森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2015.04.25
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カテゴリ: 行動のポイント
世の中には「仕事は言われた事だけをやればいいのだ」と考えている人がいます。
これは神経症でどん底の状態ある時はその通りです。
あるいは軽症うつや大きな心配事、悲しみを抱えている時も同じことです。
超低空飛行を続ける。月給鳥という鳥になって最低限の餌をとってくる。これで十分です。
しかし困難な状況が無くなったり、軽くなったにもかかわらず、いつまでも、「言われた事しかしない」という態度を維持することは考えものです。

私の以前勤めていた会社の営業マンは毎月の販売予算が一人当たり確か1000万円ぐらいだったと思います。粗利率が15%ぐらいでしたから、粗利額は約150万円ぐらいです。これで自分の給料やボーナス、間接経費を賄うのです。
自分の給料の3倍の粗利額確保が最低限のノルマでした。

ここで「指示された事だけこなしてゆけばよい」と考える人はどう行動するか。
1000万の予算だから、800万から900万の売り上げはあげないといけないな。

それ以上やると来年の販売予算が増額されるので困る。
それよりも自分の勝手に決めた予算を達成したあとは、適当に流そう。
つまりさぼろうと考えるのです。
仮に早く予算を達成すれば、それ以上の販売分は来月の販売実績として計上しよう。等と考えるのです。

こういう考え方をされると会社は困ります。
みんながそんな気持ちで仕事をすると、経費が賄えないからです。縮小再生産を余儀なくされます。

それだけではありません。一番問題なのはそう考えている本人です。
真っ先にリストラ候補にされてしまうのです。
さらに仕事に今一歩踏み込むということが無いので、仕事が面白くないのです。
販売予算は8掛けで取り組む。そして余った時間は仕事をしないでさぼる。
あるいは趣味やギャンブルなどに夢中になる。

適当に仕事をして、最低限の給料をもらえればそれでよしとしよう。
等と考えていると仕事に対するやる気や意欲は湧いてきません。
イヤイヤ生活の為に仕事にしがみついているだけになってしまいます。
1日の3分の1ぐらいを占める仕事が面白くないのですから、仕事をすることが苦痛になります。
さらに生きること自体になんの意味も見出せなくなるのです。


形外先生言行録にこんな話があります。
ある日庭で働いている私を、二階の居間におられた先生が「林君、林君」と呼ばれた。早速二階に上がって、居間に伺うと、先生は床の間にかけられた掛け軸を指さして、これを巻いてしまいなさいとのことである。
お指図のままにその幅を巻いて箱に収めた。
「それでよろしい」といわれるかと思うとそうではない。
「君はあれは誰の筆かみたか」とのお尋ねに私はハッと詰まって黙ってしまった。

森田先生曰く。「だから君は駄目だ、掛け軸を巻けといえば、いわれるままに機械的に巻くだけだ。なぜ巻きながら筆者を見たり絵を見たりしないのか」という先生の言葉がつづいた。
指示されたことをきちんとしたのだからそれでいいではないか。
どうしてくどくどと文句を言われなければいけないのか。林さんはきっとそういう気持ちだろう。
こういうのを「お使い根性」という。
うがった見方をすれば、本当はやりたくはないのだけれども、森田先生の頼みだから断るわけにはいかない。
しかたないから言われたことだけをきちんとやっておこうという気持ちである。
こういう態度ではいつまでたっても神経症は治らない。

森田理論というものは「感じが発生する」ということをとても重視しています。
これは目の前のことに今一歩踏み込んでみる。一心不乱に取り組んでみる。
一生懸命になる。ものそのものになりきる。物事本位になるということの中から生まれてくるものです。
そういう生活態度を作り上げて、維持していくことが大変重要です。






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Last updated  2015.04.25 06:53:33
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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