森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2023.04.05
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イェール大学心理学部のポール・ブルーム教授は、2015年、赤ちゃんを被験者としてある実験をしました。

月齢6か月、10ヶ月の赤ちゃんに、赤い丸が丘を登ろうとしているアニメーション映像を見せる。続けて、

①その背後から黄色い四角がやってきて、赤い丸をやさしく丘の上に押し上げて助ける場面。

②前方から緑の三角がやってきて、赤い丸を下へ押し戻して邪魔をする場面。

赤ちゃんたちにそれらの図形のどれに手を伸ばすのかを調べたところ、ほぼ全員が①の図形に手を伸ばした。

こうした実験から、ポール・ブルーム教授は、その著書「ジャスト・ベイビー 赤ちゃんが教えてくれた善悪の起源」 (竹田円訳 NTT出版)の中で、 私たちの天性の資質 として次の4つの項目があると指摘されています。

・道徳観・・・親切な行為と残忍な行為を識別する能力

・共感と思いやり・・・周囲の人の苦しみに胸を痛め、その苦しみを消し去りたいと願う気持ち



・初歩の正義感・・・よい行動が報われ、悪い行動が罰せられるのを見たいという欲望

同じような実験は、大阪大学大学院の鹿子木康弘准教授も行っている。
生後2、3ヶ月の乳児に、

①乳幼児がお菓子をもらったとき

②実験者が偶然見つけたお菓子を他者(人形)にあげる場面を観察したとき

③乳児自身が偶然見つけたお菓子を他者(人形)にあげたとき

④乳児が自分に与えられたお菓子を他者(人形)にあげたとき

という4パターンの働きかけをしたところ 、④の自分のお菓子を他者にあげるという最もコストの高い行為の際に、最も嬉しそうな表情を示した そうです。
(コロナの暗号 村上和雄 幻冬舎 171ページ)

これ等の実験から、「利他の心」は全ての人間のDNAのなかに存在しているものと判断できます。


ではどうして自己中心的、利己的な人が多いのでしょうか。
いろんな原因が考えられますが、その一つとして、人間には「利他の心」のほか、「自己保存欲求」というものがあります。
この身体をできる限り生き延びさせることが、最大のミッションとなっています。この欲求がない人はすぐに命を落としてしまいます。

現実の社会では、「自己保存欲求」が優先されやすい。
それは与えられた命を大切にすることであり大事なことです。

その結果、元々持っていた「利他の心」は宝の持ち腐れになってしまいます。

この二つの調和を意識して維持する方向を目指すことが大切になります。
バランスや調和をとるという考え方は、森田理論の「精神拮抗作用」「両面観」の考え方につながるものと考えています。

私はサーカスの綱渡りをイメージして、天秤、ヤジロベイをそばにおいて、バランス感覚を忘れないように心がけています。







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Last updated  2023.04.05 06:20:07
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