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2022年06月13日
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カテゴリ: 地震、原子力
 プーチン大統領のおすすめの、安価なロシアのLNGのパイプラインの設置を、ウクライナ侵略戦争が始まるずっと前に日本は断った。
 ウクライナ侵略の影響で、欧州中心に各国が「LNGの脱ロシア化」に頭を悩ませている。
 世界トップクラスの熱効率(=低炭素)を誇る中部電力・川越火力発電所(LNG)をもつ日本の電力源の当面の策は、なんと石炭火力とされている。
 高効率の石炭火力プラント新設工事が進められている。アンモニアは燃焼してもCO2を排出しない「カーボンフリー」の熱源。将来、石炭からアンモニア燃焼に転換すれば、カーボンフリー火力にできる」とのこと。
 アンモニア燃焼(専焼)発電設備は技術開発中。
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世界中を悩ませる「LNGの脱ロシア化」で、
欧州には不可能かつ日本にしかできない
2022年6月7日 プレジデントオンライン
  …  (略)  …
■日本で当面、頼りになるのは石炭火力
 このようにロシアのウクライナ侵略が加速させた「エネルギー危機」は、すぐれて「天然ガス危機」の性格を有している。日本の場合、この「天然ガス危機」は、短・中期的には代替財としての石炭の価値を高めることになるだろう。
 もちろん、ウクライナ危機の最大の教訓はエネルギー自給率を高めることの重要性であるから、根本的な解決策が「究極の国産エネルギー」である再生可能エネルギーの大規模導入にあることは言うまでもない。しかし、再生エネの大規模導入には時間がかかるから、それまでのあいだは既存の資産でつないでいくしかない。「天然ガス危機」が深刻化する状況下では、代表的な既存資産は、原子力発電所と石炭火力発電所ということになる。
     ​
 ところがわが国では、原子力発電は、きわめて心もとない状況にある。そもそも、2021年の日本の電源構成に占める原子力の比率は6%にとどまる。そのうえ、ウクライナ危機後、2022年の原発廃止の延長を一時は検討したドイツ政府や、2025年の原発廃止を10年間先延ばししたベルギー政府とは異なり、日本政府は、原発活用の具体的な動きを示していない。
     ​
■2024年にかけて高効率石炭火力の建設ラッシュ
 岸田文雄内閣の目玉政策の一つとして2022年5月に「中間整理」が発表された「クリーンエネルギー戦略」でも、結局、原発のリプレース・新増設は打ち出されることがなかった。わが国においては、エネルギー危機への対応策として、原発が速効性をもつことはないのである。
 石炭火力をめぐる状況は、原発とは対照的である。2021年の電源構成に占める石炭火力の比率は、LNG火力の32%に続き、27%に達する。しかも、現在、日本では、熱効率が高く発生電力量当たりの二酸化炭素排出量が相対的に少ない超々臨界圧の石炭火力の建設ラッシュが進行中である(中国電力・三隅2号機、JERA・武豊火力5号機および横須賀火力1・2号機、神戸製鋼所・神戸4号機)。
 これらの新設工事は、2024年には完了する。短・中期的には、新設された高効率石炭火力は、「天然ガス危機」に直面するわが国における電力の安定供給に貢献することだろう。
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■石炭火力のアンモニア転換という新機軸
 しかし、いくら高効率石炭火力であっても、相当量の二酸化炭素を排出することには変わりはない。日本が脱炭素社会をめざし「2050年カーボンニュートラル」の達成を目標とする以上、最終的には、石炭火力そのものを廃止しなければならないのである。
 日本が考える長期的な石炭火力からの脱却策は、燃やしても二酸化炭素を排出しないアンモニア火力への転換である。石炭火力発電所の既存設備を使いつつ、燃料を石炭からアンモニアへ徐々に転換していき、最終的にはアンモニア専焼の火力発電所へ変身させるという、新機軸のアプローチだ。
  ―  引用終り  ―
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 海運でも、世界に先駆けて大型船舶の燃料を重油からアンモニアへの転換をすすめようとしている。
 金属の脆化など取り扱いがことのほかややこしい「水素」社会を構築するより、アンモニアのサプライチェーンを構築する方が現実的なのだろうか。
     ​
アンモニアを燃やすことの愚かしさが、
松田 智
元静岡大学工学部化学バイオ工学科
2021年08月15日 GEPR
  … (略)  …
 こんな記事を読み続けていたら「アンモニア燃料って結構良いんじゃないの?」と思う人々が出てきても何ら不思議はない。これらの記事は、水素礼賛記事と同様、水素・アンモニアが抱えている問題を何ら直視せず、ひたすら「脱炭素に役立つ」ことのみを強調しているからだ。しかし実際は違う。簡単に言うと、アンモニアを燃料として使うことの問題点は、大きく見て2つある。
1)エネルギー的に大損(コスト的にも不利)
2)CO2は出ない代わり窒素酸化物(NOx)が出る
 この2つは、どちらも致命的な欠陥だと言える。
 まず、エネルギー的観点。水素を議論した際、天然ガス中のメタンを水蒸気改質して造ったら、元のエネルギーが約半分に減る上に、燃やすのと同量のCO2が出る、水の電気分解で水素を造ると、水素の生産・消費の過程で元の電力が6割以上減るとの理由で、水素製造はエネルギー的損失が大きいと述べた(当然、コストも上がる)。
 アンモニアは、その水素を原料として合成する。どんなに工夫しても、エネルギー損失がさらに大きくなり、コスト的にも原料水素より製品アンモニアが安いと言うことは絶対にあり得ない。水素が高くて困っているなら、それより高いアンモニアがさらに困ることは自明である。
  …  (略)  …
     ​
 さらに、アンモニアを燃やすことは 2)環境への悪影響に直結する。
 アンモニアを燃やしたら、厄介な窒素酸化物(NOx)が発生する。NOxは酸性雨・オゾン層破壊・光化学スモッグ・PM2.5などの原因物質であり(N2Oは温室効果ガスでもある)、大気汚染物質の中で最も被害の影響範囲が大きく、かつ処理の難しい物質である(NOx自体は直接的な温室効果を持たないが、各種化学反応によって温室効果ガスを生成するので間接的温室効果ガスと呼ばれる)。
 NOxは、CO2などよりはるかに微量・低濃度で環境に悪影響を及ぼす。CO2を出さない代わりにNOxを出す方がマシ…? これほどの本末転倒があるだろうか?大気汚染関連の技術者・研究者が聞いたら、ビックリして腰を抜かすような話である。
  ―  引用終り  ―





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最終更新日  2022年06月13日 06時00分10秒
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