森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.05.14
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カテゴリ: 感情の法則
プロ野球の試合を見ていると、ピッチャーが相手打者に打たれて、選手交代を告げられたときや打者がチャンスで打てなかったとき、ダッグアウトに戻ってからクローブを投げつけたり、足で椅子を蹴り上げたりしている光景を見ることがある。自分自身に腹が立っているのだろう。
その選手は悔しさや怒りの感情を抑えつけることができなくなったのだ。
その気持ちは分かる。でもその後のプレイにまで影響するのではないかと心配になる。
また、そういう選手は普段の日常生活においても、不安や不快な感情をすぐに表に出しているのではないかと想像してしまう。

こうした場合、いつまでも悔しさや怒りの感情を持つ事はよくないので、終わった事はすぐに水に流して、気持ちを切り替えることが大事であると言われる。また、どんな結果であれ、 「クール」に受け入れたほうがいい。淡々と仕事をこなし、ヒットを打っても喜びを過大に表現しない。打てなくてもがっかりしない。そんな一喜一憂しない心の状態を持ち続けるのがよいと指摘する人もいる。

これに対して、王貞治さんは、 「悔しいとか、怒るとか言うのは態度で見せなければいけない」と言われている。また、「あえて悔しがる」 「あえて怒る」ということが大切だといわれている。

早速、このことを森田理論で分析してみたい。
森田理論では、あらゆる感情は自然現象であって人間の意思の自由はないと言われている。
悔しさや怒りの感情はまさしく自然現象である。


しかし、その受け入れ方は、よくよく考えてみることが必要だ。
悔しさや怒りを持ちこたえることができなくて、それを外に向かって発散することは、一時的には楽になる。しかしそれではまわりの人に迷惑をかけるし、悔しさや怒りの感情もますます増悪してくる。
これは幼い子供のやることである。大人になると、一時的な感情の高まりをこのような形で処理すると、後々取り返しのつかない事態に至ることは容易に想像できる。
しばらく時間をおいてみると、その感情は次第に沈静化してくるのが常である。

その上で、王貞治さんが言われている、 「あえて悔しがる」 「あえて怒る」はどういう意味を持っているのだろうか。
これは沸き起こってきた感情を、簡単に見捨てるようなことをしてはならないと言われていると思う。
「クール」であると言うのは、悔しいとか怒りという自然現象である感情を、どちらかというと抑圧しようとしているのではないか。
どんな感情も受け入れて自然に服従するということと、沸き起こってきた感情を否定したり、無視したり、抑圧してしまう態度はまるっきり方向性が違う。
感情を否定したり無視したり抑圧すると、注意や意識は自分の存在自体を否定したり無視したりする方向に向かう。あるいは他者の存在否定などに向かう。

悔しさや怒りの感情を否定したり、無視しないで受け入れて、その感情を十分に味わうとどうなるか。
野球でいえば、打てなかった原因や打者を抑えられなかった原因を考えるようになる。

次こそはと、集中力ややる気、モチベーションを高めることができるようになる。
悔しさや怒りの感情をプラス思考、未来志向で、次に生かすことができるようになるのである。
そのためには、どんな不快な感情がわき起こってきても、その感情をあるがままに素直に味わってみることが必要なのである。感情に対して反抗的な態度では何も得るものがない。
別の言葉で言えば、沸き起こってきた感情を爆発寸前まで高めて味わい尽くすことが肝心だと思う。
(王貞治に学ぶ日本人の生き方 斎藤隆 NHK出版参照)





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Last updated  2017.05.14 06:30:05
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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