森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.05.12
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倉田百三氏話です。
ある土佐藩の武士が、和田倉門の所を通っていたら、 1人の武士から真剣勝負を挑まれた。
ところが、土佐藩の武士はまるで剣術を知らない。
それで、 「今は用事があるから、それを果たすまで待て」と言って、名高い千葉周作の門へ行き、その事情を話して、 「自分は実は剣を知らない。ただ死ぬるなら見苦しくなく死にたいから、どうすればよいか教えを願いたい」と言って頼んだ。千葉周作は次のように教えた。
「相手に立ち向かったら、すぐ太刀を大上段にふりかぶり、左足を前に出して眼を閉じよ。しばらくするとヒヤリとする。それと同時に切りつける。そうすれば必ず相打ちになる」ということであった。
土佐藩の武士は、約束のごとくかの武士と真剣で立ち向かった。
そして大上段に構えて、目をつぶって待ったが、なかなかヒヤリとしない。
しばらくすると、相手の武士が、 「まいった」と叫んだ。
「到底我が輩はかなわぬ。ところで、貴公の流儀は何というものか。剣は知らなくても、剣の極意を得ている」


斬ってきたら斬り下げようと、それだけを考えているばかりである。
倉田氏は、神経質は気が弱いくせに、完全欲が強い。神経質は諦めるところにその生活戦術がある。
たとえ失敗しても構わないという覚悟を持つことが、神経質者の戦術の強みが出てくる元で、是非がないと諦めれば、そこに非常な力が出てくる。
(森田正馬全集第5巻 白揚社 724ページより引用 )

玉野井幹雄さんも、神経症を治すには、治そうとすることを諦めることが大切だと言われる。
そのことを玉野井さんは、 「地獄に家を建てて住む」ということを言われている。
そういう心境に至って初めて神経症は治ると言われている。
これは森田先生の言葉では、退路を断つという事だと思う。
退路が1つでも残されていると諦めることができない。
その段階では、治すためにいろいろと手を尽くす。
ところが治すための方策は、治るどころかどんどんと増悪していく。


諦めるためには、いろんな手を尽くしてもどうにもならなかったという体験が必要になる。
いったんは絶望感を味わうことが有効になる。
そして、最終的に症状と格闘することから注意や意識が離れていくとしめたものだ。

森田先生は、親からの仕送りがなくなり、脚気や神経衰弱、不安神経症などの病気を治すことを諦められた。
病気を治すことに集中していたそのエネルギーを、本来取り組むべき勉学のほうに向けられた。

ここから神経症治療としての、森田療法を思いついたといっておられる。
神経症治すには、ここが肝心なところだ。自分の体験としてコツをつかんでいくことが大切である。





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Last updated  2017.05.12 06:38:28
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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