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また戸神山である。小旅行に出かけたりして2週間ほど筋トレ散歩をしていないので筋トレ散歩とカメラ散歩と山歩きをいっぺんに済まそうと思い立った。昨年は6月7日、先日は4月11日に戸神山を歩いた。前回から17日、さらに5月15日くらいに行ければ春の戸神山の定点観測になりそうで、心が動いている。ただ、初夏からは少し高い山の花を見に行こうと思っていて、戸神山定点観測は春限定にしたい。 戸神山は自宅から国道1本で少し入ればすぐに登山口という便利さと、504.4mという高さも高齢者には手ごろな山である。登山はもちろんだが、南面の山麓を辿る古い林道跡のトレッキングコースもある。ほんとうに人の少ない山だが、昨年の下山時にはトレッキングコースを歩く私と同年代の3人組に出合ったし、今日も登山路とトレッキングコースの分岐点の手前で出会った高齢のご夫婦はトレッキングコースへ入って行った。戸神山の最大の欠点は、登山口に近い道沿いにたくさんのゴミが捨てられていることである。林道を車が入れた時代に棄てられたと思われる。車が通れない今となっては回収が不可能な大型のゴミもある。 登山道に入って最初に見つけたのはムラサキケマンである。ずいぶん昔に七ツ森でこの花の群生を見てからのお気に入りである。昨年の四月から終活として山歩きを再開して最初に行ったのが七ツ森だった。時季がずれていたようで叶わなかったがムラサキケマンが見たかったのである。 ムラサキケマンは登山道の初めに見られただけで、その後はまったく見当たらなかった。小さな白い花を見つけて写したが、オオバタネツケバナという花だった。よく見るタネツケバナは見過ごしてしまうことが多いのだが、花を見ようと歩いていれば目に入るのである。近郊の雑木林でよく見かけるチゴユリも見つけた。小さな花ながら姿かたちの凛とした良い花である。 先日やっと見つけたショウジョウバカマが咲いていたところに、堂々とした濃色のイカリソウが咲いていた。山に入ればイカリソウは珍しくない花だが、この大きさと花の色の濃さはあまり見た記憶がない。近くには白色に近いあわいイカリソウもあり、その中間の色合いのものまでポツポツと咲いていて少しばかり興奮した。 山を行けばヤマツツジと言えるほど珍しくないのだが、山中で見かけた花の咲いているヤマツツジはこれ1本だけだった。ツツジの種類は多いけれども花の色でヤマツツジを見間違うことはない(レンゲツツジも似た色をしているが)。いい色である。ヤマツツジを見た後は、ウシハコベ、ニョイスミレ(ツボスミレ)と小さな白い花を続けて撮った。 小さいけれど黄色で目立つ花は、ヘビイチゴだろう。花を見ただけではヘビイチゴかヤブヘビイチゴか私には見分けがつかない。昨年6月の戸神山でヤブヘビイチゴの実をマクロレンズで撮ることができてとても良い写真になった。実がなれば種類の同定は容易だろうと思う。 イチゴはイチゴでもキイチゴの白い花があちこちに見える。葉の形からニガイチゴと見当をつけた。眼を上げると鮮明なトウゴクミツバツツジの花が見えた。40年以上も前、戸神山の近くの丘陵を歩き回った時に花が咲いているこの木をたくさん見て感動したことがある。しかし、ヤマツツジと同じように花が咲いているのはこの木だけだった。 雑木林が切れるあたりに休憩所(跡?)になる小さな場所がある。かつては休憩所らしく自然木の椅子(ベンチ?)が円形に並べられていた記憶がある。そこから先はやや平坦な道が杉林の中に続いている。日があまり当たらない杉林の中には、ウラシマソウ、ニリンソウ(ニリンソウなのになぜかほとんど一輪しか咲いていなかった)、エイザンスミレが次々に見つかる。 黄色い花が目に付いて近づいてみるとヤマブキソウに見える。しかし、かつて見たヤマブキソウの大群落はもっと明るいところだった(今、その群生地は人間の住む場所になってすっかりと消えている)。帰ってから調べると葉の形からホソバヤマブキソウらしい。林の中に生えるとも書いてあった。 花を撮るのに夢中になって山中を歩き回っていたら、気がつけば11時30分である(9時に歩き出した)。12時まで帰宅して昼食の準備をすると宣言して家を出たのだが、山を下るだけで12時を過ぎてしまう。急ぎ足で下ったのだが、道の途中、急ぎ足で下ることができる自分に驚いたのである。あまり疲れていないのだ。山道だろうが何だろうが花の写真を撮りながら歩くのは、圧倒的に休憩時間が多いということで疲れないらしい。読書や絵画鑑賞のブログかわたれどきの頁繰り(小野寺秀也)日々のささやかなことのブログヌードルランチ、ときどき花と犬(小野寺秀也)
2025.04.28
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昨年の晩秋に山形県米沢市と福島県会津若松市にそれぞれ2泊3日の小旅行に出かけ、その程度の旅行ならこれからも計画できるだろうと自信(体力的にも経済的にも)を深めた。冬の間は冬眠して、冬が明けたら動き出そうと考えていた。 旅行先の次の候補は、山形県酒田市、岩手県盛岡市、青森県弘前市あたりだろうとそれとなく思っていたが、春はまた桜の季節で弘前などは観光客が多いだろうと諦めた。観光旅行に違いないが、どちらかと言えば、行ったことのない(馴染みのない)街でのんびりしたいというだけの旅行なのだ。 弘前は桜の季節が終わってからということにして、車で2時間ちょっとの酒田市に行くことにした。酒田市にも桜まつりのイベントがあるらしいが4月15日頃には終わるということだった。ただ、ネットでいくら探しても私たち夫婦がぜひ行ってみたいと思う場所がなかなか見つからないのだった。私は、ぶらぶら街並みを眺めながら歩くだけで十分楽しめるのだが、グーグルマップのストリート写真で探しても、市街中心部と思われるところも含めて似たような街並ばかりにしか見えないのである。日本海に面した平野部に広がる酒田市は、行政が行き届いて道も区画もきちんとされ(過ぎ)ているという印象である。 出発日の23日は仙台も酒田も雨降りだった。というよりも、2泊三日のほとんどが小雨模様なのだった。最終日の午後、北の空の下の方に一筋の狭い青空が見えただけだった。何をどんなふうに観光するかは、その場その場で考えようということで旅は始まったのである。 昨秋の小旅行は、いずれも食料品買い出しと日帰り温泉入浴が主目的のような観光旅行だった。今回も酒田に行く途中で2ヶ所の道の駅に立ち寄った。「道の駅 にしかわ」には温泉入浴施設があり、昼前に入浴した。この道の駅には買いたいものがけっこう並んでいた。 道の駅から見ると、低い山並みの谷あいに雪がたくさん残っている。月山山麓を越えて鶴岡、酒田に向かう山中の道からは残雪の山ばかりになる。大木の根元ばかりが雪解けが進んで、冬から春への移り変わりが印象深い。 もう一つの道の駅にも寄ったが、まだ雪深かった冬の名残が続いているようで半分ほどの施設が閉まっていた。ここで昼食をとる予定だったが諦めて、おそらく酒田ではいちばん有名な観光地の「山居倉庫」にまっすぐ向かった。 山居倉庫にも観光客はまだ少なく、出会ったのは外国人を含む10人ほどの団体だけだった。山居倉庫は明治時代に造られた12棟の巨大な木造倉庫で、「山居米」と呼ばれる米を貯蔵してここから酒田港を通じて出荷していたという。観光写真で見かける写真は倉庫の裏側で、米の出し入れなどの荷作業をする表側の方がその巨大さがよく実感できる。 山居倉庫を出て、近くの酒田ラーメンの店で遅い昼食をとった。酒田ラーメンはどの店も伝統的にワンタンメンが主力ということらしく、私たちもそれを食べた。魚介系のダシがよく効いていて、魚嫌い(だった)の私にはどうかと思ったが食べていくほどおいしくなるのだった。ラーメン店から日和山公園に行ってみたが、雨と低く垂れこめた雲で展望は一切ない。日本最古級の木造六角灯台と背景の酒田港(の一部)を記念に撮っただけでホテルに入り、しばらくゆっくりしてから、夕食は日本海の魚ということにして車で街に出て寿司を食べた。 2日目も小雨ながらやはり雨降りで、ぶらぶら歩くことは諦めて、酒田市美術館と土門拳記念館を回り、昼食は日和山公園にあるレストランでパスタの昼食とした。 土門拳の写真はじつに見ごたえがあった。「土門拳のスナップショット!」という企画展が開催されていて、戦中、戦後の子供たち(多くが私の子供時代と重なっていた)の躍動する遊びばかりではなく、その子供たちの幸不幸までも写し取っている写真に圧倒された。常設の「古寺巡礼」に含まれる写真には「黒潰れ」や「白とび」など写真では嫌われるものが、仏像の陰翳表現として用いられていた。明るいところはひたすら明るく、闇は闇のまま、そのあわいで仏像の存在感が際立っていた。高齢になってカメラを志した身には恐れ多すぎるのだが、写真集を2冊購入して少し勉強してみることにした。 昼食後は、小旅行恒例の日帰り温泉である。酒田市を出て「庄内町ギャラリー温泉 町湯」は日和山公園から20分ほどの近くだった。入浴後は、昨日と同じようにホテルで居眠りしながらのんびりと過ごした。夕食は予約していたフレンチレストランで、ワインも飲みたくてタクシーで出かけた。このフレンチは本当に満足できるフルコースだった。 3日目、何も計画していなかったが、せっかくの酒田なので日本海を見に行こうということになった。さいわい、雨は次第に小降りになり、ホテルを出るころには上がっていた。ホテルの部屋を出る直前、さっきまで雲に隠れていた月山と鳥海山が姿を現していた。7階の東向きのホテルの部屋の窓ガラス越しに二つの山の姿を撮ったことでカメラを持って行った甲斐があった、そんな気がした。 初めに「酒田北港緑地展望台」に行って、日本海ばかりか酒田の展望を見たいと思ったのだが、行ってみたら「4月の開館は11時から」という張り紙があって入ることができなかった。仙台を出る前は、ここも日和山公園も日本海に沈む夕日を撮ろうと心ひそかに決めていた場所だった。 閉館中の緑地展望台を出て、海沿いに湯野浜海水浴場に向かった。地図では海沿いの道だがずっと黒松の砂防林や人家があって海は湯野浜海水浴場についてようやく見ることができた。雨は上がったものの風が強烈に吹き始めていた。その風を利用するのか、ウインドサーフィンの帆が二つほど海面に見えた。左手には先端近くに加茂水族館があるらしい山稜が海に突き出ているように見え、右手には酒田港近辺の発電用風車の立ち並ぶ姿が遠望できる浜だった。 考えていた予定はここまでだったが、加茂水族館の看板を見た妻が行きたいということで寄ることにした。ここはクラゲの展示で有名で、嫌になるほどの数と種類のクラゲを見ることができた。水族館を出ると風はいっそう強烈に吹きまくっていて、妻とスクラムを組み、なおかつ妻は手すりにつかまってようやく車に辿りつくありさまだった。 帰り足、「道の駅 にしかわ」によって少しばかり買い出しをして、2泊3日の小旅行は終わった。雨は雨でそれなりに楽しめるという旅行だった。読書や絵画鑑賞のブログかわたれどきの頁繰り(小野寺秀也)日々のささやかなことのブログヌードルランチ、ときどき花と犬、そして
2025.04.25
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3月22日に春の花が見たくて仙台城址のある青葉山丘陵の散策路を歩いたのだが、咲いていたのはセリバオウレンだけだった。4、5日前のローカルニュースで、その青葉山散策路でカタクリの花が咲いていると報じていた(と妻が教えてくれた)。少し季節が進んだので、また山の花を見に行きたいのだが、同じ青葉山散策路では面白みがない。というわけで、馴染みのある戸神山に行くことに決めた。 昨年の6月7日に戸神山に行って、その翌日に両足が急にむくみ出してネフローゼ症候群というありがたくない病名をいただいて病院暮らしをすることになった。その戸神山である。3時間ほどの山歩きを考えているのでどこで引き返せばよいかよくわかっているのが安心なのだ。だいたいあの辺から戻れば、疲れもそこそこだろうと想像できるのがよい。 6時に家を出て6時半に歩き出した。すぐにでもなんかの花は見つかるだろうと高を括っていたが、どうもそんな雰囲気ではない。この辺りでは珍しくもないカタクリの花も見つからないのだ。花どころか葉も見えない。そう言えば、何度も登った山だがカタクリの季節には登った記憶がない。つまり。この山でカタクリの花を見た記憶そのものがないのだった。 地面に大きな毛虫のようなものがたくさん落ちている。見上げると大きなバッコヤナギの木があった。地面に咲く花ばかりを探して歩いていたので木の花までは気が回らなかったのである。少し行けばキブシの花も咲いていた。道を少し逸れたところにはショウジョウバカマが咲いていた。この花は花期が長いのか、山ではよく見かける花である。 登山道が泥濘路にさしかかるとネコノメソウの群落があり、曇天の中の林の中に明るい黄緑色が広がっていてとても目を引くのだった。泥濘路を過ぎたあたりで斜面に咲くちいさなスミレの花を見つけた。スミレは見分けるのが難しいが、花の大きさ、葉の形から(帰宅後の写真検索で)ヒメスミレだろうと推定した。近くには、ナガハシスミレが咲いていた。これも写真検索で同定した。もう少し後では、タチツボスミレも見つけた。タチツボスミレはよく見るスミレである。 カタクリの花も葉も見つからないと思っていたが、雑木林と杉林の境目付近にカタクリの群落があったものの花は一輪も咲いていなかった。仙台中心部と奥羽山脈の中間ぐらいにある戸神山では、青葉山丘陵よりだいぶ春が遅いということらしい。少し先にはアズマイチゲが咲いていたが、すべて蕾のままだった。日が高くなれば開き出すのかもしれないが。 1時間半ぐらい登って引き返す予定だったが、もうちょっと登れば頂上という誘惑に悩まされた。それに打ち勝ったのは、帰り足の広瀬川の岸でセリを摘もうというもう一つの誘惑だった。杉林のなかのじめじめしたところで蕗の薹を摘んでから山を下った。 登る道でも日本春蘭がぽつぽつと咲いていてカメラに収めたが、3輪の花が立ち上がっている大株があったのでそれも撮った。これぐらいでだいたい花の写真は終わりかなと思っていたら、低い鳴き声がしてカモシカが逃げていくのが見えた。少し先の斜面が低くなっているあたりで消えたのであきらめていたが、私のすぐ横の斜面の上で私を眺めおろしている。体の半分以上が木のかげになっているので、体がよく見えるように私が道を少し後戻りしてカメラを構えたが、花を撮るためにマクロレンズを装着していたので望遠が効かない。そのままマクロレンズで写してトリミングした。 予定の30分オーバーで10時ちょうどに車に帰り着いた。すぐに広瀬川まで下り、セリが生えている岸まで雑木林の中を下って行ったら、斜面に群生するカタクリが一面に花を咲かせていた。もう少し下ると、キクザキイチゲも花を開いていた。2種類の花をカメラに収めてから、ゆっくり芹を摘んだ。あとは家に帰って、芹と蕗の薹をどのようにして食べるか考えるだけである(蕗の薹は一部を残して、あとは漬物にする予定である)。読書や絵画鑑賞のブログかわたれどきの頁繰り(小野寺秀也)日々のささやかなことのブログヌードルランチ、ときどき花と犬(小野寺秀也)
2025.04.11
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