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私が扉座の芝居を見たのは・・・、もとい、扉座の前身である善人会議の舞台を見たのは30年以上も前、雑誌テアトロ掲載の戯曲を読んだ後だった。映画俳優を目指して上京して養成所に通っていた。小劇場「第三世代」の頃だ。「夢の遊眠社」は見ること叶わず、「第三舞台」は主役がいなくなったあとに初見したし、なんとか「善人会議」には間に合った。というべきかどうか、すでに売れてしまっていた。私は杉山良一が好きだったかもしれない。大柄の岡森諦、六角精児でなく。「曲がり角の悲劇」を卒業公演にて上演することは叶わず(人数的に困難)、「夜曲-放火魔ツトムの優しい夜」となった。その後、中原三千代と面識あるようになり、頻繁に観劇することになる。「新羅生門」は傑作で鬼役の茅野イサム(佐藤浩一から改名)が秀逸だった。ヨーロッパ遠征までするダンサーだったことを知り、3メートルくらいの高さの門から飛び降りて無傷だったことに納得した思いがある。私はこの茅野イサムが無性に好きだった(笑)。幾人もの主演女優が生まれては消えていったけれど、伴美奈子の登場は衝撃だった。将来、劇団を背負う大女優になると思えた。「フォーティブラス」では高橋一生を見ている。そういえば、山中崇史も劇団を背負う俳優になると思ったが、いつの間にか、舞台には出なくなっていた。長きにわたる劇団ゆえ、人気者が生まれては消え、劇団内での不協和音も聞こえたり、新陳代謝を繰り返していく中で今の規模に落ち着いたように思える。思えば、横内が岸田戯曲賞を受賞し、劇団扉座と改名した時がピークだったのかもしれない。横内は外部の仕事が多くあるけれど、外部作品はなにひとつ見てはいない。否、スーパー歌舞伎は見たかもしれない。その後、「アゲイン-怪人二十一面相の優しい夜」を見て、近藤正臣の人気度に驚かされた。鈴木利典の抜擢があった。その後の再演、再々演と「アゲイン・・・」は何度も見ている。そういえば、この作品だと思うが紀伊國屋サザンシアターで観劇した時に同じく観劇に来てロビーでタバコを吸っていた有馬自由に握手してもらった。一緒にいた他の役者にも見向きもしなかった(笑)。あとにもさきにも、私が握手をしてもらった役者は有馬自由だけだ。突然だが、記憶に残る舞台はマキノノゾミ演出の「曲がり角の悲劇」と横内演出の「新羅生門」だ。横内演出の「曲がり角の悲劇」を見られなかったのが残念だ。後年、他の人の演出の「曲がり角の悲劇」は見たけれど、マキノ演出を凌ぐものではなかった。横内は優しい人なのだと思う。それは戯曲でも表現されるが、横内演出をみると優しいと感じる。最近の作品では「歓喜の歌」が良かったな、と思う。今回「最後の伝令 菊谷栄物語-1937津軽~浅草-」では有馬自由が主役だ。楽しみであり、観劇して感激し、とても良かった。
2019.11.30
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このチラシ、菊谷栄のイラスト、細面のところが横内謙介に似てなくもない。横内謙介は劇団扉座の主宰で座付き作家である。浅草のレヴュー小屋で座付き作家だった菊谷栄と同じである。この作品、菊谷栄(有馬自由)が主役であるが、ひた走る(?)伝令役として抜擢された横山結衣がきもである。彼女の演技は18歳といえど、AKB48チーム8で活躍してきただけのことはあり、見るべきものはあった。レヴューダンサーとしての役であり、ソロで踊るシーンもあり、みごとに踊っている。大した振り付けではなかったけれど。テレビで見ていたヨコちゃんのダンススキルからすると物足りない気がした。この舞台の見どころはフレンチ・カンカンを踊るところだろう。(ヨコちゃんは踊らない)あんなに素晴らしい楽しめるカンカンを生の舞台で見られるというのは至福としかいいようがない。他にもタップやステップのダンスシーンがあり、ラッキィ池田にしてはずいぶんとまともな振り付けであった。(彩木エリも振付)良く出来たダンスシーンを見るだけでもこの作品は見る価値がある。さて、物語だ。当時、このような話し合いがなされたのかどうかわからないが、横内自身、事実に基づくフィクションだと言っている。昔は、ドキュメンターではないが真実の物語として映画作品でもあったけれど、最近は事実に基づく話としてフィクション(作り物)であることが強調されている。そういう時代になったのだろう。舞台を見て、歳のせいなのか、芝居のせいなのか、台本のせいなのか、ところどころ涙がにじんだ。時には涙した。初日のミナクルステージを見たので、盛り上げようとする観客がやたら手拍子や拍手をおくるので、やや興醒めするときもあったけれど、カーテンコールになると割れんばかりの拍手に温かい観客たちだなと、スポーツでおけるホームゲームのようにファンの力を感じた。話は戻るが、祭こと横山結衣である。彼女の役に重い荷を背おわせ過ぎではないかと思えた。女郎として売られたことはいい。しかし、連れ出す野郎がいたとして足抜けできるものなのか。そして、東京まで来れるものなのか。そういった過去を持ち、地元に、青森に帰れない女が、皆に頼まれたとはいえ、郷里に行くものなのか。少しは抵抗するのではないか。また、本人とわからないように変装するのではないか。そういったことがまったくなく、いとも簡単に母と叔母に見つかってしまうとは。解せない展開であった。そして、祭の帰郷が露呈したときに代金300円の話がでて、間に割って入った菊谷が金銭の話は横においといて治める。と、ここまではいい。しかし、その後、300円を祭に手渡すとは、どういう了見なのか。渡された祭とて使い道はない。また、渡される理由もない。あの当時の300円とはそれほど価値のないものなのか。であれば、その300円で身売りされ50円しかもらってないような話は、いかがなものかと思えた。昭和10年白米10キロ2.4円、2015年3,946円。ざっと1500倍。だとすると、300円×1500=450000円50万円だとしても、人身ではとても安い気がする。しかし、菊谷が手持ちで持っていたと思える金額ではある。さて、そんな男が何人も通っていった過去を持つ女を横山は演じられない。演じていない。その暗さ、悲壮感がない。若さゆえか、明るい。それならば、女郎屋に着く前に女衒の手を逃れ、上京したとするくらいで良かったのではないか、と思えた。これでももちろん家族に故郷に顔を向けれない。あと、エノケン。あんなに大柄だったのだろうか?記憶では相当小さかったような。ググってみるとやはり小さい。立派な体躯の俳優が演じて、気になったのは私だけだろうか。とはいえ、男気のある明るいエノケンを演じて良く見えた。胸にきた、じんときた舞台であった。感動した。いい舞台だった。この舞台を見られたことに感謝。
2019.11.30
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普段、ラーメンは食べない。外食で食べることはない。人に誘われて、やむなく同席することがある。ラーメン好きの人に誘われれば、なおさらだ。で、おいしいラーメンだというのでついて行った。昼時、12時半を少し過ぎたくらいで、客席は半分くらい。おいしいラーメンなら満席ではなかろうか、と思ったが。豚肉は基本食べないので、鶏肉団子の入った塩ラーメン800円にした。あごひげを蓄えたおっさんが料理する。こぶりな感じの底が深い器にラーメンが盛られてやってきた。スープを飲む。スープを飲む。旨い。そこはかとないうまみとコクが感じられる。それでいてすっきり。見た目は少ないかなと思えるが、底が深いため、十分な量の麺はある。細麺であるがゆえ、スープとともに食せる。鶏肉団子が美味い。麺もうまい。800円が高いか安いかわからないが、800円出して損はないうまさだ。ほんとに旨い。うまかった。
2019.11.26
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ミュージカル「天使にラブ・ソングを ~シスター・アクト~」を見てきた。貸切公演ではあるが、知人に誘われ、ピンチヒッター(いけなくなった人の代わりに)で3階席で見た。3階席だから、映画で見てるから、あまり感動しないのでは、と考えていた。モリクミ(森公美子)のアナウンスからオケの音楽と同時に歌声が聞こえ、開幕!!!舞台が遠すぎてキャストの顔は全く分からない。スポットライトとスタイルでモリクミさんは良くわかるけれど、声を聞いてもキャストを知らないので、唯一知っていた賢也くん(大澄賢也)がわかる程度。今、チラシを見て、鳳蘭、小野武彦、春風ひとみ、石井一孝が出ていたことにビックリ。圧巻だ。シスター・メアリー・ロバート役に屋比久知奈(やびくともな)という女優が出ていて、抜擢と思ったけれど、すでに「レミゼラブル」でエポニーヌを演じていた。来年は「ミス・サイゴン」でキム役をするようだ。きらびやかでゴージャスな衣装で歌い踊り、とてもシスターたちと思えないパワフルな舞台。ビバ!ミュージカル!!といえる、素晴らしさに、ハーモニーの素晴らしさに感動。泣いた。感激した。で幕間休憩となった。両隣共におひとり様。片や2,200円もするプログラムを買って、オタクっぽい男性。片や黒づくめの女性。一人でくるなんて、映画に限らず、最近はおひとり様が多いんだな、と思った。さて、2幕。1幕以上に盛り上がった。残念だったのは、悪役手下三人が歌うシーン。まったく何を歌っているのか聞き取れなかった。しかし、なんてミュージカル好きな観客たち。スポーツでのホームゲームのように温かい拍手が鳴り響く館内。ゴージャスできらびやかな衣装。きんきら金、まばゆい白さで光り輝く衣裳。指揮者まで参加する舞台演出、フロアーまで踊りだすキャスト。嬉しくなるね。泣いた、泣いた、感激した。1幕では一筋の涙。2幕で二筋の涙。温かく見守る観客の手拍子に盛り上がる舞台。最高潮で終演。カーテンコールも温かみを感じるものでした。あっぱれ!森公美子!あっぱれ!キャストたち!あっぱれ!(盛り上げた)観客!ミュージカルを楽しむ人たちが集結し、とてもとても感激した舞台でした!
2019.11.24
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青山美智子?知らない作家さんだな、と思い、書店で手に取った一冊。著者紹介を読んで短編が連作でつながっているようす。読んでみると、それぞれの登場人物が微妙に関連し合い、読み進めていくうちに、人物相関図が完成していく。喫茶店で働く僕から始まって、住宅街の中にある、落ち着いた感じの喫茶店。ひとつひとつの物語がその時の主人公の人生の重大局面であり、とても思い入れがある内容。さめざめと泣くというか、ほおを涙がつたうというか、清い水で洗われたように感じ入ってしまった。秋も深まり、冬になるが、読書の秋にちょっと読める粋な小品と思える。木曜日にはココアを (宝島社文庫) [ 青山美智子 ]
2019.11.23
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女優レイチェル・マクアダムスを見たくて、監督がビム・ベンダースなので間違いないだろうと、レンタルして見た。暗い。物静かな作品だ。唐突に起こる冒頭の出来事に、雪降る静寂の中、恐怖が走る。恋愛ドラマというわけでもなく、人生ドラマというわけでもなく。淡々と時は流れる。レイチェルに見せ場があるのでもなく、主演はジェームズ・フランコだったんだな、と認識し、終わるともなく終わる作品であった。2015年/ドイル・カナダ・フランス・スェーデン・ノルウェー/118分/PG12監督:ビム・ベンダース出演:ジェームス・フランコ、シャルロット・ゲンズブール、マリ=ジョゼ・クローズ、ロバート・ネイラー、パトリック・ボーショー、ピーター・スローメア、レイチェル・マクアダムス原題:Every Thing Will Be Fineお薦め度 「誰のせいでもない」★★★☆(70%)
2019.11.23
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予告やあらすじを全く読まない私は実際の事件のドラマかと思いこの作品を見に行った。見終わって、あまりに突拍子もない内容に実話ではないのではないかという疑念が生まれ、ググってみたところ、事件に着想を得たフィクションが原作で、実際の事件をググってみたら実態はずいぶんと違っていたようだ。とはいえ、この作品を見ての感想を述べよう。この作品を見て、日本大使公邸占拠事件の背景や実態を知ろうと思っても無理だ。それらはほぼ全く描かれておらず、占拠事件を題材にとったフィクション、作り話で見ている人たちが感情移入できるように作られている。さて、主役ベルカント(美しい歌唱)のオペラ歌手にジュリアン・ムーア、彼女を敬愛する実業家に渡辺謙、通訳に加瀬亮の配役。チラシもこの三人である。世界的ソプラノ歌手のプライベートコンサートが南米某国の副大統領邸にて各国著名人を招いて開かれていた。そこに、テロリストによる襲撃と占拠、人質拘束が行われる。そこでの生活と人質とテロリストの交流、人質同士の交流を描いた作品。物語の進行とともに深まる関係に見ている者の心も連れられていく。情感たっぷりのドラマに酔いしれていく感じがする。しかし、テロである、占拠である、人質である。クライマックスから結末までは突然であり、驚きである。とてもとても感傷的な終わり方はその登場する人々の姿に、あ然とする。まったくのフィクションとはいえ、素敵な作品である。2018年/アメリカ/101分/G監督:ポール・ワイツ出演:ジュリアン・ムーア、渡辺謙、加瀬亮、クリストファー・ランバート、セバスチャン・コッホ、テノッチ・ウエルタ、マリア・メルセデス・コロイ、エルザ・ジルベルスタイン原題:Bel Cantoお薦め度 「ベル・カント とらわれのアリア」★★★★(80%) <ネタバレ>ジュリアン・ムーアの歌の吹き替えはルネ・フレミング。当代随一のアメリカのソプラノ歌手らしい。とても美しい歌声。ジュリアンとの口あわせ(口パク)は吹き替えと知っていただけにわずかに違和感があった。ロクサーヌ(ジュリアン・ムーア)とホソカワ(渡辺謙)の交流、ゲン(加瀬亮)とカルメン(マリア・メルセデス・コロイ)の交流はフィクションとはいえいきすぎなのでは?めくるめく想いを描くには現代作品としては必要なのかな。ラストの1年後、このシーンで突入銃撃戦で生死がはっきりしなかった二人が描かれるが、その姿を見ても判然としなかった。う~ん、この描き方でいいのかな?解釈は観客にゆだねるとも思えないでもないが、この描き方だと微妙。
2019.11.17
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「私 結婚できないんじゃなくて、しないんです」の主役コンビ、中谷美紀と藤木直人のよる今秋のドラマ。今日、第二話を見た。シンガポールで病院を買収する話。第一話のラーメンチェーンを再起させる話に続き、感動した。第一話を見て、涙し、第二話を見ても感動した。話題の「グランメゾン東京」もいいが、(こちらは4話まで見てる)作品の質・感動度でいえば「ハル ~総合商社の女~」のほうが上だ。テレビ局の体力(金)によるものだろうが、「グランメゾン東京」はキャストに主役級を揃え、誰が見ても見知っていて名前が出てくる俳優が並んでいる。木村拓哉、鈴木京香、沢村一樹、及川光博、玉森裕太たちに尾上菊之助、富永愛、石丸幹二、中村あんと続く。対して、「ハル ~総合商社の女~」は中谷美紀、藤木直人、奥田瑛二くらいだが、まわりの俳優陣がバイプレーヤー(?)、脇役で活躍する人たちが目白押しだ。白洲迅、忍成修吾、山中崇、加治將樹、渡辺邦斗、寺田心といった名前は知らなくてもどこかで見たことのある顔の俳優たちだ。ゲストも同様に第一話は田口浩正、小松利昌、田中要次、第二話は寺田農、桐山漣、小林隆と続く。これだけの俳優陣を揃えるのはテレビ東京の総力を結集したように思える。「ハル ~総合商社の女~」は見どころ、見ごたえがあり、おもしろい。今後も期待したい。
2019.11.16
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主役はリンダ・ハミルトン(サラ・コナー役)だった。シュワちゃんは主に後半戦に登場。冒頭のT2その後の件は衝撃的だった。それを受けての今回の作品。あまりにも強靭、無敵、不死身なREC-9(新ターミネーター)に勝てないと思えた。サラ・コナーのこともT-800のことも知らない未来人。追われる身になる重要人物ダニー。壮絶なバトルに見終わった時には少し疲れを感じるかも。CGなのかなんなのか、どうやって撮影したのかわからない空中シーン。飛行機やヘリコプターの爆発などなど、見ごたえは十分である。ただ、作品としての打ち震える衝撃や感動を感じなかったので、新機軸はあれど新鮮味は足りなかったのかもしれない。2019年/アメリカ/129分/監督:ティム・ミラー出演:リンダ・ハミルトン、アーノルド・シュワルツェネッガー、マッケンジー・デイビス、ナタリア・レイエス、ガブリエル・ルナ、ディエゴ・ボニ-タ、エドワード・ファーロング原題:Terminator:Dark Fateお薦め度 「ターミネーター ニュー・フェイト」★★★★(80%) <ネタバレ>冒頭にあったジョン・コナーとサラ・コナーとT-800のシーンは意外だった。気づけば、任務完了した時に償還されることはなかったのだろうか。いや、その時には未来が変わっていて、償還できるところがなくなっていたのか。未来が変わってしまう話はなかなかややこしい。ゆえにラストのシーンで二度と死なせるものかというセリフの意味も深く感じた。未来は変わったんだと。時代を反映して舞台はメキシコから始まる。T2ではチャーミングなエドワード・ファーロングが登場したのだか、本作ではそのようなチャーミングな男の子も女の子もいない。メキシコからアメリカへの不法侵入。それが不首尾に終わるというのは現政権へのごますり(?)、いや、物語としての必然なのかな。サラ・コナーが主役だったことに驚き。T-800の隠遁生活にも驚き。バトルの繰り返しであるけれど、とどのつまり自己犠牲による攻撃でないと敵をやっつけられないという悲惨さはいいのか、悪いのか。そうせざるを得ないところまでターミネーターを強靭に作り上げたことで壮絶な作品となった。原題の”Dark Fate”は何を指すのであろうか?
2019.11.10
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「if.... もしも・・・・」は題名だけは知っていた。TUTAYAで旧作で見たいものは見られるものはないかと物色していて、たまたま目に止まり、こんな作品見聞きしたことあるよな、で借りて見た。歴史が500年ある英国のパブリックスクール、寄宿舎の話である。そこで暮らす生徒たちの日常を季節を追って章に分けて映し出していく。監督生4人と上級生と下級生。下級生が監督生たちの朝食やお茶出しや小間使いをしなければならない。この作品は、このようなパブリックスクールにかかわる英国のある階級の人々だけが見るべき作品だと思えた。思えば50年前の作品であるからして時代がかわっていて、人格を認めようとしない指導。生活様式には違和感がある。(拒絶感がした)というわけで、あまりお勧めではない。しかし、当時は衝撃だったのか、カンヌ映画祭グランプリを受賞している。ここからは<ネタバレ>になるけれど、上級生たちが反抗的だからという不遜な態度に見えるというだけで鞭打ちの罰を与えるとは言語道断、と思えた。また、4人の監督生が規律を求めるために全権を与えてやりたい放題にさせるのもおかしな話である。生意気というか、反抗的というか。上意下達(ジョウイカタツ)が組織では絶対規律であるのだろうけれど、不満が出てもやむなしの指導に高圧的な命に反抗心が芽生えても仕方ないのではないだろうか。上級生が反抗的な態度をとった時に、理解を示しても彼らを納得させてはいないので、クライマックスの反逆、ドンパチの内戦となる。そして、そのままジ・エンド。映画は終わった。こんな終わり方でいいのか?何も解決していない。パブリックスクールの監督生と上級生の軋轢を醜態を見せただけである。ところどころカラーがモノクロにて映し出されていることには何の意味があるのだろうか。1968年/イギリス/111分/監督:リンゼイ・アンダーソン出演:マルコム・マクダウェル、リチャード・ワーウィック、クリスティ・ヌーマン、デビッド・ウッド、ロバート・スワン、アーサー・ロウ、ピーター・ジェフリー、モナ・ウォッシュボーン、ジェフリー・チェイター、アンソニー・ニコルズ原題:if....お薦め度 「ifもしも・・・・」★★☆(50%)
2019.11.10
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映画「シックス・センス」ほどの傑作を望むことは無理なことなのか。「アンブレイカブル」「サイン」「ヴィレッジ」など不可思議な世界を描いてきて、久々に見たマイケル・ナイト・シャマラン監督作「スプリット」。多重人格者の話なので、精神分裂症の意味で”スプリット”なのかも、と思えたが、どうもそうではなさそうだ。生き残った者とそうでなかった者のスプリットなのか、社会からのスプリットなのか。しっかりとした作品作りはされているけれど、その真意に感動度に疑問がわくと思った。この作品を作った監督の意図を考えてしまった。あえて見るほどの作品ではないと思える。2017年/アメリカ/117分/G監督:M・ナイト・シャマラン出演:ジェームズ・マカボイ、アニヤ・テイラー=ジョイ、ベティ・バックリー、ヘイリー・ルー・リチャドソン、ジェシカ・スーラ、セバスチャン・アーセラス、ブラッド・ウィリアム・ヘンケ、ニール・ハフ、M・ナイト・シャマラン、ブルース・ウィリス原題:Spritお薦め度 「スプリット」★★★(60%) <ネタバレ>多重人格者において実際このような知能・筋力・運動量の爆発的向上があるのだろうか。この作品を通じて監督シャマランは何を描きたかったのか。思えば、多重人格者の中の新しい人格の目覚めなのか?なにゆえに女子高生3人を拉致監禁したのか。その目的は、裸踊りを見たかったためなのか。24番目の人格は野獣なのか。疑問、不思議に思うことが多く、このような精神的病気を抱えた患者を訪問するときに老婆が一人で訪問するものなのか、屈強な男性ないし警官のような人々を連れて行くものだと思うが。特に危機的緊急時である。監禁された高校生が脱出を試みることが何回もある。場所がどこかわからないためなかなか抜け出せない。窓もない広大な住居。エンディングに動物園の地下施設だと判明した時に、そうだったのかと思える。拉致監禁とともに描かれる女子高生の幼少期の映像。時系列に何度も振り返られる父娘と叔父さんの姿。それは何を伝えたかったのか。見ている私には理解が乏しく、隔靴掻痒な思いしかしなかった。
2019.11.09
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ケイシー・アフレックが出てる。「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のような見どころのある作品を期待した。ルーニー・マーラが出てる。「ドラゴン・タトゥーの女」のように、意外性があり存在感のある女性を期待した。映画祭にも出品され、なにかと評価されてそうだ。そして何より実話とある。そして、見た。見始めて、見なくてもいいかという感じ、予感がした。役者はそろえたが、作品として完成していない。事実に事件に触発されて映画化されたはずなのに、その触発された衝撃が描かれていない。芯の部分が全く見えない。思いはあったのだが、結実しなかったのか。残念でならない。脚本・監督がデビッド・ロウリー。彼を知らない。何が良くなかったんだろう。2013年/アメリカ/98分/G監督:デビッド・ロウリー出演:ケイシー・アフレック、ルーニー・マーラ、ベン・フォスター、ネイト・パーカー、ラミ・マレック、キース・キャラダイン原題:Ain't Them Bodies Saintsお薦め度 「セインツ 約束の果て」★★★(60%) <ネタバレ>いつの時代の話なのか。”This was in Texas”と冒頭に表示される。「テキサスであった話」実話なのである。その実話に触発されて、何かを描きたくて監督デビッド・ロウリーが映画にした。しかし、この作品。何も描けていない。事実あったことだけを映しただけ。主人公は男なのか、女なのか。内実に踏み込んでいない描き方だ。察するにたぶん、男が主人公であるのだろう。銀行強盗犯として、保安官を撃った犯人として服役する男。刑は25年。一緒に銀行強盗を働いた妻との間にできた娘とは会えていない。収監されて4年。脱獄した。そこは映像としてない。説明されるだけ。妻も知らなかった過去5回(?)の脱獄失敗。6度目にして成功。妻へ手紙を書くが、内容は映し出されず”Dear Ruth,”とだけ映るだけ。失敗した脱獄の数々、妻への恋慕、娘に会いたい思い。それらがまったく映し出されていない。妻の方もしかり、夫への気持ちは描かれない。ただ、収監された男、罪から逃れた女。脱獄した男、夫を逮捕されないために旅に出ようとする女。2人は同じ銀行強盗犯をして保安官との銃撃戦により射殺された男とともに犯罪を指示していたであろう射殺された男親に兄弟同然に育てられたらしい。らしいというのは、描かれることなく、セリフで一緒に育てた、という一言があるだけだから。NHKの朝ドラのように幼少期からの生活を描いていれば、三人の関係性、二人が恋に落ちた様子などがわかり親近感がわく。そして、なぜ銀行強盗をしたのかというところも見せれば、より理解が深まる。妻や子に会いたいがために脱獄を試みる男の境遇を描くことでその思いに共感していくことができる。それらがなく、あらすじのように説明のように表面だけ映していくから物語に入り込めない。このような描き方なら、テレビの再現フィルムのほうがよっぽど男の心情を知ることができる。と、思う。女(妻)と撃たれた保安官との淡いが深い恋愛感情もなんとなく見せるのではなくて、そこにどれほどの思いがあるのか、事実や行動を積み上げていかないとなかなかわかりづらい。しかし、脱獄犯と妻との恋愛感情よりも保安官の横恋慕の思いのほうが描けていた気がするが。監督は自身で納得しすぎて表現をしきれなかった、と思える。素材がありながら残念である。また、実話によくある後日談が一切描かれない、テロップとなってその後を表示しないのも、何か意味があるのだろうか。
2019.11.07
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日本でいうところの会社人間ということになるのかな。社業一筋に何十年も勤めてきた人々。それが、突然首切りにあう。アメリカ独自の雇用形態であるけれども、ある日突然集金したらクビというのひどいものだ。そうそうたるスター、ベン・アフレック、ケビン・コスナー、トミー・リー・ジョーンズらが出演し回りもクリス・クーパーなど役者揃いだ。であるからにして、もっと劇的な展開を期待したりした。けれど、粛々と時は過ぎ、といったしだい。失職や首切りにあった者には身につまされれる。歳をとっての就職活動の困難さ。とてもとても大変である。結末はある種悲しいながらも、現実的であり、非現実的でもある。とても楽しめる内容でなく、失業という非日常の日常がそこにある。期せずしてフランス映画の失業作品い続いて、アメリカ映画の失業作品を見てしまった。2011年/アメリカ/104分/G監督:ジョン・ウェルズ出演:ベン・アフレック、ケビン・コスナー、トミー・リー・ジョーンズ、クリス・クーパー、マリア・ベロ、ローズマリー・デウィット、クレイグ・T・ネルソン、イーモン・ウォーカー原題:The Campany Menお薦め度 「カンパニー・メン」★★★☆(70%)
2019.11.03
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おもしろく楽しめる作品である。ただ、主役となる男が良くない。仕事はできるのかもしれないが、女性を尊重していない思考・行動が良くない。金にあかせて目をつけた女は一発やらないと気が済まないなんて。女性の気持ちに疎いというか、他人の気持ちなんて考えない輩は断罪されてもいいと思えるんだけどね。そうなるのかならないのか、この作品はクライマックスまでを描いて落ちをつけていない。いや、これが落ちなのか?私にはどうも尻切れトンボのように思えてならない。おもしろおかしく男女のいざこざを描いた楽しめる作品。フランスの失業に困惑する人々を描いて楽しめたけれど、唐突な終わり方にはあ然とするしかない。こんなにもHをはけ口にしか考えないような男がいるとは、暗澹たる思いがする。2011年/フランス/109分/監督:セドリック・クラビッシュ出演:カリン・ビアール、ジル・ルルーシュ、オドレイ・ラミー、ジャン=ピエール・マルタンス、ケビン・ビショップ原題:Ma part du gateauお薦め度 「フランス、幸せのメソッド」★★★☆(70%)
2019.11.03
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見ごたえのある作品だった。謎の展開が、解決まで咀嚼できないような感じではあったが、全ての謎がわかった時に背筋が凍る思いがする。今、キャストを見ると、みなベテランであった。主役自身、40歳前後と思えたが、40歳後半だったし、他のキャストもおおむね作品で見るよりも10歳は年長だった。みな若作りだったということか。アンソニー・ホプキンスとアル・パチーノではどちらが悪役でもおかしくないが、それだけに正義の側にいるのは誰なのか。イ・ビョンホンの役どころは謎すぎてよくわからなかったが、その手腕もどうなのかと思える手下役であった。監督がシンタロウ・シモサワ(SHINTARO SHIMOSAWA)はシカゴ生まれの日系なのかな。このところテレビシリーズを監督しているようである。日本人、日系がハリウッド映画監督というのは驚きだなぁ。良妻役のアリス・イブと元彼女で悪女役のマリン・アッカーマンは見た目ばっちり。役柄に似合っている。だからこそクライマックス、エンディングが見物である。謎解きはなるほどと思うか不満に思うか、見てのお楽しみ。2016年/アメリカ/106分/G監督:シンタロウ・シモサワ出演:ジョシュ・デュアメル、アンソニー・ホプキンス、アル・パチーノ、イ・ビョンホン、アリス・イブ、マリン・アッカーマン、ジュリア・スタイルズ、グレン・パウエル原題:Misconductお薦め度 「ブラック・ファイル 野心の代償」★★★★(80%)
2019.11.03
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今、YAHOOを開いたら、エンタメの表示欄で「松岡茉優「女優人生」の野望」いう記事があった。松岡茉優は人気者としては売れないと思っていたのに、演者としての露出度が増えてきて、いい芝居をするとみえて、「蜜蜂と遠雷」で彼女に注目した私は気づくのが遅いのかも。本日このような記事が出て、彼女自身、第2章なんてこと言っているようだが、実力をともなって知名度をあげ、出演作(経歴)を増やし、評判が良ければ、人気も上がる。一線級の主演女優、演技者として名だたる女優に肩を並べたと言えると思う。土屋太鳳、川栄李奈、早見あかり、広瀬アリス、が同級生として、一つ上には二階堂ふみ、清野菜名、武井咲、川島海荷がいて、一つ下には橋本愛、二つ下には芳根京子、杉咲花といった演技巧者がいる。その中で土屋太鳳に追いつけるだけの片鱗を見せたこと、そして八面六臂の出演は期待がもてる。松岡茉優は今後最も見てみたい女優となった。
2019.11.03
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「万引き家族」その題名を聞いた時に、「ああ、この作品は見ないな・・・」と思った。生まれながらにして窃盗を生業とするヨーロッパのジプシーは別として、万引きという窃盗が家族というものに似つかわしくないから、なんて思ったから。是枝監督作品はこれまで「幻の光」「そして父になる」「海街diary」「真実」と見ている。この4作品の中では「真実」がとてもいい。「蜜蜂と遠雷」を見た時に、女優になったなぁ(成長した)と実感した松岡茉優に魅せられて、彼女の出演作を見たいと思った。見ることはないと直感的に思ったカンヌ国際映画祭パルムドール賞受賞の「万引き家族」を見た。見てみて、安藤サクラの女優としての演技力と城桧吏(じょうかいり)の男前っぷりと松岡茉優は胸が大きいということだけ認識した。家族というのは名ばかりで、他人の寄せ集め、集合体でしかない、というのが是枝監督の自論だろうか?「そして父になる」も「海街diary」も他人と家族になる、ならざるをえなかった者たちが描かれる。血のつながりのない者、一緒に生活したことのない者が生活を始める。そのことを丹念に描いた作品たち。その意味では「真実」は血のつながりのある母娘の軋轢と感情と親和を描いているからある種興味深い。そして、どうも私は本物の家族の作品のほうに感情が動くらしい。万引き家族と同居する老婆と若娘に関して、その関係性はまったく説明されない。どういう意図があるのか。はたまた、どうして一緒に暮らしているのか。老婆の年金が6万円というのも気になるところである。この作品に関してネタバレであれこれいうのも粋じゃない気がする(笑)一枚看板をはれる主役級が大挙してチョイ役にて出演しているところに是枝監督の大物ぶりが感じられる。2018年/日本/120分/PG12 監督:是枝裕和出演:リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、城桧吏、佐々木みゆ、池松壮亮、山田裕貴、片山萌美、黒田大輔、清水一彰、松岡依都美、毎熊克哉、井上馨、蒔田彩球、柄本明、堀春奈、橋本真実、緒形直人、森口瑤子、高良健吾、池内千鶴、樹木希林お薦め度 「万引き家族」★★★☆(70%)
2019.11.02
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