森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.08.30
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森田先生曰く。
赤面恐怖の人は、恥知らずになり、不潔恐怖の人は、ますます不潔になる。

普通は赤面恐怖の人は人に失礼にならないようにいつも気を付けている。
注意しているのだから、自己中心になって、人様に迷惑をかけるはずはないと考えます。
しかし事実は違うということです。

昔海外に単身赴任する人がいた。海外赴任が珍しかった時のことだ。
羽田空港に会社や家族の人たちが見送りに来ていた。
ところがその輪の中に肝心の奥さんがいない。
実は空港まで見送りに来ていたのだが、その奥さんは赤面恐怖症だった。

ダメな人間だと判断されるかもしれない。そうなれば夫に迷惑がかかる。
自分だけならよいが、夫の評判を貶めることには耐えられない。
そういう思い込み、先入観でいっぱいになり、その輪の中に入ることができなかったのだ。
その思いとは別に、見送りにやってきた人は、なんと心の冷たい奥さんなのだろうと思った。
本人にはそう気持ちが全くないにもかかわらず、非難される羽目になったのだ。

不潔恐怖の人は、人のさわった物は黴菌がついているに違いないと思う。
電車に乗ってもつり革が持てない。お金を取り扱う事もできなくなる。
胃の中にピロリ菌がいる。皮膚には常在菌が住んでいる。
腸には無数の腸内細菌が住みついている。
こういった話を聞くと排除しなければ大変なことになると考える。
普通に生活することよりも、雑菌を排除することが人生最大の目標になる。

不潔恐怖の人がますます不潔になるかどうかよく分かりません。
でも日常生活に支障が起きてくることは間違いありません。

プロ野球で近鉄の監督を務められていた西本監督がネクストバッターに次のように指示した。
高めのストレートだけには絶対に手を出すな。
その選手はものの見事に高めのストレートに手を出して三振した。

ピッチャーでもここは大事な場面だから、絶対にフォアボールだけはだすなと助言されると、不思議とストライクが入らなくなるという。
注意や意識が、高めのボールやフォアボールに吸い寄せられてしまうからだ。
絶対に避けなければならないと思う気持ちが高まる事で、意に反して最悪の事態を招いてしまう。不思議なことですが、これが真実に近い。

バッターの場合はベルトから下の球を狙っていけ。
ピッチャーの場合は思い切って腕を振ってふって投げてみろ。
このように指示されると、注意や意識の集中がなくなるので、最悪の事態を回避することができる。

森田先生は、自分は素直・従順であり・人に対して、思いやりがあるという人は、みなその反対であるから、よくよく自省してください。
また自分は礼儀正しい・人に親切を尽くしている・という人は、常に人の嫌う事や・迷惑をも顧みず、無理に自分の礼儀を押し通し、親切の押し売りをする人であるからよくよく気を付けてください。(森田全集第5巻 433ページ)

「こうであってはならない」「こうならなければいけない」という気持ちを強く持てば持つほど、注意や意識がそちらの方に吸い寄せられて、最悪の結果が現実のものとなりやすい。
これを森田理論では「かくあるべし」の弊害とみているのです。
その弊害を徐々に少なくして、事実を素直に認めて受け入れるというのが森田の大きなテーマとなっています。体得することは簡単ではありませんが、その方向を目指しているかどうかが肝心です。





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Last updated  2020.08.30 06:20:05
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
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