく、「次から次に犯罪に結びついてしまう障害者たち」のこと。なぜ、彼らは、犯罪を繰り返してしまうのか?山本さんは、いくつかの事件について詳細を追う中で、その理由を探っていく。そして、本著・終章「行き着く先はどこに」において、福祉、刑務所、裁判所について、それぞれの課題、問題点を提示する。本著の出版により、この問題についての重たい扉が開かれ、その改善、改革に向けて、大きな一歩が踏み出されたことは間違いない。そして、その意義の大きさは、全ての人にとって、計り知れないものがある。一冊の著作が、社会を大きく動かしたのである。
2012.03.04
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『ビブリア古書堂の事件手帖』の続編。 売れているだけのことはあって、期待に違わぬ出来映え。 「あとがき」で、著者の三上さん自身が述べているように このお話しは、今後も続いていくことになるだろう。 私の中で、現時点では、凜田莉子より篠川栞子の方に、より興味・関心が高い。 新しいもの、未知の部分が多いものに、より注目したい気持ちがあるせいか。 しかし、莉子は既に13冊もの文庫本が発行されている、大物看板であり、 一方、栞子は今巻を入れてまだ2冊の文庫本しか発行されていない新人。二人の主人公の差は、まだまだ大きい。しかし、莉子の方にも、新シリーズを始めるなど、著者の松岡さん自身、てこ入れの必要を感じる状況が発生している模様。私も、過度の出版ペースによる質の低下を何より心配している。そこで、私が三上さんに対して最も望むのは、ブームのうちに、どんどん作品を出してしまおうなどと決して考えないこと。質の良いものを、じっくりと長期に渡って書き続けて欲しい。なぜなら、本作品はそれが可能なテーマ設定になっていると思うから。
2012.03.04
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オオスズメバチのワーカーで、優れたハンターのマリアが主人公のお話し。 だが、私はスズメバチに対して、特に強い関心を持ってはいない。 さらには、その他のハチや昆虫、ハ虫類や両生類等々に対しても、 それほど大きな興味や関心を持ってはいない。 実際、『ファーブル昆虫記』や『みつばちマーヤの冒険』は読んでいないし、 『昆虫物語 みなしごハッチ』に対する周囲の熱狂にも、変に冷めていた。 なのに何故、今、『風の中のマリア』なのか? それは偏に、本著が百田さんの作品だからである。 ***きっと、昆虫好きにとっては、序盤から「たまらない!」世界観なんだと思う。しかし、私は「ワクワク感」を全く味わえない。ページを捲る度に、オオスズメバチの生態について、知識は蓄積されていくものの、お話しとしてはかなり平板、本当に淡々と流れていく感じ。第一部 帝国の娘「4 恋」(p.103~)において、マリアが、初めて出会ったオスバチに対し、淡い恋情を抱く場面の描写に対しても、私は、どこか「シラーっ」とした感じに包まれてしまった。「何だかなぁ……」なのである。それが突然、次の「5 女王の物語」(p.134~)から一変。生命の神秘というものが、本当に強く感じられるようになってくる。特に、第二部に入ってから展開される、数々の攻防戦、帝国の盛衰の物語においては、その度合いが、クライマックスに向けて、急速に高まっていく。そして、本著を読み終える頃には、自然の営みの驚異、もの凄さを、心から実感させられることになる。これは、オオスズメバチや他の昆虫たち自身が持つ「生命力」によるものであるが、それを裏支えしているのは、やはり百田さんの筆力である。『永遠の0』で感じた百田さんの力を、本作品においても、再確認することが出来た。
2012.03.04
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