番組構成師 [ izumatsu ] の部屋

番組構成師 [ izumatsu ] の部屋

2005.05.05
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カテゴリ: テレビ・マスコミ



自分の会社の電車が大惨事を起こしたことを知りながら、他の管理区だからわれ関せずと集団でボールのピンを倒すことに熱中していた。


次から次へと出てくる不祥事。記者会見に出てきた担当者は、「誠に遺憾です」と頭を下げるばかり。そりゃそうだろう、他にどうしようもない。「人命よりも勤務を選ぶとは、企業に仕える人間の鏡だ」などとは思っていても口には出せまい。

不祥事なのは間違いない。人の命を預かる仕事に就いているという自覚が希薄だというのもその通りだろう。

しかし、ぼくがあの会社の社員でその電車に乗り合わせたら? 救助活動に走っただろうか?

ぼくが所属セクションあげてのボーリング大会に参加していたら? 「みんな、やめて現場へ行こうよ」と言えただろうか?

実は、どちらもまったく自信がない。

「こんなこと、やってたんですよ。あなた、どう思います?」

そう、マイクを向けられたら、



と、答えるだろう。それが普通の感覚だし、許せないと思っているのも事実だし。

しかし、ここぞとばかりに社員個々の行動を俎上にあげるような報道の仕方には、どうしても納得できない。
こうした内容の情報を伝えることが報道機関の使命なのだろう、なのだろうが・・・。

当初の批判は運転士に集中した。そして、会社の首脳陣へ、現場を去った運転士たちへ、レクレーションに興じた社員へと、次々と相手を替えて批判と憎しみの連鎖が広がっていく。

キリストさんが言ったように「自分に罪がないと思う人だけ、石を投げていいよ」とは言えないが、“不祥事”が露わにされるたびに、自分が彼らを責められるんだろうか?という思いが頭をよぎる。だから、ここ数日間、ニュースのトップ項目を聞くのが苦痛だ。

誰かを標的にすれば、不満はそこへと集中し、ぼくらは巨悪を糾弾しているような気分になれる。

しかし、明日は我が身。
「電車はグシャグシャになってます」と上司に伝えながらも出勤し、その、また脱線転覆するかもしれない電車を運転した社員を「あんた、おかしいよ」とは言える。でも、「オレはしないよ」とは言い切れない。


献花台に花は絶えない。
犠牲となった人たちとその遺族・友人・関係者の皆さんへの思いは尊いと思う。でも、その思いをわが肩に背負い、自らを「善」の位置に置いてから、「悪」たる個人や小集団へと非難を浴びせる。

みんなして魔女か人身御供を探しているみたい。どうもすっきりしないなぁ。










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Last updated  2005.05.09 17:35:57
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神鬼さん大好き@ Re:コンディショングリーン!(02/25) 初めまして。 最近、今更ながらに沖縄ロッ…
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うるとびーず @ Re:ゆるゆる、老い。(05/19) izumatsu先輩、お久しぶりです。相当なご…
chappi-chappi @ Re:ゆるゆる、老い。(05/19) おひさです。 ずいぶん長いことお休みでし…
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