森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2015.04.26
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こんな話がある。今の学校の運動会の徒競争では一等賞、二等賞、三等賞の表彰をしない。
私の頃はそれぞれ色違いのリボンをもらった。リボンをもらえた時は誇らしかったものだ。
今は順位を付けることはよくないと思われているのだ。
弱い人や負ける人を差別することになるからだそうだ。
だからなるべく足の速い人は早い人同士で走らせる。
遅い人は遅い人は遅い人同士で走らせる。
あるいはゴールにはみんな手をつないでテープを切るということもあるという。

これは運動会に限ったことではない。
勉強やスポーツの成績で子供を差別しないようにしているのだ。

今は学力テストの成績や、足の速さで順位をつけることはタブーとされているのだ。

学芸会では一つの主役を何人もの子供が演じたりする。
ストーリーにお構いなしに、舞台上にシンデレラたちや桃太郎たちがずらりと並ぶ。
あるいは場面ごとにシンデレラや桃太郎が入れ替わるという。
そうしないと保護者がクレームをつけてくることもあるという。
実に奇妙な光景だ。昔は考えられないことだ。
「主役と脇役」という「差別」を嫌がり、みんなを平等に扱うという意図があるのだという。

ある県では20年前から、「学級委員長」を選出していないという。
委員長になれない子を差別することになるからだという。

森田理論を学習しているものから見るとこれらは明らかにおかしにことだと思う。
普通、子どもは勉強ができる子供もいればできない子供もいる。

リーダシップがあってみんなをまとめるのがうまい子もいれば、その他大勢の方がよいという人もいる。
つまり子供はそれぞれ得意なこともあれば苦手なこともある。
それが当たり前の事実だ。それなのに大人がそれを認めるとできない人がかわいそうだ。
それは差別ではないのかというのだ。まさに究極の「かくあるべし」の押し付けです。

事実は事実のままに認めていくというのが森田理論である。

でもこれは断じて差別ではないと思う。
その人と他の人の能力の違いであり、特性、個性のちがいなのだ。
それが個々に違っているから面白い。それはもっと尊重しないといけないと思う。

また違いを人と比較するのはダメだという人もおられますが、私はそうは思いません。
十分に比較して他人と自分の違いを十分に認識することはとても大切だと思います。
違いが分かれば自分の得意な面や苦手な面がはっきりと分かります。
それが分かれば自分の得意な面に焦点を当てて伸ばしてゆけばよいのではないでしょうか。

比較するのがいけないというのは、比較したあとに是非善悪の価値判断をするからおかしなことになるのです。自分の欠点と相手の長所を比較してよいわるいと判定することは意味がないことです。
自己嫌悪、自己否定に陥ってしまうからです。

さて、子供たちのそれぞれが持っている得意な面を評価してあげないと、子どもたちはまともに成長できません。
つまり実力があり、能力がいくら高くても、評価されず無視されると、やる気や意欲がでてきません。
するともともと備わっていた力や能力は磨きあげることをしないので錆ついてしまいます。
能力を獲得して、自信をつけて運命を切り開いていく力は生まれてきません。
最後には課題や目標を持てない無気力、無感動な子どもをたくさん作りだしてきます。
そういう子供たちの注意や意識はどこに向かうのでしょうか。
自分の身体や心に向いてきて、自己内省力が強く働いてきます。
そして他人の思惑がいつも気になり、生きた心地がしなくなるのです。
これはある意味で対人恐怖症を持った神経症の発生と同じからくりです。

これを象徴するようなことがあります。
大学生が昼食を一人でトイレで済ますというのです。
一人で学食に行って食べると、友達がいなくて、孤立している人だと他人に見られるのではないか。
そんな人間に見られるということが耐えられないというのです。
これは基本的に対人恐怖の人と同じ心の現象です。
つまり他人中心の生き方になってしまって、自分中心に生きていくということができなくなってしまっているのです。
対人恐怖の原因が、小さいころからの教育の弊害として現れているのだ、ということは理解しておく必要があると思います。
そしてそういう間違った教育は今後早く是正する必要があるのではないでしょうか。
(なぜ若者は「ひとりランチ」をするのか 和田秀樹 祥伝社参照)





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