森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2017.09.27
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心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは何か。

精神疾患の診断・統計マニュアルによると次の通りである。
1 、自らが凄まじい外傷や死に直面するような体験をした。または、他者が同様の状況に直面したことを目のあたりにした。
2 、その人の反応は、無気力であったり、無力感があったり、ひどくおびえて震えている。

PTSDの原因としては、 死と隣り合わせの壮絶な体験をした。
地震や竜巻、落雷など自然災害に見舞われた。
交通事故やがんなどの重大な病気にかかった。
その結果、心的外傷と関連するような思考、感覚、会話を避けるようになる。
心的外傷を思い出させるような行動や人物を避けようとする。

未来に対して希望がなくなる。

大河原美以さんは、その原因を次のように説明されている。
我々が経験する出来事は、通常、認知・その出来事に伴う感情・身体感覚・イメージ・音などの情報がセットとして記憶され、脳の神経回路の中で情報処理されていると考えられています。
ところが、耐えがたくつらい出来事に出会うと、脳の「海馬」の働きが抑えられることにより、認知・その出来事に伴う感情・身体感覚・イメージ・音というまとまりが、切り放されることによって、つらさを感じないようになります。これは「解離」といわれる防衛のメカニズムであり、人がつらい経験の中を生き延びようとする適用のプロセスでもあります。

しかしながら、そのような外傷記憶は、それを思い出させるような、引き金の存在により、突然予測不能な形で、フラッシュバックしてきます。
フラッシュバックとは、つらい体験をした時に適用するために切り離されていた身体感覚や情緒(激しい怒りや悲しみなど)が一挙によみがえり、 1種のパニックに陥る状態をいいます。
(怒りをコントロールできない子の理解と援助 大河原美以 金子書房 34ページより引用)

幼い頃から、自分の中にふつふつと沸き起こる不安、恐怖、不快感、違和感などの感情を、あってはならない感情だと思っていると、無意識のうちに、それらの感情を抑圧してしまいます。
外傷後ストレス障害に見られるような「解離」という現象が見られるようになります。
外傷後ストレス障害は、ベトナム戦争の帰還兵に現れた心的障害が始まりと言われています。
しかし、この解離現象は我々の普通の生活の中で頻繁に現れる現象ではないでしょうか。

以前と同じような状況に遭遇した時、突然パニック状態に陥るのです。

乖離現象は心の危機の防衛反応であり、人間の意思の力ではどうしようもないものと考えられます。
しかし私たちは乖離現象から学ぶべきことがあります。
それはパニックに陥ったときに、目の前の理不尽で恐ろしい現実からすぐに目をそらせてはならないということです。目を離すと認知・その出来事に伴う感情・身体感覚・イメージ・音などの情報が十分に味わえないことになります。すると頭の中の世界で様々に憶測が憶測を呼んで現実とは遊離してくるようになるのです。

これを防ぐには、森田先生がよく言われているように、対象物から離さないで、よく観察するという態度が欠かせないと思われます。対象物から目を離すと、観念の世界で様々にやりくりをして、ネガティブな感情が膨れ上がってきます。

つらくてもある程度は事実から目をそむけないで向き合うという姿勢が欠かせません。





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Last updated  2017.09.27 06:30:07
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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