森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2023.03.25
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生活の発見誌2月号の巻頭言にある言葉である。

この言葉は精神科医で小説家でもある帚木蓬生氏の本のタイトルである。
副題に「答えの出ない事態に耐える力」とある。

一般に「能力」とは、才能、才覚・処理や解決などのポジティブ・ケイパビリティを指しますが、 ネガティブ・ケイパビリティはその裏返しで、生半可な知識や意味付けで、未解決の問題に拙速に帳尻を合わせずに、宙ぶらりんの状態を持ちこたえる能力のことです。

問題点や改善点が見つけると、すぐに解決してすっきりしたいと思ってしまいます。しかし、現実的には、すぐに解決策や妙案が見つからないことも多い。
それが事実ならば、イヤイヤ持ちこたえたまま、それでも生きていかなければならないのではありませんかと言われています。

神経症的な不安、恐怖、違和感、不快感は、欲望、欲求、目標、期待を持ったとき、対になって自然発生的に湧き起こってくるものです。
不安と欲望はコインの裏表の関係にあると理解すれば分かりやすいと思います。

欲望が湧き起こったとき、不安が湧き起こらない人は精神障害を抱えた人です。

また冬場の寒いとき、トイレに行くのがつらいので、椅子をトイレ付に改造することを思いついて熱心に研究していた入院患者もいたそうです。
高良武久先生がそんなことをすると部屋が臭くなるのではないかと言うと、「そこまでは考えていなかった」と返答したという。

神経症に陥る人は、本来の目的を追い求めていく途中で障害となって立ちはだかってきた不安を見逃すことができなくなったのです。
本来の目的を忘れて、不安を取り除くことが唯一最大の目的となったのです。
ミイラ取りがミイラになったのです。
森田ではこのことを「手段の自己目的化」と言います。

森田理論学習によって、不安と欲望をコインの裏表の関係にあることを理解することは大変重要なことです。
さらに大切なことは、それを生活の中で活用していくことです。
不安を敵視しないで、不安を抱えたまま、生の欲望に向かって行動することです。イヤイヤ仕方なしの規則正しい生活は、心身ともに健康になります。

帚木蓬生氏が指摘されているネガティブ・ケイパビリティはこのことを指摘されているのです。その段階に到達した人は、ひとつの素晴らしい能力を身につけた人と言えます。
不安と欲望の取扱主任者という国家資格があれば免許皆伝となります。





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Last updated  2023.03.25 06:34:22
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