森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2023.02.04
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森田先生の「人生は調和である」というお話です。

宇宙の現象は、すべてただ、発動力と制止力とが、常に平衡状態にあるときにのみ、調和が保たれている。
天体にも物質にも、引力と斥力とがあって、その構造が保たれ、心臓や消化器にも、亢奮神経と制止神経とが、相対峙し、筋肉には、拮抗筋の相対力が作用して、はじめてそこに、適切な行動が行われている。

われわれの精神現象も、けっしてこの法則から離れることはできない。
私はとくにこれを 精神の拮抗作用 と名づけている。
欲望の衝動に対しては、常にこれに対する恐怖・警戒という抑制作用が相対している。
欲望の衝動ばかりが強くて、抑制力の力が乏しければ、無恥・悪徳者・ならず者となり、欲望が乏しくて、抑制力ばかりが強ければ、無為無能・酔生夢死の人間として終わる。

この衝動と抑制とが、よく調和を保つときに、はじめてその人は、善良な人格者であり、その衝動が強烈で、したがってその抑制の剛健な人が、ますます大なる人格者である。


森田先生によると精神拮抗作用は宇宙の原則として働いている。
自然の一部である我々人間もその原則から逃れることはできない。

ところが実際には神経症的な不安に振り回される。
あるいは本能的な欲望の暴走が止まらない。
どちらかに偏っていて、調和、バランスがとれているとは思えない。

これは調和、バランスをとり、それを維持するためには、 人間の意志の力が必要になる ということではなかろうか。
意志を持ち、努力しなければ調和やバランスのとれた考え方や生活は絵に描いた餅になってしまうということだろう。
分かりやすい例ではサーカスの綱渡りの芸を見るとよく分かります。
絶えず微調整を繰り返している。調整に失敗するとすぐに落下してしまう。

調和、バランスをとる考え方は森田理論を学習することが有効です。

精神拮抗作用が正常に作動していれば、神経症に陥らないように思います。
神経症的な不安が湧き上がってきたとき、これは欲望の裏返しとして湧き上がってきたものだという認識があれば、過度に不安に振り回されることはなくなるはずです。森田理論でそのからくりを理解していないと、益々不安と格闘することになります。
そのからくりが分かっていると、不安を抱えたまま、生の欲望の発揮の方向に転換することが可能になります。

またアルコール依存症、ギャンブル依存症、ネットゲーム依存症、買い物依存症などの欲望の暴走が起きないように抑止力が働きます。
これは初期のうちに作動しないと、効き目がありません。

同時に、森田理論の精神拮抗作用を学び、生活に応用することが大切になります。

脳が快感を覚えてしまうと、神経がマヒして抑止力は働かなくなります。
初期の段階で抑止力を効かせることが肝心です。
一旦依存症に陥ってしまった人は、自助組織に所属し、医療の力を借りないと立ち直れません。立ち直っても、信頼できる人から強制力を持って制御してもらわないと、欲望の暴走は止まらなくなります。





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Last updated  2024.06.04 09:22:12
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