Laub🍃

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2018.01.04
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カテゴリ: 🌾7種2次表
→1
→2  『わけがわからない』
→3  『話せない』
→4  『置いておけない』
→5  『収拾がつかない』
→6  『違えない』
→7  『誘えない』
→8  『知らない』
→9  『受け止めきれない』
→10
→11  『訊けない』
→12  『救われない』
→13  『そつがない』
あらすじ:
・外伝後安居・涼・まつりタイムスリップIF二次創作小説
・過去安居登場

****

カイコ 4

****



 過去の涼から溢れ出る殺気が凄まじい。

「おい、何でうちの安居が気絶してんだてめえ」



「適当に理由を作って連れてこようとしたが納得しないので気絶させて連れてきた」
「あ゛ぁ!?」

 掴みかかりかねない過去の涼を抑える俺、平然と気絶した過去の俺を樹の根元に座らせる未来の涼。状況が悪化しているようにしか見えない。十六夜を殺した俺を倒した苅田、その苅田に銃口を突き付けた涼達の様子が思い浮かぶ。今は未来の涼が過去の俺を倒し、銃口を突き付けられている。
 銃口。
 今は涼には銃弾が、俺には本体もない為使えないそれを、この時の涼達は使えるんだ。



 同一人物なのに火花を散らしている二人、ひとまずその中間に立つ。
 嵐のようにとは行かないが、少しでも平穏な方向に話を向けたい。もう手遅れかもしれないが。

「過去のお前が聞き分けがないのが悪い。それに人目に付くところは通ってないし、暴力で眠らせたわけでもない、あゆが最近きのこから作った睡眠薬を嗅がせただけだ」
「きのこ!?あゆは使いたいけど危険そうで使えないって言ってなかったか」
「一年後は動物実験や人体実験を軽く大勢でやってるから安心しろ」
「……取り敢えず安全性は信用してやるが……どうするつもりだ、お前ら。……まさか俺達に成り代わるつもりなんじゃないだろうな」
「そうできれば、好都合なんだが……お前は素直に従ってはくれないだろう」
「当然だ。今の俺にとっての相棒はそこで気絶してる阿呆一人だ。もし俺達を殺そうとでもするなら、全力で抵抗する」

 話がどんどん悪い方向に行っている。
 過去の涼は洞からまつりを引きずり出し、銃を握り直した。

「……安心しろ。お前も、安居も。別に殺そうとか、成り代わろうとかいう気はない。ただ事前に、未来に起こりうる事を伝えて忠告したかっただけだ。俺達は、この時期の夏Bにでも身を寄せる」
「涼…」

 ほっとした俺を置いて、涼は再び『もう一人の俺』を抱え上げる。

「涼!?おい待て」
「過去の今の時期のこいつから目を離したくないからな。おい、過去の俺。未来の安居とまつりをよろしくな」

 一目散に走り出す涼、呆気に取られた俺達は一瞬のち我に返る。
 あいつは何をしているんだ。 

「この野郎…」

 躊躇いもなく未来の自身に銃口を向ける過去の涼の腕を慌てて掴む。

「待て、未来のお前の事だ、何か考えがある筈だ」
「そんな大層な事考えてるようには見えなかったが。あいつもお前も、未来で長く過ごして阿呆になったのか?」
「阿呆って……」

 いや、しかし。

「そうかもしれないな」

 夏Bに影響を受けて、拘っていたことをいくつか捨てた。
 それを阿呆になったというのなら、そうなのかもしれない。

「……話しても無駄みたいだな。俺は行く、邪魔するならお前も撃つ」
「やめろ!」

 …結局こうなるのか。
 しかしもう少し交渉をきちんとしていればこうはならなかった気がする。
 恨むぞ涼。


 この場に居ない相棒を思い浮かべながら俺は、過去の涼に掴みかかった。




【続】





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最終更新日  2018.11.24 21:21:31
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