森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2015.09.12
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カテゴリ: 森田番外編
神経症は不安をことさら意識化して、とらわれを強化、増悪している状態だと思います。
意識化と無意識化について私の理解していることを書いてみたい。
まず無意識化ということについて考察してみたい。
ここでは2つの重要な側面があると思う。

まず無意識化した行動はなにかという事です。
例えば、自動車や自転車の運転、クロールの泳ぎ方、パソコンのキータッチ、箸の使い方、楽器の演奏などは、最初は失敗を繰り返しながら、意識して一つ一つ指や身体に覚え込ませていきます。
最初は最大限の注意を向けて意識が前面に出た状態で取り組んでゆきます。
練習をくり返すと、やがて自分のものになります。
そうしたことが無意識にできる能力を獲得したのです。

体得した無意識的行動は確実に脳に記憶されます。
意識が指示を出さなくても事がスムーズに運んでいきます。

こんな例もあります。
酔っぱらって前後不覚になっても鞄をしっかりと抱えて、自宅に戻っていることもあります。
これも意識の介入がないにもかかわらず、無意識に脳が働いてくれるおかげで事なきを得ているのだと思います。

無意識というのは私たちの生活の中でより多くのことを迅速に処理することに役に立っています。
しかし一旦無意識的行動の能力を身に付けたのにもかかわらず、何かのきっかけでとらわれて、意識がしゃしゃり出てきて、その行動の意味やよしあしの検討を始めてしまうと問題が起きます。
無意識的行動は無意識に行っているからこそうまくいっているのです。
そのままにしておく方が無難です。
しかし厄介なことに意識化は常に無意識化の領域に入り込むことを狙っています。
また意識化と無意識化の力関係を見ると意識化の方が力を持っています。

よく不安に生活が乗っ取られてしまったといいますが、このことを言っているのです。

次にもう一つ押さえておきたいことがあります。
認知行動療法でよくいわれる自動思考という事です。
自動思考というのは、ある出来事に遭遇したときに、その人にとってどのような感情が湧き起ってくるかという事です。
人によっては全く正反対に受け取ることがよくあります。

ある人はまだ半分も残っていると楽観的に受け止めます。
ところが物事を悲観的にみる習性の人は、もう半分しか残っていない。
どうしようと思案します。このように同じ出来事を見ても人によって受け止め方は様々です。
このように極端に片寄った考え方は問題を起こします。

特に神経質な人は考えることが無茶でおおげさ、論理的に飛躍する。
マイナス思考、ネガティブ思考に大きく片寄っている。
事実をよく確認しないで、先入観や決めつけが多い。
完全主義、完璧主義、理想主義的な思考方法をとりやすい。
つまり認知の仕方に誤りや片寄りがあるのです。
これは本人の持って生まれた性格、資質などもあるでしょう。
また親、学校、社会などからの接し方、教育の影響もあるでしょう。

でもそういうゆがんだ無意識的な考え方は、決断や実際の行動に大きな影響を及ぼしています。
認知の仕方がゆがんでいると問題が発生しやすい。
そういうゆがんだ無意識的な考え方は修正していく必要があると思います。

まとめると、同じ無意識であっても無意識的行動は意識化しない方がよい。
むしろ意識化を無意識化できるようになるとよい。
ネガティブで悲観的な自動思考は意識化して修正した方がよいということになります。
無意識化については以上の2点を抑えておくことが大切だと思います。
意識化については明日考えてみたいと思います。





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Last updated  2024.06.04 09:31:22
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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