森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.07.25
XML
森田先生の物事に集中するという考え方は、世間の常識とは少し違います。
机上論で腹式呼吸でもやり、周囲のことも何も忘れて、心が一つになった時が、仕事が最もできるというふうに考えるのは、思想の間違いである。
精神は四方八方全般に働いて、しかも現在の仕事が最も適切にできる状態を、 「無所住心」と言うかと思います。

森田先生はひとつのことに心が奪われている状態は物事に集中しているとは言えないと言われている。
そうなってしまうと決して仕事はうまくはできない。
その仕事だけではなく、周囲のことに色々と気を配り、精神状態が四方八方に働いているときにこそ、仕事がうまくいくのだと言われている。

普通、一般的には物事に集中している状態は、一心不乱になって無我夢中で取り組んでいる時である。
しかし欲望が強いときは必ず強い不安が出てくる。オリンピックの競技に出場したときや、大きなコンサートホールで、ソロ演奏をするような時、大きなプレッシャーがかかってくる。
それまで十分な練習を積み重ね、練習の時は問題なくこなせるようになっていても、本番の時にはその不安は大きなプレッシャーとなって、時としてパフォーマンスの低下を招く。

目の前の打撃に集中するためには、余計なあらゆる邪念や雑念は振り払わないといけないのである。
これは森田先生の言われている集中という考え方とは相反する考え方である。

私も集中ということについては、不安や恐怖のない状態で、目の前の取り組んでいる課題に対して、一心不乱に取り組んでいくことが重要であると思う。
神経質性格の人の場合、最初は欲望の達成に向かって努力しているが、そのうち欲望に付随して出てくる不安や恐怖に注意や意識を向けてそちらの方と格闘するようになる。
手段の自己目的化という現象である。その時欲望の達成は忘れ去られる。
あるいはどうでもいいというような投げやりな考え方になる。

森田先生は森田理論で土台となる考え方は、 「生の欲望の発揮である」と言われている。
そう考えれば、目の前の課題や問題点に対して、ものそのものになりきって、一心不乱に取り組んでいく事は絶対に必要である。
お使い根性では、新しい感情、気づき、発見は出てこない。ものそのものになりきっている状態は、まさしく雑念もなく、一心不乱の状態である。それは別の言葉で言えば集中しているということである。
どう考えても、雑念に煩わされることなく、目の前の事に集中するということは、大切であると思う。

言葉にとらわれていると、森田先生の集中という言葉の意味を取り違えることがある。

そういう嫌な感情は欲望が強ければ強いほど大きくなるという特徴がある。
神経質性格の人はどうしてもそちらのほうの感情にとらわれやすい。
そして精神交互作用によって神経症として固着させてしまう。
そのような集中の仕方は一害あって一利なしである。
森田理論で勉強しているように欲望と不安は両方のバランスを取りながら生活をしていくという態度が大事なのである。


つまり取り組んでいるそのものに集中していく態度が必要である。
しかし、さらに大事な事はバランスという考え方である。物事にはプラスがあれば必ずマイナスがある。
欲望があれば不安がある。長所があれば欠点がある。森田先生が言いたい事は、両面観でものを見るということである。一つのことだけにとらわれて、周りが見えなくなってしまうことは問題だ。
片寄った見方は必ず問題を生じる。自分の一方的な考え方ではなく、第三者から見た客観的な見方、考え方も加味して総合的に物事を見ていかないとものを見たということにはならない。

集中するという森田先生の言葉をそのまま受け取っていると、前に言われたことと、今言われていることが違うように感じられることがある。
それは言葉尻をとらえて理解しようとしているからである。森田先生は手を変え品を変え、様々な具体例を示しながら、森田理論そのもの本質を伝えようとされている。
われわれは森田理論を理解しようとするとき、そこに思いを馳せて、森田先生の真意を理解しようとすることが大切であると思う。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2017.07.25 06:59:44
コメント(0) | コメントを書く
[森田理論の基本的な考え方] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

森田生涯

森田生涯

Calendar

Comments

森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

© Rakuten Group, Inc.

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: