ダトニケ熱い小説

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ダトミケ

ダトミケ

2005.02.11
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 私の顔を見る人すべてと言ってもいいくらい、だれもが アクビをする。私の顔ってそんなに退屈なのかしら。

 本屋で新書コーナー辺りをうろうろしていると、ちょうど向かい側で立ち読みをしている中学生が直木賞受賞作を読みながらアクビをしている。「まさか、つまんないの?その本」と聞きたくなる。まさにその本を買いにきたので、えっ!と、思ったがそうではなかった。

 凝視する私と目が合って中学生の少年はまたアクビをした。複雑な気持ちで私は目をそらした。本当に本がつまらないのか、それとも私の顔を見て──だったのだろうか。

 結果はすぐにでた。少年は手に持った本を一旦置いて、積まれた本の上から三冊目の誰の指紋もついていない受賞作をレジに持っていたのだ。

 やっぱり、この顔のせいだ。


 明日が始業式。新任として多くの生徒と顔を合わせなければならない。心配で、かけた大学の親友にはこう言われた。



 私が「それ、どういう意味よ──」っていうまえに親友が受話器を置いて通話料金をとめた。

 そういえば彼女も私と出会った当時は、ずいぶんアクビをガマンして鼻の穴を膨らませていたっけ。そんなあの子が暗い性格の私を明るい性格にしてくれた。よし、明日は明るく元気にがんばろう。なんていったって、相手は素直な小学生なんだから。


「みなさん、おはようございます」

 クラスの全員が声を合わせて「おふぁふぁうごふぁいうぁふ」といった。

 けれども私はめげない。

「はい、着席してください。では、出席をとりますよ。えーと。阿川君」

「ふぁい」阿川君の目じりに涙がでている。

 何名の名前を呼んでもアクビをしない生徒はいない。昨日の友人の言葉を思い出す。そして、その話を聞かせてみる。

「アクビっていうのは、脳に酸素を──」言ってる間にもカエルの合唱のようなアクビは止まらない。

 私はついにキレた。



 数分後、教頭がやってきた。遠くからでも怒っているのがうかがえる。

「きみぃ、小学生を相手に何をやっていふんふぁね」語尾がスローモーションになる。教頭だって例外ではない。ところが逆ギレされた。「人が注意しているのにアクビをしているとは、どーいうつもりだね!?」

「教頭先生!私、アクビなんてしていません」

 私は物事に集中すると自然に口を開いてしまうのです。周りの人にはアクビをしているように見えるらしいのです。



 マスクか、整形か。うーむ。

 どんよりと私の心は曇っていった。






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Last updated  2005.02.11 19:45:25
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