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さて今回は「フラメンコギター」の現在という視点で少し眺めていきたいと思います(今回もアルバムではなくギタリストの名称のみとします)時が経過し21世紀に入ってくるとパコのスタイルが「トラディショナル」の様に定着し、その後のビセンテアミーゴやトマティート等のスタイルの影響を自然に織り込みながら、テクニックは抜群、新しいリズム感覚、ハーモニー感覚が融合された次世代のギタリスト達が頭角を現してきますその一人はやはり「アントニオ・レイ」僕はちょうど在住時だったのですが、スペインのコンクールを制覇し、優勝者のツアー(ガラ・コンサート)で初めて聞いたまだ10代だった彼の音は、見事なまでに現代的な洗練さを輝かせ、呆然とした記憶があります、そして今もその深化を止めることはない間違いなく世界最高峰のギタリストの一人かと思います!そして、前回紹介したモライート・チーコの息子であるヘレスの「ディエゴ・デル・モラオ」マヌエル・モラオから続く血統書付きのギタリスト一族である彼の音は、豊饒なフラメンコの土地ヘレスで育まれたカンテ(歌)のニュアンスと抜群のコンパス感をバックボーンにそれをより新しいリズム感覚を交え、独自のスタイルにまで昇華したといっても過言ではないかと思います!ソロアルバムは確か一枚のみと記憶していますが、歌伴奏でかなりアルバムに参加しています!またモロン出身の「ダニ・デ・モロン」のコードハーモニーの広がりと、音の細かい節回しは現代的でありながら、実にフラメンコのニュアンスを表現してくるかのようで、一度聞くと 耳が離せなくなってしまうかの魔力を感じてしまいます!多すぎてもいけませんので今回はこの3人のみ書きましたパコを視点に書いてきたこのシリーズですが、これらは、僕自身がレッスンなどで入門、初級あるいは中級の生徒さんに紹介したり説明したりしている内容の一部です。「どんなフラメンコを好きになるのかはその人、個人の大切な感性」そして、それはもちろん他者と同じである必要はありません、ただフラメンコギターをこれから聞いたり学んだりしていくうえで「何をどういう風に聞いていけばいいのか?」それのひとつの手掛かりに、あるいはアプローチのきっかけになれば幸いです!今度は「カンテ」の事も少しだけ書きたいところです!
2023.07.20
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いやはや暑い日が続きますね今日は暑気払い的に夏カレーにしてみました、近所の農園で購入したナスとオクラが良い感じです!さてさてこのシリーズどこまで書いていくべきか本当に悩ましいところです・・あまり情報量が多いと混乱してしまう恐れもありますし、今回は「パコ」を視点軸にしながらどんなフラメンコギタリストが存在していて、どういう風に聞き始めていくのか?というひとつの案内的な主旨ですのでそこを見失わないようにしないといけませんねでも紹介したいギタリストを絞り込むのもなかなか勇気のいることなんです!今回は音源名は省略してパコ以降の次世代のギタリスト達の名前を何人か記していきますね。先日に記述した「トマティート」や「ビセンテ・アミーゴ」を筆頭に様々なギタリスト達がソリスタとして活躍していくわけですが、例えばセビージャの「ラファエル・リケーニ」「ニーニョ・デ・プーラ」※ 二人ともマノロ・サンルーカルの門下生ですねそして「マノロ・フランコ」コルドバの「ホセ・アントニオ・ロドリゲス」ヘレスの「モライート・チーコ(故人)」セビージャ県レブリッハの「ペドロ・バカン(故人)」セビージャ県モロンの「パコ・デル・ガストール」他多数・・・本当は、全て個別に書きたいところなんですが、もし、この辺りまで聞いたなら自分の好きなフラメンコのスタイルや演奏の目安がわりと見えてきているのではないでしょうか?機会を見つけて「それぞれの土地で継承されるフラメンコのスタイル」あるいは「パコの影響をあまり受けなかったギタリスト」等別の視点で掘り下げていきたいと思いますまた、今回はソリスタを中心にしていますが本当は「名伴奏者達」にも今度フォーカスしていきたいとこころです。次回は、21世紀に入り現在へその次の世代のギタリストを紹介していきます!
2023.07.17
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いやはや暑い日が続きます暑さに身体を慣らしていかなければならないな・・と思いつつ、日本の気候そのものが変化してきているように感じるところです、順応させていくしかなさそうですね・・・今回、誰を書くのか少し悩んでいたのですが、完璧な技術と圧倒的な速度、そして洗練された現代的なメロディを聞かせてくれる「ヘラルド・ヌニェス」を紹介したいと思います!ソロギタリストとして活躍するフラメンコギタリストは一般的に踊りや歌の伴奏を通じながら徐々にソリスタ(コンセルティスタ)の活動にシフトしていくことが一般的ですが、ヘラルドは最初からコンサートギタリストを目指していたとインタビューで記事で読んだ記憶があります。また毎夏サンルーカルという土地でクルソ(ワークショップ)を開催しており指導力にも定評があると耳にしています。そのままコンサートギタリストとして躍進していくと期待されていましたが、後に手の故障(正確には脳か神経系統かもしれません)もあり、現在はその手で使用可能な奏法を模索しながら活動しているようです紹介したいアルバムは彼のセカンドアルバム「Flamenco En NuevaYork」ニューヨークで録音したものですねいやはや何回聞いても圧倒されてしまいますが、皆さんにはどう聞こえるのでしょうか?ギタリスト目線でいくともうモンスター級です 笑
2023.07.13
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新鮮なセロリが手に入ったので一本はマリネにして冷蔵庫で漬けております(配合はオリーブオイル、しょうゆ、酢、みりん 各大さじ1)美味しくなると良いのですが・・さて、今回は何を紹介していくのか少々迷ったのですが現在、来日中の「カニサーレス」について少し紹介します。幼少の頃から、アカデミックな西洋音楽教育を受けてきている当時では、まだ珍しかったフラメンコギタリストですが、氏が10歳位の頃、地元バルセロナの公演を行っていたパコの楽屋を訪れ演奏を披露、そして、その10年近く後に「あのバルセロナの天才少年はどうしている?」とパコのツアーメンバーに抜擢されたことは有名は話です。その完璧な技術はパコに「ギターが本当に上手い人間というのは、俺ではなく彼の事だ」と言わせしめたとも耳にしますここ最近では、フラメンコのみならずクラシック音楽なども精力的に演奏し、「アランフェス協奏曲」のソリスタとして世界各地のオーケストラとも共演、大活躍中です!お勧めのアルバムは氏の円熟した音楽と完成度の高さから「Cuerda Del Alma」を紹介したいと思います!直訳すると「魂の弦」になりますが邦題はどうなっているのでしょう卓越した技術はもちろんですが、楽曲の完成度の高さと、音のクオリティーも素晴らしく、カニサーレス節を存分に堪能できるかと思います!(故に好みが判れるところでもありますが、それは聴き手次第かとも思います)それにしても、今聞いているのですがまさに世界最高峰のギタリストの一人凄い音ですね・・
2023.07.12
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前回は「トマティート」を紹介しました※ ちなみに愛称は「トマテ」でトマトの意フラメンコのアルティスタ(アーティスト)の芸名は結構、食べ物が多いのです・・「カマロン・・小エビ」「チョコラーテ・・チョコレート」等々他多数!さてパコ以降の時代の代表的なギタリストとして今回は現在も活躍中の「ビセンテ・アミーゴ」を紹介したい思います巨匠「マノロ・サンルーカル」に見出された後にマノロのチームのサードギターに抜擢、その後同郷・コルドバの歌い手「エル・ペレ」の伴奏者としての初来日しつつ、一躍「ソリスタ」としての名前を挙げていきます。毎夏に行われる「コルドバ・ギターフェスティバル」に11歳の時にマノロの講座で半ズボンで現れた彼が、やがてデビューアルバムに収録されるオリジナル曲を披露しマノロの内弟子になったことは半ば伝説的に耳に入ってくる話です※ マノロとコルドバのクルソについては以前、書いていますので興味ある方は下記からどうぞhttps://plaza.rakuten.co.jp/fuchizaki/diary/202210120000/かつてのインタビュー記事の中で「君は既に自分自身の音と音楽を持ってる、それらを損ねることなく君だけの音を育てなさい」とマノロがビセンテに伝えたと読んだ記憶があります(少し意訳ですが・・)ですので、お勧めのアルバムとしてまずは その勢いのまま強烈なデビューを果たしたファーストアルバム「De Mi Corazon Al Aire」から聞いてみてはどうでしょうか? 邦題は「わが心を風に解き放てば」※ 物凄いタイトルですよね・・・フラメンコの形式感を土台に彼独自のメロディセンスや歌いまわし、当時はまだ汎用されていなかった代理和音の使用、斬新なリズムの感覚と切れ味、もちろん圧倒的な技術!その後、時代を追うごとに洗練さと熟成を増していきますが、そういう意味で、この時期にしかなかった音として今でも 聞いているアルバムです!
2023.07.06
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1990年代になると、前述の「パコ・デ・ルシア」の影響を受けた現代風(モデルノと呼ばれる)多くのソロギタリスト達が現れてきます極端な言い方をするならば パコの影響を受けていないギタリストを探すのがなかなか大変なぐらいかもしれませんさて今回は、今現在も活躍している「トマティート」を紹介したいと思いますカマロン(フラメンコの歌い手)に見出され、パコの後にカマロンの伴奏者を務めることで一気に名前が出てきますがアルメリア地方(アンダルシア東部出身)のヒターノ(ロマ)である彼の音は切れ味もさることながらフラメンコ特有の深いニュアンスに満ち溢れています、またその後はラテンジャズのピアニスト「ミッシェル・カミーロ」とのコンビでも活躍しているのは興味深いところですどのアルバムから聴いても良いかもしれませんが迷ってしまう方は、まずはデビューアルバムである「ロサ・デ・アモール」から聞いてみてはどうでしょうか?抜群のコンパス(フラメンコのリズム)感と若き日のニュアンスと鋭さでフラメンコの音を聞かせてくれます!ギタリストの立場からすると「本当に彼にしか出せない固有の音なのだな・・」と素直に思わせてくれるアルバムです!
2023.07.05
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外はカミナリが鳴り始めています!さて今回はパコ以降の時代、そして現代へと向かおうかと考えていたのですが、少し思うとことろもありまして・・・今、僕が書いているのは王道的といいますか、ある一定期間フラメンコギターを勉強している人は知っていて当たり前の共通知識みたいものなんです。ただフラメンコには、実に豊かな地方色があって、それが音楽とは別の意味で、文化として色濃く伝承されている世界が確実にあるんです、そして、それらが必ずしもアルバムになっていたり商業的に成功しているとは限らない今回は、そんな部分に少しだけ触れてみてもいいかなと・・今日紹介したいのはセビージャ県モロンスタイルの始祖である「ディエゴ・デル・ガストール」です生涯その街を出ることを好まず、(録音)記録を残すことも好まなければ、フラメンコを職業として成功させていくという価値観とは無縁のギタリストです前回の記事でアップした巨匠リカルドやサビカスが当時ディエゴの事を耳にして、馬車に乗ってモロンという土地へ向かい、夜中の彼がギターを弾く場所で待ち伏せしていた、或いはギターを献上した等の伝説?が残っていますまた僕がセビージャで踊り伴奏の修行をさせてもらっていたモロン出身の踊り手である「ファナ・アマジャ」のスタジオには同郷であるディエゴ翁の肖像画が壁に飾られ、「彼の音を聞くと自然と涙が零れてくるの・」と僕に語ってくれましたただ、時代背景もありますがそういう人物背景ですから「アルバム」というものは僕の知る限りリリーズはされておらず、21世紀に入ってから、モロン市役所?が古いギターソロの音源を集めて本と記念アルバムが発刊された一枚のみなのでしょうか・・動画で探してみると歌の伴奏等の記録は結構残っているようです彼のフラメンコは、同じ家系の「パコ・デル・ガストール」「ホァン・デル・ガストール」「ディエギート・デ・モロン」他脈々と現代まで受け継がれています決して耳障りの良い音ではありませんので皆さんがそれらを聴いた時にどう感じるのかは全く判りませんし「聴く時期」ももしかしたらあるのかもしれません、ただ フラメンコの水脈は想像以上に深く一定の価値観ではとても図り切れないものばかりですそんな内なる音の旅をしてみたい方はぜひ聞いてみてください!
2023.07.04
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さて、前回までは「パコ・デ・ルシア」を視点の軸にその同時代の代表的ギタリストを紹介しましたが、今回は、パコ以前の時代に古典期について紹介しますここで紹介したいのはまずは、フラメンコギターのソロスタイルの礎を構築したとされる「ラモン・モントージャ」そしてフラメンコギターに携わるならぜひ聞いておいてほしい二人の巨匠「ニーニョ・リカルド」と「サビーカス」圧倒的に異なる個性で、現代につながるスタイルを作り上げたギタリストですが、時代もあり、音源としては「アルバム」というより再編集された「ベストアルバム」を選択することになります皆さんにはどのように聞こえるのでしょうか?あまり先入観を持ち過ぎずニュートラルな感性で試してみるのも一考です以前、パコがインタビューでこんな発言をしていたのを覚えています「最近のギタリスト達に言いたい僕の真似をする時間があるのならば、モントージャやリカルド等の古典を勉強すべきだ、なぜなら 僕はそうしてきたのだから・・」ちなみに、以前にも近い内容の文章を書いていますので下記も参考にしてください!https://plaza.rakuten.co.jp/fuchizaki/diary/202204060000/
2023.07.02
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