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ここ数年、いまでやさんのボージョレ・ヌーヴォーを使ってきましたが、今年は去年試飲して軽く衝撃だった五井の相川商店のワインを使う事にしました。ワインは2種類。 ヴォー・オン・ボージョレという小さな村にあるこのドメーヌは18世紀創業。しかも、畑自体は1000年も続いているという驚くべき歴史の長さを持っています。急勾配でやせた土壌に植えられた古木なので収穫量が非常に少なく、その分凝縮したワインができます。 フレッシュな完熟イチゴと少しカシスやブラックチェリーの香り、奥行きのある濃いめのルビー色、凝縮された果実味があり、酸味は程良く全体的なバランスが良い。ある意味理想的ボージョレ・ヌーヴォーと言えるかもしれません。 ボージョレ最高の地区ムーラン・ナヴァンに属するロマネッシュ・トラン村のドメーヌ。ワイン専門誌などでボージョレでトップの作り手との評価を得るも、小規模生産者のため入手困難の極みです。非常に綺麗な透明感のある果実味と切れの良い酸味。イチゴよりは木イチゴを感じるのでまるでピノ・ノワールのようです。やや淡く透明感のあるルビー色のローブ。その外観の印象通りとても砥ぎすまされた綺麗な味わいです。軽くあっさりしていると見せかけて実はしっかりした力強さがあります。ボージョレ・ヌーヴォーのイメージ覆すワインと言えるでしょう。 これらのワインは、ボージョレ・ヌーヴォーを楽しむコースをご予約のお客様のみにお出ししております。
Nov 29, 2014
16日夜の大腸憩室出血と2階からの転落事故から11日経ちました。昨日は退院後の検診で形成外科へ行ってきました。首や肩のレントゲンを7枚ほど撮って頸椎や肩の骨には異常なしが確認されました。まだ少し左肩に痛みがありますが、だいぶ良くなってきました。事故翌日は寝起きもまともにできないくらいでしたからね。ずいぶん良くなりました。今はひどい肩コリ程度の感じです。 毎年12月恒例の予約状況カレンダーをホームページにアップしました。ご予約の参考にしてください。 ボージョレ・ヌーヴォーを楽しむコースは12月19日まで出来るだけご予約を承ります。 プレクリスマスコースは、12月3日より19日までです。 クリスマスディナーは12月1日から予約受付です。 よろしくお願いします。
Nov 27, 2014
16日日曜日の夜、仕事が終わって家の近所のスーパーで買い物をしていたところトイレに行きたくなり、行ってみると凄い下血。血便と言うよりもう血そのものと言う感じでした。とりあえず収まり、また数分後トイレに行くとまたも下血。しかも量が増えているかも、、。買い物もそこそこに自宅に帰りましたが、またすぐ下血。この時点でもう1リットルくらい出ていたかもしれません。さすがに救急車呼びました。このとき2階にいたので、搬送に備えて階下に降りようとしたのが大きな間違いでした。2段目あたりでサーっと血の気が引いてきて座り込んだまでは覚えているのですが、、、そのまま転落してしまったんです。下の方にちょうどマダムがいたので10段くらいですみましたが、、。救急隊員の方が来るまで数分間意識がなかったようです。あとで、せがれに「死んだかと思った。」と言われました。 搬送先は、済生会習志野病院。救急車に乗ってからの記憶も意識もはっきりしているんですけどね、、。運よく内視鏡の良い先生に担当していただけて、適切な処置により止血していただきました。大腸憩室出血と言う事でした。ポリープとは逆の感じで、つまりポリープは腸の中に向かってニョキと生えてくるわけですが、憩室と言うのは、大腸そのものが外側に向かって小さな袋のようなものが出来るのだそうです。数個から多い時には数十個もできる人もあるそうです。基本的に悪さをしなければ放っておいてよいのですが、今回のように出血を起こしたり、盲腸(虫垂炎)に似たような炎症を起こしたり最悪破裂したりすると、腹膜炎を併発して死にいたることもあるそうです。まあ、なんにせよ病気は甘く見てはいけませんね。そいういうわけで、出血箇所がうまく発見でき、そこにクリップを入れて止めたいただきました。たしか3個入れていたと思います。担当医は消化器科の医長のA先生で、内視鏡のスペシャリストだと助手の若い先生が言ってました。A先生も「うまく見つけてきっちりクリッピングできるのもなかなか珍しいんですよ。」と、ちょっとどや顔でした。搬送された時点で血圧も100を下回っていましたから、すぐに止血できないとちょっと大変なことになっていたでしょうね。先生にも、「血が止まらなければ開腹手術といことになって、そうなると入院期間も長くなりますからね。」と言われました。 出血箇所もおそらく一か所で、処置も適切だったため、大腸憩室のほうは全く問題なさそうです。40時間余りの絶食の後、重湯から始まって退院日の今朝もお粥でしたが、特に退院後の食事指導もありませんでした。もっともさすがに肉焼いてがっつり食おう!なんて元気はまだないです。失血したのでレバーや鹿肉は食べたほうが良いかもしれませんが、、。 問題は打ち身のほうですね。軽く交通事故にあったくらいの全身打撲です。幸い下半身はほとんど大丈夫ですし、頭の方も心配ないです。左肩右肩の打撲が結構まだきついです。奥に左側ですね。右はもう仕事できるくらい回復してますが、左もう少しかかりそうです。 こういう打撲の時には、寝起きするときが一番つらいんですね。特に起きるときは力を入れて、グッと起きると2日目3日目あたりは、あまりの痛みに固まってしまい数分動けないくらいでした。今はもうだいぶ動けますよ。 1週間とにかく治療に専念してました。テレビなし、本も読まず、ネットも無し、安静にしてただただ身体からの声に耳澄ます感じですね。座禅と言うのやったことありませんが、似たような感じではないでしょうか?そうして少しでも体のことを聞いてやって少しでも回復が早まるように、ただ過度の安静では筋肉が弱るし、関節などの可動域も狭まりますから、幸い下半身が痛くないので散歩したり、肩や腕も動く範囲で回したりしてました。 例えば、昨日まではペットボトルの水を最後に顔を上に向けて飲み干せませんでしたが、今はできます。そうやって少しずつ、よくなっていくんですね。 幸い私の仕事は、五感を正確に研ぎ澄ますことと、体を正確に動かすことが究極的な目的みたいなものですから、こういう治癒の時こそも良い勉強になりました。今回も面白い発見がたくさんありましたが、まだこうして文章書くのもつらいのでまたの機会に、、、。 というわけで、各方面ご心配をおかけしましたが今週いっぱいは様子を見て、12月2日からは通常営業に入りたいと思います。 よろしくお願いします。 サンク・オ・ピエのchef中村雅信
Nov 24, 2014

これはエゾ鹿のロースト。スペシャルメインディッシュでお出ししてます。 ぼちぼちクリスマスや年内はいつまで?などと言われることが多くなりました。来週はヌーヴォー解禁ですからね!ヌーヴォーが来れば、すぐ12月です。 12月2日のディナーから、恒例“プレ・クリスマスコース”を始めます。メニューは来週月曜あたりにホームページにアップします。 本番のクリスマスディナーは、12月20日より24日まで(25日は予備日としてご希望があればご予約承ります。)例年通り12月1日より予約開始いたします。メニューは12月1日の午前零時ころホームページにアップします。 例年通り、20日以降は夜のみの営業となります。最終営業は28日です。25日から28日は夜のみの営業でお料理は¥5000よりのお任せコースのみとなります。26日はすでに貸切となっております。 ボージョレ・ヌーヴォーを楽しむコースは、もうすでに18名ほどご予約いただきましたので、あと10名前後でで予約終了となります。お急ぎください。 今週末、14日15日、16日はディナーはまだ空席あります。美味しいエゾ鹿でも召し上がりにいらっしゃいいませんか? 来週末、22日23日はお昼がまだ空いておりますが、22日はあと2名。23日は夜満席です。次の週の29日は夜満席、30日も夜はあとひと組4名程度です。
Nov 13, 2014

北海道のエゾ鹿。 エゾ鹿のロースト、グランヴヌール風です。グランヴヌールと言うのは、昔王様が狩りに出るときにその全てを仕切る狩猟頭のことで、野山に出れば王といえどもグランヴヌールの指示に従うという事だったそうです。 猟期は、秋冬から春先までですから夏の間に猟師たちは森の木の実、木苺やブルーベリー、カシスや桑の実などでジャムを作ったり、秋にはキノコを干したり、保存食を作るのも仕事です。 鹿やイノシシを仕留めて、ローストして夏に作ったベリー系のジャムを利用してソースを作ると、これがグランヴヌール風という料理になるわけです。鹿、イノシシ、野ウサギ(リエーブル)など四足系ジビエのクラシックな料理ですね。 肉にジャムなんていうと、ちょっと引くかもしれませんが北欧などではハンバーグやミートボールにジャムの組み合わせは定番ですし、トナカイや鹿料理には欠かせないものと言えるくらいです。スウェーデン発祥の家具屋のイケアのカフェテリアに行けばそんなメニューが味わえますよ。 和食でもみりんや砂糖を味付けに使うでしょ?柚子やカボスを使いますよね、、。甘酸っぱい味わいと考えると、ジャムだって同じなんです。フランスではエイグル・ドゥー(甘酸っぱい)イタリアではアグロ・ドルチェ(甘酸っぱい)という言葉で、ヴィネガーと砂糖や蜂蜜とか酸味のある果物との組み合わせは定番がいくつもあります。 鹿肉は、脂肪分がほとんどないので非常にさっぱりした味わいの肉です。人の味覚は美味しさや脂肪の滑らかさを甘味と混同する傾向があるので、鹿のソースに甘酸っぱさを加えることで肉の味わいを一層バックアップしてやるわけですね。それにワインとの相性! コトー・デュ・ラングドック、ドメーヌ・ド・ラプローズ、キュベ・オンブラン。Cave相川のワインです。これが合うんです!特に私の場合、ワインの味わいに合わせてソースのバランスや濃度などを微調整しますから、もう凄いマリアージュですよ!このワインはシラーが90%くらいでグルナッシュが10%。鹿のグランヴヌールにはもう昔からシラーのワインと決まっています。 ちょっと専門的な話ですが、ソース・グランヴヌールはソース・ポワヴラード(コショウ風味のソースと言う意味)をベースに作ります。ポワヴラードと言うソースは、ミニョネットといって荒く砕いた胡椒とワインヴィネガーとマリナード(昔は鹿肉を香味野菜とワインでマリネしたのですが、そのマリネ液のこと)を煮詰めてそこに鹿や仔牛の出汁を入れて煮詰めて仕上げるんですが、できたポワヴラードにベリーのジャムやコンポートを加えるとグランブヌールになるわけです。 そういうわけで、きちんと作ったグランヴヌールソースは、果実の甘酸っぱさや果実の香りの裏に胡椒のスパイシーな香りやピリッとした辛みが隠れています。このポワヴラード→グランヴヌールと言う事を知らずにただのベリーソースにしてしまうと、ただ甘ったるいだけのくだらない料理になってしまうんです。 で、よく出来たシラーのワインの特徴は、ブルーベリーやカシスの香りに混じり、胡椒のようなピリッとしたスパイシーな香りが感じられます。また、シラーのワインは渋みが強く出ないのですが、とても濃厚な厚みを感じます。これがもうこの料理のためにあるようなマリアージュなんですよ!鹿を食べてこのワインを飲むともう一体化してしまって、料理とワインの境目が分からないくらいです。「料理とワインが合うってこういう事なんだ!」と思い知らされる組み合わせです。 古臭い料理で、古臭い定番の組み合わせですが、このマリアージュは外せません。だから毎年やっています。
Nov 13, 2014

震災前は牡蠣と言うと東京方面は三陸物が多かったですが、元々牡蠣の養殖の発祥は伊勢の的矢だと言われていて、関西方面が強かった。特に瀬戸内海には広島をはじめとしてカキの養殖が盛んです三陸より暖かいし、陸地に囲まれ河川からの有機物の流入も多いので牡蠣の育ちが良い。そのため加熱用に出荷される物も多いです。この牡蠣は姫路産。播磨灘辺りでしょうか、、。小ぶりながらプックリ太って加熱してもあまり縮みません。 牡蠣はテフロンのフライパンで乾煎りして水分を飛ばし味を決めたらイタリア産の香りが良い唐辛子を少しとガーリックオリーヴオイルで漬けこみます。岩手の肉厚なシイタケをオリーヴオイルでソテーして塩で味を決め、バルサミコを少しからめます。牡蠣もシイタケも冷蔵庫で冷やし、サラダと一緒に自家製ドライトマトもあしらって盛り付けます。サルディニア島産の極上オリーヴオイルを回しかけます。 美味いですよ!昨日からメニューにのせたらさっそく出ましたが、みなさんあっという間に平らげていました。今年は三陸の殻牡蠣がまだ身が良くないようで、市場にきいたところでは年明けまで待った方が良いとのこと。というわけで、生牡蠣はもう少しお待ちください。
Nov 9, 2014

Cinq au pied.Menu pour Beaujolais Nouveau 2014サンク・オ・ピエボージョレ・ヌーヴォーを楽しむコース11月20日より月末ころまで予定数になり次第で予約終了となります¥6000(税別)(2名様より承ります)Plat de panache des 7entrees大皿!7種前菜の盛り合わせIGP Magret de canard de perigourd fumé du chefペリゴール産マグレ鴨の自家製スモークLard fumé de Mangalicaマンガリッツァ豚の生ベーコンRillette de Lapin au glace de canardスペイン産ウサギのリエット、鴨のグレース風味Beurre au Gorgonzola et au raisin et aux noixゴルゴンゾーラ風味の胡桃入りレーズンバターMousse de foie de poulet de TOKIMEKIときめき鶏のレバーのムースHuître de HIMEJI confit a huille d'olive姫路産牡蠣のコンフィ、オリーヴオイル風味Pickles maison et Olives a l’espagnole自家製ピクルスとスペイン風オリーヴFoie gras chaud au coufiture de vin rouge et vinaigre au griotte avec Salde vertフォアグラのソテー、赤ワインとグリオットヴィネガーのコンフィチュール風味自家菜園の有機サラダ添えRisotte au vin rouge de Beaujolais avec filet de canette Barbakiea la tapenade noirボージョレワイン風味のリゾット、バルバリーの雌鴨のポワレ添え黒いタプナード風味Sorbet de fruits rouge, Flans de Marrons , CAKE au poire et figue seche赤い果実のソルベ、栗のフラン、洋ナシとドライイチジクのパウンドケーキCafé de SAKAMOTO ou thé , 2painsさかもとこーひー・スペシャルブレンド又は紅茶、2種のパンhttp://www7a.biglobe.ne.jp/~cinq-au-pied/menu%202014/nouveau2014.html これは昨年の画像です。
Nov 8, 2014

エゾ鹿肉のカロリーは、牛肉・豚肉に比べて約3分の1、タンパク質はおよそ2倍。脂質は10分の1以下、鉄分は3倍と栄養面でも優れています。さらにアトピーやアレルギーで肉が食べられない人も、鹿肉は大丈夫というケースがあります。あらゆる肉類の中で最もアレルギー反応が出にくいと言われています。人にとってとても優しい素材なんです。 よく、北海道出身の方が「エゾ鹿は固くて臭くて美味しくない。」と言うんですが、、、鹿に限らず仕留めたジビエはその後の下処理つまり血抜きや解体方が悪いと臭みが出ます。北海道はアマチュアハンターも多く、鹿を仕留めて適切な下処理もしない肉も多いんですね。北海道に住んでいると親戚のおじさんとかが取ってきてそういう下処理が良くない肉を食べる機会も多いと思います。その上素人料理ですから、、、血なまぐさい素材を技術がない素人が調理して美味しいはずがありません。血抜きの悪い肉は全身どこを食べても皆レバーみたいな味で美味しくないです。そういう肉だといくら私が頑張ってもまともな料理にはなりません。 サンク・オ・ピエで使っている鹿肉は、プロのハンターが仕留め適切な下処理でしっかり血抜きが出来た食肉用のルートで来ますから、変な臭みなど一切ありません!以前も北海道出身のお客様で少し抵抗があると言ってエゾ鹿を嫌がっていた方に鹿肉を試食していただいたところ、「美味しい!俺北海道でさんざん何食ってたんだろう?」と言われたので、血抜きの話などをしたら納得してくださいました。 他にも鹿やイノシシは、犬などで追いたてて仕留めたものより、遠くから狙撃で仕留めた物のほうが美味しいんです。犬に追い立てられた獲物は恐怖のピークにあり、アドレナリンなどのホルモンが分泌します。そのせいで毛は逆立ち筋肉は緊張し心拍数や血圧も上がります。そういう状態の肉は汗臭いような独特の癖が出ます。リラックスしている獲物を遠くから狙撃で頭か首を打ち抜き一発で即死に近い状態で仕留めた肉が一番美味しいんですね。そういう意味でもプロのハンターの取ったジビエでないと駄目なんです。以前私も房総の山で取ったというイノシシをお客様からいただいたことがありましたが、もう見るからに血抜きが悪く赤黒い肉で、鮮度は悪くないのですが使い物にならなかったことがありました。 鹿やイノシシなど大型の動物はライフルで仕留めますが、鳥類は散弾銃です。仁丹の粒くらいの大きさの弾がたくさん入ったもので撃ち落とすわけですが、これも出来れば鶏の背中側から撃ったものがベストです。前や横あるいは真下などから弾が当たると鳥の胸肉などが被弾して、食べるところにたくさん弾が入ってしまい、弾の入った肉は傷がついて弾の周りに血がたまり使い物になりません。鳥は背中側にはほとんど肉がないので飛び去るところを後ろから撃ち落としたのがベストです。こういうところもプロのハンターはちゃんと心得ているんです。 サンク・オ・ピエで使う壱岐の網取り鴨は、鉄砲を使わず網で取るので弾が入っていません。ですから肉が全く痛まず綺麗です。まだ解禁になっていないのですが、11月の終わりころから出てくると思います。
Nov 7, 2014

エゾ鹿のモモの赤身肉です。滑らかで柔らかく牛肉より癖がないくらい。美味しいですよ! ジビエの季節到来です!今月後半から対馬のイノシシや壱岐の網取り鴨も随時解禁になると思います。エゾ鹿は10月の初めから出ていたのですが、やはり肌寒い季節にならないとジビエという気になりません。 ジビエという言葉は、近頃では世間一般でもつかわれるようになってきましたが、正確な意味がわかっていない方が多いような気がします。ジビエというのは、狩猟鳥獣、つまり野生動物を鉄砲や罠で捕まえたものです。主なものは、四足なら鹿とイノシシと野兎、フレンチではあまり使いませんが、熊やアナグマ、キツネやタヌキなども狩猟対象です。鳥類はマガモやカルガモなどの鴨類、雉、ペルドロ(ヨーロッパヤマウズラ)、山鳩(ラミエール)、野生のウズラ、山シギ(ベッカス)やエゾライチョウ(本州のライチョウは天然記念物で狩猟は不可だが、北海道のエゾライチョウは狩猟可能)などですね。 普段使っているシャランの鴨やバルバリー鴨、秋のコースに使っているウズラなどは、ドメスティックといって飼育肉ですから、ジビエではありません。ジビエはソヴァージュ、つまり野生が原則です。たしかに鴨やウズラは原種にさかのぼればジビエですけどね、、、。 中には「ジビエというのは個性の強い特殊肉」のように思い込んでいて、仔羊や内臓系の料理をジビエだと思っている人もいました。こうなると完全に間違いですね。 まずは、エゾ鹿から始めます。料理は2種類。ちょっとイタリアンにタリアータ仕立て。鹿をローストして薄切りにします。皿にバルサミコのソースを敷き肉を並べ、ガーリック風味のオリーヴオイルを回しかけ、ゲランド産の海塩フルール・ド・セルをパラリと黒胡椒を挽き、パルミジャーノチーズを散らします。薄切りだから食べやすくさっぱりした感じです。温かいカルパッチョみたいな感じですね。 も一つはクラシックに!グランヴヌール風です。ローストした鹿にブルーベリー風味のソース。エシャロットの微塵切りと木イチゴ風味のワインヴィネガーに荒挽き胡椒も入れて煮詰めます。鹿の出汁を加えて自家菜園のブルーベリーのコンポートを加えてバター少しと生クリーム少しと塩で仕上げたソース。鹿やイノシシ専用のクラシックソースです。昔の人はかなり甘くて濃くて重い感じに仕上げたんですが、私のグランヴヌールソースは軽くてさっぱり目です。果実味重視ですね。 タリアータは、バローロやボルドーの右岸のワインやブルゴーニュでも合いそうですリオハとかリヴェラ・デル・ドゥエロなどのスペインワインも良いかもしれません。グランヴヌールには、もうこれはシラーのワインと決まっています!ローヌや西南仏のワインですね!シラーの持つベリー系(ブルーベリー、カシスなど)の香りとスパイシーさが、このソースにぴったりなんですね。コート・ロティ、エルミタージュ、サン・ジョセフなどのローヌのワイン、ラングドック・ルーションのシラー中心で少しグルナッシュみたいなワイン。 いずれにせよ、美味しい赤ワインを飲みながら食べたいですね!明日からやります! タリアータ仕立て。 グランヴヌール風。 あと、エゾ鹿のスモークハムも仕込み中です。
Nov 6, 2014

さかもとこーひーの坂本さんも参加するいつものソムリエK氏のワイン会です。今回のワインは、k氏のメールによると、、、NV Jacquesson Cuvee 7362004 Bourgogne Aligote (Domaine Leroy)2004 Bourgogne Rouge (Domaine Leroy)2004 Morey-Saint-Denis 1er Cru Clos de la Bussiere (Georges Roumier)2011 Chateau Roumieu Lacosteジャクソンは2008年がベースで樽発酵、バトナージュをしながら樽熟成。06 、07を中心にリザーヴワインを34%使用しています。ブレンド比率は53%シャルドネ、29%ピノ・ノワール、18%ピノ・ムニエで、ドメーヌの畑を中心にグラン・クリュとプルミエ・クリュの1番絞りのみ使用。ノン・フィルター、ドザージュ3g/L程度です。ルロワのブルゴーニュ・ルージュの中身は特級のクロ・ド・ラ・ロシュ、クロ・ド・ヴージョ、コルトン・ルナルド、1級のサヴィニー・レ・ナルバントン、ヴォルネイ・サントノ・デュ・ミリュー、村名のポマール・レ・ヴィーニョのブレンドです。2004年は天候不順とマダム・ルロワの旦那さんの看病のため完璧な畑仕事が出来ず、ルロワは全ての特級と1級を格下げしています。そしてこの年はテントウムシが大量発生したそうで、ルロワのような全房発酵の生産者は房の内部まで入り込んだテントウムシを取り切れず、虫の体液の影響を受け、濁った味わいになったといわれています。最後のソーテルヌはバルサックのシャトーで畑はクリマンスの周りにあり、セミヨン100%です。 ということでした。白ワインのルロワのアリゴテと赤ワインのルーミエのモレ・サンドニに関する説明がないのは、そんなんこと言わずもがなということです。これだけの情報で、ワイン会の料理をイメージして作るんですが、2~3週間頭の隅でずっと考えています。楽しい時間ですね。 言葉だけで味わいを伝えるのは究極的には不可能です。飲んだり食べたりする以外には、分かりません。ところが我々味のプロは、常日頃味わいを言語化する訓練をしています。まあ、そういう事が苦手な料理人のほうが多いかもしれませんが、ソムリエの場合は味わいを言語化すること自体が仕事みたいなものですから、ちゃんとしたソムリエがワインのコメントしてくれれば、それに合わせる料理もイメージできます。まあ、ソムリエでも表現がやたら詩的だったりフィーリング的(キラキラする味とかいわれてもね、、、)だったりとか、ワインの味わいについて何言ってるのか分からない人も中にはいますが、私が親しくしているソムリエは、味わいをきちっと言語化出来る人たちなので、言葉だけでかなりのやり取りができます。 さかもとこーひーの坂本さんが、私のメールだけで説明したコース料理のデザートに合わせるこーひーを実際に食べ合わせたりしないでドンピシャのブレンドを作ってくれるのも、お互い味わいの言語化が正確だからだと思います。プロ同士のやり取りですね。難しく言うとシニフィエとシニフィアンの一致というやつですな。(笑) 料理に合わせてワインを選ぶのがソムリエの仕事ですが、ワインに合わせて料理を作るというのは、意外にやっている人は少ないと思います。私の場合もう30年近く料理とワインに携わってきたので、これに関しては結構自信があります。さて、、、 最初のシャンパーニュ、ジャクソンにはフォアグラのテリーヌの薄切りとラベルルージュのスコットランド産サーモンの自家製スモークにサラダ添えです。シャンパーニュ、特に今回のように白ブドウと黒ブドウの組み合わせの作りのワインは、合わせる食材が魚でも肉系でもいけます。まあ、美味しいものならたいてい何でも良いでしょうね。それに通常のノンヴィンテージのシャンパーニュは新酒に古酒もブレンドしますから、その意味でも味の幅が広いんですね。つまり、白ブドウのさわやかさと黒ブドウの力強さと新酒のフレッシュさと古酒の熟成感をあわせもっているという事です。 フォアグラのテリーヌはフォアグラだけをテリーヌに詰めて火を通したものです。ご馳走です。ラベルル-ジュのスコットランド産サーモンのスモークはスモークサーモンの最高峰でしょう!これもご馳走です。シャンパーニュはそういうご馳走を食べるためにあるワインです。 次の白ワインは、ドメーヌ・ルロワのアリゴテ。ブルゴーニュの白ワインの上等なもの(モンラッシェ、ムルソー、コルトン・シャルルマーニュなど)は、皆シャルドネで作られます。アリゴテはシャルドネに比べると2級品種です。普通は線が細くて酸味が強い貧弱な感じのワインになりがちですが、ルロワのような超一流が手掛けるとやはり違います。2004年は赤も白も良いワインができなかった年なので、パワーはありませんがやはりルロワの上品さは想像以上でした。こういうワインにはクラシックで複雑なニュアンスな料理という事で、1本釣りの豊後水道産の平スズキをクールブイヨンでポシェにしました。クールブイヨンというのは白ワインと水玉ねぎセロリニンジンなどとローリエやパセリなどのハーブを入れて香りが良い液体を作りそれで魚を茹でてやります。茹でることをポシェと言います。 平スズキは皮が厚いので、ゼラチン質がプリプリで美味しいです。ソースはオランデーズ。卵黄に少し水を入れて泡立器でかきたててサバイヨンを作りそこへ澄ましバターを少しずつかき入れていきます。バターで作ったマヨネーズみたいなとてもコクがある滑らかなクラシックソースです。上品なルロワのワインにぴったりでした。 赤の1本目もルロワ。上記のk氏のメモにある通り思わしいワインができなかったので特級や一級のワインを格下げしてブレンドしたといういわくつき、、、しかもテントウムシの味?まあでもルロワですからね、、、。飲んでみるとやはりさすがのルロワ!2004年だけにやはりパワーは無いですけどバランスや香りや味わいは問題ないどころか素晴らしかった。 繊細なブルゴーニュの赤ワインにこのように鮭を合わせてみるのも面白いです。三陸産の雄鮭に一塩あてて、皮はカリカリに身はしっとりと真ん中あたりに少しレアっぽさを残して焼き上げます。ソースはエシャロットと赤ワインと少し赤ワインヴィネガーも加えて煮詰め、バターでつないで漉したもの。ブール・ルージュ、赤いバターソースです。 少し温度が低めにサーヴしたルロワの赤ワインに見事にマリアージュしました。 2本目の赤、ルーミエのモレ・サンドニには初物のエゾ鹿のロースト。ソース代わりに添えたポルチーニのソテーはドライポルチーニのパウダーと鶏のジュを加えて旨味を強化してバターでソテーし、仕上げに小さく切ったフォアグラを溶かしこむように加えてフォアグラの風味をつけたもの。ポルチーニとフォアグラの相性は最高ですから、もう美味いに決まっています!赤身で柔らかく脂の無い鹿肉にポルチーニとフォアグラの旨味と脂肪分が合わさって素晴らしい味わいです。 やはり2004年らしく繊細な味わいのルーミエのワインがお料理を引き立て、ベストマッチでした。少し添えた栗と里芋も秋らしい演出です。 デザートは、栗粉とアーモンド粉とAOCのブレス産バターで作った生地をフィユタージュ(折り込みパイ生地)ではさんで焼きました。中には一晩モンバジャックの貴腐ワインで漬けこんだレーズンを入れてあります。ピティヴィエというクラシックな菓子の応用です。これが美味かった!さらにセミヨン100%のソーテルヌが抜群にマリアージュ!特にレーズンを食べると凄い相性でしたね。 最後は、さかもとこーひーのアニバーサリー秋2014とベラノッテで締めました。みなさんも大満足のワイン会でした。
Nov 3, 2014

ラベルルージュのスコットランド産のサーモンの自家製スモークサーモンができました。 常連のお客様にクラシックな切り方でお出しした画像です。これは、サーモンを横に1枚に切ってあります。 下のサラダがちょっと透けて見えるでしょ?このくらいのスライスだと食べて口解けが良く、サーモンの美味しさがしっかり味わえます。こういう切り方がスモークサーモンの正当な切り方なんですが、最近は出来る人が少なくなってしまったでしょうね。(サンク・オ・ピエのスモークサーモンは色々な切り方でお出ししています。いつもこの切り方とは限りませんので、ご了承ください。) スモークサーモンに合わせるワインは、ブラン・ド・ブランのシャンパーニュや樽かけしていない軽いシャルドネとかも良いですが、なんと言ってもロワールのソーヴィニヨンブランでしょうね!特にプイィ・フュメPouilly FumeはFumeという言葉が、フランス語で燻製という意味ですから、スモークサーモンに合うワインの代表格と言われています。 白ワインにスモーク香と言ってもピンとこないかもしれませんが、もろに燻製の香りと言うよりも、火打石でバシッと叩いた時の火花の香りとか、夏に乾いた石畳に打ち水をしたときの香りとか、日向に置いた古い藁籠のような香りとか、、、要するにちょっと鉱物的なニュアンスとほこりっぽさ的な香りなんですけどね。ロワールの良いソーヴィニヨンブランには、そういうニュアンスがあります。そこで、、、 ドメーヌ・ギ・アリヨン、トゥーレーヌ・ソーヴィニヨンブラン・アーです。テイスティングしてみると、もう香りが1秒でロワールのソーヴィニヨンブランだとわかるくらい典型的な香り、味わうとグレープフルーツのニュアンス、ほんの少し苦味を連想させるアロマ(実際苦いわけではないですよ)クッキリとしたミネラル感と切れの良い酸味が好ましく、サーモンにはぴったりですね!五井の相川さんのワインです。富山のます寿司なんかにも合いそうです。 これは、1本釣りの新鮮な平スズキのカルパッチョ仕立ての柚子風味。味付けに柚子皮の繊切りと高知県の馬路村の柚子ポン酢を使っています。こういう料理にもこのワインは合いますね。温かい料理なら、鮭鱒や鮎や岩魚や山女など川魚を塩焼きにして、カボスやスダチまたはレモンなどを絞って香りが良いオリーヴオイルを垂らしたら最高でしょうね!炭で香ばしく焼いた塩の焼き鶏に柑橘類なんかでもよさそうです。
Nov 3, 2014
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