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「あの梅の木は」 第2話 「え?」 「だから、お前んちの庭にあるあの木は、昔から梅の花を咲かせてた かって聞いてるんだ」 「裕也、あんた今会社で何かこう・・・めちゃめちゃ難しい仕事を 任されてんの?それで神経がすり減ってるとか?」 「まあ、キャッチコピーなんて空から降りてきて頭ん中で花開く、 みたいなところあるから、普通はイライラするようだけどな、俺は 結構楽しんでるから、神経がすり減るってことは・・・」 「ない?」 「ああ、俺は主にキャッチフレーズを担当してるからな、ニュースを 見てると、『これ、どうにかならないか?』っていうふうに、ニュー スが問題提起してくれてるところがあるから、助かるんだ」 「なるほど・・・」 「それに担当のスタッフ以外の発案も有り難く受け付けるからな、 予想外に焦りはないんだな・・・躍起になるとかえって降りてこない ものなんだよなあ・・・って話がそれてないか?」 「ごめん、梅の木の話だった」 「それだよ~、気持ちはそっちに振られてたんだよ俺はー」 「うん、でも答えは決まってるから」 「あの木は昔から梅だったって、そう言うの?」 香織が大きく頷いた。 「ちょっと待ってろ」 上目使いに香織を見ながら上着のポケットに手を入れる。 裕也が取り出したのはスマホ。 「俺たち、中坊の頃からお互いの家を行き来してたよな」 「うん、だって父親同士が友達だったし、中1の時に裕也んち 越してきたでしょ九州から」 この2人の父親たちは、裕也の東京の親戚が営む木材店でバイトし ていた香織の父親と、たまたま遊びに来てた裕也の父親が出会った。 偶然にも2人は同じ大学だったし、なにより気が合って、それ以来 の親友である。 「そう、で、これが高校受験に合格した時かな、この写真」 裕也のスマホに映し出された1枚の写真、それは日付からして 2人が揃って同じ高校の受験に合格したのを2家族が集まって 祝った時のもの。 裕也から受け取って画像を指で拡大しながら香織が 「これ、合格発表の直後だから、もう咲いてていいはずよね 梅の花・・・」 「木の幹とか枝ぶりを見てみ、梅の木かどうか・・・」 「え!?」 「出たな、本日2回目の『え?』が・・・」 こんにちは。 意外でしょ?こんなに早い更新なんて! お読み頂ければ嬉しいです。(^^♪
2026.02.25
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「あの梅の木は」 第一話 勝 裕也 主人公 かつ ゆうや 小島 洋 裕也の親友 こじま ひろし 伊達 香織 裕也の恋人 だて かおり 伊達 明 香織の弟 だて あきら スマホの呼び出し音が・・・ 「よお、もう終わったのか?」 「うん、今日は珍しく早く上がったの」 「そっか、じゃあ今からブルース寄るか?」 「そうだね、裕也は今どこ?」 「もうじき笹塚だから、あと15分てとこかな」 「OK、あたしは今マンションの手前なのね、引き返してから行く。 だからあと7~8分で着くわね」 「じゃあ悪いけど、ちょいと待っててくれ」 「わっかりました」 ほぼ15分後 窓側のいつもの席で文庫本を読んでる香織に、窓ガラスを軽くつつい て到着を知らせ、裕也は入り口に向かう。 香織は白い歯を見せて本にしおりを挟む。 裕也は店に入るとカウンターの中にいるオーナーに 「いつものをお願いします」と言って香織の向かいに座る。 「珍しく早かったんだねえ」 「でしょ、小説を読みながら裕也を待つなんてね。いつもはあたしが 待たせてんのに」 「そうだよぉ、待つ身の辛さが分かっただろ?」 「オーバーねえ、待つ身の辛さだなんて」 「あ、いや、今日のことだけじゃなくて、俺が待たされてんのは、図書館の 本を全部読んでしまえるレベルだぜ」 「それじゃあ何、君が長ーい間待たされてるのって、結婚にゴーサイン 出さないあたしに責任があるって、そう言いたいわけ?」 「そうじゃないか」と言いかけた裕也が、その言葉を飲み込んだのは、 香織の顔から笑みが消え、突き刺すように裕也の目を睨みつけたからだ。 「違うでしょ!君の酒量が並みになったら、そしたらいつでも結婚したげる っていう・・・それを実行できない君のせいでしょうが!」 「声が大きいよー」 彼はそう言ってカウンターを見た。 案の定、オーナーは口元に笑いを含ませて呆れたように首を振っている。 それで、この二人のやり取りが今日に始まった事ではないということが 知れる。 やがてオーナーが二人の前にコーヒーを置きながら 「待たされてんのは、ボクも・・・ね」 この二人、実は大学生の頃に結婚の約束をしていて、その時から 「ぼくらの結婚式には、いらして下さいね」とお願いしていたのである。 また今日も、カウンターにもどるオーナーの背中に向けていつものように 「す、すみません」と これにオーナーは、振り返ることもなく手を振って見せた。 コーヒーを一口すすった裕也は、そのままソーサーにカップを置き 「俺、今日は香織に確認したいことがあってさぁ・・・」 「何?深刻な顔して・・・」 「こないだお前んちに寄ったら梅の木があったけど・・・」 「うん、あるよ・・・」 「あれって、昔から梅の木だったか?」 「え?」 お久しぶりです。読んで頂けると幸いです。♪
2026.02.18
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お知らせ致します。今日明日に、新しい小説を更新出来そうな感じです。多分、出来そうです。お時間のある時に訪問いただければ幸いです。
2026.02.18
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小説 「scene clipper」 最終話 「戻って来たなあ・・・」「ホント、それ実感したわ、ほんの1週間なのに」「俺も今そう感じてたよ、久しぶりって感じる、何でだ?」 リョウは横断歩道の前で左右に首を振りながらため息をついた。「甲州街道だぜマリ・・・」「分かり切ったことを・・・そういうあたしも今そう言いかけてたけど」 信号が変わって渡り始める。「ん?」「なに?」「いや、何か今、不思議な感覚に陥ってた」「へえ、どんな?」「なんだか、九州から東京へ戻って来たというより、過去から今に戻って来た、そんな気分になったんだ・・・変だよな」「普通なら変だけど、リョウさんならあるかも。だってご先祖が五代将軍に拝謁・・遠くからでも顔を見てる。あたしの家も水城の家だって江戸時代からここに住んでるわけだし、ひょっとしたらあたしたち、その頃にも会ってたりするかもだしね」「いいねえ、俺そういうの好きだな、ロマンがあるじゃないか・・・」甲州街道を渡って左に折れ、「大一元」でマリは中華飯と豚の角煮を、リョウはいつもの天津飯と豚の角煮を注文し、先ずはスーパードライで乾杯!「やっぱ、豚の角煮は『大一元』だよな」 すると、店の大将が、「まいど、お二人お知り合いだったんですね?」「あれ、二人で来んの初めてだった?」とマリに振る「そうだよ、前に言ってたじゃない、『お互い昔っから通ってんのに会ったこと無いよねえ』ってさあ」「・・・ああ、そうだったそうだった!」笑いながら「大将、これからは二人で寄してもらうから、よろしくね」「そうね、あたしたち揃って大将の豚の角煮、大好きだから」マリが満面の笑みを浮かべて大将にそう言うと、流石に普段は無口な大将が軽く頭を下げて言ったもんだ。「そいつはどうも」不器用な彼なりの控えめな喜色の浮かべ具合が、リョウは気に入っている。「よし、先ずは乾杯といくか」「マリ、お疲れ様。遠くまで付き合ってくれてありがとうね」「いや、楽しかったよ。今は確かにちょっと疲れてるけどね」「かんぱーい!」 腹を満たしたら、もう部屋に帰ってベッドに倒れこむことだけが、二人を支配していた。やがて見慣れた十号通り商店街を抜けて「水道道路」に出た。ここは昔、杉並区の和泉給水所と新宿区の淀橋浄水場を結んでいた玉川上水路を埋め立ててつくられたため、こう呼ばれているらしい。水道道路を渡り、見慣れた街並みを新鮮な気分で歩き、抜けて、ドアの前では鍵を開けるのさえもどかしくて、「ロックしといて」というマリの声が聞こえた気がした。 翌日は二人で冷蔵庫の中を満たすべく、買い物して、午後には水城ファミリーや上妻+彼女に声をかけてささやかに食事会を楽しみ、そして翌日からは南台を中心に新たな日々が始まったのである。 小説「scene clipper」は一先ずこれでお開きとします。 間の空いた話にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
2026.02.05
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