Laub🍃

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2018.01.09
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カテゴリ: 🌾7種2次表
→1
→2  『わけがわからない』
→3  『話せない』
→4  『置いておけない』
→5  『収拾がつかない』
→6  『違えない』
→7  『手段を選ばない』
→8  『知らない』
→9  『受け止めきれない』
→10
→11  『訊けない』
→12  『救われない』
→13  『そつがない』

あらすじ:
・外伝後安居・涼・まつりタイムスリップIF二次創作小説
・未来安居と過去涼、協定を結ぶ
・未来涼、過去安居を誘拐する



*******

カイコ   7

*******




「安居。あっちで新型の獣を発見した。捕獲するから付き合え」

「ああ」
「新型の獣……泥の中にでも潜んでいたのか?」
「ああ」
「体格は」
「人間と同じくらいだ」

「毒は分からんが爪や牙はある」
「そうか、何系の動物だ」
「……哺乳類だな」
「あたしも手伝います!」
「……不要だ。お前はついてくるな」
「泥の中で呼吸なんて出来るのか?」
「半分浮いていたからな。問題はなさそうだ」
「……あゆがあの辺りで採集していたが、遭遇しなかったのか」
「そのようだな」
「毒がないなら食べてみたいところだが…何体居た?」
「2体だ」
「…他の奴も呼んだ方がよくないか?ちょっと待ってろ、源五郎を呼んでく」
「……」
「……なに…す……涼……」
「……悪いな安居」















「……なにすんだ、涼!」
「…安居、悪いがお前が寝ている間に少し移動した。
 夏のBチームという奴らが浜辺に居るらしい、その調査を俺達二人で行う事になった」
「は!?お前、泥の中の生物は?それにBチームって何だ……夏は俺達だけだろう」
「悪い、嘘を吐いた。お前が素直についてきてくれるとは思わなかったからな」
「お前そんなさらりと嘘吐くなよ……いや、それでもなんで俺とお前が別行動取ってあの村から離れてるんだ。俺はリーダーだし、お前は一応サブリーダーみたいなものだろう。あいつらから離れていては意味がない。特に今は混合チームと合流したばかりなのに、言い出した俺が放置して離脱しては責任が」
「……」
「何だよ、その目は」
「……めんどくせえなあ……」
「……喧嘩売ってんのか」
「…もう、いい。……おい安居、よく聞けよ。今から本当の事を言う」
「……本当の事?まだお前嘘吐いてたのか」
「………未来の俺とお前、あともう一人がこの世界にやってきた」
「は?」
「いいから聞け。それで、過去の俺と先に会った。話し合った結果、未来の俺、過去のお前は夏Bの所に身を寄せて、過去の俺、未来のお前、未来から来たもう一人は混合村に残ることになった」
「……お前は?お前は、未来から…来たのか」
「ああ」
「……俺はお前が幻覚でおかしくなってないとどう判断すればいい」
「夏Bの居場所とメンバーの名前、特徴を言う」
「そんなのお前が貴士先生から事前に聞いてたかもしれないだろ。大体夏Bって何だ、……まさか、脱落者から選んだのか!?あいつらは、生きてたのか!!」
「いや、違う。……別の奴らだ」
「……俺達が眠った後にもう1チーム似た条件で作られたのか」
「そんなところだ。施設育ちではないが、元の世界では生きづらそうな奴らだ」
「……」
「今日はここで眠ろう」
「……何でお前、こんな変な道ばかり通るんだ」
「…見られてるかもしれないからな」
「混合チームにか?」
「……同じ人間が二人居ては不自然だろう」
「……なあ、涼」
「何だ」
「俺が、お前たちが未来から来たという話を信じるとして……二人ずつこの世界に来ている事を、いつまでも隠してはおけないんじゃないか」
「そうだろうな」
「……過去の俺とお前を殺して、未来のお前と俺が成り代わるつもりなんじゃないだろうな」
「……殺せるわけないだろうが。いつかはばらすか、露見の前に俺達が帰るさ」
「…………未来の俺は……冷静に、あいつらと接する事ができるのか」
「……そうだな、未来に来た当初よりは随分と落ち着いた」
「……お前が先に事情を話してくれてれば、そいつとも話す機会あったんじゃないのか」
「……悪かったな」
「……お前が謝るなんてな」
「……お前が……ここまで落ち着いて話を聞けるとは思わなかったんだ」
「……未来から来たって話が荒唐無稽すぎて逆に冷静になった」
「そうかよ」
「……なあ、一目でいい、未来の俺と、過去のお前が混合村に居る所を見させてくれないか」
「駄目だ。見付かるかもしれないし、お前、花や秋ヲと出くわしたらまた揉めるだろう」
「……あれはあいつらが……」
「……この1年間あった出来事や、人間関係の変化、可食植物、天候の変化、動物の捕獲・飼育方法。その話をまず聞け。もう一度あそこに行くのはその後だ」
「……分かったよ」







「本当にこちらに夏のBチームが居るのか」
「ああ。……ほら、見えてきた。あの座礁している船の近くだ」
「座礁…?」
「船旅をしていたが、座礁して動けなくなって、浜辺での生活に切り替えたんだと」
「そうか。異常気象が続く中なら、船旅しながら暮らした方がいいかもしれないな。……そうか、船は壊れているのか?それを直しながら生活しているのか」
「いや、壊れてはいない。ただ船を挟み込む岩礁が丈夫だった…それを、未来のお前と俺がこんな風に二人で辿り着いて、銃弾の火薬で壊し、めでたく俺達と夏Bは船旅をはじめたってわけだ」
「……銃弾…」
「ああ。お前はまだ持っているな」
「…お前は?未来の俺は、もう持っていないのか」
「ああ。火薬として使い切ってしまった」
「危険だろう。身を守るものがナイフだけなんて」
「……今のところはなんとかなっている……おい、何でナイフを持ってるんだ」
「…お前は随分と気を抜いているが、本当に夏Bが安全なのか分からない。……それに、未来の俺達が探索か何かで夏Bと出会ったのは、『今』からどの位後だ」
「……確か一月ほどだな」
「それなら、あいつらもまだ、便利な船旅が終わって気が立っているかもしれないだろう。用心しておくに越したことはない」
「……安居。夏Bは、警戒するだけ無駄だぞ。あいつらは全員平和ボケしてる。一部は遊ぶ事しか考えてない」
「…………なんでそんな奴らが俺達と同じ『夏』なんだ」
「……秋のチームと折り合いが悪いのは同じらしいぞ」
「全く参考にならない。何なんだ、どんな奴らなんだ夏Bは」
「……変な奴らだ」
「…………あ…おい、一人こっちに歩いて来るぞ。……あいつが夏Bか。なんだ、平和ボケなんてしてないじゃないか」
「……」
「涼?」
「……嘘だろ……」





「安居、涼。久しぶりだな」



「……要、先輩?」



「そうだ。あれから随分年を取ったが、分かるんだな。
 ……他の夏Aはどうした」




【続】





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最終更新日  2018.11.24 21:26:02
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