森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2023.04.29
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カテゴリ: 感情の法則
森田先生が谷口さんに「症状がよくなったか?」と聞かれたらどう答えるか。
まだ実際にはよくならないから、正直に「まだです」と答えるか、あるいは「おかげでだいぶよくなりました」と答えるか。

谷口さんは、「先生がせっかく今まで治そうと骨を折られているので、全く治らないというのは気の毒だと思いますから、おかげでよくなりました」と言います。

森田先生は「それでよい。それが人情である。その人情の自然から出発すれば、万事がすらすらと流れるようになる」と説明されました。

ここで一つの疑問が湧いてきます。
実際にまだ治っていないと思っているときに、それを「まだです」と答えることは、事実に素直な態度ではないかということです。

反対に「おかげでよくなりました」というのは事実を捻じ曲げてウソをついていることになる。事実を捻じ曲げて偽ることは森田理論の本質から逸脱しているのではないか。
そう考えるのも確かに理屈に合っているように思えます。
この話で森田先生の言いたいことは何なのでしょうか。


感情の事実は自然現象であり人間の自由にはなりません。
この場合でいえば、神経症が治ったような気がしないという気持ちを持っているということです。
これは紛れもない感情の事実です。これは反発しようがありません。
その気持ちは自然現象なので受け入れるしかありません。

感情には良い感情ばかりではありません。
憤怒、悲哀、後悔、醜悪、好色、貪欲、悲観的なマイナス感情もあります。
これらはどんなに強い不快な感情であっても自然現象ですから、自由に操作することはできません。そのかわり、私たちに責任をとらされることはありません。
このエピソードでは、治ったような気がしないという気持ちを価値批判しないで受け入れるようにしなければなりません。

問題は、その感情をストレートに行動として外に出すことです。
普通はマイナス感情は抱えたままにしていると苦しいので、取り除いてすっきりしたいと考えます。
つまり感情に基づいて行動しています。これが問題になるのです。


次に感情と行動は切り離しにかかることが必要になります。
感情を引きづらないように意識して行動することが肝心です。
行動はその時、その場にあった最善の道を選んで実行に移すように心がける。

人間がとる行動は自由ですが、結果については責任が発生します。
責任が取れる範囲内で、自由自在に行動することは可能です。


この例の場合では、目の前に何とか神経症を治してあげようと努力している人がいるわけですから、 相手の努力を思いやるような言葉を発する行動 が必要になります。森田先生はこのことを人情と言われています。
このような心がけが人間関係を良好にしてくれます。

感情と行動を連続性のものとは考えないで、きちんと切り離して適切な行動をするというのが感情の法則の中にあります。
これは通り一遍の学習では気づかないのがもどかしいところです。

せっかく森田理論を学習しても、これを自分の生活の中で活用できていない人が意外に多いように思います。
かくいう私もその一人です。実にもったいないことだと思います。

人間関係がうまくいっていない人の原因の大半はここにあるように思います。
例えば腹が立ったときにすぐに感情を爆発させて、暴言や暴力をふるう人。
不平不満があると、すぐにキレて迷惑行為を繰り返す人。
暴飲暴食で健康を損なっている人。
欲望の暴走で生活破綻を招いている人。
本能的な快楽行為で自滅してしまう人。
気分本位な態度で仕事をさぼってしまう人。

感情と行動を切り離して生活することを目指しているのが森田理論なのです。
これを身につけるだけで、人間関係が改善し、生きることが楽しくなります。





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Last updated  2023.04.29 07:52:26
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