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ときどき思い出すこと 南風一もう数十年前のこと出張でホテルに泊まったときのこと風呂から出て冷蔵庫のビールを飲もうと思ったらグラスがない仕方ないのでフロントに電話してグラスがないと伝えた暫くして女性のフロント係がドアをノックした私がドアを開けると女性フロント係は顔を片手で隠すような仕草をしながら「あちらの冷蔵庫の手前の下の方に棚がありますので ちょっと見ていただけませんか」と言いながらしきりに目のやり場に困っている様子私は奥の冷蔵庫の手前に屈みこんで棚を見た「あら こんなところに」コップを一つ手に取ると入口の所に立っている女性のフロント係の方へ差し出して見せた立ち上がって入口まで進んで浴衣の前がすっかりはだけていることに気付いた私の一物は表皮がめくれあがって黒々と屹立していた女性のフロント係は「ああ ありましたか・・・」と言いながら相変わらず目のやり場に困っている様子とっさに私は一物を握ってしごき上げたみるみる一物は奮い立ったように太く長くなった女性のフロント係は暫く目を丸くして黙って見つめていた年齢は30歳半ばくらいだったかなスタイルが良かったので未婚だったのかも知れない暫くして「失礼します」と言って何事もなかったかのように去って行った (詩集の宣伝)「青春17切符+1」3月26日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング
2019/03/31
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老婆と老夫 南風一 仕事に行く時決まってあるマンションの近くを通る寒い冬の朝も 暑い夏の朝もほぼ毎日年老いた老婆がスコップを持って雑草であろう何かを取っているたまに老夫が混じって老婆とは離れてやはり雑草らしきものを取っている姿を見かけるそういう姿をもう何年も(いや何十年かも知れない)見ていると「年老いてもっと他にやるべきことがありそうなものだろうに」と思うこともあった今にしておもえば(現在も老婆や老夫は健在であるが)老婆も老夫も他愛ないことには違いないけれど所有するマンションのことを考えれば日々生活の糧を稼いでくれるものだし雑草抜きとか他愛ないことには違いないけれど愛着が湧くものに違いないそうであれば日々早朝からの雑草抜きは老婆や老夫に限りない心の安らぎをもたらすものに違いないその仕事がなんぼの経済的価値を生み出したかという指標では測かりきれない営為があるそれが日々のスコップ掻きということになる (詩集の宣伝)「青春17切符+1」3月26日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング
2019/03/31
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恐怖感 南風一仕事帰りの夜少し坂道になった交差点がある自転車のスピードを上げてその交差点を過ぎるとき後は 勢いに任せて自転車が走るに任せるそんなときに決まって頭の中を過ぎる光景小学生のとき今から思えばそれほど急な坂ではなかったと思うがとにかく山の斜面の道を姉の漕ぐ自転車の後ろに乗ったのがいけなかった私は荷台にただ乗っているだけに過ぎないのにスピードだけはやたらに出ているように感じる私は怖くて「止めて」と叫んで荷台から飛び降りようとした自転車はバランスを崩して横転した姉も私も勢い余って吹っ飛んだ二人は顔や膝や手を嫌というほど地面に擦りつけられて血だらけになったそれから後は家路の遠かったことと自宅に帰って母からしかられたことを憶えている姉の自転車の荷台に乗ったまま横着に山道を下ろうとした私の考えが浅はかだった荷台に乗っているときに感じるスピード感にまで考えが及ばなかったスピードを出して交差点を駆け抜けるとき今でも決まって「もしここで転んだら痛いだろうな」という恐怖感に襲われる (詩集の宣伝)「青春17切符+1」3月26日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング
2019/03/17
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早くお迎えが来てくれたら 南風一 まだ86歳なのにもうそんなことを言っていた自分の足で立つことも出来ずベッドの上に横たわってただ毎日血糖値や血圧、体温ばかりを測って何の役に立つのだろう?そんな風に思うことも普通の人なら当然のことだろう息子ながらそんな言葉を聞いても私にできることは何もなかったただ1週間に1回母の入院している病院を訪ねるだけ病院といったところで健康にして帰宅を促すのではなくベッドに寝かせ切りにして段々身体を弱らせて終末を迎えさせる自然に任せるといったところで特に健康的な生活習慣を身に付けさせるわけではなく手がかかるからじっとベッドに縛り付けて患者が自然に弱って行くのを待っていただけそんなことは十分過ぎるくらい分かっていたけれど私に何ができただろう?不甲斐ない息子だった (詩集の宣伝)「青春17切符+1」3月26日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は 人気blogランキング
2019/03/10
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カウントダウン 南風一春夏秋冬を85回繰り返せば大方の男性は死亡するはっきりと自分の生活に自覚的に生き始める20年を差し引いて65回も繰り返せば男性は死んでしまう私は今年60歳になるからあと25回春夏秋冬を繰り返せば死んでしまうそう思えば春は当たり前に繰り返し訪れるように感じるけれど生きている今もカウントダウンは始まっていてその回数は着実に減少しているそんなことに無頓着な世の男性そして私 (詩集の宣伝)「青春17切符+1」3月26日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング
2019/03/03
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初々しさ 南風一 初々しさとは物事のはじまりこれなしには成長も進化も未来もない初々しさとは営みのはじまりこれなしには家庭も愛も国家もない初々しさとは恥じらい大人になって子孫を残していく営みのはじまり還暦を迎えてそういえばつい40年前に面前の好きな娘にどっきんどっきん胸を高鳴らせたことがあったことを想い出した (詩集の宣伝)「青春17切符+1」3月26日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング
2019/03/02
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