森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2015.04.13
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小泉武夫さんが痛快な話をされている。

お客さんがくると粗しか出さない。まず最初の品目は潮汁だ。
いうまでもなく魚の頭を入れた吸い物である。

「旦那、酒をくれ」ときたら、何も言わずに骨酒を出す。
鯛でもヒラメでも鯒でも何でもよい。骨をぶつ切りにして、こんがりと焼く。
あの焦げたきつね色というのがいい。
骨がこんがりと焼きあがり、ジュージュー、プチプチなどという音をたててきたら、それをどんぶりに入れて、純米酒の熱燗を一気に上から注ぐ。
すると、ピューという音がするので、ちょっとそのままにしておいて待つこと1分37秒。


「旦那、何かつまむものはないか」ときたら、小皿に「酒盗」をのせて出す。
酒盗はカツオやマグロの腹腸の塩辛である。
次にカツオかマグロの心臓の串焼きを出してやる。
これは塩焼きで食べると、味が濃厚なうえにシコシコして実に美味しく、新鮮なものなら生臭みは全くない。

さらに催促されれば、おもむろに魚の皮のうろこをはいで、真ん中のところにあるゼラチン質のぶよぶよした部分を刻む。
これに胡瓜もみをあえて三杯酢で出す。これもまたシコシコして美味しい。

「もう一品くれ」とくればニシンの白子を焼いて出す。
その他にも、目玉、骨、ヒレ、皮、血合、胃袋、心臓、肝臓、腎臓、腸、砂ずり、中落ち、腹の下などといったところが粗屋の材料料理である。

どれも新鮮さが自慢だ。材料代はすべてタダというところが素晴らしい。
というのは、どこの魚屋でも今では粗の処分に困っていて、金を払ってでも引き取ってほしいほどなのだ。
築地の魚市場では、粗を処分するために、生ゴミ処理業者に1トン当たり何万円も払っているのである。


あとは何日か待つ。注文が合った時に、冷蔵庫から煮こごりを取り出して、そのブヨブヨしたものを熱いご飯の上にぱっとかけるだけだ。
客はそれはもう喜んで、あっという間に煮こごりを食べて、安い勘定を払って上機嫌で帰っていくだろう。

森田先生が生きておられて、この小料理屋のことを話してあげると、泣いて喜ばれるだろう。
森田先生の「物の性を尽くす」という実践編の例だからである。
物の性を尽くしていけば、その物そのもの、その人自体が活き活きとしてくるだけではなく、自然循環が貫徹されて、ゴミ処理、環境汚染問題も同時に解決されるのである。







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Last updated  2015.04.13 06:50:57
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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