森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.11.06
XML
森田先生は、他人と対応する時は、 自分の感じから出発する ことが最も重要なことであると指摘されている。
自分の好き嫌いを標準にして、これを人と比較するとよい。

例えば、下戸の人がお酌をする時に、「こんな辛いものをどうして飲めるのかしらん」という心持で酒をつぐと、無理がいかないで、上戸も酒がうまく飲まれるが、「あの人は酒好きだから」という風に、全く自分を離れて考えると、加減なしに、やたらに追いかけ追いかけ酒をつぐので、いくら上戸でもやりきれなくなるのである。(森田正馬全集 第5巻 696ページ)

森田先生は、他人と対応する時に、先入観、決めつけ、常識などの観念を前面に出してはいけないといわれているのです。
常に自分の素直な感情から出発すると間違いがないといわれている。
もしアルコールが全く飲めない人ならば、「よくあんなまずいものを飲めるものだ。
私はとても飲めない」と思って相手の飲みっぷりを観察すればよい。
その代わり自分は目の前に出されたおいしい料理を堪能する。

決して、あて推量で次から次へと勧めてはいけない。
自分の間違った解釈を相手に押し付けることになってしまう。
相手もそのうちつき合うことが嫌になる。

森田理論では、自分の最初に湧き上がってきた感情をとても大切にしている。
感じから出発するというのはこのことです。
これは森田用語でいえば「純な心」を大切にしているのです。
「初一念」「直観」「最初に湧きあがった第一の感情」ことです。
これは森田理論の最終目標である 事実本位の態度を身に着ける ために、どうしても通過しなければならない関門となっています。
森田先生の話では、皿を床に落として割った時のエピソードや飼育している兎が野犬に食い殺されたときのエピソードは特に有名です。このブログでも紹介しています。

私は、中学生の女の子の帰宅が遅くなった時の親の対応の話をします。

あちこちの心当たりに電話をする。近所を手分けして探し回る。
そんな時、娘がなに食わぬ顔で帰宅した。

その時の親の対応。
「こんな時間までどこに行っていたの。親に心配かけるのもいい加減にして」
これでは、娘にけんかを売っているようなものです。

第一に湧き上がった感情は、娘が帰ってこないので、何か事件に巻き込まれたのではないかと、心配で心配で生きた心地がしなかったというものでした。
第一に湧き上がった感情から出発すると、「お父さんとお母さんは、あなたが何か事件に巻き込まれたのではないかと心配で心配で大変だったのよ。でも無事に帰って来てくれてうれしい」
この対応では、娘との人間関係は悪化しません。

この感情は素朴で素直で正直なものです。
この感情から出発するとお互い険悪な関係にはなりません。
それは相手に「かくあるべし」を押し付けないからです。
「かくあるべし」を押し付けると、相手は対抗してきますので、人間関係は対立してきます。
最初の感情、第一に湧き上がってきた感情を「私メッセージ」(主語をあなたではなく、私という言葉に切り替える)という手法を使って、相手と対応することで人間関係は格段に変化していきます。ここは森田理論の中でも核心部分の一つとなっています。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2021.11.06 08:17:39
コメント(0) | コメントを書く
[観念重視から事実重視への転換] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

森田生涯

森田生涯

Calendar

Comments

森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…
軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

© Rakuten Group, Inc.

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: