森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2015.02.18
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夏目漱石はイギリスへ留学中に被害妄想的な精神状態となった。
そのため文部省から帰国命令を受けて、予定よりも早く帰国した。
その後一高に職を得た。それでも漱石の精神状態はよくならなかった。
時には妻子に暴力を振るうこともあったという。
妻子は別居を余儀なくされた時期もあった。
漱石の息子はわけもわからずステッキで殴り倒された事もあったという。
長女は「こんなお父様なら、いなければいいのに」と感じたことを後に回想している。
子どもたちにとっては恐怖の対象であったという。

妻は精神科の主治医から「今の不安定な行動は元々の漱石の性質ではなく病気のせいである」と病状の説明を受けたりしている。

そして今までどおりの家族生活を続けた。症状を抱えたまま生活を続けていったのである。
それが結果的にはよかった。
その後高浜虚子にすすめられて「吾輩は猫である」を書きはじめた。
それが評判を呼び、漱石は作家としての活動に力を注ぐようになった。
すると、やっと漱石の精神状態も安定してきたのである。
1907年に教師を辞めて専業作家となって独立していった。

漱石は統合失調症のような症状を抱えながらも小説を書き続けたことがよかったようです。
これと同じようなことを、冨高辰一郎氏は、うつに陥った人に対してこうアドバイスされている。
うつ病でつらいときは病気であることを認識した方がよい。
自分は病気の影響下にあるという諦めが、療養への覚悟につながる。治療に専念できる。

でも回復期になっても過剰に病気を意識することは問題となることが多い。

それまでは、うつ病という悲劇の中に沈んでいた患者が、その中にいることにしだいに違和感を抱くようになる。
悲観的思考と憂鬱気分の悪循環から離れ始め、冷静な自分を取り戻していく。
うつ病の回復期に必要なのは、うつ病という精神の悪循環から離れようとする心の動きがあるのである。
うつ病に同化することではない。
けれども急性期に身につけた「自分は病気の影響下にある」という意識が、回復期になってもなかなか抜けず、それがうつ病の回復を阻害する場合もある。

(なぜうつ病の人が増えたのか 冨高辰一郎 幻冬舎ルネッサンス新書より引用)





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Last updated  2015.02.18 06:55:29
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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