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日曜日から丸2日にわたって数年来経験したことのない高熱に見舞われ、日曜こそある程度、文章を書いていたこともありなんとかアップロードしましたが、この2日は健診時前くらいしか抜くことのなかった酒ですが思い浮かべるのさえ苦痛に感じられるほどでした。細く長くなんてことは考えはしないまでももう少しくらいは健康に留意するべきだと一過性ではありましょうが思ったものです。今日もまだ気力が湧かないので高崎線の途中下車の旅の熊谷でお邪魔した1軒の報告から再開します。 北関東には数多くのご当地グルメがあり、テレビなどでも度々取り上げられてその実態が徐々に知られるものとなっていますが、埼玉もー北関東と一緒くたにすると埼玉の人はお怒りになるのでしょうがーまた数多のご当地グルメを有しているようで、あまりにも種類が豊富でそれでいながらどこかしら似たりよったりなのでした。この日、目的としていた喫茶店を取り敢えず一巡りできてホッとしたら急激に空腹を覚えてきたところに目に止まったのはフライの文字。2軒のお店が並んでいて、「小山食堂(コヤマ)」の方の内装が一昔前のムードがあるのでこちらに入ることにしました。クリームとレモン色ご基調の色遣いが可愛い。カウンターやテーブルゲームもこうした軽食食堂に似合っています。ビールをゆるゆるやりながら、これから先が長いと2人でシェアしようと頼んだフライヤキソバの大を見て驚愕。ものすごいボリュームなのです。しかもフライ部分のイカ焼きみたいなクレープ風の皮はモチモチとして楽しい食感、ヤキソバは太麺で噛み応えがあって、ジャンクな食事と呼んでは失礼なほどです。なのできっちり食べきってしまいましたが、これは正直半分をテイクアウトするのが正解でした。それにしても他のお客さんたちは大盛りをひとりでぺろりと平らげられていたことにも驚かされるのでした。 と緩いペースの再開となりましたが、今後もできる限り同じ町でのはしご酒をメインにゆるゆると続けていきますので、ご支援お願いします。
2015/03/31
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近頃忙しくてめっきり遊んでくれることの少なかったA氏から唐突に連絡がありました。明日、本庄でお彼岸の墓参りに行くことになっているのだが途中で合流して呑まないかという誘いがありましました。誘わられたらよほどのことがなければ断らないのがぼくの数少ないポリシーなのでーこのよほどのことがなければという言い方がすでに日和っているー、もちろ後先考えずに首肯していたのでした。さてそうは言ったものの相変わらず懐事情はしょぼいまんまてす。しかも呑むと言っても全くの情報なしで遊べるほどの余裕はないーあっ、ちょうど先般沈黙が常のわがブログに書き込みしていただけたエディさんという、失礼を顧みずまさに同好の士と言わせていただきたい方にご教授頂いた酒場のある路線ではありませんか。とわざとらしく語ってはみますが、実際これは千載一遇の大チャンス。これは絶好の機会ととりあえずエディさんの情報を書き留めて、交通費だけはなんとか抑えようと工夫すべきと考えつつ、しかしやはりいつものようにすっかり酔っ払っていたので翌日の予定など考えている余地もなきままに深くて浅い眠りに落ちてしまったのでした。 目覚めると7時をとっくにすぎています。コリやイカンとあわててはみるものの全く情報収集もせずに出掛けるのももったいないなあとそこらへんの損得勘定でぐずぐずするのですが!調べてるくらいなら出掛けてしまえとようやく踏ん切りつけて、表題にあるJR東日本の休日おでかけパスを購入したのでした。青春18きっぷのことが当然頭を過ぎりますが、今となっては其れも荒今となっては遅きに失する。せっかくだから下車したことのない神保原に降りてみることにします。しばらく駅前を散策してみますがう~ん何もない。うら寂しい眺望が広がるのみでウンザリしたので先般生きはぐれた本庄喫茶巡りとします。 待望の「欅」はまたも空振り。やむを得ません、と軽く書いたものの正直ひどいダメージです。「コスタリカ」と「竜胆」はやっていました。しかしこの二軒はぼくの喫茶趣味を満たすものでは残念ながらありませんでした。消耗した心境で向かったのは深谷駅でした。東京駅の駅舎を真似たという駅舎の空寂しさは知っていたにせよ、久々の深谷ではなにか面白いことがあるはずです。 ところが深谷の漠然とした印象はやはり単に漠然としていただけだったようです。駅の周辺を歩き回りますが個人商店もほとんど見かけず人気もありません。虚しさを感じますが一軒だけ「アイリス」という喫茶店を見掛けたので入ってみることにします。街場のごく普通の喫茶店ですがかほどに町並みが一掃されてまっさらとなってしまった深谷の駅前にあっては貴重な存在なはずですがお客さんはおらず命運はつきかけているように感じられます。実際平日には多くの客で賑わっていたりして、ぼくなどが杞憂するのは余計なお世話かもしれません。ちなみに駅からすぐのところに「BEE HOUSE」の看板を見つけましたがとっくに閉店したようです。 さて、熊谷駅に移動して、改札前でA氏と合流しました。熊谷には喫茶ファンによく知られたお店があって今回はその二軒に立ち寄るのが大きな目的の一つです。いずれも外観、内装ともにかなり流布しているので簡単に報告するに留めます。「窓」は風俗店がちらほらと営業する中にある正統的な純喫茶で、奇抜なところなどないものの落ち着けます。もう一軒の「K」は、噂に違わぬ見事な内装で眼を楽しませてくれます。今更ぼくなどか紹介してみたところでさほど影響はないとは思いますがまだ訪れたことのない方であれば一見の価値ありです。あと一軒「アーモンド」が気になりますがこの日はスルーすることにしました。
2015/03/29
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またもや松戸に来てしまいました。もう同じことばかり書いていては、こんな愚かな拙文を読んでくださっている皆様に申し訳ないのでこれを最後にしておきますが、松戸ってどうしてこうも退屈なんだ、なのにわざわざ来てしまうのはどうしてなんだ。町は常磐線沿線の再開発された徹底的に退屈な駅ー典型的なのが我孫子や取手ーと場末めいた駅前をもつ駅ー典型的には馬橋や北小金ーの中間みたいな曖昧さがいい方に傾けば柏くらいには楽しめる町になるはずですが、残念ながら松戸にはそれだけの活力はありそうもないのでした。というのも松戸って言うと都内在住で一度も松戸に行ったことのない人にとっては、千葉だし遠いんだろうなあという印象を持たれがちですが、実際には金町や亀有よりはずっと便も良くて都会生活をしたいリタイア族には案外住みいい町なのかもしれません。しかも上野ー東京ラインなんていう気の利かないネーミングの路線を使いさえすれば品川からでも新橋からでも乗り換えなしに行けるのは嬉しいこと。って実のところはしばしば出向く松戸から特に新橋に向かうのが楽になったのがぼくにとっての最大のメリットだったりするのです。 どうでもいいことを書き連ねてしまいましたが、どうしても折りに触れ来たくなるのが「開進」なのでした。松戸駅前では数少ない枯れた酒場です。値段もそこそこだし、味もそこそこ、おばちゃんたちの応酬の迫力も以前よりはかなりテンションが下がってしまいましたが、やはりここのカウンターに落ち着くと五木に松戸にいることなど忘れてもうひたすら愉快な気分になるのでした。松戸の良心であるこの酒場、末永く壮健なることを祈願します。 続いては「キッチン たけみ」てす。かねてから味のある洋食店であるなあと気にはしていたのですがーって調べてみたら一度来ていたみたいですー、せっかくなので立ち寄ってみることにしました。外観からおおよそ察していた通りの雰囲気の味があるとまでは言えない微妙なムードです。特にどこがいいとかいう店ではありません。定食はそれなりに充実して客も切れるわけではないけど一人っきりでトラックを走っているような寂しいリレーで繋がるだけだし、彼らはビールも呑まず黙々となかぬかうまそうな定食をひたむきに片付けるばかり。もう少し居酒屋メニューを充実させると酒場遣いできるかなあ?
2015/03/28
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赤羽という町、世間の呑兵衛たちにいやにもてはやされているようですが、確かにタクシー業界の方が多いという場所柄もあってか昼間から呑める酒場もかなりありますが、何軒かの名店として世にその名を轟かす数店以外はここ最近になるまではそんなに数も多くはなかったのではないでしょうか。単なる酒場ブームに便乗してどこもかしこも右へ倣えと工夫も実力もないままに早くに店を開けてしまうあたりが城北地区とか呼ばれて馬鹿にされることも多い町にはいかにもありそうなことです。土日には暇なオジサングループや若者たちまでが真っ昼間から恥じらうふうもなく呑んだくれてるんだから始末に負えない。本来であれば昼日中から呑むなんてことはみっともないことこの上ない行為であって後ろめたさを表情に忍ばせながらこっそりと人目を避けるように行うべきなのであります。そんなわけでS氏とぼくもそんな群れに混じって赤羽の夕暮れ時に現れたのでした。 ところでそんな城北地区を馬鹿にしてはらなぬ大健闘を続けるのが「喜多屋」です。ここなら裏通りの立地自体が身を潜めるようなところなので客たちはリラックスして呑んだくれても一向に構わないのです、なんて身勝手なことばかり語ってしまいますが、まあ赤羽のよく知られる立ち呑み店、もちろん嫌いではありませんが、どうしたものかリニューアルしてしまってからはどことなくオシャレっぽさを身につけたと勘違いしたかのように、元々が高飛車な店の人の対応がさらに強まったと思うと、それはまあうんざりさせられるわけでやはりこの 「喜多屋」は悪くないに違いないと思うのでした。一方の有名店と比べるといくらか扱われ方が軽い気のするこちらのこと、実は案外こちらを支持する方が多いのではないでしょうか。ぼくももちろんこちらを支持する方に与したいと常々思っていて、密かにこちらこそが赤羽を代表する酒場ではないかと思っています。客層も雑多で、とにかくあらゆる方たちが実に楽しげでそれを眺めるだけで嬉しくなります。そうそう今回初めてトイレを借りたのですが、こちらは2階にも客席があったのですね。しかも椅子付きとは。ただ通常は開放されていないようなので、事前に予約とか必要なのかもしれません。 とうぜんそのままで帰るわけにも行くまいと次に立ち寄ったのが「やきとん 大王」なのでした。やけに紹介されることの多いおでん種の店を抜けて脇の路地にありました。どこもかしこも人で一杯なので、もう選り好みする余地がなかったとはいえ、ここだけは避けるべきであったでしょう。その不快だった点は数多く指摘できるのですが、ここでは特に苛立ったことだけお伝えするに留めます。とにかく頼んだ品が待てど暮らせど出てこない。最初の酒の一杯にありつくまでに10数分、焼物は30分も待ったでしょうか、ようやく焼物2本が出て以降は一向に他の注文が出てくる気配がない。最初こそやけになって出てくるまで付き合うつもりでしたがさすがに耐えかねたので、キャンセルして支払いをしたところお釣りが10分近く待っても帰って来ない。これには流石に呆れ果てました。2階はバイトらしい青年が一人で客たちの無言のプレッシャーにくるしげな表情を隠そうともせず、黙々と耐えていた戸のが痛々しい。1階からのエレベーターが釣りを届けるのを震えながら待つ姿に激励の声を掛けましたが彼の耳に届いたかどうか。流石にうんざりしてぼくらしくもなく釣りを諦めて階段を降りると、たまらず1階でのうのうと仕事する二人の店員に待てど釣りが来ぬことを訴えると今上に行ったよ、だって。これだけ待たせて階段を登らせるなんてまあ呆れてそれ以上何も言えなくなったのでした。
2015/03/27
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新小岩にまたもや出掛けてしまいました。毎度書くことですが新小岩というのは本当に奥深い町で、何度訪れても尽きることなき酒場の宝庫であって、そこが表面上は酒場とは呼べぬ見掛けを晒していたとしてもそれを鵜呑みにすることは早計というものです。実際この夜に訪れた新小岩のお店2軒は一般には酒場とは呼ばれることのない店のはずですが実質は酒場以外の何物でもないことでその一端をうかがい知ることができるでしょう。 始めに訪れたお店はそれこそ見掛けはまさに純喫茶そのものの外観を晒しており、この店内を眺めて見るためだけでも入って見る価値はありそうです。庇のテントに記された「珈琲専門店 シャルマン」の店名も字体も純喫茶以外ではありえぬほどに典型的です。ところが店先の置看板には、「藤本食堂」とあり、「シャルマン」という元の店名とは正反対と言ってもいいほどのギャップがあります。そんな怪しげなムードは店内に入ると一層されてしまうのがちょっと残念な位なのでした。と言うのももともとの喫茶店としての内装が案外平板だったらしく食堂というよりはスナック寄りの居酒屋とすればさほどに違和感が感じられない程度なのです。まあそれも食堂と使用しながらカフェバー風にゴテゴテとした若者向けの店だったりすることを思えばずっと落ち着いていて居心地が良さそうです。まだ店主が来ておらず奥さんだかお手伝いの方だかは分かりませんが、お酒を用意してくれるとちょっとお待ちくださいね、そこの落花生でも摘んでて下さいとのこと。落花生ついでにカリカリ梅なども頂きつつ、ちびりちびりやっているとご主人登場、しばらくして待ちかねたシーフードのアヒージョ(?)が見るからに旨そう。ここにはこうした気の利いた洋風の品がたくさんあってしかもお値段はびっくりするほどの安さでしかも美味しくて量もたっぷりなのは確認済み。これはいいなあと酒は進んでしまい、お代わりしたらお待たせしてスイマセンと出されたのがこれもたっぷりのおでんなのでした。そんなこんなでまたもやお代わりとなります。ここはまさしく新小岩の良心的な酒場に他ならぬと確信したのでした。 自動車道路を渡り風情あるスバル飲食街とビル飲食店街のパシフィック飲食店街 を一巡りしますがここぞと目に止まる酒場はなし。というよりかなり店は畳まれてやってる店を探すほうが難しいくらいの有様なのでした。新小岩ではこうした呑み屋街らしいところより、どうでもない住宅街にポツリとあるような店のほうが良いようです。 「藤本食堂」のそばに「COFFEE ポケット」という喫茶店があったことなどついぞ知らなかったぞと散々歩いているつもりですが、まだまだ見落としはありそうです。そのお隣に「餃子舗 ことぶき」だったか自信が持てませんが、とにかく餃子のお店があるので雰囲気も場末の店っぽくて良さそうなので入ってみることにしました。薄汚れてはいますが、それは中華料理店なら避けられぬやむを得ない年季のなせる技でしかなくけして不潔というわけではありません。カウンターだけのシンプルな造りで、壁にもあまり余計な貼り紙やポスターもなく悪くない雰囲気です。ギョーザにチューハイを頼むとギョーザはちゃんと手作りでタネを皮に包むところから始めてくれます。チューハイのジョッキも立派です。客層はなんだかだらしないあまりまともな人生を送ってはいないんじゃなかろうかという方たちが立て続けに入ってきて、でもそういうはみ出し者の会話ーといってもほぼ主人を壁にして一方的に投げつけているのでしたがーを酒の肴として聞き入るのを楽しみとするぼくにとってはむしろ歓迎すべき状況でしたがオヤジさん、店を出るときに恐縮気味に詫てくれるのでした。特筆すべきほど旨いわけではありませんが、危うい人間たちが群がるいかにも酒場らしい空間に思われたのでした。
2015/03/26
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これと言って行きたい酒場も思い付かず、かと言ってせっかく出張で中央線沿線に来ているのだし、そうは言ってもいつものごとく財布はカラッけしというようなことは、けして少なくはありません。そうこの夜もまさしくそんな好機と貧乏がせめぎ合うような境遇にまたしても置かれてしまったのでした。とっとと帰宅してゆっくり呑もうなんて気持ちはさらさらないわけで、そんな時につい足の向くのが高円寺なのでありました。学生時代を通じて高円寺という町とはあまり縁もなく過ごしてきました。まだ学生でもない生徒だった頃かもしれませんが手持ちのフィルムを自主公開で繰り返し掛けていたシネマシオンという小屋があって、そこでジャン・ヴィゴという29歳で夭折したという伝説の映画作家の遺したわずか4本のうち3本が上映されているのを見て大いに興奮したことを思い出すのですが、この小屋もいつしか荻窪に移転し、その後上映の頻度が減っていくのを寂しく感じたものですが、それはまあここで語られるべき話ではなさそうです。 さて、懐具合の寂しい中年男にとって立ち呑み屋は選択肢の中でも筆頭に挙げられます。お馴染みの軟弱な名の付く呑み屋街をぶらぶら進んでいくと見慣れぬ立ち呑み店がありました。しかしその看板には薄っすらと見覚えがあります。「(立)大丸工業所」とちびた木造家屋の軒下に看板がぶら下がっています。カッコ内は元は有という文字だったのでしょうか。店内はすっかりリノベーションされていて以前を想起させる何物も残されてはおらず、わざわざ外観のみを残したのは工事費用の節約かそれともぼくのようなこうした古い建物が好きな客を当て込んでのことなのか。後者であれば店内にももう少し面影を留めるべきなのになあと、えらくすっきりと見の置きどころに迷うほどに整理された空間に戸惑うのでした。困ったならカウンターがよろしいようです。顔のあちこちにピアスをぶら下げたきれいな女の子はこの夜がデビューということで、指導役のお兄さんもいます。ところが彼もまたここで店を始めて一週間弱とのこと。扉の脇に木箱があるので何かと尋ねるとおでん鍋のようで、セルフでサービスする流儀のようです。まだ味がしみるのにはしばらく時間を要するということなので燻製ソーセージを頼みますがこれもまだとのこと。まあ肴なんてさほど気にするものではないからと、気を取り直しますが、最初は構ってくれたお二人もやがては本格的に開店準備に振り回されてこちらになど構っていられないとなれば、もうここにはしがみつく理由もありません。次なる酒場を目ざすことにします。 しばし彷徨った後、数軒の酒場が軒を連ねる通りに行き着きました。こういう通りは雰囲気があってもスナックばかりで、その只中に身を置いてみると表から見るほどには面白くなかったりすることが多いものです。しかしこの路地はちょっと違っていたようです。なかなか良さそうな居酒屋もあってその最奥の「おばこ」についつい立ち寄ることになったのでした。で、このお店、カウンター6席ほどに小上がりに2卓がある程度のごくありふれた酒場であったわけですが、どういうわけだかなかなかに心地よいのです。マイペースなこれもどこにでもいてくれそうな夫婦者のお店ですがお二方とも極めて気分のいい方たちです。彼らを慕ってか訪れる客たちも似たような世代の方ばかり、ぼくはすっかり小僧っ子こような立場におかれそれはそれで愉快なものです。オヤジの手料理は特別すごい品はありませんが、新玉ねぎの丸煮は、高齢のお母さんの舌をもを喜ばせたようでしつこいくらいに絶賛しています。やがてこのお母さんが調子っぱずれに歌い始めた頃になって、ぼくはお勘定をするつもりだったのが、このまま店を出てはお母さんが傷付くのではなかろうかと余計な気を遣ってしまいもう一杯と頼んでしまうのでした。
2015/03/25
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大塚の北口のメインストリートから一本裏手の通りを歩くと、ここにもやはりポツポツと酒場の明かりが灯っているのでありますが、それらもひと通り覗き尽くした感があります。この通りの一番奥まったところにある一軒だけはまだ未訪問であることを覚えていて、なんとはなしに悪い予感がするものだからそれとなく避けて通っていたのですが、この夜はいつもの上司T氏が一緒だったこともあり、思い切って向かうことにしたのでした。このお方と呑むのはリスクも多いのですが、思い切りのいい一面があってダメな店はすぐに見切りをつけることができるという長所も持ち合わせているのです。 そんなこともあって北口を店の灯りが途絶える辺りまで歩くと「おかえり」という気分がほんわか暖かくなるような店名を持つ一店に行き着くのでした。極ありきたりの店内ですがそれは織り込み済み、テーブル席は1卓ありますがあまり使ってもらいたくないと店の方の顔に書いてあります。この店の女性お二人は外国の方らしく、これは全くの憶測ですがスナックとかそれより際どい店には見切りをつけて居酒屋で勝負を賭けることになったのではなかろうかと推測しました。接客のちょっとねちっこいところがその名残に感じられます。全般に酒も肴もお得感は感じられず、品書きを見た瞬間に一人で来なくて良かったなあと安堵することになったのでした。そうなれば長居は無用、さっとできるポテトフライだけ平らげたらさっと引き上げることにしようと思案するうちにも、どうしたものか次から次とーは幾分大袈裟なのですがーお通しが追加されるので気が気ではありません。どう観察しても低温すぎる油でじっくりと揚がったポテトは案外うまくてこれは空腹だったためであろうことは間違いないわけですが、いくら肉のハナマサの業務用ポテトであろうが利用だけは多すぎる。しかも同じ業務用のマヨネーズとケチャップまで出されては、食も進むというものです。その間しきりにお代わりを促されますが、そこはT氏たるもの、けして追加オーダーはありませんでした。 続いては「加賀屋」にしました。安定感ではほぼ間違いのないこの酒場なのでT氏も怒り出すことないはずてす。一軒目では冒険しても次は無難な店を選ぶのがT氏との付き合い方の秘訣です。大塚の「加賀屋」は、系列の中でも気に入っている店舗なので何度も来ていても不満などありません。テーブル席も良さそうですが、二人だと大抵はカウンターに通されることになるでしょう。それも全然問題ありません。むしろ常に苦虫を噛み潰したようなT氏と差し向かいでいるよりもいい加減に年輪の刻まれた厨房を仕切るオヤジの顔でも眺めている方がずっと酒が旨く感じられるというものです。まあ実際のところはオヤジの顔をじっと眺め倒すなんていうことはないのですが、こちらの厨房を切り回す数名はとてもいい。酒場の妖精みたいといのはいかにも言い過ぎではありますが、言葉を交わすことがなくても男性に好感を感じるというのはぼくにとっては稀なことです。ともあれお決まりのもつ焼などを摘みながら、先の酒場のことなど忘れ、いや逆に微笑ましく思われるのが酒呑みの愚かなところなのでしょうか。
2015/03/24
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中野の町とはしばらく決別していました。決別なんて大層な言い回しを用いるのは照れ臭いのですがもう当分は訪れることもないとひところ思ったものです。どうしてそんな心境になってしまったか、それを振り返ってみるとどうしてそんな瑣末な事柄に頓着していたのか我が事ながら無駄な意地を張っていたものだと、中野の大好きな酒場の何軒かにも久しく足を向けなかったことが悔やまれるのでした。先般自宅から行き先を決めもせず闇雲に歩いていたらいつの間にか中野に辿り着いていて、なんの抵抗もなく町に溶け込めたように感じられたのは運の良いことでした。ところがその際入った酒場は好ましくないというよりハッキリと不快だったのは、中野の懐の深さも知らぬのに見限った態度を取った己への罰のような気がしたものです。どうでもいい個人的なことをいつまでも書いていても詮無きこと。とにかくまたしても中野にやって来ました。今回はきっといい酒場と出会えるはずとの根拠のない予感があります。 早速お邪魔することに決めたのは、「酒道場」でした。以前からその存在は知っていて、いかにもぼく好みの枯れた雰囲気のあるお店でしたが、今となっては立ち寄らなかったその理由を思い出すことは困難ですが、閉店してしまう前に入れたことをひとまず喜ぶことにします。第一印象そのままのカウンターのみ高齢のお母さん一人でやっているお店でした。ゆで卵で腹ごしらえされているところだったようです。お通しはたっぷりの大根煮、鯖のアラが出汁に深みを出しています。でも女将さんの食べかけのゆで卵が無性に美味しそうで、つい頂所望してしまいました。醤油を垂らすのが私は好きとおっしゃるので試してみたらこれはなかなか酒に合う。創業45年で、お母さんも70歳になられたそうです。都内で生まれ群馬に疎開、沼田の奥の当時は何時間もかけて歩かねばならぬような土地で育ったそうです。カウンターだけの居酒屋はつねに客の目を見ながら調理をしないといけない、常に五感を尖らせているという訳ねとなかなかに含蓄のあることを仰る。日本酒は両関だけ、一度も浮気していない、焼酎はあれこれあるけどね。店内に飾られる天狗の神様は真っ黒に染まっていて、こっそり飾られたなまはげもまた歴史を物語るかのように黒ずんでいます。力さん(「第二力酒蔵」)を始め、「らんまん」、「路傍」、「赤ちょうちん」なとの老舗酒場について語ってくれて、とりわけ長い歴史を持つ「ブリック」にはリスペクトを隠すことはありませんでした。常連はみな鬼籍に入られたけれど、近頃は若い人がよくみえて、ついこの間は中野探検隊とかいうグループが古い酒場を求めて訪ねてこられたそうです。お勘定は正直かなり乱暴ですが、お母さんとの語らうためにもいずれまちお邪魔したいものです。 次なる酒場は一転して今風でありつつも、きっぱりとした立ち呑み店の魅力を湛えた「立ち呑み酒場 魚屋よ蔵」です。店を入るとすぐに冷蔵庫があって自己申告で刺し身なんかをいただくスタイルで、都内では近頃になってチェーンの食堂でよく見かけるようになりましたが、幼少期を関西で過ごしたぼくにとっては一膳飯屋を思い出させてくれます。肴は全品280円、川の字のカウンターとシンプルなのが好ましい。奥にいる客は落ち着きなく行ったり来たり、入り口そばには常連用のボトルキープのための棚があります。立ち呑みでキープできるのは珍しい。キープしてでも通いたなるだけの魅力があるということなのでしょう。でもそんなにウロウロするなら入口付近に陣取ればいいのに。そんなことも思わぬではないですが、確かに良い店です。中野はまだまだ探訪せねばならぬようです。
2015/03/23
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本当はあまり知られることのない地元だったり職場があるのでもない限りは訪れることもなさそうな喫茶店のことを書いたほうがずっと喫茶店好きの方の皆さんの参考ともなるのでしょうが、このところ珍しく仕事が立て込んでいてそれら撮りためた写真を発掘する作業をする時間がありません。ってこんなことを書いている今現在、列車の旅を楽しむ最中なのでした。 というわけですので、正月明けのとある平日の昼間に池袋から代々木に向けて明治通り沿いにある喫茶店を訪ね歩いた時のことを報告することにします。池袋から千歳橋を経由して早稲田に至るまでは都内でも屈指の喫茶店過疎地帯になります。かつて蔦の絡まる古い店舗で知られた「般若」がそばで営業を再開していますが、今のあれは果たして喫茶店と呼んでもいいのやら疑問です。 明治通りから逸れて学習院女子大学の辺りになると突然喫茶店が次々と現れ出します。最初の一軒は「珈琲 ロイヤル」です。薄暗い古びたビルの二階に伸びる階段を上がっていくとさほど個性的というわけではありませんが、なんかホッとできる憩いの空間が広がっていました。テーブルゲーム機目当てのランチ客が多いのも場所柄なのか。今ではスマホやら何やらでいくらでも遊べるのにわざわざテーブルゲームを楽しむオヤジたちにどういうわけか共感を感じてしまうのでした。 続いては「サイフォンコーヒーの店 メルヘン」にお邪魔しました。戸山の団地にある団地商店街の一軒でとても繁盛しています。こちらもちょっとだけ本格的な正統派喫茶の趣がありますが、お客さんが多いためじっくりと雰囲気を味わうわけにはいかないようです。奥にも客席があるようてすが、あまりうろキョロするわけにもいかなさそうなので自重して大人しくコーヒーを味わうとあまり長居せず席立つことにしたのでした。 商店街にもう一軒喫茶店がありました。「COFFEE・FOODS 磯詩樹」です。表からは店内も見えずなんとなく危険な感じが漂っていますがこれを逃すともう二度と入ることはないかもと思ったので勢いで入ってみることにしました。入ってすぐに失敗したなと思いますが後の祭りです。どうでもいいと言っては見も蓋もありませんが実際見るべき細部さえありません。しかも酔っぱらいのおっさんが雄叫びを上げたりしてちっともくつろげない。これがもしもたまたまだったとしても、それは客にとっては不愉快極まりない体験であるということは店の方も当然理解すべきではないかと思わざるを得ないのでした。 とまあさほどの出会いはなかったもののそれなりに楽しんだわけですが「珈琲茶館 デミタス」、「珈琲 瑠奈」などなどまだ未訪の店もあって、「喫茶 マリエール」にももう一度お邪魔したいなど、まだまだいろいろお知らせすべきお店もあるやもしれませんが、取り急ぎここまでといたします。
2015/03/22
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錦糸町という町は相当に呑み屋も多く個性的な店もあまたあるのですが、何度来てもここぞと言うほどの店はなくて、しかも競馬が開催される日にはJRAの開いているうちこそ町は活況を呈しますが、それ以降はパッタリと逆脚が途絶えるのか、一挙にゴーストタウンのような人気のない暗く物悲しい呑み屋街に変貌するのでした。そんな町が変貌を遂げんとする狭間の時間帯に錦糸町駅前にS氏と降り立ったのでした。 どうしてこれまでこの酒場の存在を知らずにおられたのか、そんな風に思ってしまうほどに駅からすぐにあって、しかも大いに目立っているというのにこれまで視界に入ってこなかったようです。「手造り 丸源」という屋号を読んだだけではなんの店だか判別するのは困難で、普通に想像してみればおでん種の練り物店とか豆の問屋さんとかいう辺りが正解な感じですが、紛れもない立ち呑み店なのでありました。店に入った途端にあと10数分でラストオーダーだよと目つきの鋭いオヤジにいきなり気勢を削がれるのでしたが、気にしている時間はなさそうです。それにしてもこれほどまでに活気があってしかも典型的に盛り場の立ち呑み店らしい雰囲気が横溢した酒場に気づかずにいた事が今更ながら残念に思われるほどです。一見の客には止まり木でやるのが気楽ですが、注文を通すのも難しそうなのでコの字カウンターの空きスペースに陣取ります。案の定注文はすんなり通ったわけですが、その理由はあまり嬉しくない形で間もなく判明するのでした。と勿体振るまでもなく隣のオヤジというのがかなり質の悪いおっさんで、周囲の彼に負けず劣らずの濃いオッサンたちをも鼻白ませるほどの強烈なアピールでわれわれを急速に疲労困憊へと追いやるのでした。 ということもあって次の酒場を決めるのは、瞬く間であったのでした。「加賀屋 錦糸町店」です。 暖簾分けの店でも一定のルールを遵守しつつ、独自の営業ポリシーが感じられる「加賀屋」系列は玉石混交と言えども一度は行っておいても良いと思っているのですが、さすがのぞうしよくぶりになかなか追いつけていないのでこれはまあちょうどいい好機と考えるべきなのでしょうか。真新しいビルの地下へと降りていってもこの系列で感じる興奮はまるきり芽生えることもなく、機械的に店の味気ないテーブル席に通されて、品書きを眺めるにいすれも系列の相場からは大いにはみ出て高価なり、ここは錦糸町では高級店の一軒なのかと瞬時にウンザリさせられるのでした。唯一の救いと言えばここが高級店であったためか、ものすごく可愛い女の子が男性二人を従えて、しかも端から眺めるといかにも手玉に取っていることはあからさまに、彼らに感情移入しながらも虚しい結末が待ち受けるのを見守ることができたことぐらいでしょうか。
2015/03/21
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綾瀬と堀切菖蒲園のちょうど中間くらいの場所に喫茶店がかつてありました。何度かこの前を通過して、営業していないものかと様子をうかがっていたのですが、まったくやってる気配がない。もはや営業していないものと諦めていたのですがこの夜はどういう気の迷いかふと路地に入って店を眺めてみるとなんとやっているではないですか。 ところがちょっとばかし様子が変です。かつては「静」という喫茶店だったはずですが今見ると居酒屋の看板が置かれています。どうしたのでしょう。ともあれそれは店に入ってみないことには明らかになりそうもありません。店内の様子を見て、合点の行くところとどうにもアンバランスな箇所が入り混じっているのです。早速お酒をお願いして、マスターと会話を試みることにします。聞くと以前確かに喫茶店をやっていたそうで、装飾やソファなどのインテリアにそれらしき名残りが見て取れますが、どことなく違和感も感じます。それは喫茶店をやめた後にしばらくスナックをやっていたらしいことも関係するのかもしれません。カラオケにのめり込んで酒すらオーダーせぬ客たちに嫌気が差して居酒屋として再出発することになるのですが、駅から遠いこの立地ではどうにもならないとため息混じりながら案外あっけらかんとした口調で語られたのでした。ところで50年近い年季があるというこの建物はもとはお好み焼き屋だったということで、言われてみれば座席の配置にそれらしき雰囲気が漂い出します。どこがどうと具体的に形を持っているわけではありませんが、店に醸される雰囲気がいかにも雑多な商売を遍歴したことをそっと物語ってくれます。そんな物思いに耽る余裕もないくらいにひたすら主人は語り続けるんですけどね。 随分と歩いて堀切菖蒲園の駅までもう少しという場所が近づくと「定食 まつお」という寂れた中華料理店風の大衆食堂があります。せっかくなので寄らせてもらうことにしました。長いカウンターにテーブル席も多い結構な広さのある店内ですが客はお一人だけ。夫婦でやってる店の奥さんの方とお喋りするのが生き甲斐とでも言うようにやたらと声を掛けています。これといった代わり映えせぬ品書きですが、びっくりしたのはお通し代わりにサービスで出してもらったお新香の量が食べ切れるだろうかと思うほどでしたが、これがなかなかに美味しくてこれなら他につまみはいらなかったなと思ってしまうほどでした。しかもお勘定してこれが無料だと知ると何とも言えぬ喜びを感じるのだから、我ながら簡単な客であるわけですが、こうしたサービス当たり前にやれはいいのにと思うけれど、これだけやってもこの空き具合となるのだから、商売ってなかなか難しいものなのてすね。
2015/03/20
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とにかくこの酒場に通いつめてさえいればそれはそれでかなり充実した酒場ライフを遅れるのではないかという何軒かの酒場があって、たまたま自宅のそばにそうした酒場がないものだから、夜な夜な勝手知らぬ町を彷徨うことにもなるわけですが、そんな一軒が都電の荒川線の経路にあって、もう何度かこのブログでも登場しているのであれこれ言うつもりはないのですが、ただ一つ言いたいことがあって、それはこうした酒場のそばには、他にこれといった酒場がないことです。まあだからこそその酒場は孤高の存在として店を続けてこられることにもなるのでしょうが、それでも当の酒場を目指して辿り着いてみると店は休みだったなんてことが度々続いてしまうと、さすがにこの界隈にはもう一軒くらい立ち寄って良さそうな酒場があってもいんじゃないかと思わずにおられぬのです。そんな一軒は表題通りに庚申塚の電停にあるわけで、その酒場を訪れては空振りして途方に暮れるということが続いていていい加減ウンザリしていたのですがとうとう使い勝手の良い酒場に巡り会えたのでした。 地蔵通り商店街のほぼ末端の飲食ビルの細長いアプローチの奥にその酒場はありました。「のみくい処 みょうが屋」という店名だけ見ると隠れ家風の料理自慢の小料理店という印象で残念だけど素通りさせてもらうよという類のちょっと気取ったたまに行くならこんな店みたいな感じですが、ご安心を。店先には有り難くも心強いメニューが置かれていて、こうしたタイプの店に多いのですが、メニューを眺めていると店の方がこちらの気持ちを見透かしたかのようにすっと店の人が姿を見せて、メニューを眺めるまでもなく仕切りに入店を促してその懸命な態度にむしろ危険を嗅ぎ取って、軽く断ってみようものなら心にぐさりと突き刺さる舌打ちを聞かされたりするものです。こちらは入口との距離があるのでそんな心配は無用、心置きなくメニューをめくって眺め倒し、注文の方針をがっちり決めることもできてしまいます。店の方は男性二人ですが安心しても良さそうです。給仕の方はちょっとユニークですが至って丁寧。名物にしようと考えているらしい手羽先唐揚げなどもお手頃だし味もいいのです。カウンターは少ないものの二人掛程度の小さめのテーブル席が案外良さそうです。次回はテーブル席にしようかな。心配なのがお客の入りが今ひとつなところ、なかなか良心的な良いお店ですが、巣鴨駅からも遠い立地なのが原因なのでしょうか。それでもぼくにとってはついでという消極的な理由ながらもあってくれると助かる便利な酒場となりました。 さて、伺ったのは「庚申酒場」です。本当のところやってるなんて思ってなかったので素通りするつもりだったのですが、思いがけず店に明かりが灯っていたので思わず入店しました。近頃めっきりやってることが少なくなったので嬉しいことです。女将さんはいくらか元気がなくなったように感じられますが、それでも足の状態はいくらか良くなったようでなによりてす。お客さんは最初いなかったのですが、やがて初めてという方が一人で来られて緊張気味だったのですが、やがて打ち解けて女将さんと店の雰囲気を存分に楽しまれたようです。いつまても呑んでいたいのですが、ここでは何度かこの雰囲気に呑まれて痛い目にあってるのでほどほどにして引き上げることにしました。
2015/03/19
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昨年の暮に木場には来ていますが、どうにも消化不良のままで呑みを終えることになってしまったので、出直して改めて木場を満喫することにしました。木場の町って場末のイメージが付き纏うのですが、実際に町を歩いてみると整然と整備された古い建築のほとんど残らぬ味気ない町並みが広がるばかりで、イメージと現実とのギャップが大きいのはとうに知っていたこととはいえ、何度か歩けば思いがけぬ出会いがあってくれてもいいのではないかと甘えたくもなりますし、きっとそんな風景もあるに違いないのですが、今回は入りがちょっと遅くなってしまったので、あまりグズグズと散策している暇はありません。 そんなことから一軒目は、目についた酒場に迷うこともなく吸い込まれたのでした。目に留まったのは「食事処 おでん 和」てした。格別どうという店ではないのですが、真新しいビルばかり立ち並ぶこの地にあってはそれなりの風情を感じさせてくれます。店はせいぜい5、6席ばかりのカウンターだけで、先客はお一人だけ。女将さんは迫力のあるきつそうな感じの方に思われました。おでんを数種注文して店内を見渡すと、あゝ、またしてもまいうーの色紙が飾られています。まいうーのおデブな人は一体どれほどの飲食店を巡り歩いているのだろうと、うそ寒い心持ちになることしばしで、しかもこちらのおでん、けして悪いというわけではないもののとりわけ美味しいということもないわけで、こうしたごく平凡極まりない酒場の一軒に訪れるという理由が不可解でならないのです。それでもそう長くない滞在でしかめっ面の女将さんと常連さんと親しくなれるのがここ下町の良さなのだろうなと思うことにして次なる酒場を目指すのでした。 次に行ったのは「食べ処 飲み処 諏訪」というお店でした。かなり長くて奥にも座敷だかがある思った以上に広いお店で、基本的には食事処なわけてすが酒呑み向きの肴も非常に充実していて、これはもうはっきりと酒場のカテゴリに分類してしまって支障はなさそうです。客の入りはさほど良くもなくしばし肴に問題があるのではないという不安に駆られるのですが、出される肴はハズレがなくて実機結構なことです。揚げ物類は特にお値ごろです。酒場にあっては人々の会話を盗み聞きしてそれ肴に呑むというのがをこの上ない楽しみであるわけですが、ここでは一人客が主体なためそれは期待すべくもありません。なので店内をキョロキョロと眺めて呑んでいると一匹の猫が入ってきました。猫のジュピター、店の人に言わせると最近デブと呼ぶようになったらしいのですが、彼女の連れなさぶりをぼんやりと眺めて呑むことが、近頃珍しく仕事で忙しいぼくにとってはこよなく贅沢なひとときに思えたのでした。
2015/03/18
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どういう気の迷いなのか全く想定していなかった東青梅駅で下車してしまいした。通常の精神状態であれば自宅までまだまだはるかな東青梅で下車することもなかったであろうに、疲労と空腹がもたらす想定外の酔いの速さに戸惑いつつもまだ一日を終えるには早過ぎます。この時間であれば武蔵野線を始め幾つかの回り道をするという工夫の仕様もあります。 それはともかくとして勢いで下車した東青梅駅の駅前は何とも言えない寂しさで多少なりとも飲食店はありますが、それも改札を出て表を見渡した範囲内に限られるようです。選択肢もほとんどなかったなかで、ここぞと見きってお邪魔することにしたのは、「鳥の玉串 駅前店」でした。屋号からは焼鳥店であることが予想されますが、果たしていかなる酒場でありましょう。店に入るとカウンターと小上がりがあるごく普通の造りでありますが、それでもなかなかに長い年季のあるお店であるのが一見して見て取れます。カウンターで一人おじさんが呑んでいる以外は、客の姿がなくちょっと寂しいかな。しばらくすると奥の座敷から賑やかな声が響いてきて、実は10人ほどの客があることが分かりますが、それもどうやら店主の家族のようです。カウンターのお隣さんはかなりのご機嫌振りて、しきりとこちらの名物らしき鶏の半身揚げを勧めてきます。揚鶏のお店だったようですね。 揚鶏というと自由が丘や柏なんかにもよく知られた店がありますが、都内近県てはあまり普及しておらずいずこも結構な料金を取られたりするのでー立石のお店は高くもなかったようなー、一瞬躊躇しますが空腹とおじさんの期待に満ちた熱い視線に負けて、注文してしまうのでした。お勧めするだけのこともあって確かにうまい、むさぼるように隅々まで大骨以外はほぼ余すことなくしゃぶり尽くしたら、当のおじさんも店の女将さんも驚くほどでした。値段もお手頃でたまには揚げたのも旨いものです。都内で食べさせる店を調べてみようかな。 さて、この短い旅の最後の下車駅にしたのは福生駅です。さほどテレビで見ていて記憶に残るような酒場ではありませんでした。と言うよりはむしろなんの特徴もない、せっかく青梅線に取材に来たのだからついでに立ち寄っておこうという消極的な理由しか番組を見た限りでは思えませんでした。「酒悦処 みづほ」は、駅からそう遠くない商店街の路地にひっそりとは正反対のあからさまに情緒のない姿で佇んでいます。想像以上にありふれたお店で、その印象は店に入っても変わることはありません。入ってすぐにはこの特段変哲のない居酒屋にそれ程までに長居することになろうとは思ってもいませんでした。元気で陽気な若い女将さんが自ら自虐的に番組で放映されることになった時に、取材の申し込みがあった際うちは代わり映えしませんよと遠慮したそうですが、是非にとの申し出に応じて番組を見てみたら吉田類氏は特に目立った何かがあるわけでもないというような事を店を出てから語ったと、その割には苦々しさもなく、脳天気に語られたのでした。この大らかな女将さんがこの店の持ち味のようです。そんな会話を交わしていたらカウンターに二人だけいた凸凹コンビ風のリタイアおじさんたちが絡んできます。古い映画や小説のことなど見かけによらず博識のようで、昔とった杵柄という事でもありませんが、彼らの話題であれば十分についていけます。そんなこんなですっかり気に入ってもらえたようで杯が空くたびにご馳走してくれて、ひたすらに呑み続けることになりました。おじさんたちも楽しそうですが、ぼくも大変楽しかったです。女将さんはミスタードーナツやらをお裾分けしてくれてツマミにも事欠きません。去り際にはいかにも残念そうにまた来なよと嬉しいことを言ってくれます。いずれまたきっと訪れたいと思います。
2015/03/17
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奥多摩に後ろ髪を引かれますが、楽しみはまたの機会にとっておくことにして、うかうかしていると帰宅できなるかもしれぬ青梅線なので、ひとまずは青梅駅まで退散することにしました。随分とご無沙汰してしまった青梅駅、酒場巡りを始めてからは発の訪問となります。近頃名産の梅が病気でピンチに陥っているという話をニュース番組で耳にしていましたが、最近ちっとも噂を聞かなくなりましたがどうなったのでしょうか。まあ、夜も更けてから訪れるような無粋な人間にとっては梅は眺めるものではなくて食べるものでしかないのだから、実際のところはさほど気にしてもいないわけなのです。かつては都内とは思えぬ田舎臭い町という程度の認識しかありませんでしたが、降り立ってみてこれもまたテレビの情報番組で見かけたような奇妙な町づくりが推進されていたのでした。というのが町中に古いーそうは言っても戦後ー映画看板がそこかしこに張り巡らされているのであって、いかなる縁があるのかはすっかり忘れてしまいましたがどうやら赤塚不二夫のオールタイムベストの映画から選ばれているようです。当時の映画ファンの一般的な名作と呼ばれるような作品ばかりで、ぼくにはいかにも俗に感じられるのでした。それにしても青梅市はこんな半端な郷愁主義で集客を見込んでいるのかと思うとうそ寒い気分です。 駅の周辺には酒場も少なく、一度行きたいと思っていた「もりたや」はお休み のようです。さすれば目当ての「やきとり おでん 銀嶺」を早速目指すことにしましょう。やってます。ここまで来て入れないのは残念なので一安心です。想像したとおりの枯れた酒場で、満席で入れないこともあり得るものと覚悟していましたが、実際に入れなかったら時間を潰すのに結構難渋しただろうと思われます。カウンターの奥には居間のような座敷がありますがここは使われることはあるのでしょうか。いきなりですが便所を借りるとこの座敷の奥にあるのでした。最初はよそ者が闖入したかのような疎外感がありますが、強面ながら実は気さくそのものの女将さんとの会話をきっかけに先客の常連たちともかねてからの知己の間柄のように親しくしてもらえました。青梅の酒場のことーそうそう女将さんは、先ほど立ち寄った奥多摩の老舗酒場のおばあちゃんのこともよくぞ存じらしく元気だったとか奥多摩の一昔前の酒場事情なども教えていただきましたーや鉄道の旅の話題ー隣の常連の爺さんが背後の壁に貼られた国鉄時代の鉄道路線図を指してこれは貴重だろうと自分のもののように自慢するのでしたーなどでしはし歓談してから席を立ちましたが、入った時と顔ぶれはそのままなのでした。 駅方向に引き返して次はどうしようか思案しつつ歩いていると民家らしき木造の一軒家に看板らしきものが見えます。舗装もされていない獣道のような小道を進むとどうやらここは居酒屋で間違いなさそうです。「おふくろの味 お酒処 津(みなと)」というお店でした。引き戸を開けると案外こざっぱりとした清潔なお店ですが、客の入っている様子がありません。奥で休んでいた女将が面倒臭そうに席を立つと注文を聞くと、こちらが話しかけてもいかにも鬱陶しいという表情を隠そうともせず見も蓋もないのでした。奥には座敷がありますが使われていないようで、カウンターの背後には樽がドンと置かれ小上がりとしての機能を無駄にしていますがそれでも差し障りはないのかもしれません。都内山間部の方たちは人懐っこいという印象を持ち掛けていたので、ここの女将さんの応接ぶりには面食らいますがこれはこれでいかにも酒場らしくて悪い気はしませんでした。それに何よりここはロケーションだけでも十分に味わいがあるのであり、それがあればあとはもうどうでも良くなるのでした。
2015/03/16
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桶川駅に引き返していくと十字路の角に「喫茶 やまびこ」の廃墟があります。かつて宿場として栄えた頃の名残でしょうか、たいそう立派な店構えです。そのそばにはとうの昔に打ち捨てられたらしい呑み屋横丁もあって往時の活況を物悲しい姿で留めています。さらに線路沿いを歩いていくと「パーラー みどり」なるこちらもやはりかつての町の繁栄を窺わせるお店もありましたが、こちらはつい最近になってから閉店されたようです。まだまだどこまでも線路に沿って進むと「焼鳥 とん平」という焼鳥店がありまして、ここがなんともぼく好みの裏寂しさで心を鷲掴みされましたが当然まだ開店となるには時間が早過ぎます。 そんな線路沿いの道をプラプラ歩いていくと「珈琲 きたの」という喫茶店がありました。表から眺める限りではいかにもありきたりな民家そのものでしかありません。さほど期待はしていなかったのですが、桶川に来る機会もそうそうないはずーだったのですが、そう遠くないうちに再訪することになりそうですーなので、せっかくだからお邪魔しておくことにしました。店内は思ったよりずっと純喫茶していて黒い革張りのソファも硬すぎず柔らかすぎずで座り心地もよく落ち着きます。ぼちぼち昼時でランチセット500円も気にならないわけではないのですが、先のことを考えると食べ過ぎてお腹の調子が悪くなると列車の旅に支障があります。心地よく陽射しが入る窓越しに人通りもなく全く変化しない外の様子をじっと見つめていると時間を忘れそうになりますがそうのんびりもしていまれません。次なる町を目指すことにしましょう。 ついで訪れることにしたのは北本駅です。先に来た道中をまたもや引き返すことになります。車窓からは「珈琲 きたの」がすっと視界を横切りましたが、よほど注意していない限り気付かぬまま通り過ぎていたはずです。北本駅前から少し歩くと何やらありがたい名をつけられた商店街がありましたが、すっかり失念してしまいました。やがて市役所だったか立派な庁舎があってその向かいに「珈琲 わ・を・ん」があります。マダム風の女主人がちょっと冷ややかな視線を向けますが気にしてはいけません。ウッディな格調のある内装で統一され、素敵な木製チェアの配された店内は純喫茶とは幾分趣が異にするタイプのお店ですがこれはこれでなかなか素敵です。ビタミン補給を狙って頂いたベジタブルジュース?は、ここもマダムのこだわりが感じられる細長いグラスです。うっかり倒さぬようちょっと緊張しつつ頂いたのでした。 ところで、八高線に乗車するという当初の目的はどうしたのか?実は先の喫茶店で慌てて時刻表を調べてこれから八高線に乗り継ぐのはちょっと無理があるなあという結論に至っていたのでした。ここで幾つかの経路が頭に浮かぶのですが、結局は極力避けたかった新宿経由を選択することになったのでした。立川駅で青梅線に乗り換えただけで早くも風景は田舎びて感じられます。どうしても奥多摩に行くまでにひと駅位は下車しておきたいものです。 駅舎が懐かしい東中神駅にて下車しました。駅前に巨大な団地が立ち並ぶのも眺めていて飽きさせませんが、そうそうノンピリもしていられません。 いかなる理由からかくじらロード と名付られた団地商店街を眺めながらロータリーを歩いているとそのものズバリの「パーラー ロータリー」がありました。駅前の絶好の立地にあるためか閑散とした商店街の中では活気を感じる程度にはお客さんも入っています。内装はごくごく抑えめでもの足りませんが、住民の方たちには愛されているようです。腰の曲がったが80歳はゆうに超えていると思われる婆さんがテイクアウト用に生姜焼き定食をオーダーしています。失礼ながら相当ヨボヨボなのに大食漢のようです。さて途中下車はこれで取り敢えずは封印して、奥多摩を目指すことにしましょう。奥多摩についたら早速酒場に向かうことにしましょう。
2015/03/15
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親しくしてもらっている獣医師のK氏とまたしても呑むことになりました。互いに帰宅の便を考えると浅草ってけして便のいい町ではないのですが、さすが大歓楽街ということもあって時折足を運びたくなるのでした。でも最近のお気に入りは雷門や浅草寺などの観光とは無縁の裏浅草方面。と言っても迂闊に入ると思わぬ散財を強いられてしまいかねぬ危険性は隣り合わせていると思われ、うっかりと酔っ払って気持ちが大きくなって地獄に一直線なんてことにならぬよう気を付けねばなりません。 知る人ぞ知るなどと勿体ぶるまでもない豆かんの名店「梅むら」ー各地の有名店の豆かんはかなりの数を頂いていますが、いまだここを凌駕するだけの味に出会えていませんーの斜向かいに「もつ久」はありました。あまり飾り気のないところが渋くてまさにこれこそこそ裏浅草らしい粋なスタイルと感じ入ります。しかしここで気を抜いてはなるまい。裏浅草にあっては気のおけない酒場と思って入った酒場がおもいかけぬ勘定で跳ね返ってくることはよくあることです。でも屋号のもつの部分だけに頼って暖簾をくぐってみるとまさしく危険な方面に足を踏み入れたことに気付かされます。でも大丈夫、今晩はスポンサーがいるのです。もつを焼く香ばしくも煙たい気配など微塵もなく、きっと居抜きで屋号はそのままに引き継いだに違いありません。割烹着という田舎町では、いや今では老女の営むごく限られた酒場でしか気を抜いてならぬ、まだまだ色気満載の女将さんが出迎えてくれるのも警報を打ち鳴らすに十分な理由となります。大根の皮のきんぴらやら身の部分の煮付けやらいかにもな家庭の味がいかほどの勘定に反映されるのか、好奇心が芽生えるのと同時にただならぬ不安感に見舞われますが、ほんわかとした魅力的な女将のお仕着せがまくない接待ぶりにやがて単なるいつもの酔っぱらいと成り果てたのでした。誤解のなきように一応いい添えておくと、ぼくはけしてK氏を食い物にしているわけではなく本当にこの人と呑むことが楽しくてしょうがないのであって、けして入りの良くないこの店に時折姿を見せるお客さんが姿を見せては露骨とまではいわぬまでもぼくの目にはいかにも女将キラーでありたいと願う下心が透けて見えてむしろ清々しい程ですが、その好きを縫うように色気のないわれわれは邪魔者以外の何者でもなかったはずですああ十分酔っ払ったようです。すでに何品目かは定かでない肴の数々もここらでストップして次なる酒場を目指すことにしたのでした。ちなみに値段は驚くようなものではなかったと申し添えておくことにします。 長くなったので、次に伺った「お多福」のことは控えめにしておくこととします。店構えと玄関までのアプローチ、暖簾くぐって伸びるカウンターまでは紛れもなく名店の佇まいでかなりの好印象。奥に通されいかにも付け足しに設けられたらしい新しいフロアーに興ざめするだけでなく、品書を眺めるにつれこのいかにもお上りさんを食い物にしたとしか思えぬ価格設定に忸怩たるものを感じずにはおられません。ここはおでん屋でしょう、おでんは庶民のささやかな普段着の肴でしかないはずなのにこれはないだろうと、一人憤慨するのですがK氏はさすがに大人です。動じる風もなくここをはじめて訪れた際の思い出を語ります。ほくは果たしてこの先ここを良い思い出として語れるだけの技量があるのかと考えると暗澹たる気分にならざるを得ないのでした。
2015/03/14
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たまたま田端の某立ち呑み店ーちっとも隠す理由がないーで呑んでいたら、いつものT氏が登場。互いに結構頻繁に出入りさせてもらっているはずなのに、現地で遭遇することなどついぞないことだったので、ついつい嬉しくなってそれじゃもう一杯ということになるのでした。田端でちょっと前に開店したばかりの酒場へ連れ立って向かったのですが、その取り立てて味のない雰囲気に気が乗らぬこと目に見えて察せられる。それではしばし歩いてみようかねとふらふらしている間にこれという酒場もなく、いつの間にやら駒込を間近にしたのでした。いつも山手線の車窓から眺めているソープランドを横目に通り過ぎていきます。山手線の下を潜って山手線の内側に入ると逆に寂しくなることはよく知っています。でも一軒T氏が好きそうな場末酒場があったはずです。ようやくそこにたどり着いたところで、 T氏はなんとはなしに奇妙な表情を浮かべました。 そのお店とは「ほろ酔い亭」のことで、まあありがちといえばその通りと応えるしかないどうということのない酒場なのであります。ガラスの引き戸の粗末と言ってもさほど失礼とは言えぬような店にはそれなりに客も入っているようです。その女将さんらしき方に控えめながらもしつこく食い下がっているのはどうやら通信カラオケのセールスマンのようです。呑み物3杯に肴も3品のセットは、女将さんの指示により常連さんが用意してくれました。この常連のおじさん、女将さんにまるで頭が上がらないらしくいいように使われても笑みを絶やすことがありません。恐らくこの店があることが人生の支えとなっているかのようです。セットの肴は非常に貧弱で乾きものがメインですが、いずれもつまむその場から次から次へと追加され、テーブルはどんどん賑やかになります。セールスマンが引き上げると女将さんはぼくを見て、以前来たことあるでしょ、あっそちらさんもとT氏をしげしげと見つめたのでした。この言葉でT氏もここに来ていたことをようやく確信したようです。こちらのお店、ここ数カ月閉めていたよう、足を悪くして入院されていたそうです。そのせいもあってか大変ご機嫌がよく、5,6杯はご馳走になってしまいました。それより何より愉快だったのがこの女将さんの世が世なら弁護士にもお姫様にもなれたかもしれぬという冒険に満ちた流転の人世をお話いただけたこと。眉に唾して伺ったもののまんざら誇張が混じっているとは感じられませでした。まだまだ旺盛かつ貪欲な目標のある女将さんは今度はスナックをやりたいと意気揚々と語られたのです。 続いては駒込の商店街というより人通りも少ない飲食店街であるアザレア通りのどんづまりにある「もつ田」に久しぶりにお邪魔しました。店名から察せられるとおりのもつ焼店ですが、前回お邪魔した際も思ったのですがなんだか活気のまるで感じられない寂しいお店です。入口すぐのカウンターでこの前は一人で呑んだななどと思い返しつつ、今回は二人だし第一、他にはひとりお客さんがいるばかり。閉店時間なのか入りが悪いので早目に店じまいすることにしたのか、もうすぐ閉めると告げられます。先ほどの店で長居しすぎたのは確かですがそれにしても仕舞うのが早すぎるようです。でも呑み始めてみるとそう急かされることもなく、むしろのんびりとしたペースでゆっくりして下さいという応対に変化していたのでわれわれが結構酔っていると思われてしまったのかもしれません。確かにそこそこ酔いが回っていたようで近頃めっきり翌朝に響くようになってしまい極力避けるようにしていた日本酒に手を出してしまったのでした。そういうわけもあって今回は肴は控えめにしたので、そちらの感想は特になしです。ただ店主の手造りと推測される安普請の内装が妙に心地よく感じられ、段差のついた床も楽しく結構好印象なのでした。
2015/03/13
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町家に来ました。ぼくの知人ー友人と言ってもいいのですがどうにも気恥ずかしいーは、まあせいぜい片手にも満たぬ訳ではありますが、その中でもっと注文が喧しい、というよりある意味では保守的な考え方を押し通すことも少なくないのは、あくまてもアルファベットの字面からは温厚さの典型となるべき、O氏ではありますがその実態はかなりの辛口タイプで、歯に着せぬ物言いでしばしばぼくを鼻白ませむとすることしばしなのでありました。まあそれはともかくとして、われわれにとって一方では、酒場の聖地ー酒場なんて存在に聖地なる言い回しが適当とは到底思われませんがーというものがあったとして、町屋という土地も時にそうした呼ばれ方をするようでありますが、それは私見では明らかな過大評価と思われます。確かに世間的にはよく知られる酒場も何軒かあったりもしますが、評判通りとは必ずしもいかず、むしろ評判倒れの酒場が主流だったりするのではないかと思っています。 過去の経験は経験として、取り敢えずは町家に来てしまったわけで早速町屋を楽しむこととしましょう。そんなことで最初に選んだお店はベタもベタな店名を持つ「まち屋」にしました。もう少し工夫のしようがあったのではないかと思わぬでもないまだ真新しいお店は若い夫婦でやっています。カウンターだけの夫婦二人でやるには適当なキャパのお店ではありますがそれもこれもお客さんがいてこそのこと。残念ながら先客は2名のみです。品書きを見てわれわれ思わず互いの目をちらりと交わして、最善かつ短時間で店を出ることに決めたのでした。もともと町家の酒場の多くは思ったより値段が高いのですがここはちょっとこれでいいのかという強気な価格設定。いつも値段のことばかり言っているようで恐縮ですが、限られた小遣いの中でやりくりせざるを得ない身にとってそれは優先すべき事項の上位に位置することはやんごとなき事なのです。こうした価格設定をするのは勝手ですし、文句を言うべきことでもありませんが、世間には相場というものがあるのだから周辺の相場をリサーチして、そこからはみ出るようであれば分かるように何かしらのサインを出すことは店側の良心ではなかろうかと、何もそこまでという苦言を呈したくもなるのでした。 斎場方面にしばらく北上すると「山三」という古くからある町でちょくちょく目にする屋号の枯れた居酒屋がありました。普段なら少し迷ってしまうような味わいがあるようなないような、ぎりぎりの境界線上にあるような雰囲気のお店でした。店に入るとすぐにああなかなか良いお店だなあとその定番的な安心感に包まれます。呑む前にまずは小用を済ませるため便所に入るとそこに本日生ホッピーがお得であるとの告知ありー確か300円だったかー、久々の座敷席に戻るとO氏の希望を尋ねるまでもなく、生ホッピーを注文します。普段なら割高な生ホッピーを注文したことにやや怪訝な表情を浮かべつつも、大凡ぼくの思考を知るO氏もわずかの沈黙の後にぼくに追従します。さて、こちらのお店、庶民的な価格と気のおけないリラックスした雰囲気で老若男女でそこそこの繁盛ぶりです。肴は値段にかなりの幅があって迷わされますが、贅沢を律すれば安価で呑むことも充分可能であります。まだ生ホッピーのカラクリを知らぬO氏、呑みにまだ弾みがつかぬ様子。いい加減安心して呑んでもらおうとトイレに誘ったところ合点した表情で戻って来ました。店内にはどういうわけかこの張り紙はないんです。お得なものなら金に糸目を付けぬ、根っからの安物買いの銭失い性癖の染みついたわれわれのことなので、当然その後はひどいことになったのですが、その仔細はみなさま方のご想像にお任せします。
2015/03/12
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新橋という町は定期的に呑みに行っていますが、どうも行くまでが億劫でその理由というのが、どこへ行っても混んでいるからという我ながら根性無しの情けない理由なのでありますが、都心で呑む以上は幾分なりとも避けようのない事とはいえ、新橋は町中が酒場のような雰囲気です。それは例えば一棟、いやここは二棟な訳ですが、新橋駅前ビルなどは、ぼくが日頃足繁く訪ねている場末の町の酒場などすべて収容できてしまうほどじゃないかというくらいの充実ぶりです。それも数だけではなくて、立ち呑みからスナックまで多様な業態があたかも一つの町と言っても過言ではない程です。そんな駅前ビルではありますがひところハマってせっせと通った挙句に飽き飽きしてしまうというのはいつもの事であります。この夜はT氏からズバリ駅前ビルに行こうとの誘いを受けたのでまだ覗いたことのない酒場もあるはずなので、少しだけウキウキとした気持ちで新橋を目指したのでした。 2つのビルを行ったり来たりとひとしきり眺めてみると、見知らぬ酒場がどうやら増殖しているように思われます。それが単に改装しただけで中身は全然変わっていないのやら単に記憶力の問題なのか定かならざるところもあります。ともあれ新しいお店は以前はそれほど見かけることのなかった若い女性客も多くて、とてもうっかり立ち寄る気にはなりません。しからばと訪れたのは、1号館2Fです。1号館2Fは以前はそれこそスナックと雀荘が主流だったという印象ですが、女性好みのカジュアルなビストロというかパブのようなお店ができていたりして様子が変わりつつあるようです。そんな2階の裏手に「壱番館」というお店があって立ち呑み営業をしていました。カウンターだけのお店には、入口付近にやっと居場所を見つけられるほどに混み合っていました。母娘のお二方が長年スナックをやっておられたと言うにしては随分とおっとりとホンワカした空気を湛えていたのがまずは安心させられます。実際呑み物やカウンターにずらりと並ぶ肴類は新橋の立呑みの相場であって、安心して呑むことができます。店の優しいお二方は代わる代わる不躾なぼの質問にお応え下さり、時代の要請に応えたのよと清々しい笑顔でお答えになります。客たちもまた懐事情に変化があったのかなかったのか実にくつろいだ笑顔を浮かべ実に楽しげですきっと店の方針変更は正解だったのですね。次にお邪魔するときにはまた全く別の表情となっているのかもしれません。 続いては2号館1階にある「くまもと 新橋店」です。ついぞこんな居酒屋があったとは知らなかったものの表から眺めるとーって言ってもビル中から入り口を眺めたという意味ですー、かなりの年季ある店らしき雰囲気です。店内に入ってみると長テーブルがずらりと並ぶかなりのオオバコです。カウンターはありませんがこういう酒場の席の配置は、王子の「山田屋」を代表に据えてみると酒場の本来のあるべき姿のように思えてきます。実際、混雑しすぎると気づまりとなることは致し方ありませんが、適当な距離感を持って座して呑むことができたなら、これはやはりよく出来た仕組みだと思われます。ところで肝心のこの「くまもと」さんは、程よい距離というよりもゆうに100人は充分収容できるはずでありながら、われわれの他に客は片手で収まるほどです。これはいかにも寂しすぎる。確かに、値段はそう安いわけではないー格別高いわけでもないー、旨いものが出てくるでもないし、店の人に愛嬌一つあるわけでもない、てもこれだけに狭小酒場が密集する中にあって、これほどのビアホール程にも広い酒場があることがこの駅前ビルの広いところと思いたくもなるのでした。 大阪の梅田にもよく知られる飲食街を含む巨大ビルーしかもそちらは3棟ーがありますが、都内の酒場ビルの代表として負けずに健闘してくれるよう微力ながら応援し続けたいものてす。
2015/03/11
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職場にひどい躁鬱のお兄ちゃんがいます。病気ということを差し引いても人間的にどないなものかという性格の悪さもきっちりと持ち合わせていて、幾度か脅しつけたことも無きにしもあらずなるのでした。でも本音で言うとこの病気持ちで正確にも難のある彼氏のこと、別に嫌いではなくむしろ同世代の調子がいいばかりの面白みのない連中よりはずっと好きで、彼氏もかつては不愉快なことを語ってぼくを激怒させはしたものの、けして僕のことは嫌いではないようで、まあ付き合って特はないけどそれなりに遊んで楽しくなくもないという間柄なのでした。そんな複雑な彼氏が住むのが南浦和です。こういう事情のある彼氏なので酒はあまり良くないのですが、たまたま立て続けに二度ほど付き合う機会がありました。それもこれも酒場放浪記で久しぶりにこの界隈が舞台となったからで、まずは放映前に予告されていた北浦和のお店に伺うことにしたのでした。 まさか何度も通ったことのある北浦和の町にこれほど味のあるおでん屋があることなどちっとも知らずにいたのがいまさらながら悔やまれます。まあ店が元気なうちにこれたことの幸運をひとまずは喜ぶことにしましょう。「かつみ」という駅からも至近な路地に知ってしまえばかほどに堂々と店を構えていたとは迂闊にもほどがあります。なんともうらびれた路地裏の案外広そうな構えで、いくつかある引き戸から真ん中の戸を開けると塩梅よく目の前のカウンターが開いていました。コの字のカウンターの内側にはおでん鍋についぞ見かけることの少なくなった酒燗器があります。お客さんたちは何よりもまずこの雰囲気を存分に味わうことを第一の楽しみとしているように感じられます。お手頃ながら味も悪くないおでんは、店の古さから思うと若い店主のナイフで素早く食べやすく切り分けられ、こうしたちょっとした心配りも嬉しいものです。混みすぎず、空きすぎず、程よい具合の客の入りも居心地よく、おでん以外も懐に優しくて、近くに住んでいたら間違いなく足繁く通うことになりそうです。 続いては「志げる」というそれなりのオオバコ酒場に伺うことにしました。遠目にもよく目立つ赤が基調となった外観で、まさに典型的な居酒屋らしい構えのお店です。店内に入ってみるとかなりの良い入りですが、そこはオオバコだけあって何とか席が見つかるものです。テーブルがほとんどですが、2人掛けのテーブルの組み合わせで多様なグループ構成にも応じられるよう工夫されているので、仮に一人で来ていたとしてもちゃんと好みの席を見つけられそうです。とにかく居酒屋の定番といえる肴であれば大抵揃っていて、一人でも悪くありませんが、3、4名で利用するのが使い勝手としては適当なようです。なんだかもう随分昔の事のような気がしますがチェーン店が台頭してくる以前はいつものようにこうした居酒屋を利用していたように記憶しますが、今となってみるとこうしたどうということのない典型的な居酒屋で呑むことがこよなく贅沢に感じられます。さらに10年の後に生きているか、酒を呑めているかなど分かりはしませんが、ぜひ壮健であることを願わずにおられず、微力ながらも通うことで支援したいと思います。
2015/03/10
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桶川でもたもたしている18きっぷの旅 喫茶篇ですが、予定の行程とは大いに違ってしまったもののなんとか目的地の奥多摩にはたどり着くことができました。目的地とはいったもののこれという目的があったわけではなく、近頃めっきりと乗車する機会の減った青梅線に揺られてぼんやりと車窓を眺めること、現地に無事たどり着いたら記念に駅前の酒場で一杯引っ掛けるのが目的と言えるでしょうか。 時間が押せ押せになってしまい、当初の漠然たる予定とは随分違ってしまいましたが何とかかんとか奥多摩に向かう車中を日のあるうちに通過できたのでまずは良しとしましょう。思ったほどには積雪もなく幾分もの足りぬ気分もありますが、ここが東京とは思われぬ山里の風景は目にも楽しく、やはり無理矢理にでも来てよかったなあと感慨を深めるのでした。壊れかけの緞帳がドスンと落ちたかのように突如闇に包まれた車窓でしたが、奥多摩駅が迫る頃に徐々にか細いながらも灯りが見えています。いそいそと駅前に立つと視線の先に呑み屋街があります。改札を出てすぐそこに向かいたいところですが、あえて遠回りすることにします。すると駅を出てすぐ左手にも数軒の呑み屋が軒を連ねていますが、泣く泣く見過ごすことにします。橋の手前まで歩いて呑み屋街に入ると、早速良さそうなのが2軒軒を連ねています。 その一軒はたいそう繁盛しているようです。とてもすぐには入れそうにありません。お隣にしておくことにしましょう。カウンターを開けると、照明が汚れきっているのか、ぎょっとするほどに暗く感じられます。「居酒屋 しんちゃん」というお店だったはず。カウンターのみの店内にはわずか6席ばかりあるばかりで、それも一席を残しては埋まっています。その残りの一席に腰掛けて三岳のお湯割りを頂きました。表の静謐な包まれた奥多摩の山々とは隔絶されたどんよりと淀んだ空気感は、これぞ酒場という濃密さです。まさに日本的ハードボイルド酒場といった雰囲気にあっては肴はお通しのお新香があればそれで十分です。周りの客たちはみな顔見知りのようでしたが、顔を見合わせて語り合ったりせず、女将さんを経由することで辛うじてコミュニケートを交わしているようです。静まり返ったと思うと突然一人のオヤジが何やら呟きドキリとすると、暫くしてからそれに答えたと思われる言葉をいかにも唐突に独りごちてみせるのです。この打ち解け合う風もなく、しかし全く孤独ではない独特の奥多摩の流儀に唖然としつつもどこか惹かれるところがありついつい3杯のお湯割りを頂いていました。 そうそうこの呑み屋小路は柳小路と言うようで、暗く細い通りに10軒ほどの酒場が軒を連ねており、その最古参であるとあとから訪ねることになる青梅の老舗酒場で伺うこととなった「やき鳥 美好」にお邪魔してみることにしました。小上がりにカウンター席が10席ばかりの狭いお店ーというかこの小路の作りから考えればいずれも奥行きのない店が多そうで、ここは割合広い方なのかもしれませんーでした。かなりのご高齢の女将さんがスローモーな、都心の慌ただしくせわしない空の下で呑んでいたら苛々してしまいそうなのんびりとした振舞いが、この都心からそう遠いとは思えぬ町においては相応しいものに感じられ、この上なく贅沢な時間の過ごし方のように感じられます。こちらは先客はお一人だけで、地元の消防署だかに勤務されている方だったかと記憶しますが、ぼくよりも幾つかの年少であるのに女将さんを気遣って時折顔を見せておられるようです。ここは先程の酒場とは異なり穏やかな空気感のお店で、それはいかにもこの女将さんの性格によるもののように思われ、暖かなその人柄に触れていると欲張ってあちこち移動せずにこの店で時間の限りを尽くしたいという気にもなりますが、あまりに女将さんを独占して話し込むのは常連さんに対して傲慢な態度と思われたので、きっちり3杯呑んだところでお暇させてもらったのでした。 このかつては悪所であったに違いないこの小路には、まだ他にも数軒寄りたい酒場がありますがまたの楽しみにとっておきます。あと、駅そばの小路の酒場も楽しみです。
2015/03/09
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もう書いたんだか書いてないのか記憶も曖昧で、その時に巡った過程を綴っておいたメモすらどこかにやってしまったので、今更調べるのも面倒なので無かったものとしてうっちゃって仕舞おうかと思っていたところ、たまたまそのメモがそれなりの原型をとどめた形で発掘されたので、せっかくなので薄れ行く記憶をたどりたどりしながら書き進めることにします。 タイトルにもあるとおり、18きっぷを使っての小さな旅。昨年の暮の余りの一枚を消化するための旅でした。JR高崎線を北上しつつ八高線に乗り換えて奥多摩方面を目指すつもりですが果たしてどうなる事やら。 7時頃には池袋から高崎線直通の湘南新宿ラインに乗車して、上尾駅にて下車しました。再開発の進む町並みにあまり心揺さぶられる要素はありませんが、せっかく下車したんだからざっと町を歩いてみることにしました。まずは西口を歩いてみることにします。「コーヒー 特製サンドイッチ のんのん」という看板が目に飛び込んできましたが閉店されたようです。これといった居酒屋もなく、こんなさっと歩いただけで判断するのもどうかとは思いますが、ぼくには上尾の町はやはりまるで魅力的には思えませんでした。 一軒だけ珈琲専門店のようなお店がありました。これと言ってどうという事もないお店ですが、朝のコーヒー一杯をいただきたいと思ったので、取り敢えず入ってみることにしました。「炭火煎珈琲 桂(KEI)」といういかにもこだわりのコーヒーを提供しますよ、というのがありありでなんか気取ってて落ち着きません。コーヒーだけを貰うつもりでしたが、結構いい値段を取るのでさほど金額の変わらぬモーニングセットをいただく事にしました。トースト、サラダ(ゆで卵まるごと1個入)、コーヒーゼリーで、店主がいちいち説明してくれます。ゆったりしたスペース造りで、店の奥はちょっと区切られたような構造になっていて、そこは居心地が良さそうでしたが、残念なことにそれをよく知る常連さんらしき方たちで塞がっていました。 東口の駅に繋がる雑居ビルの奥に「Cafe & Pub ボナール」がありますが、開店前なのでしょうか、残念ながら入ることができませんでした。ここで上尾には見切りを付けて、少し後戻りの宮原駅を目指すことにしたのでした。 宮原駅は上尾とは全く印象を異にしており、寂れた楽しさが幾分感じられます。どことなく同じ沿線の東大宮駅の風景にも似て悪くない雰囲気です。駅からそう遠くない場所に「大衆酒場 鉄砲屋」 というのがあります。店構えを眺める限りではなんだかちょっと良さそうな雰囲気です。案外新しいお店なのかもしれませんが。その同じ道をさらにしばらく道なりに進むと「Coffee & Rest House コスモス」があります。特段これといった特徴があるわけでもないのですが、東大宮駅周辺に多く喫茶店が見られたことを考えるといかにも物足りないのは致し方ないとはいえ、兎にも角にもこの一軒の存在が救いのように思われます。優しくて気の良さそうなお母さんが見た目通りの優しさで切してくれます。宮原駅の西口は上尾駅同様にすっかり見通しの良い開発されたものに成り果てていましたが、それでも駅前すぐに「焼トリ 煮込 とん太」須酒場があって細いアプローチの先に店舗のある配置がいかにもかつてこの店の周辺をバラック商店街を埋め尽くしていた頃を思い起こされ、興味が湧きます。いずれ 「大衆酒場 鉄砲屋」 と併せて近いうちに訪れたいものです。 続いて桶川駅に移動しました。地名にもぐっと趣を感じさせるわけですが町そのものの仕舞ってしまった店舗こそ多いものの、散策しているともぬけの殻になって放置されっぱなしとなったお店の外観を眺めるだけでも楽しめるのでしたー当然現役当時の店にお邪魔したかったですし、治安防災面からもなにかと問題含みなのも知らぬではありませが通りすがりの身勝手な物言いと鼻で笑ってお聞き流しくださいー。 駅を出てすぐに「ルーブル」がありました。食事メニューが豊富な喫茶店というよりは食堂みたいなお店。食事時が迫っているので、お客さんが多くバタバタとしていてあまりのんびりしているのはご迷惑に思われました。という訳で慌ただしく退出。 古い人通りの疎らなでも味のある商店街を進むと「珈琲専科 フォレスト幹」がありました。ここは現役みたいな雰囲気が感じ取れましたが残念ながら閉まっています。商店街が途絶えた辺りで右に折れてまたひたすらまっすぐ道を進むと「コーヒーハウス ぽえむ」がありますが、店名から予想した古い喫茶店のイメージは外観からは感じ取ることができません。そして店内もやはりチェーンのコーヒーショップみたいでちょっと残念でした。 もう桶川は諦めて駅に引き返すすがらに「コーヒーショップ グリーングラス」がありますが、ここもやはりお休みです。街道沿いのドライブイン喫茶には時折当たりがあるので残念です。やはりもう桶川には見切りをつけたほうが良さそうです。
2015/03/08
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主人に教えられたところでは都心に出るには1キロくらい北にあるバス停で都営バスに乗るのが良かろうとのこと。地元の方ならではの裏ルートがないのが残念ですがこういう土地柄だけに古い酒場も現存するのでしょう。「コーヒー&お食事 田」なんてのを横目に北上を続けると、場末感がプンプンと漂う焼鳥店がありました。これで帰るつもりでしたが寄り道することにしました。 「やきとり ケンちゃん」というテイクアウトの焼鳥店ですが夜は立ち呑みもできるようです。散らかったカウンターに止まり木のテーブルもあり、酒場としての最低限の設備は整っています。ぼく自身労働者ではありますが、ここの先客3名はくたびれきった作業着をそのままに、いくぶんえげつなくて危ない会話も足立区らしいオヤジたちです。ピールケースに段ボールを被せたのが簡易の椅子代わりとなっていますが、カウンターの隣のオジサンは3人の中では圧倒的に気が弱そうでなぜかやけにオドオドとしていて、彼だけは簡易椅子を使おうとしません。やけに濃いチューハイをすすりながら、極端に寡黙なままに店を一人で切り回すお兄さんが燒く串の届くのを待ちます。場末ぶりと酒の濃さだけが魅力と思ったこのお店、焼鳥もなかなか旨いのです。日中立ち寄った何気ない焼鳥店もそうですが、足立区の陸の孤島と呼ばれる地域はなかなかに肉系の肴のレベルが高そうです。そう言えば見沼代親水公園の2軒のもつ焼店もとてもいいし、先ほど行ったばかりの「長興屋」のホルモン焼も抜群だったし、鶏豚牛いずれも揃うのがすごい。まだまだいくらでもすごい酒場が潜伏していそうです。 さすがに引き上げるべきとバス停を目指すと、ズン止まりとなる脇道に呑み屋が5軒ほど軒を連ねています。こういううらびれた呑み屋街を見ると避けて通れないのが愚かな性癖であることは承知していますが、人様にさほど迷惑をかけていないのでまずは良しとすることにします。どこか一軒だけと激しく迷って物色した挙句にお邪魔したのが写真のお店。実は店名はすっかり失念しており、もしかすると「呑み処 ハッピー」というのではなかろうか、まあそんな事はまた行くことがあったら確認すれば良いことです。カウンターだけの小さはお店、先客はおっちゃん一人だけ。木念としてテレビを眺めるでもなく淡々と呑まれています。ところが主人らしき姿が見えぬので、所在なくぼんやりと待ちぼうけているとしばらくして主人らしき方が入ってきて詫びを言うと、近所の店でトラブルがあったというような話をひとしきりしてから、ようやく思い出したかのように注文を取るのでした。ここのお店、まるで立ち呑み店のようにお値段が手頃で肴も安かったはずですが、酒は大体が250円だったはず。珍しくメニュー写真も撮ってあるのでご参照ください。写真にはウインナーなんていう品が写っていますがこの期に及んでまだ肉を食べちゃうなんてと今更に思うのですが、なぜかこのカリッと焼かれたありふれたソーセージさえおいしく思われるのでした。 謎の喫茶店を見掛けはしたもののちょうど閉店時のようでシャッターも半分閉められています。この夜は酒場には恵まれましたが、喫茶店には縁がない一日でした。
2015/03/07
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好印象の焼鳥店を出ると、目と鼻の先に以前通った時に雰囲気がいいなあと感じたホルモン焼店が目と鼻の先にありました。普段であればここを目当てにするには独りでは肉を持て余すと思って敬遠していたところですが、ほろ酔いとなったこともあり、それが早くも効果を表し始めたらしく、入ることを決めるのに少しの躊躇もなかったのでした。 「長興屋」です。足立区の江北を中心とした界隈には数多くの焼肉の名店があって、日暮里・舎人ライナーの運行が始まる以前から多くの客が不便さなど意に介さず訪れたようです。ただ、それが真実であるという根拠の持ち合わせなどあるわけでもないのですが、そうした客たちは酒などないものと考えてひたすら肉の誘惑に身を投じるばかりと考えて、酒場としての魅力はないものだと思い込んでいました。この店は、酒場に紛うことのないその雰囲気で、ぼくの思い違いを容易に粉砕してくれたのでした。入った瞬間にまさに酒場然とした佇まいに惚れ込んでしまいました。開店したばかりなのか客もおらず店を貸し切りにしてもらったような贅沢な気分にしばし浸ります。酎ハイとホルモンを注文、ゆっくり店の雰囲気に浸る間もなく店主がお喋りの渦に引き込んでくれます。正直滑舌が悪いのか聞き取れないことも多いのですがとにかく陽気で話題も尽きることがない。テレビの画面を見てはこのドラマ見てる、コリやダメだよねとかとにかくひっきりなしに語り掛けてくれるのでした。この主人若くはなさそうですが、今でもしょっちゅうステーキを食べに行かれるそう、焼肉はうちのが一番だからね、とのこと。広い土間にカウンターと小上がりがある店内は、殺風景と言えなくもありませんが、ぼくには枯れた情緒あるお店に感じられます。まだお客もなく静かなこの時間が絶好のタイミングだったのかも。席が埋まってもうもうたる煙に満たされた店内も味わい深いでしょうが何と言ってもあまり匂いがつくのも嫌ですし。一見したところどうという事もないホルモンですが手間暇かけて下処理してるのでしょう、ついつい休む間もなく箸と口を動かしてしまいます。酎ハイもでかいジョッキに下町風の黄金色のもので、肉の油も重くなく流してくれるようです。奥には座敷があるようでおばちゃんグループが一人また一人と訪れて、その度に別にあるらしい入口に案内されています。そろそろ忙しくなるようです。今のうちにお暇することにします。 最大のお目当ての酒場に向かう途中「coffee snack JUN」というのを見かけますがここもお休み。今日はとことん喫茶店と縁がないようです。 やがて、先般の日暮里・舎人ライナー沿線散歩の際に見掛けて必ず近いうちに訪れると胸に秘めていた酒場にたどり着くことごできました。喫茶店には祟られますが、酒場とは巡り合わせがいいようです。見るからに想像力を掻き立てられる枯れた魅力に満ち満ちたお店です。昼間に眺めただけでも溜まらない雰囲気ですが、赤提灯に灯が入るとより趣深く感じられます。「大衆酒場 精ちゃん」です。期待に打ち震えるような思いで引き戸を開けると、店内の造りは思ったよりも平凡です。5席程度のカウンターにちょっと広めのカウンターという定番の造りです。それでもやはり想像以上に古びていて、カウンターにそっと腰を下ろしてみると何やら懐かしさのようなものがこみ上げてくるのを抑えるのは困難です。店主夫婦はうっかりするとエラソーに思えるほどで、初めこそちょっとおっかなびっくりとしながら言葉を交わしますが、常連の禿頭のオジサンが間に入って取り持ってくれることでいつしか一見のぼくも馴染のような愉快さでついつい長居してしまいます。肴として頂いたアジフライは肉厚でサクサク、食べごたえがあって大層満足感が高い逸品ーは言いすぎかなーで、近所にあったら足繁く通いたいところですが、あまりにも地の利が悪いのでそういうわけにはいかなさそうです。
2015/03/06
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2月の最後の土曜日の昼過ぎに、思い立って小菅を振り出しに足立区を中心に歩いてみることにしました。近頃めっきり日も長くなってきたので、冬場だらけ気味で鈍っていた体調を取り戻すためにもトレーニングを兼ねて散歩するにはちょうどよい日和でもありました。運賃を抑えるため、通常であれば北千住駅で東武伊勢崎線に乗り換えるところを綾瀬駅に直通して、歩いて小菅に向かうことにしました。さて、小菅までの道中にそれほど語るべきこともないので、 その過程は バッサリと割愛することにして辿り着いたのは、東京拘置所付近なのでした。 「池田屋」という差入店がある辺り場所柄だなあと久しぶりに覗いてみようかと思っていたのですがお休みのようです。そればかりかこの日の大きな目的の一つであった「Cafe & Dining アイアイ」までもがやっていません。ここは平日の昼間しか営業していないのかもしれません。改めて出直すしかなさそうです。もはや小菅には用もない。ただひたすら西に向かって右往左往するうちに以前一度お邪魔させてもらった「焼鳥 おやじ」に行き着きました。当然営業時間まではかなりの間があるので、通過するしかありません。そのそばにある「ボングー」という古いパン屋がやっていました。ここも何度かトライしていましたが営業しているのを見るのはこれが初めてです。薄暗くて寂しいお店ですが、なかなか美味しそうです。カツロールと白身魚ロールを購入、あわせて260円とお得です。高齢のおばあさんが一人でやっているようです。帰宅後、食べたらしいのですがほとんど記憶にないのが何とも残念。さらに西に進むと「喫茶 とうまや」がありますが、今では営業をしていないようです。「COFFEE 芽留思」や「大衆酒場 山びこ」などもありますがやはり店を畳んで久しい様子です。夜になったら寄りたい酒場がありますがこの調子だと時間を持て余すかもと思い始めた矢先に何やら良い雰囲気の食堂に行き着きました。 なんとも趣深いオンボロ食堂です。これは見かけてしまったからには入らないわけには行かぬ。ふと見ると貼り紙が引き戸に貼ってあって、読んでみるとまさに今日をもってこの店舗での営業を終え、近所に移転するらしいのです。「大衆食堂 石倉」という建物の正面に書かれたペンキ文字も掠れがちでこの食堂の歴史を感じさせます。店に入ると食堂のイメージとは程遠く、奥の壁側にカウンターらしきものが残されているのがかつての名残らしくはあります。大きなテーブルを高齢のおっちゃん、おばちゃんが囲んでいます。そのことごとくが酒を呑んでいますー一人呑まぬ女性はそれでもノンアルコールビールー。 入ってすぐに陳列棚式の冷蔵庫があってそこから好みの肴をチョイスする仕掛けになっています。イカの刺し身を手にするとちゃんと盛りつけ直してくれました。チューハイをお願いすると冷蔵庫から好きな缶ジュースで割って呑むスタイルのようです。ビールグラスいっぱいの焼酎に氷とグラスで勝手に始めます。じいさん、ばあさんに囲まれて、初めこそ所在ない気分でしたが気のいいオヤジー後に店主と判明ーにあれこれと話し掛けてもらいいつしかお仲間に混ぜていただけました。かっぱえびせんご馳走してくれたお姉様ありがとうございました。ところでこちらのお店、50年近い歴史があるそうで、代が変わって今の店主(だいちゃん)になって10年、2月28日をもって裏手に移転するとは、なんとも寂しいことです。不便極まりないここを気に入り、遠くは九十九里や取手からのお客さんもあるそうです。隣のおっちゃんはどうやらいじめられキャラのようで、散々いじられてはめげることもなく飄々としていてなんとも愉快なのですが、どうも水元公園というから金町から来られているようで、今度自転車で来ようと言っていましたが、朝からいつも呑んでるらしいので途中で川におっこっちゃうよ。移転後はしっかりと定食も出すのでまた来てよと暖かく見送られたのでした。 すぐに商店街があって「喫茶 シャルマン」という喫茶店がありましたが、かような張り紙があり、残念ながら廃業なさったようです。「心に決心」という冗語も店主の無念が現れていて、胸を締め付けられます。徐々に西新井駅に近づくにつれ「clair」や「ベル」など見過ごしていた喫茶店もありますがことごとくが休みです。でも歩きまわっているうちに夕暮れ時も近くなってきました。プライスとかいう大きなスーパーマーケットそばにまだ新しい焼鳥屋があって、店先で焼かれる焼鳥が香ばしい煙を上げていて、スーパーで買い物する前に注文して取り置きを頼む客がちらちら出入りしています。喫茶店は諦めて早々に呑みのモードに切り替えます。 「とりちゅん」というなんだか軟弱な店名でしかも味も何もない店なので正直気乗りしませんが選り好みする時間ではありません。店内では早くも数組が呑んていてー調べてみたら昼前の11時から中休みなしで営業しているようですー、気兼ねなく呑めそうです。手前のカウンター席についてのんびりと呑みだします。この席は失敗だったかも。表で観察した時にはあまり出入りがないように思われたテイクアウト客てすが、落ち着いてみるとやたら出入りが多く感じられます。一方でここの焼鳥、結構いけるかもと思ったのは間違いではありませんでした。有りそうであまり見かけぬ塩コショーで焼いてもらった焼鳥は、間違いなく標準のレベルを軽くクリアしています。これはテイクアウトしたくなるのも無理からぬこと。などと評論家のように感心していると、ママさんとその子どもたちが姿を見せて、嫌な予感がしたのは的中して、次から次へと女子供が乱入、大騒ぎとなるのでした。さすがに退散し時となったようです。
2015/03/05
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知人と中野で会う約束があったので、久しぶりに中野にやって来ました。中野は来てみればやはりいいなあということになるのてすが、嫌いじゃないくせに中央線沿線を避ける傾向にあるのは、若者たちの町という偏見があるからかもしれません。実際は若者に混じってオッサン、オバちゃんも町を我が物顔に闊歩しているのは知ってるんですけど。さて、約束の待ち合わせまでしばらく時間があります。朝から何も食べていない昼下がり、さすがに空腹を感じたのでいくつもの呑み屋小路が交錯する魅惑の中野駅東口を散策してみますがここぞという店を見つけることができません。いっその事、あまり好きではない昼呑みと洒落込もうと酒場目線に転じてみれば早くも多くの酒場が開店しています。 そんな一軒が「鳥やす」でした。これは高田馬場の有名酒場の支店ではなかろうかと、店構えは新しくさほど気に入ったわけではないものの、それでもいそいそとのれん掻き分け入ってみると、手前はカウンター、奥にテーブル席と建物の造りから必然的にこうせざるを得なかったのでしょうが、なかなかいいムードであります。入るやいなや店の若い店員から間もなくラストオーダーですとの告知あり。変なタイミングで中休みするものだと、まあ軽く呑んで次に移れば良いでしょう。やはりお馴染みの大根おろしにうずらの卵、このお約束を見て支店であることは間違いないと確信したのでした。まあそれを確認したところでぼくはどうも「鳥やす」に苦手意識があるようですんなりと楽しめません。そして客も引いて安心したからなのか、店員たちのだらしなさが目立つのです。応対も調理も悪いわけではありませんが、私語で飛び交う単語のえげつなさがどうにも気になって仕方がない。ソフトなところでは、ジジイとかババアとかの接客業としてはあるまじき言葉がかわされているのを聞くのはけして気分のいいものではありません。いくらかがっかりした気分になって店を後にします。 次なる目当ての酒場があったものの開店にはまだ間があるようで、もう一軒新し目の酒場に立ち寄ってみることにしたのでした。「やきとん あさちゃん 中野店」というオープンなお店でいかにも今風な正直つまんないお店です。やけにもたもたした勘定をする酒場ズレせぬトロいお兄ちゃんの振る舞いに苛立ちながらなんとかカウンターに落ち着きます。店頭で眺めたお得なセットとやらをすかさずオーダー。ところが注文したセットのもつ焼は30分経っても届けられる気配はなく、こうなったら時間もあるし、やっておきたいこともあると開き直った気分になり、むしろせいせいした気分になるのでした。でも呑み終えたあとに出されてはかなわぬなという気持ちになりーここでこれ以上お金を落とす気になれないですからー、きっかり40分後には席を立ったのでした。詫びこそあるもののむしろ従業員への叱責に終始するあたりなんとも残念だと思わずにもおられないのでした。
2015/03/04
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珍しく近頃仕事が忙しくて、この夜も10時を過ぎていたし、疲労も溜まっていたので池袋駅の近場で呑むぞとの司令をくだされたのも望むところ。そんな命令をするのは、やはりいつもの上司T氏でありました。この人に逸話は数あれど、その行動の不可解さーいや不可解というより面倒くさいことといったらかなりのものです。今念頭に浮かんだのは、突如これというきっかけがあったわけでもないのに猛り狂い、お前は上司が金を出すのが当たり前だと思っている、そうに違いないと満更外れていないわけでもない指摘をすると、いきなり席を立ち荷物を抱えて店を出ていってしまったのでした。こうなってはジタバタしてみてもどうにかなるものではありません。財布の中身を確認し、もう2、3杯は大丈夫とそれから30分ばかり独り黙々と呑むのでした。勘定を済ませて店を出て、闇夜に彷徨い出て歩き出すとビルの谷間からT氏が暗い表情を浮かべて立っていて、お前がちゃんと支払うのを見届けていたと言うのでした。さすがにぼくでも食い逃げするわけにはいかないという考えはなかったらしくて、俄に機嫌を良くしたらしい上司は別全然行きたいなんて思いもしないぼくを引き連れて、カラオケボックスで延長を繰り返したのでした。 そんなことはどうでもいい。この夜は随分お邪魔していない「かめや」に伺うことにしました。T氏の奥方は世の習い通りにおっかない方で、こちら方面の逸話にも事欠かぬ訳でありますが、この話はまたの機会とさせて頂くこととして、早く帰らねばならぬと言いながら長くなるのは目に見えていますので、遅くまで営業している酒場を選んだつもりでした。ところが間もなくラストオーダーとのこと。開店が早いだけで夜はごく標準的な営業時間でしかないことをすっかり忘れていました。実はここに来るまでにすでにひとしきり呑み食いしていたので、肴の、ラストオーダーは全く問題なし。無性に摘みたくなったピーマンの肉詰めを注文するともうこれで十分。酒はまだ何度か追加できそうです。これが正解、なかなか旨い。この後もまだ団体さんが来ましたが、もう呑むだけだというのにそれでも迷う風もなく入ってきました。酒のラストオーダーもやって来たのでわれわれはぼちぼちお暇します。 この一言が突如エンジンに火を付けたのか、あと1杯だけ呑むかと言い出します。まあ予想通りではありましたが、まさか2時を過ぎるまで呑み続けることになろうとは思ってもみませんでした。お邪魔したのは「若大将 まつしま」でした。前の店ではぐったりとして飲食がパタリと止まってしまっていたT氏てすが、店を移るや急速に息を吹き返しピザなどのコッテリした肴にも躊躇なくなり、店の奥の隅っこの席で何度となくお代わりを繰り返したのでした。トイレにも何度か行ったもののその度に便所の場所に迷うのもいつものことです。貸切り札の置かれた席にグループがやって来ましたが、われわれは彼らが次の面子に入れ替わっていたのにも気付かず呑み続けていたのでした。翌朝目が覚めるといつもならとっくに電車に乗っている時間に目覚めたのですが辛うじて遅刻は免れたものの長く辛い1日を過ごすことになるのでした。
2015/03/03
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長かった一日のゴール地点、千葉中央駅にようやくのことで戻ってきました。今晩はここ千葉中央の安ホテルに宿泊予定です。とっととホテルにチェックインして一憩したいところですが、駅から少し距離があるのでまずは駅そばの枯れた何気ない店構えが魅力的な酒場を訪れることにしました。ここ数年だけを振り返ってみても千葉中央駅を中心としたこの界隈には何度か来ていますがいつも土曜日ばかり来ていたらしく、いつも空振りを続けていたのでした。 「浜田屋」というビルの1階に間借りしたお店で、いつもガラス引き戸の向こう側は真っ暗で、ガラス越しにカウンターがぼんやりとした輪郭を眺めるだけで、指を加えて通り過ぎるしかなかったのです。今晩はありがたいことに明かりが灯っていて、それなりに客は入っているものの空席もそれなりにあります。店内に入ってみると案外に広くて、想像していたカウンター10席にテーブル2卓ほどではないかという予想とは全く異なっていました。余裕のあるカウンター席は落ち着いて呑めて快適です。この店で呑む他のお客さんもとても寛いでいるようで、これ程にリラックスしている客の姿が眺められる酒場も珍しいことです。広いお店なので従業員もそれなりの人数ですが彼らの表情がいきいきと明るいことも店の雰囲気を良くしているようです。イメージしていたのは頑固でおっかない店主に暗いムードの従業員というものでしたが嬉しい誤算でした。正直もつ焼とかはこの気分の良い酒場では付け足しに過ぎぬようです。 さて、明日の仕事が早いのでぼちぼちここらで最後の一軒としなければならないようです。ホテルから数分と案外近かったのがありがたい。「八角 本店」です。さて、店の外観写真は撮ったものの店内やら呑み食いした品の写真もなく、さらには記憶もほとんどありません。店内は不思議な造りとなっていて思いつくままにカウンターやらテーブルを配置してみたらこうなったというような計画性の感じられぬ出鱈目さが楽しかったことを記憶しています。呑み食いはほぼ記憶にないのでネット上の情報から推測してみることにします。まず黄色は焼酎の梅割りと赤は焼酎のワイン割を頂いたような気がします。肴はせいぜい骨あまから煮かなん骨の煮込のいずれかを頼んだのではないでしょうか。なかなか美味かったという印象があります。コレじゃ余りにも雑なのでいずれまた今度は数店あるらしき支店ーお気に入りの稲毛にもあるようですーでその真価を確かめたいと思います。なんとも締まらない最後となりましたが酔っぱらいなのでしょうがないのだと開き直ることにします。
2015/03/02
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こうダラダラと書き連ねていると、まだほんのひと月前のことでしかないのに随分と昔の事のように思えて、近頃のガキンチョたちがまだほんの少し前のことを昔と言ってみたりするのでちゃんちゃらおかしいと感じるのと似たりよったりの感性でしかないのだなあと思ってみたりするのでした。まあ実際自分のことを考えてみても精神年齢的にはそのガキンチョどもとさほど変わりはないのではないかとふと気付いてみて愕然とするしかないのですが、それはさておき小倉台駅を下車してすぐの喫茶店に立ち寄った後、またトボトボと千城台北駅を目指すのでした。 駅を過ぎるとすぐに「メルヘン」という喫茶店があります。早くもコーヒーはもう結構という心持ちではありますが、まだ呑むには早すぎるし周囲には呑み屋といってもせいぜいスナックがある程度で当然営業しているはずもありません。そんなことはともかくとして 「メルヘン」の店内は入ってすぐ左側がカウンター席で常連で賑わっております。右にはウッディなパーテーションで区切られたテーブル席があり、なかなか良い感じですがその奥に見たくなかった物体が鎮座しています。コーヒーのお代わりは自由。少しくたびれたのでせっかくだからちょっとくつろぐことにしました。すると従業員の方が奥の物体の電源を入れてしまいました。どうやら寛ごうというささやかな願いが叶えられることはなさそうです。あまりに早く出るとその物体をこれから使おうという女性の一人客の気持ちを害することになるのは本意ではないので、それからの10分は修行でもしている気持ちで過ごしました。店の奥に座るぼくとその物体と正対する女性は嫌が上にも視線が交錯することになり、席を立つタイミングに躊躇します。意を決して勘定をするのをチラと窺う女性の視線には深い意味はこもっていなかったと信じたいものですが、手にするマイクに吐き出される声はさらに強まったように思われました。 さて、お愉しみの千城台にある喫茶店を目指すことにしました。やがてすでに写真で見ている「ニューライフ 千城」が見えてきました。思った以上に広くて、お客さんもたくさん入っております。期待したほどのキッチュさはなかったものの、細部に視線を向けてみるとさすがにユニークで空いていたらもう少し店内をウロウロと眺め倒したいところでした。トマトジュースをお願いするとフレッシュなのと出来合いのものどちらにしますかと品の良い女性店主に聞かれたので当然フレッシュなのをお願いしました。ミキサーの音が響いてきます。サッパリして飲みやすいトマトジュースにはなかなか出会えないので軽く感動すら感じました。 この後、蘇我に向かうつもりでバスを駆使してどうにか辿り着ける算段だったのですが、情けなくなるような思い違いをしていたらしく結局モノレールで都賀駅下車、JRに乗り換えて蘇我駅に向かうという面白みがなく、お金の掛かる経路を辿るしかなかったのでした。蘇我で2軒呑んでから、歩いて本千葉駅を目指しますがその過程で喫茶店に出会ったので少し立ち寄ることにしました。 「貴族館」というゴージャスな店名の喫茶店で、シックで正統派の珈琲店という印象でそこに特別な際立った個性が感じ取れるというタイプのお店ではありませんが、くつろぎという点からはこのタイプのお店が最も好みです。テーブル席が一段高い段違いになっていて見晴らしがいいのも楽しいのです。お借りしたお手洗いは雑居ビルの共同になっていて店の豪華さからは一転、かなり老朽化していることが見て取れて、かなりの歴史のあるお店のようです。カウンターには宴会帰りの女性が突っ伏すようにしてビールを呑んでいて、危ないと思った時にはスツールから転げ落ちていたのでした。無事ご帰宅できたのでしょうか。 この後、本千葉で居酒屋2軒に立ち寄りますが、それはすでに報告済みです。
2015/03/01
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