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デンソーの低圧燃料ポンプのリコールは、2020年3月から五月雨式に発表されている。 11月15日、デンソーの林新之助社長は、燃料ポンプの不具合でリコールが相次いでいる問題の対策費について、「新たな引き当ては現時点ではない」としつつ、「この後どうなるかは、計り知れないところがあるのが正直なところだ」と語った。 即ち、リコールの全貌はいまだ判明していない。 12月8日、ホンダは再びデンソー製欠陥燃料ポンプを搭載した車両のリコールを国土交通省に届け出た。樹脂製インペラ(羽根車)が膨潤し、ポンプケースと干渉して燃料ポンプが作動不良を起こす恐れのある車両が新たに見つかった。 ホンダは燃料ポンプが作動不良を起こす原因を突き止め、今回、欠陥燃料ポンプを搭載した可能性のある全ての車両をリコールの対象とし、デンソー製燃料ポンプによるリコールに決着をつけた。 12月13日、デンソーが製造した燃料ポンプに不具合が原因で、今年7月、鳥取市内でエンジンが止まり、路上に停車していたところ、後続車に追突されて、乗っていた80代の男性が死亡していたことが報じられた。 死亡事故の報を受けて国土交通省は危機感を新たにしたのだろう。 「重大な問題」と斉藤国交大臣が危機感示すデンソー製燃料ポンプでリコール相次ぐ問題でデンソー・自動車メーカーにユーザーへ説明するよう指導TBS NEWS DIG Powered by JNN 2023年12月15日 自動車部品大手デンソーの燃料ポンプでリコールが相次いでいる問題で、斉藤国土交通大臣は「重大な問題」と述べ、デンソーと自動車メーカーが利用者に対し丁寧な説明を行うよう指導していると明らかにしました。 デンソー製の燃料ポンプをめぐっては、走行中にエンジンが止まるおそれがあるとして、2020年3月以降、ホンダなど8社が19回にわたりリコールを国土交通省に届け出ています。 これを受け、斉藤大臣は「安全上重大な問題と認識している」と危機感を示しました。 そのうえで、デンソーや自動車メーカーに対しては、車に不具合が起きた場合にすぐに路肩に止めて逃げるなど、「対処方法をユーザーに提供することや、速やかにリコールを行うよう指導している」と明らかにしました。 また、二輪車にも同じ種類のポンプが使われているものがあるとして、「早急に調査を行った上で、リコールが必要な場合は速やかに届け出るようメーカーに強く働きかけている」としています。 ― 引用終わり ― 国内でのリコールは2020年以降、自動車メーカー8社のあわせて382万7000台あまり。デンソーは世界3位の自動車部品目がサプライヤーであるから、これに海外分が加わるのだろう。 このリコールがいつ終わるかを知る者はいない。 デンソー、燃料ポンプに関する約380万台のリコールについて「今後も引き続き真摯に誠実に対応してまいります」編集部:北村友里恵2023年12月13日 Car Watch デンソーは12月13日、同社製燃料ポンプに関する約380万台のリコールについて声明を発表した。 その中で同社は、不具合原因の調査の中で作動不良の発生には条件が複雑に絡んでいることが判明し、製造から車両に組付けるまでの期間、その環境の影響なども確認しながら、カーメーカーと連携して対応を進めているとした。また、今後もリコールに迅速に対応するため、最善の努力を続けていくとしている。 ― 引用終わり ― 先日リコールが五月雨式に続く原因の一つと思われる内容のYouTube動画、「ものづくり太郎チャンネル」をみた。 なんとデンソーでは部品番号が統一的に管理されていないというではないか。開発された部品番号が各製造拠点ごと手書きで転記されていくという行為が明らかにされていた。 トレーサビリティが確立されていると思われている自動車部品の世界において、一手間かけて履歴を追いにくくする行為が行われていたのだ。おそらく転記の一覧などが存在しないのだろう。 他の原因もあるのだろうが、3年かけてもリコール対象品が判明しない理由の一つと考えられる。 リコール対象となる部品のトレーサビリティの確立していないメガサプライヤーの量産部品は、部品メーカーにとっても完成車メーカーにとってもリスクの塊。 敬意を持ってデンソーをぶった斬る…デジタル変換できない自動車サプライヤーものづくり太郎チャンネル 12月15日の斉藤国交大臣はデンソー製燃料ポンプの欠陥について安全上重大な問題、二輪車メーカーにも強く働きかけていると会見の場で発言した。デンソー製燃料ポンプの欠陥問題がさらなる拡大の可能性があることを示唆している。
2023年12月28日
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大量の駆動用のバッテリーを積む現行のBEVは、ガソリン車、ディーゼル車と比べてかかなり思い。また大量のバッテリーは重いだけでなく嵩張る。 したがって内燃エンジン車と同等の車室容積の確保、操縦安定性、耐久性を実現するために、EV専用のプラットフォームが必要になる。 車体側はそれでよいが、車と路面との接点であるタイヤも重い乗用車向きの開発が必要になる。SUVとの大きな違いは、多くのBEVの重心が低めであること。 2023年9月中旬、高単価政策をとり販売数量を減らしてきたタイヤ大手のブリヂストンの決算と株価は好調。M&Aなどで海外生産拠点を増やしたブリヂストンの海外売上高比率は約8割。 ブリヂストン株、2か月ぶり上場来高値を更新EV向け高性能タイヤ需要に期待感...高まる内外証券各社の評価2023年9月20日 J-CAST会社ウォッチ タイヤ大手、ブリヂストンの株価が2023年9月15日、東京株式市場で一時、前日終値比125円(2.1%)高の6074円まで上昇し、2か月ぶりに上場来高値を更新した。 足元の業績は販売数量減という不安要素を抱えているが、EV向け高性能タイヤ普及への期待などから、ここへきて内外の証券会社の評価が高まり、見直し買いの対象となっている。 … (略) … 中国経済の足踏みが欧州景気を減速させているとされるが、タイヤ販売にも影響が出ているようだ。 実際、決算発表直後は2023年後半に販売数量を持ち直せないのではないか、との見方から株価は下値を追うような展開となった。 証券各社、「高性能タイヤ販売は堅調」目標株価引き上げ JPモルガン、投資判断を最上位「買い」に格上げ ところが、8月下旬から9月半ばにかけて内外の証券会社が目標株価の引き上げを発表した。野村証券は6200円から6400円に、SMBC日興証券は6000円から6400円に、大和証券は5700円から5900円に、シティグループ証券は5600円から5700円という具合だ。 「価格維持力が相対的にあるほか、高性能タイヤの堅調な販売も見込める」(野村)、「特殊車両向けの販売が順調」(SMBC日興)などの見方が出ていた。 なかでもJPモルガン証券は、EVの普及で高性能タイヤの需要が高まる、との見立てから投資判断を3段階で真ん中の「中立」から最上位の「買い」に格上げし、目標株価は6000円から6600円に引き上げた。 相次ぐ証券各社の高評価を受けて株価は上値を追う展開になり、ついに上場来高値を更新するまでになった。 販売数量減という不安材料はあるものの当面は株価が堅調に推移する可能性がありそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫) ー 引用終わり ー EV向けタイヤという明るい要素で評価されたと思われるブリヂストンであるが、タイヤの主要構成材料のSDGsへの取り組みが求められている。 【独自】危ぶまれる“タイヤの存続” バス会社の新たなSDGs2023年9月17日 ytvnews SDGsへの新たな取り組みを始める総合商社、バス会社、タイヤメーカーの3社の試みを取材しました。 ■天然ゴムの生産には“児童労働問題”が潜在 都内のあるバス会社。タイヤが向かった先は…大きなタイヤが描かれたラッピングバス。新品タイヤがゆっくり、はめ込まれます。 一見、普通の、このタイヤ。しかし、“ある課題”を解決するかもしれません。バスなど、車に不可欠な「タイヤ」。しかし、その主原料・天然ゴムのおよそ85%は、東南アジアなどの小規模農家で生産されています。 伊藤忠商事・物流物資部、北村プロジェクト担当「家族経営の農園になりますので、児童労働の問題であったり、強制労働であったり、そういった問題も潜在している」 幼い子どもたちが、劣悪な環境で働かされている現状も。 北村さん「各国の規制も厳しくなってきていますので、強制労働といった人権問題がないか、そういったものが証明されないと、なかなか取引ができない」 ■「タイヤの存続」のため専用アプリで情報を追跡 課題は「タイヤの存続」。そこで伊藤忠が始めたのが「PROJECT TREE」。専用のアプリを通じ、天然ゴムが「いつ、どこで作られたか」「違法な環境で作られていないか」など、情報を追跡できる仕組みです。 伊藤忠は現地会社を通じ、賛同する農家に対し、農具などの提供や、今後の持続的な供給のため、農園管理についての研修も行っています。 ■責任ある一員として環境、人権課題に取り組む この取り組みに今回、初参画するのが、東急バスと「TOYO TIRE」。 東急バス・サステナブル推進部、井原部長「グローバルなサプライチェーンの中での責任ある一員として、環境や人権の課題について今後、取り組んでいきたい」 東急バスは、自社が使うタイヤのおよそ900本をこの“TREEタイヤ”に順次、はき替えます。このバスがその第1弾。あらゆる人が環境や人権を考えるきっかけになればと、日本でバスが運行し120年となる9月20日から都内を走ります。 ー 引用終わり ー
2023年09月27日
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市街地での自動運転には様々な課題が伴う。 それを解決するべく自動車メーカーだけでなく、ソフトバンクをはじめとするIT企業、電機産業など様々な企業や団体が研究開発をすすめている。 ソフトバンクとトヨタは両社の共同出資により設立した「MONET Technologies」で新しいモビリティサービスやMaaSビジネスの実現に向けた取り組みを行っている。 MaaS(マース)とはモビリティ・アズ・ア・サービスの略。さまざまな形態の輸送サービスを統合した、オンデマンドでアクセス可能な単一のモビリティサービス。MaaSオペレーターは利用者の要求を満たすべく、公共交通、ライドシェア、カーシェア、自動車シェア、タクシー、レンタカーなどさまざまな交通手段のメニューを用意する。この中には自動運転も含まれる。 なぜトヨタの未発売ミニバン「シエナ」が都内に現れた? アンテナ多数のテストカーの正体、ソフトバンクに聞いてみた!2023年7月3日 くるまのニュース ソフトバンクは自動運転の実証実験を各地で行っていますが、東京都の芝浦エリアでは日本で未発売のトヨタ大型ミニバン「シエナ」がテストカーに使われていました。 ■日本で未発売のトヨタ「シエナ」がソフトバンクのテストカーに採用されている… 2023年6月下旬にSNSで「自動運転のテストカーにトヨタ・シエナが使われている」という旨の投稿がありました。 トヨタ「シエナ」は北米を中心にアジアの一部で販売されている同社最大のミニバンですが、日本では正規販売されていません。 なぜ自動運転のテストカーとして採用されていたのでしょうか。 海外市場を中心に販売されるシエナは1997年に初代が北米市場で発売。現行は4代目が2020年末より販売され、この代から全車ハイブリッドになっています。 元々シエナは米市場向けに展開されていましたが、4代目では米国工場分をカナダ、メキシコ、台湾、韓国に輸出。中国向けは現地生産しています。 ボディサイズ(XSEグレード)は全長5184mm×全幅1993mm×全高1770mm×ホイールベース3060mmとなり、新型「アルファード」の全長4995mm×全幅1850mm×全高1935mm×ホイールベース3000mmよりも一回り大きいサイズです。 なお過去には日本のショッピングモールにて参考展示した他、トヨタ「ノア/ヴォクシー」のメディア試乗会に展示した実績があります。 その際、トヨタによれば「(2022年1月時点)日本のナンバープレートを装着した4代目シエナは『XSEグレード(赤いボディカラー)』と『プレミアム(色未確認)』の2台だけ」と説明していました。 そうした中で今回、東京都内で4代目の「XLEグレード(白いボディカラー)」が目撃されました。 しかもこの車両はレンタカーなどが使用する「わナンバー」を装着しています。このシエナはどのような代物なのでしょうか。 ヒントを探すべく、謎のシエナの外装を見ると複数のカメラやアンテナが至る所に装着されており、ボディサイドには「AUTONOMOUS DRIVING TEST(自動運転実証実験中)や「ソフトバンク 先端技術研究所」、リアには「追越危険」など描かれています。 この謎のシエナの正体について、ソフトバンク 先端技術研究所が「自動運転のレベル4の解禁に向けた実証実験」として東京都港区の竹芝エリアで2023年1月から開始しているものでした なおソフトバンク 先端技術研究所は、2022年4月に設立された新しい技術を社会実装するための研究・開発を行う組織です。 自動運転は、2023年4月の改正道路交通法の施行に伴って、レベル4(高度運転自動化)が解禁されています。 ソフトバンクでは、自動運転のレベル4の解禁やこれらの課題解決を見据えて、持続性が高い自動運転サービスの早期社会実装を目指し、運行業務の無人化などに向けた実証実験を実施しています。 実証実験の概要としては「自動運転のシステムに関する検証」と「デジタルツインによる運行の最適化に関する検証」を軸に行われています。 「自動運転のシステムに関する検証」では、将来的な運行業務の無人化を見据えて、「車外の遠隔監視AIによる自動化」と「自動運転車内の運行支援システムの開発」を進めています。「デジタルツインによる運行の最適化に関する検証」では、「シミュレーションによる経路設計の自動化」と「自動運転の運行システムへのフィードバック」を軸に進めているといいます。 ― 引用終わり ― 今回の検証でトヨタは車両を提供しただけとのこと。 各種の測定機器を搭載するには大型のSUV・シエナが適切。 高価になるであろう、レベル4の自動運転車市販にあたり日本が眼中にない、ということではないと思いたい。
2023年07月27日
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EVの駆動系の動力源を構成するのは下記の4要素(モジュール)①電気を貯めるバッテリー②電力を制御するインバータ③電力を回転力に変換するモーター④モーターの回転を適切に減速してタイヤに伝えるトランスアクスル(トランスミッション) 自動車メーカーでは、相性のよい部品を選んだり、アッセンブリーしたりする工程が必要になるわけだが、これらをモジュールとして部品メーカー(サプライヤー)が完成車メーカーに納入するものを「eアクスル」と呼ぶ。 「eアクスル」は、インバータ、モーター、トランスアクスル(トランスミッションとデファレンシャルギアを一体化した動力伝達機構)、の3つを一体化したもの。 eアクスルのメリットは、そのままモジュールとして使えること。 部品同士の、作動の円滑さ、耐久性などの検証がより簡易となる。 電気自動車でも日本勢が覇権を握る理由。動力装置「eアクスル」で急成長する日本企業5社とは?=田嶋智太郎2022年11月25日 MONEY VOICE 電気自動車の動力装置「eアクスル(イーアクスル)」に注目が集まっている。代表的サプライヤーである日本電産は、新工場をメキシコに建設する方針。2024年3月期にも着工し、投資額は1,000億円規模になる見通しだ。足元で急拡大する需要に応ようと、イーアクスル事業に注力する企業は日本電産に限らない。そうした企業の幾つかをピックアップしておきたい。いずれも中長期的にイーアクスル事業が収益に大きく貢献することが期待される。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎) 「イーアクスル」採用拡大の流れに乗る企業 イーアクスルとは、モーター・減速機・インバーターを一体化したシステムで、ガソリン車のエンジンに相当するEVの中核装置。 最近は、ユニット全体の軽量&小型化・車両の開発効率化・コスト削減の観点から、イーアクスルとしてユニットで組んだ状態でサプライヤーから調達し、車両に組み付ける手法が広がっている。 代表的サプライヤーである日本電産は、電気自動車(EV)の駆動装置「イーアクスル」の新工場をメキシコに建設する方針。2024年3月期にも着工し、投資額は1,000億円規模になる見通し。 ― 引用終り ― イーアクスル事業に注力する企業を抜き書きする。・日本電産<6594> イーアクスル事業は研究開発と顧客開拓を優先しているため、2019年の事業開始から営業赤字が続いている。 生産コストを引き下げた第2世代品(9月末に量産を開始)への切り替えでイーアクスル事業の収益化を図り、24年3月期に黒字転換を目指す。 ・三井ハイテック<6966> 金型の超精密加工技術が強みの独立系電気機器メーカー。 世界シェア7割の車載用モーターコアが北米を軸に好調続く。トヨタを主要顧客とするHV・EV向けがもモーターコアを牽引するが、省エネ家電用も伸びる。 ・住友ベークライト<4203> 住友化学傘下の樹脂加工大手。半導体向け封止材料では世界首位に君臨する。 世界初の「樹脂化eアクスル」を開発。同製品は、NEDOの2021年度「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム」に採択された。 ・IJTT<7315> いすゞ自動車の子会社。いすゞ自動車への売上高が全体の約6割。 主力製品である産業・建設機械用エンジンは主要部品の粗材調達から加工、組立まで一貫生産する。 7月にEV商用車用『eアクスル』の専用ラインを設置し、量産を開始。 ・日立製作所<6966> 2021年元旦、日立製作所傘下の日立オートモティブシステムズとホンダ傘下のショーワ、ケーヒン、日信工業の計4社の合併により成立した日立アステモが発足。この合併で日立とホンダの距離は一気に接近。ホンダも日立アステモの議決権の33.4%を所有し、議決権を有する。 9月下旬、ホンダが2026年からのグローバル展開を予定している中・大型EV向けの電動アクスルを受注したと発表。日立アステモは自社開発の高性能な一体駆動ユニットをHondaに納入する予定。 自動車部品としての十分な耐久性を備えることは必須。加えて、量産によるコストの低減が十分でなければ、重要な部品であっても、車体組立メーカーは、自製を含め別の調達方法を考えるので、汎用性の高さ=納入先の多様化も必須。
2022年12月16日
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ホンダ(本田技研工業株式会社)は自動車、バイクの電動化に、もてる資源を集中して対応している。 2022年8月4日、ホンダは、連結完全子会社である株式会社ホンダロックの全株式をミネベアミツミ株式会社に譲渡する契約を締結したと発表した。 ホンダは、電動化などの自動車業界を取り巻く大きな環境変化の中で、連結子会社を含めて個々の強みを活かした事業ポートフォリオの最適化に取り組んできた。 ホンダロックは、四輪・二輪車・農業機械用部品および住宅用キーレスシステムの開発・製造・販売をおこなっている。 主要製造部品の電子デバイス化など将来の発展性を検討した結果、自動車領域とともに、非自動車領域も含めた多様な分野での技術や価値創出に強みを持つミネベアミツミの下で事業を運営することが将来的な事業成長につながるとホンダは判断し、本株式譲渡について決定した。 株式の譲渡は、2022年中の取引完了を予定。 ミネベアミツミ 「ホンダロック」子会社化へCASE対応加速2022/08/05 信濃毎日新聞デジタル ミネベアミツミ(北佐久郡御代田町)は4日、ホンダ子会社で自動車の鍵などを手がけるホンダロック(宮崎市)の全株式を取得し、完全子会社化すると発表した。 ホンダと株式譲渡契約を同日付で結び、年内に全株式を取得する予定。取得額は明らかにしていない。電装・電動化といった自動車関連の次世代技術「CASE(ケース)」に対応する製品開発などを加速させる。 ― 引用終り ― ホンダ直系の部品メーカーの株式譲渡は、2019年09月、浅間技研工業株式会社(エンジン、ミッション、駆動系鋳造部品)の住友商事グループへ参加が実施された。 2021年1月1日、ケーヒン、ショーワ、日信工業の3社が、自動車部品メーカーの日立オートモティブシステムズにも実施された。 ケーヒンは、二輪・四輪用各種システムを開発、製造。燃料供給系のキャブレターやフューエルインジェクションが主力。トランスミッション系部品、カーエアコン関連、ガソリンやハイブリッドエンジン用の電子制御系関連、圧縮天然ガスエンジン関連、各種産業用バルブなどを開発・製造している。ホンダ系列だが、国内外の他メーカーにも部品を供給していた。 ショーワは、二輪・四輪車向けショックアブソーバー、電動パワーステアリングシステムが主力製品。輸送用機器の精密機能部品などを開発・製造している。ホンダ系列だが、国内外の他メーカーにも部品を供給していた。 日信工業は、四輪車・二輪車向けブレーキ装置及びアルミ製品等の開発、製造、販売が主力。 ホンダ系列だが、国内外の他メーカーにも部品を供給していた。二輪車向けブレーキ装置のシェアは世界1位。 四輪、二輪ともに海外生産比率の高いホンダグループ企業らしく、浅間技研、ケーヒン、ショーワ、日信工業の4社は全て幅広く海外事業展開をしていた。浅間技研以外はエンジン頼りという事業構造でもない。 ホンダロックは、米国、メキシコ、ブラジル、中国、タイ、インドネシア、ベトナムに製造拠点(現地法人)、研究開発組織(米国)をもっている。
2022年08月17日
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日産は高い圧縮比と低い圧縮比を可変制御するメカニズムでノッキングを制御し、好燃費とパワーの両立はかった。 予想できる課題は、燃費向上と車両価格の関係と新メカニズムの耐久性への影響といったところか。 そして内燃エンジン搭載車両を売ることができる市場が、世界にどれぐらいあるか。 エクストレイルに搭載。1.5ℓ3気筒ターボ可変圧縮比(VCR)ターボ 日産の切り札第2弾 KR15DDT型2021/07/23 Motor-Fan Tech. … (略) … 高い圧縮比と低い圧縮比を可変制御できると何がいいのか。燃費とパワーを両立できるのだ。 ガソリンエンジンでは主にノッキングの問題から、燃費を追求して圧縮比を高く設定するとパワーは諦めなければならず、パワーを追求すると燃費を我慢しなければならなかった。技術の進化によってだいぶ両立を図ることができるようになっているが、圧縮比の高いエンジンは燃費追求型、圧縮比の低いエンジンはパワー追求型に分類することができる。 … (略) … 日産のVCターボは運転状況に応じて圧縮比を可変制御することにより、パワーもあって燃費もいいエンジンにする狙いだ。 VCターボ第1弾のKR20DDET型、2.0ℓ直4ターボは3.5ℓV6自然吸気エンジンの置き換えとして開発された。いわゆる過給ダウンサイジングターボだが、VCRを備えているため従来の過給ダウンサイジングよりも高い価値を備えている。実用燃費は3.5ℓV6比で27%向上したと日産は説明する。 … (略) … VCターボのマルチリンク可変圧縮比機構は、圧縮比を可変制御するにとどまらない優れものだ。 アクチュエーターとつながった複数のリンクを動かすのでフリクションが増えそうだが、実はそうではないところに特徴がある。 通常のエンジンはピストンが下降するときにコンロッドが斜めになるため、ピストンを横に押す力が働き、これがフリクションになる。VCターボの場合はリンクが真っ直ぐ下降するため、フリクションが小さい。また、VCターボはピストンがきれいなカーブを描いて動くので振動が少なく、そのおかげで4気筒エンジンに不可欠なバランサーシャフトが不要。これも、フリクション低減につながる。 ― 引用終り ―
2022年07月30日
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マレリは、日本の自動車部品メーカーのカルソニックカンセイと、イタリアの自動車部品メーカーのマニエッティ・マレリが、経営統合されてできた会社(本社:さいたま市)。 マニエッティ・マレリは、1919年設立のフィアットと自動車部品メーカーのエルコレ・マレリの合弁会社に始まる、フィアットグループの自動車部品メーカー。自動車系電装部品に長けている。 自動車部品大手マレリ金融機関に経営再建の支援を要請2022.02.15 東京商工リサーチ 自動車部品大手のマレリ(株)(TSR企業コード:291139833、法人番号: 8030001014831、さいたま市北区日進町2-1917、設立1938(昭和13)年8月25日、資本金4億円、代表取締役:藤井司氏)が取引金融機関に対し、支援要請交渉に入ったことが分かった。 マレリは、空調システムや内装、コンプレッサーなどを扱う大手自動車部品メーカー。日本ラジエーター製造(株)の商号で設立され、1973年に東証1部で上場し、2000年に(株)カンセイと合併し、商号をカルソニックカンセイ(株)に変更した。 2005年には日産自動車(株)(TSR企業コード:350103569、法人番号:9020001031109、横浜市西区)に対して第三者割当増資を実施し、連結子会社になった。その後、2016年11月に米国の投資会社KKRのグループが当社株式の公開買付を実施し、同社グループの傘下に入り、2017年5月に上場廃止した。 2019年には、イタリア自動車部品メーカーのマニエッティ・マレリと経営統合し、現商号に変更した。事業再編や構造改革を実施していたが、2019年3月期の売上高は約3200億3400万円にとどまり、150億1200万円の赤字を計上。決算期を変更した同年12月期も84億200万円の赤字と経営環境は厳しさを増していた。 さらに、2020年12月期は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、工場の操業停止や関連会社向けの貸倒引当金繰入なども響き、売上高は約2148億2600万円に対し、282億1400万円の赤字を余儀なくされた。 グループへの事業移管や事業譲渡など再建を目指していたが、半導体不足もあり、業績の回復が遅れ、当社の支払い振りに注目が集まっていた。 ― 引用終り ― 今後EVの普及拡大がすすむとみると、マレリの将来は希望がある。 マレリが自動車系電装部品に長けており、カルソニックカンセイが冷却系に長けているとすれば、今後のBEVの普及拡大に伴い、EV駆動用バッテリーの熱マネジメントシステム(液冷バッテリーシステム)、省電力型エアコンで大いに活躍する可能性がある。 テスラの高級車は、バッテリーの熱マネジメントシステムを備えており、EVの航続力の確保と、バッテリーの耐久性向上で秀でている。 量産車に装備可能なバッテリーの熱マネジメントシステムの実用化、電費に優れた車室内の温度管理システムの実用化がはかれた場合、マレリの業績は大いに向上すると考えられる。 もちろん、供給先が日産、フィアット以外に拡大するとしての話となるので、今後もメガサプライヤーとの開発競争は続く。 3月7日、マレリホールディングスは、経営再建に向け申請した私的整理の一種である事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)をめぐり、東京都内で第1回債権者会議を開いた。マレリは債務返済の一時停止やつなぎ融資の実施について、メインバンクのみずほ銀行など取引金融機関全26行から同意を取り付けた。 解体分離の危機は免れたようだ。
2022年03月13日
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合併に合併を重ね、メガサプライヤーとなったマレリは、本格的EV化を前に部品企業の更生の試金石となるかもしれない。 更生のカギを握る日産の業績は病み上がり状態、EV化関連の巨額投資を控え、他社を救済する余力は少ない。 「日産にもみずほ銀行にも波及の恐れ」なぜ自動車部品マレリの負債は1兆円超にまで膨らんだのか2022年2月25日 プレジデントオンライン■約1兆1000億円の巨大負債を抱える 米投資ファンドKKR傘下で、日産自動車や欧州のステランティスを主力取引先とする自動車部品メーカーのマレリホールディングスが業績悪化を受け、私的整理の一種である事業再生ADR(裁判外紛争解決)の申請に向け取引銀行と調整に入った。 取引金融機関は20数行で、メインバンクはみずほ銀行。マレリの前身であるカルソニックカンセイが日産の元系列メーカーで、日産のメインバンクはみずほ銀行であることによる。 20年12月末時点で借入金は約1兆1000億円と巨大だ。 「ADRでは50%以上の債務カットが一般的で90%までカット率を引き上げる場合もある」(大手信用情報機関)とされる。取引金融機関のなかには「シンジケートローンで参加した地銀もあり、体力に比して大きな痛手を被る可能性のあるところも出かねない」(関係金融機関)と危惧されている。 … (略) … ■危機は日産、みずほ銀へと波及しかねない ADR申請はKKR主導で、成立するかどうかは取引金融機関全行が納得するプランを提示できるかにかかる。みずほ銀行は直近発表した21年10~12月期決算で純利益が33%減の930億円に急減した。与信費用が急増したためで、「一部大口融資先の影響があった」と説明した。これはマレリのADRに備えた個別引き当てが主因と見られている。 他の大手行もマレリの債務者区分を引き下げ、貸倒引当金を積み増している。マレリの処理を誤れば、危機は日産、そしてみずほ銀行へと波及しかねないリスクが伴う。 マレリの経営危機は、買収を繰り返し、規模が拡大したのにもかかわらず、リストラ遅れ、そこにコロナ禍と半導体不足による自動車生産の急減が重なり、資金繰りに窮したことによる。「マレリは昨年末に取引先に対して支払いサイトの延長を求めるなど、4期連続の赤字により債務超過の懸念が高まっていた」(大手信用情報機関)とされる。 マレリの取引量のうち6割を、日産、ルノー、三菱自動車の日仏連合とステランティスが占める。これを日本市場に限ると日産との取引が実に8割を占める。再建のためには日産の協力が不可欠だが、日産は明確な支援を表明しておらず、資本支援については否定的だ。 ■マレリの行方を握る中国大手行の動き かりにADRが成立しない場合、法的整理(経営破綻)に進む可能性があるが、岸田政権にとって大型倒産は政治的に受け入れられるかは疑問だ。実は、政府は昨年6月に産業競争力強化法を改正し、事業再生ADRを成立しやすいように措置していた。いわゆる「ごね得」を防ぎ、大型倒産を回避するためだが、期せずしてマレリがその試金石になった格好だ。 その鍵を握ると見られているのがマレリに融資する外資系金融機関の存在だ。「ADRは全員一致が前提。日本の金融機関だけであれば、予定調和的に合意形成ができるが、外資系金融機関にはそれが通用しない」(メガバンク幹部)という。そのマレリに融資する外資系金融機関について関係者が明かすところによれば「中国の4大銀行の一角である中国建設銀行のほか、Bank of China、第一商業銀行、Mega Bank DBSが融資している」という。中国の大手銀行が入っていることは厄介だ。 このため、「外資系金融機関のマレリ向け債権をメインバンクが買い取る、いわゆるメイン寄せも検討に値するのではないか」(マレリに融資する金融機関幹部)との意見も聞かれる。「仮にADRが成立しても、その後の再建計画をスムーズに進めていくためにはすべての取引金融機関の協力が不可欠だ。その際、考え方が異なる海外の金融機関が債権者として残っていてはやりにくいのではないか」(同)というのが理由だ。 ― 引用終り ― 再建に日本金融ムラの掟は海外資本には通じない。 解体、解散のスキームも検討されるのだろうか。
2022年03月03日
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動力源が内燃機関か電動機かに関係なく、自動車の各機能が電動化していった。 今や軽乗用車でさえ、パワーステアリングもパワーウインドウもフルオートエアコンも装備している。それらは下記の記事に記載されるように半導体を備えている。 省燃費も安全運転支援システムも半導体なしには成り立たない。 現代の自動車は半導体なしには成立しない。 そんなことは分かっているという人は多いかもしれないが、半導体の供給不足が組立ラインを頻繁に止めることは想像しなかったに違いない。 なぜクルマには半導体が必要なのか? どうなるクルマと半導体のミライ 2022年2月17日 ITmedia ビジネスオンライン 改めていうまでもないのだが、EVやハイブリッド車は当然として、純エンジン車にとっても半導体は欠かせない部品だ。 例えばクリーンディーゼルでは、1回の燃焼に5回前後の燃料噴射を行ない、燃料を有効に使ってトルクを引き出し燃費も向上させながら排気ガスを出来る限りクリーンな状態に近付けるという芸当をやっている。 ミリ秒単位の制御とはいえ、コンピュータにとっては造作もないことだ。むしろそれに対応する燃料噴射装置の方が大変な忙しさだろう。 ガソリンエンジンでも複数回の燃料噴射を行なうし、その上スパークプラグの点火タイミング、吸排気カムシャフトのスプロケットを位相させてバルブタイミングを調整している。しかもその時点での車速やエンジン回転数や水温、油温にスロットル開度、さらにはアクセルペダルを踏み込む勢い(加速度)まで読み取ってドライバーの加速要求を判断し、必要な制御を行なうのだ。 その上、変速機の制御とも組み合わせて協調させることにより、スムーズで省燃費な走りを実現している。このためにはさぞかし高性能なコンピュータが必要だと思われるかもしれないが、ECUは専用機なので今どきのPCと比べれば、演算能力の高さはそれほど要求されないようだ。 ECUだけに半導体が使われているのではなく、電子部品のほぼ全てに半導体が採用されている。ADAS(先進運転支援システム)の衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警告に使われているカメラに組み込まれているイメージセンサーやレーザーセンサー、ミリ波レーダー発信機も半導体によって構成されている。 それ以外でも、例えばパワーウインドウのモーターにはワンタッチ操作を可能にし、トルク制御を行うためにマイコンが組み込まれている。 … (略) … 半導体がクルマの随所に盛り込まれるようになったのは、機能を増やしていったためだけでなく、車内中に走る配線であるワイヤーハーネスを簡素化して、重量増を抑えようとしたことも大きい。アナログ時代はハーネスだけで100キログラムを超える高級車も出現したが、デジタル信号によりシリアル接続が可能になったことで、部品ごとに独立したハーネスから解放され、大幅な軽量化を実現させている。 スロットルバルブとアクセルペダルは、現在ワイヤーケーブルではなく、電気信号に変換して伝達しているのはご存知だろう。今やブレーキやステアリング操作さえもドライブ・バイ・ワイヤーへとシフトし始めている。これによって、複雑で自由な制御が可能になる。これも半導体を利用しているからこそ実現できた技術だ。 ヘッドライトユニットさえもモジュール化されて、ALH(アダプティブLEDヘッドライト=配光特性を複雑に組み合わせてハイビームでも対向車ドライバーに眩(まぶ)しさを感じさせない)など、ボディの末端にまで半導体が組み込まれている。 … (略) … ●半導体の正体とは何だ … (略) … 半導体は電子部品であり、その種類は無数にあるが、機能により大きく3つに大別することができる。1つはトランジスタで、信号や電流を増幅する役割を持っている。 2つめはスイッチングで、電流を流したり遮断したりする機能がある。EVやハイブリッドの駆動モーターの電流を制御するインバーターに使われるのが、このスイッチングだ。 3つめはダイオード、これは電流を整えるもので回路内の電気の流れを整えるほか、交流電流を直流に変換する場合などに利用される。光源として完全に普及したLED(発光ダイオード)も半導体の一種だ。 トランジスタ、ダイオード、さらには電子回路として必要なコンデンサや抵抗、そして配線までもシリコンウェハー上に焼き込んだ集積回路がICで、アナログ回路として利用されるほか、デジタルな信号へと変換してCPUへ伝達するなどECU内で中継的な役割を果たしている。 ICの機能を盛り込んだ回路をより微細化して作り上げたのがLSI(大規模集積回路)で、パソコンやスマホ、クルマのECUなどに使われる演算処理を行なうCPUは代表的なLSIだ。近年は微細化により省電力化や高効率化が著しく、PCやスマホの性能が加速度的に上昇している。 ただし車載用の半導体は環境条件が厳しく、さらに地域によっては立ち往生することで乗員の生命が脅かされる可能性もあるため、まず何よりも信頼性、耐久性が重要で、半導体チップの高性能化は優先順位としては低い。 ●原料、材料、製造装置の多くで 日本製が未だ優位 … (略) … ●クルマのECUの進化は今後、 二極化の流れ 現時点ではエンジンECUに加え、車種によって室内装備用やシャーシ用にECUを搭載し、それぞれを通信させてさらにその末端にあるマイコンまで信号を送って制御している。今後は、より高度な制御を実現するためにどう進化させていくか、興味深いところである。 今後の車内ネットワークの進化の方向性の提案は、大きく2つに分かれている。一つは高性能なECUを核にしてネットワークを構築するプランだ。1つあるいは2つのHPC(ハイパフォーマンスコンピュータ)を用意して、その先には中継用のECUを介して末端のマイコンを制御する。 もう一つのアイデアは、マイコンの高性能化によりメインのECUの負担を減らす考えだ。マイコンのセキュリティ性を高めることで、ECUとしての能力も与えることが可能になる。 ― 引用終り ― 自動車というモビリティツールを多面的な効率面から総合的に制御しようとすると電子化、電動化は避けて通ることができない。 これからは自動車メーカーも、エンジン部品と違い他の用途でも使える半導体を、もっと大切にすることだろう。
2022年03月01日
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ドアの上に付けるアイテム「ドアバイザー」は、フロアマットなどとともにディーラーオプションの定番のひとつとなっている。 そもそもドアバイザーは、雨天時に換気のために窓を開けることができるよう、雨の日も換気しながら喫煙できるよう普及したアイテムだった。 多くの車でエアコンが標準装備となり、喫煙者が著しく減った現在、日よけにしては小さすぎるドアバイザーの役割は「謎」。 そのドアバイザーが、コロナ禍で換気のためのアイテムとして再注目されているという。 もはや絶滅危惧種の「ドアバイザー」! コロナ禍で再脚光を浴びていた2022年2月12日 Auto Messe Web … (略) … じつはこのドアバイザー、かつては輸入品がメインだったのだが、現在では日本ばかりでポピュラーな「ガラパゴス」アイテムとなっている。 … (略) … コロナ禍でドアバイザーが見直されている じつはそんなドアバイザーがいま見直されている。ご存知の通りコロナ禍で換気が必要不可欠となった現在、車内換気を促すバイザーはふたたびその需要が高まっているのだ。 ちなみにこの写真はドアバイザーではないのだが、バスの窓に装着する「ウインドウバイザー」で、換気のために窓を開けても雨の侵入を防ぐことができるというアイテム。現在路線バスで順次導入され新型コロナウイルス対策にひと役買っているそうだ。 ― 引用終り ― 空気抵抗も減らず、重量も減らず、静粛性を高めるとも思えないドアバイザーは、我が家の車に装着しなかった。 空調の外気導入、内気循環モードの違いの分からぬ人が多いせいもあるだろう。 乗用車の空調ボタンに記号ではなく「換気」と表示すれば、ドアバイザーを装着する人は減るかも。 公共交通機関であるバスは、既に多くの通勤電車が取り組んでいるように、常時換気を行う仕組みの導入が必須だ。
2022年02月22日
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大手自動車部品メーカーのマレリホールディングス(旧カルソニックカンセイ)が、経営再建に向けて金融機関から支援を受けるべく協議に入ったことが報じられた。 私的整理の一つである事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)の申請が検討されている。 自動車部品大手 マレリHD 再建へ「事業再生ADR」活用で調整2022年2月15日 NHK 自動車部品大手のマレリホールディングスは、厳しい経営状況に陥っていることから、取り引き銀行に金融支援を求める方向で調整に入りました。「事業再生ADR」と呼ばれる国の制度を活用して、事業を継続しながら再建を目指す方針です。 マレリは、さいたま市に本社を置き、エンジン関連をはじめ幅広い部品を手がける大手自動車部品メーカーです。 関係者によりますとマレリは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、売り上げが減少したことなどから、去年12月末の時点で負債が資産を上回る債務超過に陥るおそれが出ています。 このため抜本的な経営の立て直しが必要だとして、企業の再建を支援する「事業再生ADR」と呼ばれる国の制度を活用する方向で、取り引き銀行との間で調整に入りました。 負債の総額は1兆円規模と見られ、会社は銀行に対して借金の返済の猶予を求めたうえで、債権放棄などの金融支援も要請する方針です。 ― 引用終り ― マレリは、空調システム、内装、コンプレッサーなどを扱う自動車部品のメガサプライヤー(売上高世界7位)。 下記に記載のように日産系から離れ、マレリは米国の投資ファンド「KKR」の傘下。 1938年、日本ラヂヱーター製造株式會社として創立。 1952年、日本ラヂヱーター株式会社に社名変更。 1988年、カルソニック株式会社に社名を変更。 2000年、日産系の自動車部品メーカーである株式会社カンセイと合併し、カルソニックカンセイ株式会社となった。 2017年、日産は投資ファンドであるコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)傘下のCKホールディングス株式会社が実施した株式公開買付けに、保有全株式を応募。同年3月29日付で日産グループから離脱し、同年5月11日付でCKホールディングス株式会社の完全子会社となった。 2018年、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の自動車部品部門、マニエッティ・マレリを買収。 2019年、マレリ株式会社に社名変更。 2022年までにマレリは、再上場を計画していた。 2018年のマニエッティ・マレリ買収後、事業再編、構造改革を実施したが、2019年3月期、150億1200万円の赤字を計上。 決算期を変更した同年12月期も84億200万円の赤字が続いた。 2020年12月期は新型コロナ禍の影響で、工場の操業停止による売上高減少や関連会社向けの貸倒引当金繰入などもあり、赤字は282億1400万円と増加した。 「事業再生ADR」は国が認定した専門機関などが債務者と債権者に入る私的整理とはいえ、公的整理にあるような信頼性を得られる。事業再生計画案を練ることで取引を継続しながら、事業再生を進めることができる。
2022年02月18日
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排気ガス規制、燃費向上(低炭素化)のため、エンジンのダウンサイジングがすすめらた結果、大型トラック、バスのAT(ATM)の普及が拡大している。 大型路線バス用アリソン製ATの累計搭載台数が10,000台達成アリソンジャパン株式会社2019.11.05 @Press 中型・大型商用車向けオートマチックトランスミッションの世界最大手メーカー、アリソントランスミッションの日本法人であるアリソンジャパン株式会社(代表取締役社長:アシュウィン・ゴパラスウォーミー)は、大型路線バス用のオートマチックトランスミッションTモデルの累計搭載台数が10,000台に達したと発表しました。 Tモデルは、2000年8月に三菱ふそうの大型路線バス「エアロスター」ディーゼルエンジン車に初めて設定され、翌年CNG車にも搭載されました。また、2005年にはいすゞ自動車のエルガや日野自動車ブルーリボンにも搭載され、スムーズな発進や加速性が全国のバスドライバーから高く評価されています。2010年には三菱ふそうがエアロスターにATを標準装備することによって、昨今問題となっているドライバー不足を解消するためにもAT車を採用するバス事業者が増え続け、近年の登録台数ベースで、ATは国内の大型路線バスの約4分の3に採用されています ― 引用終り ― 商用車では排ガス規制に対応する必要に迫られ、かつてのNA(自然吸気)エンジン主流の時代からターボインタークーラーエンジンが導入され、エンジンのダウンサイジングが図られた。 ターボ化は排ガス規制対応に必要で、高過給・高燃焼圧化によるエンジンのダウンサイジングは、厳格化する排ガス規制の中で省燃費性能との両立に不可欠だった。 一般に小排気量エンジンを高出力化できてもトルクカーブは貧弱。 発進性の確保にはワイドレンジのミッションの多段化が必要で、そのために煩雑なミッション操作を自動化し、トルクを減らさないATであるAМT(オートメーテッド・マニュアル・トランスミッション)が採用されるようになった。 現在の大型トラックのAМTは12段が主流。 このAMTが発進停止の多い路線バスでは運転しにくいとのこと。 「運転しにくい…」と現役バス運転手激白! 最新路線バスの実情とは編集部(k-kakizaki) 2022/02/07 ドライバーWeb … (略) …現在ワンメイク状態の中型バス 現在、日本のバスメーカーは路線バスに限ると基本的には三菱ふそうとジェイ・バスの2社です。ジェイ・バスとは聞き慣れないかもしれませんが、日野といすゞの合弁会社。ここで製造されたバスが日野といすゞで販売されています。 私の所属先の路線バスは中型が主力です。ちなみにここでいう中型とは、免許区分ではなく車体サイズのこと。中型は全長が7~9mのバスを指します。 この中型路線バスを現在製造しているのはジェイ・バスの一社。車名で言えば日野・レインボーといすゞ・エルガミオで、同一車種です。不評なのはこの現行レインボー/エルガミオ兄弟。では一体どこが不評なのでしょうか。 実用域でトルク不足の4気筒ターボエンジン 一般車にはダウンサイジングターボエンジンが浸透しましたが、それはバスも同じです。レインボーもエルガもどちらも4気筒のディーゼルターボエンジンを積んでいます。ちなみに排気量は5.2L。メーカーは環境対応とうたっていますが、実際運転してみると…。 弊社では旧型のバスが現役です。過走行を気にする人なら目ん玉が吹っ飛ぶような200万km選手もピンピンしています。そんな旧型のエンジンは排気量約8000cc直6の自然吸気。年式により諸元の差は多少ありますが、特性はほぼ一緒です。 おそらくどのバス会社でもそうですが、運転時はエコの観点からなるべくエンジン回転を抑えて運転するよう運転手に指導するはずです。ちなみに、国交省が策定している指導マニュアルにもそう書いてあります。 バスのタコメーターにもエコゾーンの表示があり、おおむね2000回転以下だと思います。旧型の場合、1000回転~2000回転の間にパワーバンドがあるため、エコゾーンに回転を合わせていれば、なんの苦もなく運転が可能です。低速トルクも太く、坂道もガンガン登っていきます。自然吸気なのでアクセルレスポンスもよく、例えるなら髪の毛一本分の調整が効きます。 しかし、最新型の4気筒ターボはそうはいかないのです。 ドッカンターボ気質で、低回転はスカスカ、1800回転まで上げて初めて実用域のトルクが出てきます。ターボが効いた瞬間あっという間に吹け上がるので、2000回転を簡単に超えてしまいます。 そんなエンジンなので、アクセルレスポンスもわりとルーズ。旧型に比べて扱いづらいエンジンです。 オートマしか選べない 前述の扱いづらさをさらに助長しているのがトランスミッション。 現在のバスは、運転の負担を軽減しようという国の方針でAT車の導入が推奨されています。実際、現在のバスはほぼAT車しか売られていません。私がふだん乗る中型路線バスももちろんAT。これがやはり扱いづらいのです。 このATは、一般車のようなトルクコンバーター方式ではなく、構造は通常のMTで、その変速を自動化したもの。変速の際、トルコンATやDCTのようにすぐに次のギアにつながるのではなく、1.5秒ほど時間がかかります。この変速のタイミングが運転手の感覚とずれて気持ちが悪いのです。 特に発進時に気を使います。先ほども言いましたが、4気筒エンジンの低速トルクが薄いため、発進時はどうしても踏み込みがちになります。そうすると、会社推奨の2000回転のリミットを一瞬で超えてしまいレッドゾーンまで一気に吹けます。 後続車がイライラするほどゆっくりと発進しないと2000回転で変速してくれないのです。これがMTであれば強制的に2000回転で変速できるためまだ扱いやすい。 ちなみに私の路線は地方の山岳路線です。この低速トルクの薄いパワートレーンでは吹かさないと山を登りません。 ちなみにこの4気筒エンジン、ターボが効いた高回転域のパワーとレスポンスはピカイチです。それはそれは別のエンジンになったと思うほど。低回転と高回転でこの差をなくすよう設計をして欲しいと願うばかりです。 効果を疑うCO2削減機構 ジェイ・バスの中型はダウンサイジングターボエンジンを搭載し、アイドリングストップ機能も付いているエンジンなので、額面上はCO2削減に寄与する環境対応のエンジンです。しかし疑問も。現在のバスに使われるディーゼルエンジンは、一定距離を走る毎にエンジンをかけっぱなしにする必要があります。なぜなら触媒内に閉じ込めたススを燃料で燃やし、尿素水(アドブルー)で無害化するためです。 ある程度ススが溜まれば運転中に自動的に焼いてくれるのですが、この間はエンジンを止めてはいけません。止めると故障します。 これが最終バスで営業所に帰ってくる直前に燃焼に入ってしまうと最悪。運転手は焼き上がるまで帰れません。焼き初めから完了まで、時間にして30分ほどかかります。 燃焼状態ではアイドリングストップもできず、停車中に手動で焼けば30分のアイドリング。しかもエンジン回転がある程度上がります。 エコとはなんぞやと感じます。エコ性能を詰め込んだ結果、チグハグなエコ性能になっていると感じます。 ― 引用終り ― 大型商用車のATは、AMTが大半。 AMTは、マニュアルトランスミッションを自動化したもの。 AMTは基本的にマニュアルトランスミッションの操作を自動化したもので、トルクの増幅やトルク抜けのない変速といった機能は備わので、悪路や低ミュー路での走破性はMTと同様。メンテナンスでは、クラッチディスクの交換も必要。 バスのATは減速時もMTにはない気遣いが必要だという。 一速ずつシフトダウンするため、そのたびにシフトショックが伝わり、エンジンブレーキの力が一定しないため、繊細なブレーキ操作が必要になる。 とくに、停車前の2速から1速にシフトダウンするときの変速ショックが大きいという。 エンジンの出力特性とミッションの相性の問題であれば、技術進歩でいずれ解決すると思うが、その前にEV化がすすみ、問題(高出力低トルクのエンジン)の所在が解消するだろう。
2022年02月17日
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レーシングタイヤを中心に、限られたスペースの中でグリップを向上させるため、タイヤの低扁平化と剛性の向上がすすめられた。同一の外周サイズを保てば、ホイールは大径化する。 扁平率の高いタイヤはファッション性が高く評価され、カスタム化やドレスアップの分野でホイールのインチアップがすすめられた。 より高い走行性能の追求とファッション性の高さで、各自動車メーカーは扁平率の高いタイヤを採用し、ホイールを大径化していった。 フィット4は扁平率55%の「エコタイヤ」を採用している。 より扁平なタイヤの方が転がり抵抗が減るという話は聞いたことがないので、ファッション性の要求で作り出されたのだろうか? なぜクルマのホイールは大径化していくのかインチアップのメリットとホイールのミライ2022年1月18日 ITmedia ビジネスオンライン SUVのブームが続いている。SUVの特徴は、高めの車高と大径タイヤで、オフロードの走破性が高い印象を与えるスタイリングだ。実際の走破性はともかく、これまでにはない都会的かつワイルドなムードが新鮮で、魅力的なのだ。デメリットは車高が高いことと、大柄なため燃費が若干低下することだが、スタイリングが放つ魅力には敵わないようだ。 SUVだけでなく、Lサイズの高級セダンやミドルクラスセダン、コンパクトカーや軽自動車までほぼ全てのクルマのホイールが、モデルチェンジごとに大きくなっている。タイヤ外径も大きくなっているが、それ以上にホイール径が拡大しているのだ。 振り返ればこれまでの30年間、全体的にクルマのホイール径はサイズアップされる傾向にあった。そのきっかけとなったのは、低扁平(へんぺい)率なタイヤの登場だ。日本では1980年代後半からタイヤの幅に対して高さ(タイヤの厚み)が60%となるいわゆる60扁平のスポーツラジアルが登場し、そこからタイヤは低扁平への進化が続いている。タイヤの厚みが減れば、同じ外形ならばホイールは大径化する。これが、ホイール大径化の理由の1つだ。 … (略) … タイヤホイールの大径化はボディの大型化も影響しているが、理由はそれだけではない。ボディサイズに制限があり大型化していない軽自動車でも、ホイールの大径化は進んでいる。高速走行時の安定性を向上させたり、ブレーキ性能を高めたりするためにも大径化は貢献しているからだ。 … (略) … 電動化による重量増大を抑える手段として樹脂製大径ホイールが実用化される可能性も高い。 インホイールモーターやエアレスタイヤなどと組み合わせられるなど、ホイールの役割はこれから変わっていくことになりそうだ。 ― 引用終り ― 樹脂製大径ホイールは、適切な剛性と耐久性の確保、コスト、リサイクル性の担保が主な課題だろう。 インホイールモーターは、ばね下重量の削減が最大の課題。 空気入りタイヤ+スチールホイールは、達成しているレベルが高いので、エアレスタイヤは、あらゆる方面の進化が必要。
2022年01月30日
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日立Astemoは、日立オートモティブシステムズとホンダ系の部品メーカーのケーヒン、ショーワ、日信工業の3社の統合会社として2021年1月に設立された。 問題のブレーキおよびサスペンション部品は、旧日立オートモティブシステムズが手掛けていた製品。 国内の16社に供給されていた(具体的な顧客名は非公表)。 日立アステモ20年にわたり不適切検査ブレーキ・サス部品で木村 雅秀 日経クロステック/日経Automotive2021.12.22 日経クロステック 日立Astemo(日立アステモ)は2021年12月22日、ブレーキやサスペンションの構成部品で不適切な試験・検査があったと発表した。期間は、ブレーキ部品で約17年半、サスペンション部品で20年以上におよぶ。 … (略) … ブレーキ部品は、山梨工場(山梨県南アルプス市)で製造した「ブレーキキャリパー」「マスターシリンダー」「マスターシリンダー及びブースタ」「電動型制御ブレーキ」「分離型リザーバタンク」の5製品(9顧客向け)である。 定期試験を実施せずに顧客向けの報告書にデータを記載していた。定期試験とは、製品の工程検査や出荷検査とは別の抜き取り試験であり、顧客との間で試験項目を定めている。 不適切行為の件数は約5万7000件であり、現時点で確認できている期間は03年10月~21年3月の約17年半だという。 20年12月に日立製作所が品質コンプライアンス監査を実施した際、日立アステモ(旧日立オートモティブシステムズ)の社員が不適切行為について情報提供したことをきっかけに問題が発覚した。 一方、サスペンション部品は、福島工場(福島県伊達郡桑折町)で製造したもので、出荷検査と定期試験のそれぞれで不適切行為があった。 出荷検査では、サスペンションを構成する「フロントストラット」「リアショックアブソーバー」「ステアリングダンパー」「セミアクティブショックアブソーバー」の4製品(14顧客向け)が対象である。 不適切行為の内容は、(a)減衰力測定時の判定温度設定の変更、(b)減衰力規格要求値に対する適合出力の許容範囲の変更、(c)減衰力規格外れの製品の出荷の3つだった。件数は、記録が残っているものだけでも(a)が約420万本、(b)が約110万本、(c)が約480万本あったという。期間は、(a)と(c)が2000年ごろ~21年10月、(b)が2000年ごろ~21年7月であり、20年以上におよぶ。 サスペンション部品の定期試験に関しては、「フロントストラット」「リアショックアブソーバー」の2製品(5顧客向け)について、減衰力数値の書き換えが行われた。件数は、把握できているものだけでも259件、期間は2000年ごろ~21年10月とする。 日立アステモの品質保証部門の社員が、サスペンションの減衰力測定に関して出荷検査の不適切行為を認識し、21年7月に日立製作所の品質保証部門と日立アステモのコンプライアンス部門に情報を提供したことをきっかけに判明した。 ― 引用終り ― 速やかかつ詳細に調査され、具体的な内容が公表されていると思う。悪い慣習の根は、比較的早く断たれると見受けられる。日立AMS、可変ダンパー専用センサーが不要な高性能セミアクティブサスペンション。ステレオカメラでプレビュー制御も編集部:谷川 潔2019年10月18日 Car Watch
2021年12月27日
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EV普及時代目前となって、日本国内市場は世界の辺境に位置している。自動車は普及しているが、国内市場の縮小が見通され、新たな技術革新についていけそうにない状況だ。 技術力があっても、市場が小さすぎて、生産地は海外主体となりつつある。 EVの要の一つである蓄電池の革新も、そのような状況にある。 日本の電池開発は「崖っぷち」 ノーベル賞受賞者の吉野氏の叫び土屋 丈太 日経クロステック/日経エレクトロニクス2021.12.03 日経クロステック 「日本の電池産業は今、崖っぷちに立たされている」——。 リチウム(Li)イオン2次電池(LIB)を開発した功績で2019年にノーベル化学賞を受賞した旭化成名誉フェローの吉野彰氏が、日本の電池産業を危惧している。同氏は自由民主党主催の「未来社会を創出する、バッテリー等の基盤産業振興議員連盟(バッテリー議連)」の設立総会における講演で冒頭のように発言し、出席した政府関係者や国会議員に向けて電池産業への政策支援を提言した。同氏が日本の電池産業をここまで心配しているのはなぜか。 それは、「日本に十分な(規模の)電気自動車(EV)市場がないから」(吉野氏)だ。 LIBの用途は19年以降、電動車(xEV)がIT端末を抜いてトップに立っている。ところが、日本のxEV市場は電池積載量が少ないハイブリッド車(HEV)が主流。そのため、「日本の自動車メーカーの購入量が極めて少ない」(同氏)というのだ。そこで日本の電池メーカーは、「海外のEVメーカーを顧客とすることで何とか糊口(ここう)をしのいでいる。国内に(十分な規模の)EV市場が形成されなければ、非常に危機的な状況に陥る」というのが、吉野氏が抱く危機感の“正体”だ。 「日本の需要が少な過ぎる」 LIBの最大用途がxEVにシフトしたことは、統計を見れば明らかである。電池市場の調査会社B3(東京・千代田)の調査によると、20年時点で全世界におけるLIBの用途別出荷容量のトップはxEVであり、その総量は約123GWhに上る。スマートフォンやノートパソコン(PC)などのIT端末で使われている電池容量は約80GWhだから、1.5倍以上だ。今後、この傾向は加速し、30年にはxEV用途に20年時点の約10倍に当たる年間約1.2TWhが必要になるという。これはLIBの総出荷容量の75%以上を占める。 ― 引用終り ―
2021年12月21日
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”半導体”は、電気を通しやすい”導体”と電気を通さない”絶縁体”の両方の特性を持った物質。 電気を一方向だけ通す”整流”、電気信号を大きくする”増幅”、電気を通したり止めたりする”スイッチング”などを行うことができる。 パワー半導体は、高い電圧、大きな電流を扱うことができる半導体を指す。 高い電圧、大きな電流に対しても壊れないよう通常の半導体とは違った構造を持つ。 パワー半導体自身の電力損失を少なくし、さらに発生した熱を効率よく外に逃がすことで、故障の原因となる発熱を減らすようにされている。 パワー半導体は、コンバーター、インバーター、コンバーター、レギュレーターに用いられる。 自動車ではEVにおいて電力制御のキー・デバイスである他、自動運転、センシング技術などで需要が急増している ボッシュ、新型半導体を量産開始…EVの航続を6%延長へ2021年12月7日 Response ボッシュ(Bosch)は12月2日、SiC(炭化ケイ素)を使用したパワー半導体の量産を開始した。この半導体をEVに搭載すれば、航続延長が可能になるという。 SiCは小型かつパワフルで、高効率。ボッシュは数年に及ぶ開発期間を経て、SiCを用いたパワー半導体の量産を開始し、世界中の自動車メーカーに供給する。将来的には、より多くの量産車へのSiCチップの搭載が見込まれている。 SiCパワー半導体の需要は、世界中で高まりを見せているという。EVのパワーエレクトロニクスにSiCチップを使用すれば、1回の充電での航続が、シリコン(ケイ素)チップに比べて、平均して約6%延長される。 SiCチップの優れた性能の秘密は、小さな炭素原子にあるという。通常、半導体の製造に使用される高純度シリコンの結晶構造に炭素原子を結合させることで、シリコンチップよりも高いスイッチング周波数を実現。また、熱として失われるエネルギーがほぼ半分で済むため、EVの航続延長が可能になる。 このチップは800Vシステムにとっても重要で、システムの性能向上と充電の高速化が図られる。また、SiCチップでは熱の発生を抑えられるため、パワーエレクトロニクスの冷却機構を簡略化することもできる。これにより、EVの軽量化だけでなく、コスト削減にもつながる。 ― 引用終り ― パワー半導体に5年で1300億円投資、三菱電機 生産能力2倍へ、12インチ工場は24年度に稼働2021年11月10日 [永山準,EE Times Japan] 三菱電機は2021年11月9日、パワーデバイス事業の事業説明会を開催し、2025年度までの今後5年間でパワー半導体事業に1300億円を投資することを明らかにした。福山工場(広島県福山市)への12インチ(300mm)ウエハーライン新設などを予定しており、2025年度までに2020年度比で生産能力を2倍にする方針だ。 2025年度までに売上高2400億円以上、営業利益率10%以上 同社によると、自動車の自動化や、民生機器のインバーター化の進展、産業/再生エネルギー/電鉄分野の省エネ、自動化の進展によって、パワーデバイス市場は2020~2025年度まで年平均成長率(CAGR)12%のペースで拡大していく見通しだという。 この市場に対し、同社のパワーデバイス事業では、売上高を2025年度までに2400億円以上、営業利益率を10%以上とする成長目標を立てた。目標達成に向け、特に高い成長が見込まれる自動車分野と、同社が高いシェアを持つ民生分野に注力し、分野別売上高規模における両分野の比率を2020年度の50%から2025年度までに65%に拡大していく方針だ。 ― 引用終り ―
2021年12月19日
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11月9日、日産自動車は2021年4~9月期(第2四半期累計)の連結決算を発表。販売台数の減少を新車攻勢や販売の質の向上でカバーし、最終黒字1145億円を確保した。 新車の投入で大きな値引きをしないで済む車種が増えたことは、日産の経営陣にとっての朗報。 11月29日、長期ビジョン「アンビション2030」を発表した。 その中で次世代バッテリーとして知られる全固体電池の自社開発を進めており、2024年にパイロット工場を立ち上げ試作を開始。2026年までに1400億円を投じ、2028年度に搭載したEVを市販すると発表した。 いまだどこからも車載用全個体電池の量産技術確立の知らせがない中、日産は全固体電池を2028年度に実用化する発表したことになる。 株価対策の一つなのだろうか?日産は何か実用化を確信できる内容を把握していいるのか。 日産、EV向けに5年で2兆円投資全固体電池「28年度に実用化」2021/11/29 朝日新聞DIGITAL 日産自動車は29日、安全性が高く小型化が可能な「全固体電池」を2028年度に実用化すると発表した。今後5年で約2兆円を投資し、電気自動車(EV)の開発を加速させる。 30年度までに発売する新型車のうち、車種の50%以上をEVとハイブリッド車(HV)の電動車にする。EVの量産で先行しているが販売数はまだ少なく、新型電池を開発し巻き返しをねらう。 この日公表した30年までの長期計画で目標を示した。全固体電池は24年に横浜工場内に試作品の生産ラインを設ける。28年度には搭載したEVを発売する。 EVで出遅れているとされる日本勢は、電池の開発に力を入れている。全固体電池の実用化の時期について、トヨタ自動車は「20年代前半」、ホンダは「20年代後半」と表明していた。日産はこれまで「20年代後半」としていたが、今回明確な目標年を区切った。(神山純一) ― 引用終り ― 「EVで出遅れているされる日本勢」で日産は世界に先駆けてEVの量産を開始、年間EV販売世界一の座にも就いたことがある。私は、ルノー傘下にあっても日産は日本のメーカーと考える。 古いメディアである新聞人は、紋切り型の形容に長けている。 近年、米・テスラが生産・販売台数を伸ばし、さらに中国の格安EVが販売台数を大きく伸ばしている。 格安EVは、内燃自動車が普通に備えていた10年程度の耐用年数を備えていないことが確実。 テスラも長期使用にともなうトラブルを数多く聞き、走行に直接かかわる機能以外の耐用年数は不明。 各国でEV普及拡大の法令が制定されているが、当の EVの世界は、EV量産技術がそれほどすすんでいないというのが客観的な評価だと思う。 各自動車メーカーが電動化技術で大騒ぎしているのは、蓄電池、電池のように技術そのものこともあるが、EVに最適なサプライチェーンと生産体制の確立をすすめること。 工数も作業内容も大きく異なるEVの量産で、質を落とすことなくコストを下げることに世界の自動車メーカーは注力している。
2021年12月07日
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現在BEVの原価の約3分の1程度を駆動用バッテリーが占めているとされる。 EVの価格、性能の決め手は電池であり、従来のリチウムイオンバッテリー(LIB)よりエネルギー密度が高い全個体リチウムイオン電池は、BEVの安全性、航続距離問題の有力な解決策とされている。 従来のLIBは有機電解液を使っているため、セルに異常が生じた際に発火事故が起きる可能性が高い。 中国、韓国、米国ではEVの充電中の発火事故、衝突事故時の消えない火災が起こっている。 全固体LIBはセラミックスである固体電解質を使うので、発火の可能性が少ない。 液体のLIBは、熱に弱いため冷却の装置やスペースが必要になるが、全固体LIBは熱に比較的強く、性能劣化が少ないので、冷却装置が不要となり、空間と重量が少なくて済む。電池寿命を縮めることが少なく、より急速な充電を実現できる。 画期的な性能の車載用全固体リチウムイオン電池の固体電解質材料の開発は一定のレベルまで達してきており、量産ラインを立ち上げる手前まできているという。 下記の記事で普及に当たっての主な課題は、電池寿命とコストとしている。 全固体リチウムイオン二次電池、普及への道筋は? 研究開発動向を探る…[関西]二次電池展 11月17日開幕2021年10月29日 レスポンス 2021年11月17日(水)から19日(金)の3日間にわたり、インテックス大阪で第8回[関西]二次電池展(バッテリー大阪)が開催される。二次電池の研究開発、製造に必要なあらゆる技術、部品・材料、装置、二次電池が出展する、西日本最大の二次電池の専門展として業界に定着している。 … (略) … 液体系のLIBとは異なる課題 全固体電池は高温でも性能低下が少なく長寿命というメリットがある一方で、液体系のLIBとは異なる課題があるとも小林氏は指摘する。 具体的には「液体の場合は電解液が電極中の空隙を介して、電極活物質と容易に接触できるが、全固体の場合は電極活物質と固体電解質の固体―固体界面の接触をとる必要がある。十分な接触をとるためには電極作製時並びに積層時に従来よりも高い圧力を加える必要があるが、サイクル中に電極活物質が膨張・収縮するために固体電解質との接触が悪くなる部分が生じてくる。このサイクルに伴う固体―固体界面の接触が悪くなることが思った以上に寿命や出力特性に影響しそうなのが一番の問題」だという。 さらにコストの問題もある。「既存のLIBが今、電池パックで1kWhあたり1万数千円くらいまで下がってきている状況で、いかに性能が優れた全固体電池が開発されたとしても、価格差が大きければ導入が難しくなる。初期の導入段階では、全固体電池の価格は高くならざるをえないので、当面の間は赤字を覚悟する必要があるのでないか」とも。 だが、小林氏は「既存のLIBの材料では扱えなかった電極材料を採用するなどセルレベルでのエネルギー密度を向上させることで、LIBの性能限界を遥かに超える高性能の全固体電池が実現される」とした上で、「多くの課題はあるが、商品化に必要な要素技術は一定のレベルに達している。量産設備を立ち上げつつ、これらの課題を解決することで、実用化のタイミングを早めることができる」と強調する。 全固体電池がEV用に普及していくタイミングは では実際に全固体電池がEV用に普及していくタイミングはいつなのか。小林氏は「普及の定義をどう定めるかにもよるが、まずEV用途として出始めるのが、2025年から2030年くらいの間くらいなのではないか。すぐに、大きなシェアを獲るという感じでないのでは」とみる。 一方で、トヨタ自動車が全固体電池をハイブリッド車(HV)から搭載するという方針を示している。HVはEVと比べて電池搭載量が少ないため、ベース車に対する上乗せ価格(電池コスト)がEVに比べて大幅に抑えられるメリットがある。 ― 引用終り ―
2021年12月01日
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EVの駆動用バッテリーはEVの製造原価の1/3~1/4を占めるとされる。 世界各地でこのバッテリーの製造工場の建設が進められている。 この三国志に登場するのは、中国・CATL、韓国の3社(LG、サムスン、SK)、そしてたまに顔を出すのが、日本・パナソニック。 電極の素材が定まらず、次世代電池の量産技術が確立されていない現時点で、EV用バッテリーの大規模生産に乗り出す日本の電機産業の企業の名をみることはない。 CATLは中国国内で車体を製造する各社向けのバッテリー供給で独走状態。 韓・LGは、韓・現代自動車、米・GMと提携し、工場建設を推進中。 韓・SKは、米・フォードと提携。 韓・サムスンは次世代電池に賭けているようだが、独・BMWと提携。 パナソニックは当初、米・テスラ、日本・トヨタと組んで先行するかと思われたが、その後が続いていない。 2021年6月25日、パナソニックが保有するテスラの全株式を約4000億円で売却したことを明らかにした。 トヨタは米国でバッテリー生産に直接取り組む。 EV電池三国志、中国勢独走に韓国3社追随日本は地盤沈下趙 章恩 ITジャーナリスト2021.10.15 日経XTECH 世界で電気自動車(EV)の販売が急拡大するのに伴い、EV搭載バッテリー市場の競争が激しくなっている。シェア首位を独走する中国勢に対し、韓国バッテリー3社はシェアを守りながらすぐ後ろを追いかける。日本は中韓の攻勢に対し、地盤沈下が目立ってきた。 韓国のエネルギー市場専門の調査会社SNE Researchは2021年9月29日、2021年1月〜8月期の世界市場で登録されたEV搭載バッテリーのメーカー別シェアを公表した。首位は中国・寧徳時代新能源科技(CATL)であり、シェアは30.3%と前年同期から6.9ポイント増やした。2位は韓国LG Energy Solution(LGエナジーソリューション)である。シェアは24.5%で同1.5ポイント増だ。韓国勢はこの他、韓国SK on(韓国SK Innovationから21年10月に分社)がシェア5.4%で5位に、韓国Samsung SDI(サムスンSDI)がシェア4.9%で6位に入った。韓国バッテリー3社が、中国勢の独走を追いかけている様子が見える。 気になるのが日本勢のパナソニックだ。同社のシェアは前年同期から7.5ポイント減の13.3%とジリジリと中韓の勢いに押されている。SNE Researchによると21年1月〜8月期に登録されたEV搭載バッテリーの総量は162.0GWhであり、前年比約2.4倍に増えたという。同社は、EV市場において米Tesla(テスラ)の独り勝ち時代が終わり、群雄割拠の地殻変動が起きていると分析している。 中韓勢はこの地殻変動の波をうまく捉えて成長につなげている。その一方、パナソニックはその波を捉えきれていないのかもしれない。 韓国内でも、パナソニックとトヨタ自動車の共同出資会社であるプライムプラネットエナジー&ソリューションズ(PPES)が、2022年までEVバッテリー生産費用を半分に減らす方針や、トヨタ自動車が2030年までにバッテリー開発と生産に1.5兆円を投資することについて大きく注目している。 しかし韓国メディアでは、テスラとトヨタ自動車ばかりに集中するパナソニックについて、今後のEV搭載バッテリー市場のシェア拡大につながるのか疑問視する記事が目立つ。EV搭載バッテリーの生産費用を減らす工夫は、既に韓国勢も取り組んでいるからだ。 LGとSKが方針転換、安価なLFP生産に乗り出す 例えばLGエナジーソリューションとSK onは、ここに来て従来の方針を転換。安価なリン酸鉄リチウム(LFP)を使ったEV搭載バッテリーの生産に乗り出すことを明らかにしている。 LFPは主に中国勢が生産しているバッテリーだ。コバルトとニッケルを使わないため、リチウムイオン電池より原価が安い。もっとも走行距離はリチウムイオン電池と比べて短いことから、韓国バッテリー3社はこれまでは関心を持っていなかった。 ところがリチウムイオン電池の原材料の価格高騰と、LFPはリチウムイオン電池と比べて火災の危険性が低いことから、韓国内では「技術力だけで優位になれない、価格競争も重要」という雰囲気になってきた。EV車種の多様化で格安モデル向けのLFP需要が伸びていることも影響した。韓国メディアはLFPバッテリーの重要特許が2022年4月27日に満了することも、LGエナジーソリューションとSK onの方針転換を後押ししたと分析している。 韓国勢はこの他、原価を抑えた安価なEV搭載バッテリーの生産を続々と始めている。 例えばLGエナジーソリューションが2021年10~12月に韓国内で生産しGMの大型EVトラック用に供給するバッテリーは、ロングセル(580mm×113mm)のラミネート型(パウチ型)ニッケル85%のNCMA(ニッケル・コバルト・マンガン・アルミニウム)だ。これまでGMのEVに搭載してきたNCM622(ニッケル6:コバルト2:マンガン2)と比べてコバルトの割合を15%程度減らし、原価を削減している。 米GMと韓国LG Chem(LG化学)の共同出資会社「Ultium Cells LLC」 のバッテリー工場も2022年に稼働する。Ultium Cells LLCは北米のバッテリーリサイクル事業者「Li-Cycle」と契約し、ニッケルやコバルト、リチウム、黒鉛などバッテリー原材料を再利用する。LGエナジーソリューションと韓国Hyundai Motor(現代自動車)は2021年9月、ニッケル埋蔵量世界1位のインドネシアに年間10GWh規模のEV向け NCMAバッテリー工場の建設に着手した。原材料の調達費用を安くすることでバッテリー原価を30~40%節減できるとしている。 SK onも、ニッケル90%、コバルト5%、マンガン5%という比率の安価なNCMバッテリーを、2023年にも米ジョージア州工場で生産開始し、米Ford(フォード)に供給する計画だ。2025年を目標にニッケル94%のNCMバッテリーの開発も進めている。 同社は廃バッテリーから高純度の水酸化リチウムを抽出する独自技術を持っており、関連特許を出願している。鉱山で原材料を採掘するよりも温暖化ガス排出量を大幅に減らせるメリットがある重要技術だという。 円筒型や角形を主に生産するサムスンSDIは、2027年の商用化を目標に全固体バッテリーの開発を進めている。ニッケル88%以上、コバルト5%以下のハイニッケルNCA(ニッケル・コバルト・アルミニウム)バッテリー「Gen5」の量産も始めた。生産費用はkWh当たりで従来品と比べて約20%安く、一度の充電で600km走行可能なほどエネルギー密度を高くしているという。ハンガリー工場で量産したGen5は、まず独BMWに供給し、その後世界のEVメーカーにも供給する計画だ。Gen5はBMWの電動SUV(多目的スポーツ車)「iX」とセダンタイプの「i4」に搭載されるとうわさされている。サムスンSDIはニッケルを90%以上にしたバッテリー「Gen6」も開発している。 海外生産工場への投資も鍵、保護貿易に対応 韓国バッテリー3社が重視するもう一つの戦略は、海外生産工場建設のための大規模投資である。特に重視するのが北米市場だ。 LGエナジーソリューションは米国に4カ所、SK onも米国に5カ所工場を持ち、生産能力を増やしている。韓国内では2023年からEV向けバッテリー不足が深刻になると予測する。世界で保護主義が強くなる中、中国や米国、欧州は、自国企業、または自国で生産したバッテリーとEVを優遇する政策を取る。そのため韓国証券業界は、「これから3年間の投資が最も重要で、価格競争と次世代バッテリー技術、海外生産設備確保で、EVバッテリー市場において世界トップ5に入らないと生き残れない」とみる。 LGエナジーソリューションは2021年末にはバッテリーの年間生産能力が155GWhに達する見込みであり、2025年まで430GWhに増やす計画である。これは年間約720万台のEVにバッテリーを供給できる規模だという。 SK onのバッテリーの年間生産能力は2021年に40GWh、2025年に220GWh、2030年には世界最高水準の500GWhに増やすことを目標にしている。サムスンSDIの2020年末時点におけるバッテリーの年間生産能力30GWhだ。海外生産に向けた投資は検討中であり、現時点で海外工場新設の発表はない。 ― 引用終り ― 独・フォルクスワーゲン(VW)は、2021年3月15日、2030年までに電気自動車(EV)用の電池工場を6カ所、欧州に建設すると発表。 電池メーカーとの合弁で年間240ギガワット時、単純計算でEV約500万台分に相当する生産規模。 日本・トヨタに全量を供給するプライムアースEVエナジー(PEVE)は2020年2月12日、2021年末までに車載電池の世界生産能力を320万台分体制にする方針を明らかにした。PEVEは国内に3カ所、中国に1カ所の生産拠点を持つ。 トヨタは、2021年9月7日、2030年までに車載リチウムイオン電池の生産能力を200GWh超(EV300万台超分)に引き上げる準備ができたと発表。 2021年10月19日、2025年の稼働開始を目指して、米国に豊田通商と合弁で新会社をつくり、ハイブリッド車用のリチウムイオン電池の生産工場を建設すると発表した。
2021年11月06日
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日用品で自動車と家電の2つは、半導体と切っても切れない関係となっている。 半導体不足により、この関係の産業は多大な影響を受けるの可能性が大きい。 自動車産業のサプライチェーンは複雑でアウトソースが多いため、半導体チップ調達のコミットメントサイクルは短期化する傾向にあり、特に数週間から数ヶ月程度の拘束力のある購入契約が多い。 半導体メーカーの多くは、他の即応性の高い契約を改め、よりオーソドックスで長期的な契約を結ぶようになっている。 EV化、各種運転補助機能による安全機器の機能向上で、自動車の半導体需要は増加基調であったが、EV比率の高まりとともに飛躍的に増加するとされている。 自動車業界では、短期的には半導体の生産能力が需要に追いつかないと考えられている。 長期的には今後の増産投資による供給能力の大幅向上にかかっている。 半導体不足はなぜ起きた?影響や原因、いつ解消するかについて2021/09/27 識学総研 … (略) …半導体の需要が増している背景 デジタルの世界では、半導体チップは生産の生命線であり、世界的な品不足が広範囲に影響を及ぼしているのは当然のことです。 しかし、一時的な経済的障害は、経済への恒久的な脅威と誤解されるべきではなく、長期的な視点で見れば、むしろ成長のシグナルでもあります。 パンデミックが始まった頃、世界的にリモートライフへの移行が進み、チップの需要が急増しました。このような需要の変化は家電業界から始まりました。家庭では、遠隔地で学習したり、仕事をしたり、交流したりするのに十分な機器が用意されました。 その後、予想を上回る景気の回復に伴い、自動車や家電製品などの耐久消費財の需要が増加しました。消費者の需要が急増する一方で、生産の継続に不可欠な半導体の需要も異常に増加しました。 しかし、半導体の需要が増えるにつれ、供給側の体制が整わないことが明らかになってきました。パンデミックが発生する前、ファブと呼ばれる半導体製造施設はすでにほぼフル稼働状態で、生産を拡大する能力がありませんでした。 … (略) … 半導体不足の3つの理由 半導体チップは現代社会の生命線ですが、そもそもパンデミックの前から需要が供給を上回っていました。半導体チップはアメリカで発明されたものですが、現在、チップを作っているアメリカのメーカーの数は著しく減少しています。 そして、長年にわたって一貫して拡大し続けてきた需要に対して、半導体チップを製造できる工場を建設するには、100億ドルもの費用がかかり、ほとんどの企業にとっては法外な価格となっているのです。・新たな半導体需要の発生・対中制裁・増産投資の不足 … (略) … 増産投資の不足 パンデミックの影響で、デバイスの需要が爆発的に増加し、メーカーが提供できる範囲を超えて半導体の需要も急増しました。 また、自動車業界の誤った判断も不足に拍車をかけました。 COVIDがスタートした当時、多くの企業が経済の長期的な打撃を想定して半導体チップの発注をキャンセルしました。 特に自動車メーカーが注文をキャンセルしたため、半導体チップメーカーはパンデミックによる爆発的な需要に対応するため、自動車用ではなく民生用の半導体チップを作るように工場を変更しました。そのため、今度は自動車用の半導体チップが不足してしまったのです。 今回のパンデミックでは、いくつかのチップ製造工場が稼働していましたが、不運な天候に見舞われ、製造工程がさらに遅れてしまいました。 世界中の自動車に搭載されているチップの約3分の1を生産している日本のルネサス社の工場は火災で大きな被害を受け、アメリカのテキサス州では冬の嵐の影響で、唯一のチップ工場が生産停止に追い込まれました。また、チップの生産には大量の水が必要ですが、台湾の深刻な干ばつも生産に影響を与えています。 … (略) … 半導体不足はいつ解消される? 世界的な半導体不足は、半導体製造の複雑さや、自動車設計に必要なチップの高度化などの要因により、短期的に解消されるものではありません。 そこで、半導体の需要と供給の不均衡に対処するために、半導体のメーカーが考えるべき短期的および長期的な戦略を以下のように提案します。 … (略) …長期的な戦略 長期的には、自動車業界は、半導体関連の調達に関する契約のあり方を見直す必要があると考えられます。 半導体のOEMメーカーや半導体製造企業は、前もって数量の約束をより強固なものにすることが可能です。 また、バリューチェーンに沿って、よりバランスのとれたリスクシェアリングプランを導入することも、導入率の向上につながるでしょう。 さらに、企業はバリューチェーンに沿ったジャストインタイムの納品と低い在庫水準という現在の慣行を、少なくとも部分的には見直さなければならないかもしれません。 多くの政府指導者は、サプライチェーンの脆弱性や、重要なニーズを単一のサプライヤーや遠方の国に依存することを懸念しているため、各国政府が推進している地域調達の拡大にも対応する必要があります。 また、自動車メーカーは様々なチップを調達するための戦略を見直さなければなりません。 特定の種類のチップを調達する場合、書類上では他の選択肢よりも安価に見えるかもしれませんが、調達の回復力やソフトウェアのライフサイクルなどの複雑さに伴うコストを考慮すると、評価が変わる可能性を十分に考慮しなければなりません。 認定プロセスにおいては、調達機会の拡大と製品の信頼性のバランスをとるために、パラメータの制約条件(温度範囲など)を再検討する必要もあります。 ― 引用終り ― 駆動用バッテリーと半導体はEVの要諦。 自国で販売する車両に自国のバッテリー、半導体を優先供給させようとする世界的な動き(囲い込み)があり、自動車メーカーは需要地での生産対応が迫られている。
2021年11月02日
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オートマチック・ミッションの「N」はニュートラル、中立。トランスミッションで駆動力の伝達されない状態をお示している。 「なぜRとDの間にあるのか」「Nどうしても必要なのか」。 シフトレバーの「N」はなぜある?エンジン車の憂うつと変速機のミライ高根英幸 「クルマのミライ」2021年08月30日 ITmediaビジネスONLINE … (略) … ATはトルクコンバーターを介してエンジンに連結しているので、ロックアップクラッチが機能していない状態ではエンジンの抵抗は使えない。そもそもAT内部のギアも多板クラッチが油圧ゼロではつながらない(逆に作用するクラッチ機構もある)から、AT内部をロックしてパーキングブレーキの補助として利用する機構が必要なのだ。それがPレンジの役割だ。 Nレンジの役割は時代によって変わってきた ではNレンジはどういった時に必要となるのか。整備工場などでメンテナンスする時に、エンジンのテスト運転をするためには、停車してアイドリングを続けたり、空吹かしなどを行ったりすることもあるが、これはPレンジでもできることだ。ATの脱着や分解組み立ての際には油圧はゼロになっているので、そもそも電子制御で油圧をコントロールしてシフトしているATではニュートラルにする必要はない(というか自然にニュートラルになる)。 信号待ちではNレンジにシフトするのか、Dレンジのままがいいのか、という論争もかつては存在した。しかしその後アイドリングストップが普及したことで、この話題もあまり取り上げられることはなくなった。 ところがカタログ燃費がJC08からWLTCへと移行したため、アイドリングストップ機能のカタログ燃費に対するアイドリングストップの影響は小さくなったこともあって、このところアイドリングストップ機構を採用しないクルマも増えてきた。 … (略) … Nレンジが役立っていることを感じない訳 Nレンジには、実はそれよりも重要な役割がある。それは現在のATのシフトパターンで考えた時、RレンジとDレンジの間にNレンジが設定されていることだ。つまり、RとDを隣り合わせにすることを避けることで、シフトミスを防ぐことができるのである。 Nレンジの位置にPレンジを設定すれば同じことでは、と思われる方もいるかもしれないが、Pレンジは機械的なロック機構が働くので、前後進を繰り返して方向転換するスイッチバック操作の際に微低速で動いている状態でPレンジにシフトしてしまうと、ロック機構が働いてしまい、ロック機構そのものが壊れてしまう可能性も高まる。 ドライバーから見て一番奥がPレンジ、その1つ前が後退用のRレンジ、そして前進用のDレンジとの間にNレンジを配置するのは、実に合理的なのである。 ― 引用終り ― 最大の役割が「シフトミスを防ぐこと」なら、近い将来EVが主になりドライブ・バイ・ワイヤーの時代になると、トランスミッションの存在が根底から見直されることも大いに考えられる。 その際に「N」の役割が変わるか、変速機の連続した位置から廃止されるかもしれない。
2021年09月30日
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ホンダ、アイシン・エィ・ダブリュ、マツダなどの自動車、オートバイエンジン部品、ミッション部品を製造(鍛造、アルミダイキャスト)する、田中精密工業(富山県)が、構造改革計画に基づく希望退職を実施した。 130人程度の募集に対し141名が応募し、予定より5日早い8月20日に募集を打切った。 2022年3月期に特別退職金等の費用として6億8千万円を特別損失として計上する予定。 今後、EV化で動力源がエンジンから電動モーターに代わるため、モーターの高性能化に注力する。 田中精密工業希望退職募集130人滑川工場を閉鎖富山2021年7月6日 日本経済新聞 自動車部品の田中精密工業は6日、子会社のタナカエンジニアリング(富山市)を含め、130人程度の希望退職者を募集すると発表した。変速機の部品を手掛ける滑川工場(富山県滑川市)は年内に閉鎖する。田中精密はエンジン関連の部品を主力とする。電気自動車(EV)へのシフトが進むのに備えて、事業を再編する。 希望退職の対象者は40歳以上の正規従業員で、募集する人の割合は国内従業員数のうち16%にあたる。募集期間は8月2日から25日までで、退職日は10月31日の予定。割増退職金も支給し、再就職も支援する。 滑川工場の閉鎖に加え、部品に使う鉄の強度を上げるための熱処理をする事業所も1拠点減らす。同社が5月に発表した2022年3月期の純利益見通しは7億円。予想には割増退職金などの費用は含まれておらず「確定次第速やかに開示する」(同社)という。 ― 引用終り ― 田中精密工業の大株主は本田技研(24.34%)など。 EV化を軸とする完成車メーカーの提携が大きな話題となる陰で、部品メーカーの脱内燃機関化が、着々とすすめられている。 2021年7月6日田中精密工業株式会社構造改革実施に関するお知らせ … (略) …3.希望退職者募集の概要 固定費および要員の適正化ならびに、かかる状況を受け、当社外で自らの力を発揮することを希望される従業員への支援を目的として、希望退職者の募集を行います。(1) 対象者 2021年9月30日時点で 40歳以上の田中精密工業および子会社タナカエンジニアリング の正規従業員(2) 募集人員 130 名程度(3) 募集期間 2021年8月2日 ~ 2021年8月25日(4) 退職日 2021年10月31日(予定)(5) 優遇措置 所定の退職金に加え割増退職金の支給および再就職支援サービス ― 引用終り ― 2021年9月17日田中精密工業株式会社希望退職者募集の結果および特別損失の計上ならびに業績予想の修正に関するお知らせ
2021年09月29日
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9月8日、ホンダは、GMクルーズホールディングス、ゼネラルモーターズと3社共同で日本で展開予定の自動運転モビリティサービス事業に向け、自動運転技術に関する技術実証を9月中に開始すると発表した。 ホンダの栃木研究所のある栃木県芳賀町と離接する宇都宮市で実証実験を実施する。 ホンダ「レベル4」の自動運転車を開発へ実証実験を月内開始神山純一2021年9月9日 朝日新聞 DIGITAL ホンダが自動運転車両の開発に力を入れている。市販車では、自動運転技術で「レベル3」の車を世界初で売り出したが、2020年代半ばの開始をめざすライドシェア(相乗り)サービス向けに、さらに一段上の「レベル4」の車両開発に乗り出している。 … (略) … ホンダはGMと、同社傘下で自動運転を手がけるGMクルーズホールディングスの3社で自動運転車「クルーズ・オリジン」を共同開発中だ。市販車では今春、高速道路の渋滞時などに、テレビやスマホを見ながら走行できる機能のある高級セダン「レジェンド」を売り出した。今回の車両は、運転の操作すべてをシステムが担い、5段階ある自動運転技術の「レベル4」にあたる。 共同開発する車両は4~6人乗りで、駅などから相乗りでそれぞれの目的地を回る利用などを想定している。具体的なサービス内容は今後公表するとしているが、ホンダモビリティソリューションズの高見聡社長は「それぞれの地域にある、移動の困りごとを解決する役割を果たしていきたい」と強調した。 ― 引用終り ― レベル3のレジェンドを実用化したホンダは、運転手なしで走行するライドシェア(相乗り)サービス専用車を共同開発し、2020年代半ばに国内でサービスを始める計画。
2021年09月27日
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交通事故は多少の別はあれ、当事者双方の努力がないと防げない。 自動運転だからといって、すべての衝突、接触を避けることはできない。 ちょっと考えれば分かることだ。 東京パラ選手村で起こった「e-Palette」接触事故の教訓高田 隆 日経クロステック/日経Automotive2021.09.15 日経クロステック … (略) … トヨタは同年8月30日、接触事故の状況と再発防止策を発表しました。このうち、事故の発生状況は以下のとおりです。 「車両は交差点進入時に右折する際、交差点内の人を検知して停止した。その後、オペレーターが安全を確認した上で再発進させた。オペレーターは交差点周辺の状況を確認し、手動で減速を開始した。道路を横断してきた歩行者をセンサーが検知して自動ブレーキが作動、オペレーターも緊急ブレーキを作動させたが、車両が完全に停止する前に歩行者と接触した」 一方、トヨタが発表した車両の再発防止策は、(1)加減速と停止を手動にして警告音の音量を上げる、(2)車両に乗るスタッフの人数を増やす、(3)交差点の誘導員を6人から20人強に増やし、車両を担当する人員と歩行者を担当する人員に分業化する──というものです。また「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、選手村の歩行環境や移動時のルールなどの周知に努める」としました。 さらに、「信号のない交差点での安全確保は、歩行者やオペレーター、誘導員いずれか個人のみで確保できるものではなく、三位一体でやり方や仕組みの改善に取り組む必要があると判断した」とのことです。21年9月9日にオンライン開催した日本自動車工業会の会見で、会長の豊田章男氏(トヨタ社長)は「車両や歩行者、誘導員のいずれかに責任が属するものではない。運用の仕組みに問題があった」と述べました。 ― 引用終り ― 車両と歩行者が混合する場面で、「歩行者に問題があった」とは言えないのだろう。
2021年09月27日
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テスラ社は「オートパイロット」は自動運転ではないことを説明し、システム面でも、運転手がシートベルトをしていない場合や、ハンドルを握っていないと感知された場合などには、警告が発された後、オートパイロット機能が解除されるようになっている。 「オートパイロット」という言葉が「自動運転」の印象を与えるせいか意図的誤用は後を絶たず、解除機能が作動しないようにして無人運転をする動画も公開されている。 2016年5月、オートパイロット機能下のテスラ車が、前方を横切る白いトレーラーを感知できず衝突し、運転者が死亡する事故が起きた。 これ以降も同様な状況で事故の発生が相次ぎ、NHTSAは、テスラ車が関係した数十件の事故について調査を進めている。 テスラ「オートパイロット」関連の事故11件米が調査開始2021年8月17日 AFPBBニュース 米道路交通安全局(NHTSA)は16日、米電気自動車(EV)大手テスラ(Tesla)の運転支援機能「オートパイロット(Autopilot)」に関係する交通事故11件を確認し、同機能についての予備調査を開始したと発表した。 NHTSAによると、事故11件は2018年以降に起きたもので、うち1件が死亡事故。7件で負傷者が出た。 テスラ創業者のイーロン・マスク(Elon Musk)最高経営責任者(CEO)はオートパイロット機能を擁護。テスラは、同機能を使用するには運転席に人が座り「積極的な監視」を行う必要があると警告している。だが米議会などは、テスラ車のシステムをだまして運転席が無人でも同機能を使用することは容易だと指摘し、NHTSAに対処を求めていた。 4月には、テキサス州で起きたテスラ車の死亡事故に関する警察当局の発表で、事故発生時に運転席が無人だったことが明らかにされたのを受け、民主党のリチャード・ブルーメンソール(Richard Blumenthal)、エド・マーキー(Ed Markey)の両上院議員がNHTSAに調査を要求した。 ― 引用終り ― 車が自律的に動き事故が発生した場合、その責任は誰が負うのか。 AIの発達、自働化の拡張とともに、問題となる事項だ。 テスラ車関与の死亡事故調査=運転支援システム使用か―米当局2021.09.04 時事通信 米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は3日、米電気自動車(EV)大手テスラ社製の車両が絡んだ死亡事故を調査すると明らかにした。NHTSAはこれまでに、速度や車線の維持などを図る運転支援システムを使用中のテスラ車が関与した十数件の衝突事故を確認。今回も同様のシステム作動中に、事故が起きた可能性がある。 死亡事故は7月26日にニューヨーク市内で発生。高速道路上でパンクしたタイヤを交換しようと車外に出た52歳の男性が走行してきたテスラ車にはねられ、死亡した。 NHTSAは8月、2014年型以降のテスラ製車両約76万5000台を対象に、運転支援システムの安全性をめぐる調査を開始したと発表していた。 ― 引用終り ― テスラはオートパイロットの進化という名目の改修を続けている。 自動車各社と同様、安全運転補助システムは発展途上の仕組みであり、「最新版が最良」と思われることがほとんど。 即ち、以前の仕組みには欠陥か欠点が常に存在する。 アングル:テスラが自動運転機能からレーダー削除、安全確保は可能かHyunjoo Jin2021年6月6日 REUTERS 米電気自動車(EV)大手・テスラが半自動運転機能「オートパイロット」からレーダーセンサーを削除すると発表したことが、波紋を呼んでいる。 … (略) …<テスラの自動運転システム> テスラは5月から「モデル3」と「モデルY」の運転支援機能について、8つのカメラで構成し、レーダーを装備しない仕組みとした。カメラはヒトの「目」と同じように、「脳」に当たるコンピューターネットワークに映像を送信。脳が映像を認識し、分析する。 テスラは、レーダーに対する見解がこの数年で変化してきた。 2016年5月にはテスラ車のオートパイロットが前方を横切る白いトレーラーを感知できず衝突し、運転者が死亡する事故が起きた。 その後、テスラはナビゲーションシステムの柱にレーダーを据える計画を発表したが、同時に一部のレーダーシステムは誤認警報を発する不具合があり、修正が必要だと指摘。 マスク氏は16年、ツイッターに「レーダーの良いところはLiDAR(ライダー)とは違い、雨や雪、霧、粉塵などが降っていても先を見通せることだ」と投稿し、テスラもレーダーは「前方の物体の把握と反応で重要な役割を担う」と説明した。 LiDARはレーザー光を駆使して対象物の形状や対象物までの距離を計測する光センサー技術。レーダーに比べて、物体についてより正確な情報を伝えるが、コストは高く、テスラは採用していない。 ― 引用終り ―
2021年09月12日
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米国・ネラル・モーターズ(GM)は、シボレー・ボルト(Bolt)に搭載されている車載電池の発火事故に基づく大規模リコール(回収・無償修理)を発表し、訳10億ドルとされる費用負担の懸念から韓国LG化学株は2021年8月23日大きく売られ、前週末比で11%急落した。 これらを受け、8月30日、韓国の電池大手LGエネルギーソリューション(LGES)は、年内に計画する新規株式公開(IPO)について、実施の是非を10月までに判断すると表明した。 2020年9月17日にLG化学は、バッテリー部門を分社化して、LGESを完全子会社にすると発表。 EVの普及を追い風に、多額の先行投資により赤字だったバッテリー部門が20年4~6月期に黒字転換して単独経営も可能と判断。 自前資金の調達でインドネシアの工場新設など大型投資を加速させるため、新規株式公開(IPO)による資金調達を狙う考えだった。 IPOで10兆ウォン以上の獲得を目論んでいた。 中国CATLの生産拡大を意識して、LGESは2021年末までに年間生産量を120GWhに拡大する予定で、持続的に生産能力を高めていく方針だった。 LGESはGMにラミネート型バッテリーを供給している。 韓国電池大手LGエネIPO実施の是非を10月まで判断へ2021年8月30日 ロイター 韓国の電池大手LGエネルギーソリューション(LGES)は30日、同社製電池セルの発火問題が原因で電気自動車(EV)のリコール(回収・無償修理)が行われているのを受け、年内に計画する新規株式公開(IPO)について、実施の是非を10月までに判断すると表明した。 LG化学の100%子会社であるLGESは6月にIPO計画を発表。資金調達額は100億─120億ドルに達する可能性があり、韓国史上最大のIPOになると広く予想されていた。 ただ、米ゼネラル・モーターズ(GM)は今月、LG製のバッテリーモジュールに発火の恐れがあるとして、EV「シボレー・ボルト」のリコール台数を14万台以上に拡大。リコール費用は推定18億ドルで、LGに補償を求めるとした。 LG電子 はLGESの電池セルを使用したバッテリーモジュールおよびバッテリーパックをGMに供給している。GMは製造欠陥だと指摘しており、LGES、LG電子とともに原因を引き続き調査している。 ― 引用終り ― LG化学とGMは、共同出資会社「Ultium Cells LLC」を設立し、米オハイオ州とテネシー州にバッテリー工場を建設中であり、今回のリコールで両社の受給関係はすぐには切れないとされる。 10月までに事故原因を判明させ、自社の株価の動向をみるのであろう。 韓国政府は2021年7月、次世代2次電池の分野で世界トップを目指す「K-バッテリー発展戦略」を発表した。 国策とはいえ、大きな失策が明らかになっても、LGのけっして諦めない心は立派。
2021年09月12日
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東京パラリンピック選手村選手村では大会関係者らが村内を移動する際の巡回バスとして、東京オリンピック2020ワールドワイドパートナーのトヨタ自動車が開発した、自動運転の電気自動車「eパレット」が使われていた。 8月26日、巡回バスの「eパレット」が、柔道(視覚障害)の男子81キロ級に出場する北薗新光選手(30)が、自動運転中の巡回バスに接触し、頭と両足に全治2週間の軽傷を負った。 事故直前、バスは横断歩道の手前で交通誘導する警備員を感知し、一旦止まったが、オペレーターが発進ボタンを押してバスが走り出した直後に北薗選手と接触したという。 車内には緊急停止ボタンもあったが、ドアの開閉のため乗車していたオペレーターは「(北薗選手が)道路に出てくると思わなかった」と話しているという。 事故後バスの運行を全面停止していたが、30日、大会組織委員会は31日午後3時にバスの運行再開すると発表。 再発防止のため、誘導員や車両搭乗員の増員、警告音量の引き上げ、歩行者へのルール周知などの対策を講じる。 選手村自動運転バス、31日再開手動操作やスタッフ増など対策2021/8/30 毎日新聞 トヨタ自動車は30日、東京パラリンピックの選手村(東京都中央区)で柔道(視覚障害)男子81キロ級の北薗新光選手が自動運転中の巡回バスに接触した事故を受けて見合わせていたバスの運行について、必要な対策を講じた上で31日午後3時に再開することを大会組織委員会が決定したと明らかにした。 同社によると、加速、減速、停止は手動で行う▽接近を知らせる通報音の音量アップ▽搭乗員や誘導員の増員――などの対策を講じるという。運行再開に当たり、自社の情報発信サイトで「この度、接触された方の一日も早い回復をお祈り申し上げます。また、モビリティーの運行停止により、選手村の皆様に移動でご不便をおかけしたことを申し訳なく思います」とする豊田章男社長のコメントも公表した。 ― 引用終り ― 歩行者に近接感知センサーがついていないので、車両側が制御しても事故が起こり、自動運転に人を付ける対策が必要となる。 何らかの障害物が近づいただけで自動運転車両が停止するように設定すると、混合交通の混雑地では進むことができなくなる。 話題の「CASE」のAは、Autonomous(自動運転)だが、自動運転車両側が万全を期しても、車両の進行方向に飛び出してくる物体には無力なことが多い。クルマ、ヒト、生物などが事故防止の万全を期してなければ事故は起こる。 自動運転の「レベル5」、 即ち場所の限定なくシステムが全てを操作するクルマの実現は、混合交通の環境では不可能に近い。 日本政府は、2017年の「官民 ITS 構想・ロードマップ 2017」の中で2020年までにレベル3「特定の場所でシステムが全てを操作、緊急時はドライバーが操作」の自動運転を市場化すると記載している。 このレベルでも、あらゆる状況で事故を排除しながら円滑に進行することは、極めて難しい。
2021年09月10日
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ニッケルはリチウムとともに、世界的な乗りものの電動化の進展で不足することが懸念されている金属。 インドネシアはニッケル埋蔵量が世界全体の4分の1を占めることから、自国の産業の資源化をすすめている。 水酸化ニッケルは、ニッケル・水素蓄電池やニッケル・カドミウム蓄電池などの二次電池の正極材に使用される。 2021年7月、韓国の現代自動車とLG化学傘下のLGエナジー・ソリューション(LGES)が11億ドルを投じて、インドネシア政府待望の電池工場を設立すると発表した。 コラム:EV用電池に賭けたインドネシア前途に暗雲もKatrina Hamlin2021年8月14日 REUTERS[香港 11日 ロイター BREAKINGVIEWS] インドネシアは、電気自動車(EV)ブームの流れに乗ろうとしている。LG化学や現代自動車グループなどの企業は、地元の天然資源を容易に確保できるインドネシアで電池工場を設立する。EV業界の世界的サプライチェーン(供給網)に割り込もうとするインドネシアの努力が実を結んだ形だ。 だが、自動車メーカーは最終消費者に近い場所での生産を望んでおり、しかも東南アジアでは、依然としてガソリン車が主流を占めている。 インドネシアはEV用電池の原料となるニッケル埋蔵量が世界全体の4分の1を占め、政府は国内向け供給を確保するためニッケルの未加工鉱石の輸出を禁じている。 ニッケルは一般的に他の原材料に比べて埋蔵量は豊富だが、需要が全世界で急速に高まっており、政策担当者は電池メーカーが在庫の確保を望むだろうとそろばんを弾く。国際エネルギー機関(IEA)によると、2020年の世界のEV登録台数は前年比41%増加した。 インドネシア政府の取り組みは、関心の的だ。7月には韓国の現代自動車とLG化学傘下のLGエナジー・ソリューション(LGES)が11億ドルを投じて、インドネシアに電池工場を設立すると発表した。 当局者の話では、中国の電池メーカー、CATL(寧徳時代新能源科技)や米EV大手のテスラもインドネシアへの投資を検討。さらにインドネシア国営企業も投資を進めている。 ― 引用終り ― インドネシア・ジャカルタ、タイ・バンコク、フィリピン・メトロマニラなど自動車の混雑で有名な都市を抱える東南アジアでは、大気汚染も問題になっているが、価格の高さ、インフラ整備の不足もありEVの普及は極めて少ない。 また、現状の二次電池は完成車体に占める重量が大きく、国際間輸送に不適なことからLGESは現代自動車と組んだが、世界最大の自動車市場の中国に輸出することも難しい。 米国向けの輸出だけで大丈夫なのだろうか?自国用だろうか? 2021年7月、中国・CATLがニッケルを全く使わない電池技術を開発したと発表した。希少性ゆえに不足、著しい価格上昇を招く資源は、ほぼ確実に代替技術が開発される。 かつての石油輸出国であるインドネシアは、経済の拡大とともに巨大な石油輸入国と化した。 あせる気持ちも分かるが、ニッケルを国家の戦略資源とするには、大きな不安がともなう。
2021年08月27日
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各国の政府等の規制の内容が整うにつれ、EVの普及拡大の方向性が定まってきた。 当面はBEV(蓄電池電動車)の普及拡大となる。 それを見越して、各企業はバッテリーの生産工場を立ち上げる計画をすすめている。 電力の問題はべつとして、レアメタル(リチウムやコバルト、ニッケルなど)の材料価格の高騰と生産の制約、生産設備の償却などによる原価の上昇が想定されるとするのが、下記の記事。 池田直渡「週刊モータージャーナル」EVの行く手に待ち受ける試練(前編)2021年07月12日 ITメディアビジネス … (略) … ここしばらく、自動車関連のニュースで最も多いのは、電動車用動力バッテリー工場の建設計画である。バッテリーの供給不足が深刻化し、もはや新規に工場を建設しないことには必要量が賄えなくなった結果である。発表に数量的具体性があるものだけをニュースから抜き出してみると、以下のようになっている。 メーカー系日 産・英国・サンダーランド工場向けに、中国・エンビジョンと10億ポンド(約1535億円)規模の投資を行い、EV用バッテリー工場を建設G M・2400億円を投資して米国オハイオ州に30GWhの工場を建設V W・欧州6都市に年産240GWhの工場を建設ボルボ・17億円を投資して中国江西省カン州市に4.2GWhのバッテリー工場を建設テスラ・ドイツブランデンブルク州に当初100GWh、将来的に250GWhの工場を建設 サプライヤー系CATL・テスラ上海工場の近隣に年間80GWhのバッテリー工場を建設・2130億円を投資してドイツテューリンゲン州に14GWhの工場を建設エンビジョンAESCジャパン・茨城県内に500億円を投資して6GWhの工場を建設。・将来はさらに500億円を投じて生産能力を3倍にする。L G・1000億円を投資して米国テネシー州に140GWhのバッテリー工場を建設SKイノベーション・段階的に8660億円を投資し、米国ジョージア州などにバッテリー工場を建設。第1段階としては60GWh。ブリティッシュボルト・英国ノーサンバーラント州に30GWhのバッテリー工場を建設オートモーティブ・セルズ・カンバニー・2600億円を投資してフランスシャラント県に24GWhのバッテリー工場を建設フレイ・ノルウェーヌールラン県に34GWhのバッテリー工場を建設ファラシスエナジー・ドイツザクセンアンハルト州に10GWhのバッテリー工場を建設EVLOMO・タイチョンブリ県に8GWhの工場を建設SVOLT・2500億円を投資してドイツザールラント州に24GWhのバッテリー工場を建設 200GWhから1000GWhへ? ちなみに2020年の車載用リチウムイオンバッテリーのグローバル総生産量はおおよそ200GWhといわれているのだが、驚くべきことにニュースが伝える各社の生産目標を合計すると、そこに800GWhもの新規生産が追加されることになる。なお、数量や場所など具体性がなく、増産だけを伝えるニュースは省いたし、公式発表されていないものも当然あるだろう。 なので、まあどう少なく見てもトータルの増産量は1000GWhを越えるだろうし、多ければ1500GWhとかに達するかもしれない。問題は現状の200GWhですら、原材料が足りないといっている中で、バッテリー生産工場だけそれだけ拡大してしまっても、常識的には稼働できない。例えるなら、「ご飯の量が足りないので、炊飯器を大量に導入しました。お米の調達はまだです」。という話である。 しかし、果たして、世界各地にこれだけの工場が新規に立ち上がって、生産を維持するだけのレアメタルが本当に供給されるのだろうか? これに関する疑義は筆者が長らく唱えてきたことだ。 … (略) … もう1つは新規に立ち上げるバッテリー工場のローンチコストである。工場の立ち上げにはばく大な先行投資が必要だ。事業である以上、その先行投資を回収しないわけにはいかない。長く稼働していて、投資のリクープがあらかた済んでいるような工場と、新規で立ち上げる工場を比較すれば、当然新規の工場の方がコストは高くなる。ましてや生産を開始してしばらくは、ノウハウが少なく、生産性も高くない。なので製造に関してもコスト高要因が増える。 ― 引用終り ― 後編は「世界に渦巻くレアメタル採掘の闇について深掘り」とのこと。 資源ビジネス全体が闇だらけのような気もする。 バッテリー価格の高騰は、究極の低炭素化とされるが高コストのFCEV用の燃料電池にはチャンスだったりもする。 GMの「EV車発火リコール騒動」で露呈した"韓国製バッテリー"の問題点2021年7月30日 プレジデントオンライン■LG社製のバッテリーが「発火の恐れ」 7月23日、米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)は、電気自動車(EV)モデルの“シボレー・ボルトEV”のバッテリーから発火する恐れがあるとしてリコール(回収・無償修理)を米国運輸省の道路交通安全局(NHTSA)に届け出た。過去1年間でシボレー・ボルトEVのリコールは2回目だ。 ― 引用終り ― EVは過渡期であり、日本で不安、闇を唱えている間に、海外企業はリスクをとってすすむ。 かくしてリスクを警戒し過ぎる日本は、バッテリー増産の波に乗り遅れる。 自動車業界は、電機業界のようにリスクにおびえて解体、身売りの危機に瀕しないと信じたい。 利益率の低いもの、競争の激しい市場のリスクを避けようとした東芝は解体の危機、シャープは外資に身売りとなった。 大きな社会の変化にあたっては、必要なリスクをとることも生き残りの要件となる。 自動車業界のEV化の流れは着実に流れる大河であり、現状では二次電池や電動機を避けて通ることは、主流からはずれることを意味する。 行き着く先がみえていないのは、通常のビジネスと同じこと。 成熟した内燃機関の製造との違い。
2021年08月11日
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初めてフルモデルチェンジしたハイブリッド専用車・新型アクアは、駆動用車載電池としてリチウムイオン電池(LIB)ではなく、バイポーラ型ニッケル水素電池を採用した。 LIBよりも安価で安定した性能と耐久性持つ(歴代のプリウスも先代アクアも、電池寿命は30万km以上)ニッケル水素電池(Ni-MH)が、LIB並みに大容量、小型化できたメリットは大きい。 リチウムイオンでない新型トヨタ・アクアの世界初「バイポーラ型ニッケル水素電池」が、セル出力1.5倍、搭載セル数1.4倍で従来比2倍の高出力を実現著者塚田勝弘2021/07/19 clicccar ■従来型アクアの約2倍の高出力を実現 新型トヨタ・アクアが2021年7月19日に発表されました。初代アクアは、海外名のプリウスCも含めて約187万台を発売。主力市場は日本で、5ナンバーサイズのコンパクトカーとして幅広い層に支持されてきました。「TNGA化(GA-Bプラットフォーム)」された新型アクアは、最大の特徴であるカタログ燃費が従来型比で約20%向上し、WLTCモード燃費35.8km/L(Bグレードの最高値)を誇っています。 新型アクアは、燃費の向上はもちろん、メカニズムの面でも見どころ満載。高出力な「バイポーラ型ニッケル水素電池」が、駆動用車載電池として世界で初めて採用されています(Bを除く全車に搭載。Bはリチウムイオン電池になる)。 … (略) … 走りの面でも利点があります。アクセル操作への応答性が向上し、低速からリニアでスムーズな発進、加速が可能になるそう。また、電気だけでの走行可能速度域が拡大され、街中の多くのシーンでエンジンを使わず電気だけで走行できます。 ― 引用終り ― 従来のNi-MHよりコンパクトで高出力なバイポーラ型ニッケル水素電池は、トヨタ自動車が電動フォークリフト用電池のノウハウを持つ豊田自動織機と共同で開発した。 従来のNi-MHはニッケルを含有するために、同一容量でリチウムイオン電池より重かった。構造面では、正極と負極の活物質を別々の集電体に塗り、セパレーターを挟んで電解液を注入した1つのセルとして独立している。複数のセルを組み合わせてモジュールにする際は、集電体の横から出したダブをつないで電流を流していた。 バイポーラ型は、集電体の片面に正極、もう片方の面に負極を塗った「バイポーラ電極(Bipolar:双極)」を複数枚積層させてパックにした構造をとる。 従来のニッケル水素電池より集電体などの部品点数が少なくなるため、セルのコンパクト化が可能になる。 バイポーラ型ニッケル水素電池の集電体に使われる導電性多孔質体は電極活物質層の厚さ方向に導電経路を形成できる。バイポーラ電極板を積層することで電池容量を増やしながら、大電流を一気に流すことが可能になる これらにより、セル単位での出力が高く、同じ体積により多くのセルが搭載できるバイポーラ型ニッケル水素電池は、従来型のニッケル水素電池と比べて大幅な高出力化が可能となる。 動力用バッテリーのバイポーラ型ニッケル水素電池の容量は5.0Ah。Bグレードが搭載するリチウムイオン電池の容量は4.3Ah。 下記の記事は、大容量長周期用途の再生可能エネルギーなどの定置型の電力貯蔵用電池。実用化困難とされた「バイポーラ型蓄電池」を量産へコストはリチウムイオン電池比2分の1以下[永山準,EE Times Japan]2020年6月10日 EE Times Japan 古河電気工業と古河電池は2020年6月9日、長年実用化が困難とされてきた次世代型蓄電池「バイポーラ型蓄電池」を共同開発した、と発表した。リチウムイオン電池と比べトータルコスト2分の1以下を実現するといい、「電力貯蔵用電池として理想的なものだ」と説明している。2021年度中にサンプル出荷、2022年度から製品出荷を開始する予定だ。 … (略) …「揚水発電並み」の低コスト化&高いエネルギー密度を実現 今回発表したバイポーラ型蓄電池は、1枚の電極基板の表と裏にそれぞれ正極と負極を有するシンプルな構造が特徴。薄い鉛箔を集電体としており、従来の鉛蓄電池と比較し金属材料を削減できることなどから、大幅な低コスト化を実現。同時にその構造から、従来の鉛蓄電池と比べ体積エネルギー密度は約1.5倍、重量エネルギー密度は約2倍を実現するという。 単電池のエネルギー密度としてはリチウムイオン蓄電池の方が優れているものの、リチウムイオン蓄電池の場合は離隔距離の規制などがあることから、「設置面積当たりのエネルギー量はバイポーラ型蓄電池が上回る」としている。充放電特性は0.2CAで、リチウムイオン蓄電池に匹敵する。 消費電力当たりの単価は、リチウムイオン蓄電池と比較し50%以下となるうえ、鉛電池の特性から、リチウムイオン蓄電池の場合に求められる空調設備も削減できるなど、初期投資、ランニングコストの面でのメリットもある。これらの結果、トータルコストはリチウムイオン電池と比較し2分の1以下を実現している。 このコストについては、揚水発電の設置コストと同等(2万2000円/kwh)を目標としており、「開発が順調に進めば同等のコストのものが提供できる」としている。 ― 引用終り ―
2021年08月11日
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2021年4月、ホンダの三部社長は「2050年にホンダに関わるすべての製品と、企業活動を通じたカーボンニュートラルを実現させる。2040年までにホンダの新車のEV(電気自動車)・FCEV(燃料電池車)比率はグローバルで100%を目指す」と宣言した。 北米で、2024年初めにEV量販モデルラインアップの第1弾としてSUV「プロローグ」を発売、24年中にはアキュラブランドからもSUVを発売する計画。 いずれも提携先のGMの「アルティウム」バッテリーを採用する両社の共同開発モデルとなる。 ホンダが新型EVで使う「アルティウム」バッテリーとは何か著者:御堀直嗣2020/04/23 マイナビニュース ホンダが北米市場(米国およびカナダ)向けにゼネラルモーターズ(GM)と共同開発する2車種の電気自動車(EV)は、GMが開発した「アルティウム」(Ultium)バッテリーを搭載する。 GMはコンパクトカーから高級車、SUV、業務用トラックなど、今後の発売を予定するさまざまなEVに搭載すべく、このバッテリーを設計していた。 パウチ型バッテリーとはどういうものか アルティウムはパウチ型のリチウムイオンバッテリーだ。このタイプのバッテリーは、日産自動車がEV「リーフ」を発売する際、NECと共同開発したのが始まりである。日産は「ラミネート型」と呼んでいた。 ― 引用終り ― アルティウムバッテリーの特徴・パウチ型の特徴は厚みが薄く、表面積が広い・冷却性能に優れている・ケースの柔軟性が高いので、充放電の際に発生するガスによる膨張に対処でき安全性が高い・薄型なので、車両への積載性の自由度が高い 冷却性の高さは耐久性の向上にもつながるが、一般に、より温度管理能力が高い水冷式には劣る。 リサイクル性は空冷バッテリーが優れているという。 車載用「全固体電池」「全樹脂電池」は、より形状の自由度が高く、小型化、大容量化がはかれる。 現時点では量産・実用化が不明なため、EVが駆動用の大容量の電源として頼ることができるのは、リチウムイオン電池ということらしい。 全固体電池とは?EV車への搭載・実用化に向けた開発状況と世界シェア争い2021/06/02 NIKKEN TOTAL SOURCING
2021年08月10日
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2021年3月末にホンダが世界で約134万台のリコールの実施を決定 デンソーの欠陥燃料ポンプリコール総数が1000万台に拡大。 発覚から1年以上が経過し、この品質問題はいまだに拡大し続けている。 世界2位の自動車部品メーカー・デンソーの2020年3月期は燃料ポンプの欠陥で340万台を超える大規模リコールが発生し、品質関連費用2200億円の計上で大幅減益となった。 燃料ポンプの品質不具合が原因のリコールは、世界合計で1013万台から、1100万台に増大した。 デンソーリコール1100万台に拡大、遅すぎるダイハツ判断の謎近岡 裕 日経クロステック2021.06.26 日経クロステック リコール総数が1100万台を突破──。デンソー製欠陥燃料ポンプのリコールの拡大がなおも止まらない。2021年6月24日、ダイハツ工業が約96万台のリコールを日本で届け出た。このリコールの原因も、品質不具合を抱えたデンソー製燃料ポンプであることが自動車業界関係者への取材で判明した。これによ 対象は、「タント」「ムーヴ」「ムーヴキャンバス」「ミライース」など21車種の軽自動車だ。リコールの原因は、低圧燃料ポンプの樹脂製インペラ(羽根車)にある。このインペラが燃料であるガソリンを含んで膨潤し、ポンプケースと接触して作動不良を起こす。最悪の場合、走行中にエンジンが停止する恐れがある。 ダイハツ工業が被る負担は大きい。同社はトヨタ自動車など他社へのOEM(相手先ブランドによる生産)分を含めて、年間生産台数は約170万台(実力値。新型コロナウイルス禍の影響を除く)である。従って、今回の95万6221台のリコールは、年間生産の約56%分を占める規模となる。国内の自社ブランド車(ダイハツ車)に限ればさらに影響は大きい。国内のダイハツ車の年間生産台数は約60万台だから、今回のリコールはその約1.6倍もの規模だ。事実、同社にとって「過去2番目の規模」(ダイハツ工業)のリコールとなる。 ― 引用終り ― 燃料ポンプが原因のリコールは、いつまで続くのだろう。
2021年07月15日
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トヨタは2025年までにEVを15車種投入を宣言した。 だが自動車の近未来をEVだけに決め付けたわけではない。 2021年4月22日、トヨタ自動車は、水素エンジンの技術開発に取り組んでいることを発表した。 100%水素燃料を使用し、走行時にCO2はほぼ発生しない。カーボンニュートラルへのアプローチの一つにもなる。 現時点で市販の計画がない水素エンジンの車両で、5月21~23日にかけて行われる「スーパー耐久(S耐)シリーズ2021 第3戦 富士24時間レース」に参戦する。 水素エンジン搭載「カローラスポーツ」の排気音を聞く 燃費に課題があり富士を10周で水素充填編集部:谷川 潔2021年4月28日 18:262021年4月28日 Car Watch 4月28日に富士スピードウェイで初公開された水素エンジンを搭載した「カローラ スポーツ」。水素エンジンはガソリン車からの変更をなるべく最小とすべく開発され、このカローラスポーツに搭載されたエンジンは、GRヤリスの1.6リッター 3気筒DOHC直噴ターボのG16E-GTS型エンジンをベースとして、直噴インジェクター、そして点火プラグを水素用のものに変更したものとなる。 ― 引用終り ― 日経クロステックの記事では、水素エンジンについてバックファイアと冷却損失との技術的課題を集約している。 トヨタが着手もFCVと両立するか「水素エンジン」10の疑問清水 直茂 2021.04.23 日経クロステック … (略) …Q7:技術的な課題は? 水素を充てんする超高圧タンクが必要なことに加えて、エンジン自体にも技術的な課題が山積みである。とりわけ難しいとされるのがバックファイアと冷却損失が大きいこと。なかなか解決にめどが立たない。 バックファイアとは、可燃範囲の広い水素と空気の混合気が、吸排気バルブなど高温部品に接すると、自着火してしまうことである。レシプロ型の水素エンジンがなかなか普及に至らない原因の1つになっている。 水素エンジンの冷却損失が大きいのは、水素混合気の層流燃焼速度がガソリンの約7.6倍と非常に速く、水素燃焼火炎が燃焼室壁面に勢いよく衝突してしまうからだ。壁面表層の混合気までよく燃えるが、すると壁面表層の温度境界層(温度勾配層)が薄くなる。壁面に接する火炎温度が高いまま、多くの燃焼熱が燃焼室や気筒の壁に逃げてしまう。これが大きな冷却損失につながる。 Q8:技術課題の解決にめどはあるの? バックファイアと冷却損失を解決する有力な手段の1つと考えられているのが、ディーゼルエンジンのような水素噴流火炎の拡散燃焼である。水素ガスを予混合しないで筒内に高圧直噴し、圧縮自着火させる。あるいは、水素ガスを噴射しながら点火プラグで火を付けるなど、燃焼火炎が燃焼室や気筒壁面にできるだけ衝突しないようにすることが重要になる。 ― 引用終り ― 水素燃料の使用は、金属の「水素脆化」という問題がつきまとう。 鋼材中に吸収された水素により鋼材の強度が低下する現象で、水素エンジン、FCV共通の耐久性の課題となる。 水素脆性の課題について、水素タンクの場合、タンク内にアルミの被覆膜をつける、タンクを樹脂でつくるなどの解決策がある。水素エンジン(内燃機関)で同様の手法をとることは課題が多い。 トヨタが水素エンジンでレースに挑む深い意味EV化だけがカーボンニュートラルの解ではない島下 泰久 : モータージャーナリスト 2021/05/09 東洋経済 ONLINE 4月28日朝、来る富士24時間耐久レースの公式練習走行日となっていた富士スピードウェイのいちばん端のピットでは、この日が実質的な初走行となるマシンの走行準備が着々と進められていた。そのマシンこそ、前週22日にトヨタ自動車の豊田章男社長、そして同社GAZOO Racingカンパニーの佐藤恒治プレジデントによる会見で突如発表された、水素エンジンを搭載した「カローラスポーツ」をベースとするレーシングカーであった。 … (略) … 石橋を叩いて叩いて、やっぱり渡らないとか、完璧な技術が出来上がるまでは世に出さないといった、かつてのトヨタのイメージとは、まるで真逆のやり方。通常ではありえないスピードだが、佐藤プレジデントは「これが今のトヨタなんです」と言う。今のトヨタとは、要するに豊田章男社長が就任以来、変革してきた会社の姿である。 ― 引用終り ― テストコースでの実走テストでも浮かび上がらない未知、想定外の課題を早期に出し切り、解決していくのに、レースという場はとても適切な環境だ。 自動車に関する技術の大変革期にあたり、レースに参加することは最も無駄のない方法、とトヨタは考えたのだろう。 他の日本の自動車メーカーは、ガソリン、ディーゼリンからの脱却をはかる大変革の時代を乗り切れるだろうか。
2021年05月26日
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2019年9月19日、トヨタ車に供給されたデンソーの欠陥HEV用燃料ポンプのリコール届け出。欠陥燃料ポンプを搭載したクルマが初めて生産されたのは、2013年12月20日。 欠陥低圧燃料ポンプを搭載したトヨタ車のリコール届け出日は2020年3月4日。 欠陥燃料ポンプを搭載したクルマが初めて生産されたのは、2013年9月2日。 原因と対策が判明し、リコールを届けるまでの期間が長期であったため、対象車両が多くなり、地域的にも世界中が対象となった。 リコール対象は340万台で「メガリコール」と呼ばれた。 2020年10月、トヨタは266万台のリコールを追加。 他社へのOEM供給車、ホンダ、マツダ分のリコールが発生し、2021年2月879万台に増加。 2021年3月末、遂に1013万台となった。 デンソーリコール1013万台に深刻化ホンダが3度目の無償交換近岡 裕 日経クロステック2021.04.28 リコール総数が1000万台に拡大──。デンソーの欠陥燃料ポンプが自動車メーカーに与える影響が甚大な域に達した。 2021年3月末にホンダが世界で約134万台のリコールの実施を決定。このリコールの原因も、品質不具合を抱えたデンソー製燃料ポンプであることが自動車業界関係者への取材で判明した。 これにより、同社製燃料ポンプの品質不具合が原因のリコールは、世界で合計1013万台にまで積み上がった。 発覚から1年以上が経過しているにもかかわらず、この品質問題はいまだに拡大し続けている。 品質不具合の原因は、低圧燃料ポンプの樹脂製インペラ(羽根車)にある。このインペラが燃料であるガソリンを含んで膨潤し、ポンプケースと接触して作動不良を起こす。最悪の場合、走行中にエンジンが停止する恐れがある。 ― 引用終り ― 1千万台超のリコールは、今後も拡大し続ける可能性を孕んでいる。 一方、電子部品など幅広く自動車部品を手掛けるデンソーの業績は順調。 電装部品の開発生産に強みを持ち、様々の2輪、4輪のメーカーに合わせる幅広く柔軟な研究開発能力と、トヨタ生産方式を備えるデンソーは万全。今回の燃料ポンプのリコールも、今後の展開に活かされることだろう。 デンソー、今期営業益予想は2.6倍半導体需給「今夏にかけ緩む」ロイター編集2021年4月28日 REUTERS デンソーは28日、2022年3月期の連結営業利益(国際会計基準)が前期比2.6倍の4130億円になる見通しと発表した。半導体などの需給不安はあるものの、予防安全製品の拡販や車両電動化の進展で増収増益を見込む。 ― 引用終り ―
2021年05月14日
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日本国内の自動車メーカーは12社。 そのうち、2020年までにトヨタ、ダイハツ、日野、スバル、マツダ、スズキの6社が資本関係、技術提携などでトヨタ系だった。 2021年3月24日、いすゞ自動車とトヨタ自動車は、相互出資による資本提携を発表し日野とともにいすゞもトヨタ系となった。 続いて2021年4月1日、ボルボグループは、傘下のUDトラックをいすゞ自動車に売却する手続きが完了したと発表し、UDトラックもトヨタ系となった。 トヨタ系は12社中8社となった。 残りは、ルノー/日産/三菱同盟の日産系は2社。 ホンダと光岡自動車は単独。 ベンツとクライスラーの合併の世紀の大失敗後、「規模の拡大」形式的な合併が相乗効果を生まないことが明白となった。 現代の製造系企業では、開発、調達、製造、物流のいずれかの提携が「意味ある提携」になった。 昨今の自動車開発の重大テーマは、電動化と自動運転を含むIT化に絞られる。 車載通信システムはその基盤となる部分について、トヨタ系5社が共通化を発表した。 トヨタなど5社が車載通信システム共通化へ2021年4月27日 共同通信 トヨタ自動車、ダイハツ工業、スズキ、SUBARU(スバル)、マツダの自動車メーカー5社は27日、車載通信システムを共通化すると発表した。 共同で通信機開発に取り組み、費用を抑えて製品化のスピードを上げる。 ― 引用終り ― クラウドやIoT、ビッグデータ、AIなどコネクテッド領域の技術が発展する中で、車載通信機は、得意分野ではないにもかかわら各社ごとにリソースを投入し、独自開発を進めている。 共通化の目的は、車載通信機の開発を協調領域とし、開発の効率化と加速化をはかること。共通化以外の分野に注力できるようになる。 日本車が不得手な分野で初期品質で重要性を増している、運転者とのインターフェイスの品質向上にも繋げられるだろうか。
2021年05月13日
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現代の車はガソリン車であっても、「クルマは電気で動いている」といわれるほど、エンジン以外の駆動は電気仕掛けだ。 クルマには50個から80個ものマイコンが組み込まれているとされる。 さらにセンサーやメモリなど半導体を使った部品は、運転制御系の電子部品はモデルチェンジごとに増えこそすれ減る気配は全くない。 生産効率の点からも増大する電子部品を結ぶワイヤーハーネスの簡素化・軽量化がすすめられ、ボディの各所にマイコンが組込まれ、車内通信により機能させる設計がすすめられている。 EV、HEV、PHEVはもちろんのこと、ガソリン車でも半導体が不足すれば、即座に生産が停止する。 トヨタ、ホンダ、スバル、日産が減産自動車用半導体がひっ迫した3つの理由2021年01月21日 ITmediaビジネス … (略) … すでに、昨年後半には、半導体が供給不足になるという予測が業界アナリストから出されていた。 それは5G普及に向けた需要増や、ソニーのプレイステーション5やマイクロソフトのXboxといった家庭用TVゲーム機の生産がいよいよ本格的になるため、半導体の需要が高まることが予測されていたのだ。 それに加えてコロナ禍で巣ごもり需要が高まりTVゲーム機の需要はさらに高まったことも、半導体の需要を押し上げている要因の1つだ。 さらにここへ来て、もう1つ半導体需要を押し上げる要因が起こっているようだ。 それは仮想通貨の高騰によるPC需要の高まりである。 仮想通貨の取り引きを実現するための計算処理であるマイニング用には、CPUではなく、GPU(グラフィックスプロセッサユニット=画像処理用の補助回路用半導体)を使って演算処理させる方が効率的だということから、グラフィックスカードを買い占めるような動きもあり、一気にPC市場の半導体の供給が不足気味となっている。 さらにはコロナ禍によりテレワークの導入が世界中で加速し、PCや通信技術関連の需要も高まった。 織り込み済みだった需要増に加えて、イレギュラーな需要が沸き起こり、増産しても供給不足を招いているのである。 とにかく早急に一定以上の数が欲しいマイニング業者は、価格よりも確保する方が優先されるため、価格が上昇してもお構いなしなので、半導体メーカーにとってはありがたい存在だろう。 こうなってくると割を食うのが自動車業界、というわけなのである。 ― 引用終り ― 半導体不足は製品のパニック買いを引き起こし、メーカーの生産能力が一段とひっ迫。ほぼすべての半導体で、最も安い部品に至るまで価格が上昇。 半導体サプライヤーは注文の際の預託金の引き上げを求めるようになった。 工場の生産量に応じ注文を増減させる、「TPS=トヨタ生産方式」に代表される自動車産業への供給は後回しとなった。 Intelが車載半導体生産で協議中ロイターが報道6~9カ月以内に生産開始か2021年04月13日 0EE Times Japan Reuters(ロイター通信)は2021年4月12日(米国時間)、Intelが、自動車向け半導体を生産するための協議に入っていると報じた(参考)。IntelのCEOであるPat Gelsinger氏が、Reutersに明かしたという。 Reutersによれば、Intelは現在、車載半導体の設計を手掛ける企業が、Intelの工場でチップを製造する方向で協議を進めているという。6~9カ月以内の生産を目指すとしている。ただし、車載半導体の種類や、Intelのどの工場で製造することになるかなどは、明かしていない。 またGelsinger氏は同日、ホワイトハウス当局者と半導体サプライチェーンについて協議したという。Reutersは、Gelsinger氏がこの協議において、Intelの生産ラインを車載半導体メーカーに提供し、より迅速な支援を行う方針を伝えたと報じている。 米国では2021年3月にバイデン大統領が、半導体製造を強化すべく500億米ドルを投入すると発表。2月には大統領令を発令し、半導体や電気自動車向けバッテリーなどのサプライチェーンについて、100日間のレビューを行うことを確約した。米国は、サプライチェーンの強化と半導体不足解消に向け、着々と動いている。 ― 引用終り ― GPUは、画像処理に優れることで、映像関係やゲーム機に使われてきた。 現在は、マイニングや画像認識や自動運転にも用いられ用途が拡大した。 風が吹けば桶屋が儲かる!西洋占星術では「風の時代」となり、形のない映像の重要は増大した。 半導体メーカー・エヌビディアはGPUがメインで将来性が高い?
2021年04月16日
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金属チェーンは安価だが、雪の少ない道での走行速度が遅く、装着に手間がかかるものも多い。 非金属、樹脂製タイヤチェーンは装着の手間が少なく、雪の少ない道での走行は、静かで、速度も比較的高い。 全路面氷雪となることのない場面で便利な非金属チェーンは、金属チェーンに比べ価格が高いというのが常識だった。 最近通販サイトで金属チェーン並み、ときにそれより安く非金属チェーンが販売されている。 どのようなチェーンの中に、安かろう悪かろうの品があるという。 通販でよく売れていても、購入者が使った結果の評価とは限らない。 自動車用品店でJASAA認定シール(JASA.21-001A)が貼ってあるチェーンを買うのが無難そうだ。 「安すぎるタイヤチェーン」の落とし穴ネットに溢れる粗悪品の実態日本メーカー苦慮2021/01/10 乗りものニュース非金属チェーン、数千円で買える?偽物に注意 カー用品大手のカーメイトが、インターネット通販サイトで自社製タイヤチェーンの類似品が横行しているとして、2021年現在、自社サイトで動画を公開して注意を呼び掛けています。 なかには「バイアスロン」シリーズなど、カーメイトの樹脂製チェーン製品名をかたったものもあり、ユーザーからの問合せが増えているとのこと。 類似品は素材・性能・耐久面でカーメイトの品質基準とは異なるといい、正規品との見分け方などを紹介しています。「類似品のほとんどが中国製と考えられます。出回り始めたのは2、3年前からでしょうか。当社の製品名を使用していたサイトには申し立てをし、名前を消して引き続き販売されているケースもあれば、サイトが閉鎖されたケースもあります」(カーメイト) カーメイトの製品を始め、カー用品店などで売られているタイヤチェーンの多くは、JASAA(日本自動車交通安全用品協会)の厳しいテストをクリアしているとのこと。 JASAAの認定を受けた製品を販売する他メーカーも、こうした粗悪品で被害を被っているようだといいます。 通常、カーメイトの「バイアスロン」であれば2万円前後の価格で販売されていますが、類似品は数千円とのこと。 インターネットの某通販サイトでタイヤチェーンの人気ランキングを見ると、金属チェーンも非金属チェーンも、数千円の安価なものが上位に並び、なかには1000円以下という製品まで見られます。 これらは実際、安全に使えるのでしょうか。 とても使えるシロモノではない…雪道で困るのはユーザー自身 カーメイトによると、安価なタイヤチェーンの多くは、その価格からしても中国製と考えられるそうです。 同社は、自社製品の類似品に限らず、このような製品を様々取り寄せてテストしているといいます。「中国製の安価な製品の多くは、タイヤとのサイズのマッチングが難しかったり、取り付けても緩くてダボダボだったりします。取り付けて10km/hで走って3度旋回したら切れた、あるいはスパイクピンが飛んでいったものもあります。なかには、ホイールの穴を通して巻き付けるタイプのものがありますが、ホイールの種類によっては取り付けられませんから、そもそも製品としてあり得ません」(カーメイト) 今回、数々の製品のテスト結果を見せてもらいましたが、そもそもどう取り付けるのか、といった製品も少なくないようです。 カーメイトとしても、チェーンとタイヤのマッチングはかなり苦労するポイントで、数百種類のタイヤでテストしながら製品を開発しているそうですが、「たぶん、こんなものだろう」くらいで作ったのではないか、と思えるものが見受けられるといいます。 ― 引用終り ―
2021年01月29日
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現代の自動車は、外観だけでなく骨格の革新、洗練が求められている。 燃費、動力性能の要請から軽量化は引き続き要求される。 操縦安定性、騒音など乗り心地の観点から強度の強化が要求される。 安全性の観点から、衝撃吸収性、使用される場所別の適正な強度が要求される。 強度の異なる鋼材を繋ぎ合わせる技術の一つがプレス加工。 相反する要求を実現するため、プラットフォームの高規格化だけでなく、ボディ骨格の成型技術の進化が適用され、モデルチェンジの内容は外観からだけでは推し量りがたいものとなった。 自動車のボディ成型で「ホットスタンプ」とは、ホットスタンプ専用の材料を約900℃まで加熱し、プレス加工するのと同時に、金型で保持/急冷し、材料に焼き入れをする事により、高強度な製品を作る技術。 材料を加熱する事により材料が軟化するため、今までの一般(冷間)プレスよりも、製品精度も出しやすい、という利点もある。 ホットスタンプはセンターピラーなどに用いられている。 日産が崩すボディー骨格の常識、新型ノートに「冷間」高張力鋼板高田 隆 日経クロステック/日経Automotive2021.01.07 日経XTECH 小型車のボディー骨格において、ホットスタンプ(高張力鋼板の熱間プレス材)の牙城が崩れた。 現在、トヨタ自動車やホンダなどは、引っ張り強さが1.5GPa級のホットスタンプを使用する。 これに対して日産自動車は、新型「ノートe-POWER」のボディー骨格に、1.5GPa級の高張力鋼板(冷間プレス材)を適用した。 小型車のボディー骨格に適用する高張力鋼板の冷間プレス材では、これまで1.3GPa級が最高強度だった。 日産が1.5GPa級の冷間プレス材を使うのは、今回の新型車が初めてである。 冷間プレス材の1.5GPa級という強度は、ホットスタンプに並んだ。 ただ、冷間プレス材は、強度が高くなると成形性が悪くなる。 また、プレス成形後の反りが大きくなり、高い寸法精度を出すのが難しいという課題もある。 日産はこれらの壁を、素材と成形法の改良で乗り越えた。 先進運転支援システム(ADAS)の標準搭載などが進み、小型車の質量は増える方向にある。 車両質量の増加は燃費規制への対応を難しくすることに加えて、「低燃費」という小型車の商品力を低下させる。 また、小型車は衝突事故時の乗員の被害が、中大型車よりも大きくなりやすい。 小型車には、中大型車と同水準の衝突安全性が求められる。 軽量化と衝突安全性を両立するためトヨタ自動車やホンダなどは、引っ張り強さが1.5GPa級のホットスタンプ(高張力鋼板の熱間プレス材)をボディー骨格に多用する。 例えばトヨタの小型車「ヤリス」や小型SUV(多目的スポーツ車)「ヤリスクロス」は、センターピラーやフロントピラー上部に1.5GPa級のホットスタンプを使う。 ボディー骨格に使用する1.5GPa級のホットスタンプの比率(質量比、以下同じ)は5.2%である。 …(略)… ホットスタンプの使用では、ホンダが先行する。 2013年に発売した小型車の先代「フィット」(3代目)のセンターピラーに、1.5GPa級のホットスタンプを適用していた。 20年2月に発売した現行フィット(4代目)では、センターピラーとサイドシルに1.5GPa級のホットスタンプを使った。 ボディー骨格に使うホットスタンプの比率は、ヤリスクロスと同水準の5%となっている。 ― 引用終り ― 自動車が電動化すると「他産業からの参入障壁が下がる」などというのはエコノミストの謬見に過ぎないことがよく分かる。 自動車は模倣が困難なエンジンやサスペンションだけでできているのではない。 現代の自動車は、ボディの成型、内装など夫々に高度な技術が適用されており、高品質で廉価な製品を作ることは、自動車メーカーでさえ容易なことではないからだ。 電動車専業メーカー・テスラの車が10年後どんな状態か、非常に興味深い。
2021年01月10日
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2020年9月16日、ブリヂストンは北フランスにあるべチューン工場を「2021年に閉鎖することを検討」していると発表した。 もってまわった表現は閉鎖が難航することを覚悟していることを示している。 「突然の閉鎖発表」に、従業員、労働組合だけでなく、フランス政府の産業担当大臣、政治家やメディアが批判を開始した。 ブリヂストン仏工場閉鎖に抗議 並ぶ「十字架」、日本語での掲示も2020年11月27日 AFPBB News【AFP=時事】 フランス北部パドカレー(Pas-de-Calais)県ベテューヌ(Bethune)にあるタイヤ大手ブリヂストン(Bridgestone)の工場前で27日、閉鎖を不服とする従業員ら100人以上が抗議デモを行った。 ブリヂストンは先に、欧州における過剰生産能力の問題や低価格のアジアブランドとの競合を理由に、863人が勤務する同工場を来年閉鎖すると発表。 これを受けてフランス政府も工場存続に向けた交渉に乗り出したが、同社は早期退職措置や、従業員の国内外での異動、工場の買い手を探すなどして、解雇者数をできるだけ抑えたいとしながらも、今月半ばに閉鎖の方針を改めて確認している。 ― 引用終り ― ブリヂストンは、べチューン工場が製造している小型タイヤの市場縮小などでヨーロッパ工場の中で最もパフォーマンスが低いことを挙げた。 従業員側は、ブリヂストンはポーランドには6400万ユーロ(約80億円)を投資しているがフランスには600万ユーロ(約7億円)程度しか投資していない。 工場の設備老化や、アジア製の安価なタイヤの市場流入によるパフォーマンス悪化は不可避で、閉鎖の正当な理由にはならないと主張している。 フランスで労働組合、従業員との十分な事前協議なしに工場閉鎖すると、大騒動が起こるということも、ブリヂストンは覚悟していたのだろうか?
2020年12月09日
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2020年11月9日、テイ・エス テックは、今仙電機製作所の株式公開買い付け(TOB)と第三者割当増資を引き受けて、持分法適用会社にすることで合意したと発表した。 両社はホンダ向けが主力の部品メーカー。 テイ・エス テックは主力製品は自動車用シート。 今仙電機はシートアジャスターなどの自動車部品を製造。 テイ・エス テック今仙電機を持ち分法適用会社に2020年11月9日 日本経済新聞 ホンダ系シートメーカーのテイ・エステックは9日、自動車部品会社の今仙電機製作所と資本提携を結んだと発表した。 TOB(株式公開買い付け)などにより同社への出資比率を現在の3.06%から34%に引き上げ、持ち分法適用会社とする。 買い付け価格は1株930円で期間は10日から12月8日まで。 第三者割当増資も同価格で引き受ける。 ― 引用終り ― TOBの買い付け価格総額は約48億円。 第三者割当増資の引受額も約48億円。 今仙電機は第三者割当増資で調達した資金を、シートアジャスター事業での生産能力の増強や既存工場の再編、電子部品を中心とした研究開発投資などに充当する。 両社は経営の独立性を維持したまま、シートを中心とした特定分野やテーマごとに緊密な連携をはかりながら、独自の強みを発揮していく。
2020年11月28日
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コロナ前からいち早く方向性を変更した日本電産は、コロナ禍の2020年4-6月期においても増収増益。 EV化にもいち早く対応していることは言うまでもない。 内燃機関搭載車が量産の大半の現時点でも、電子制御、電動機構、電子部品の採用は増えている。 増収増益の日本電産欧州にEV向け新工場売上高10兆円も視野井上久男 | 経済ジャーナリスト10/27(火) 12:15 日本電産は26日、2021年3月期決算の業績見通しを上方修正した。 20年4~6月期の第一・四半期決算を発表した7月時点での見通しとの比較では、売上高が3.3%増の1兆5500億円、営業利益が12%増の1400億円、当期利益が5%増の1050億円になる見通し。 売上高は四半期ベースで過去最高 記者会見した永守重信会長は「第一・四半期は新型コロナウイルス禍の影響により出足が鈍かったが、その後調子が回復した」と語った。 世界各地の工場の稼働率も回復しており、コロナ危機以前の今年2月を100とした場合、9月に中国は94%、北米は95%、アジアは97%にまで復活した。 同日発表した20年7~9月期の第二・四半期決算は、第一・四半期と比べて急激に回復。 売上高は前期比23%増の4149億円となり、四半期ベースでは過去最高となった。 営業利益も49%増の414億円で、営業利益率は7ポイント上昇して2桁の10%になった。 機能し始めた「2トップ体制」 製品別では同社が将来の柱と見込む電気自動車(EV)向けのモーターなど車載事業は第一・四半期の売上高が568億円で約2億6000万円の営業赤字だったが、第二・四半期は売上高が923億円、約47億円の黒字となった。 精密小型モーターや家電・商業・産業用モーターなど現在の同社の屋台骨事業も増収増益だった。 サプライチェーンの見直しや、低収益ラインの撲滅など「ダブル・プロフィット・レシオ(WPR)」と呼ばれる徹底した合理化に加え、4月から社長に就任した元日産自動車COOの関潤氏と永守氏による「2トップ体制」が定着したことで、「経営にリズム感が出てきた」と永守氏は語った。 車載事業と家電・商業・産業用モーターは関氏、その他事業とM&A関連は永守氏といった具合に分担し、責任も明確化している。 決算発表と同時に永守氏は、今後の事業展開の計画なども示した。 日本電産は、EV向けトラクションモーターシステムの事業に力を入れている。 このシステムは、モーターとそれを制御する半導体、ギアが一体となったEVの心臓部の一つだ。 こうした事業を拡大させることで日本電産は30年に売上高10兆円を目論む。 ― 引用終り ― 2030までにトラクションモーターの販売1000万台を目指すという。 中国で開発・生産能力の強化をはかり、続いて欧州で100万台規模の生産拠点を設置する考え。 世界最大のCO2排出国である中国の中国の習近平国家主席は、2020年9月22日、CO2排出量を2030年までに減少に転じさせ、2060年までにCO2排出量と除去量を差し引きゼロにするカーボンニュートラルを目指すと表明した。 世界最大の新車市場の中国でEV市場に食い込む意義は大きい。 欧州もCO2排出規制の強化が着々とすすんでいる。 米国ではカリフォルニア州が2035年までに州内で販売される新車をすべてゼロエミッション車にする規制を強化する流れ。EV向けトラクションモーターシステムの開発・生産の重要性は益々高まっている。
2020年11月18日
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2020年3月のリコールと同様の、低圧燃料ポンプのインペラがポンプケースと接触して燃料ポンプが作動不良となり、走行中エンストに至る恐れがあるというトラブルで21万台のリコールを届け出た。 3月のリコールは、対象期間が2019年9月から2020年3月で対象台数は合計で322万台。 デンソー製の燃料ポンプ。 このリコールについて、米国で新たに152万台を対象に加えたと発表し、全世界でのリコール対象台数は584万台となった。 その後世界で745万台が対象であることが明らかになった。 しかも、事態は収束するどころか、さらに悪化する方向に進んでいるという。 トヨタはデンソーなしに車を作ることはできない。 トヨタ21万台リコール=走行中エンスト恐れ2020年10月28日 時事ドットコム トヨタ自動車は28日、走行中にエンストする恐れがあるとして、乗用車「ノア」や「アルファード」など39車種計21万363台(2017年7月~19年12月製造)のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。 対象車にはパトカーや救急車のほか、OEM(相手先ブランドによる生産)供給したダイハツ「アルティス」60台も含まれる。 海外での販売台数は約245万台。 ― 引用終り ― 【ダイハツ・アルティス】 ダイハツ・アルティスはダイハツの最上級車種。 アルティス(ALTISの名は「Altitude、地位が高い」に由来する。 中身は親会社トヨタ・カムリで「バッジ・エンジニアリング(死語)」版。 アプローズ 2000年3月から販売されたアルティスは、日本国内でのみ販売される国内販売専用車。 2012年5月発売の4代目からハイブリッド専用車となった。 現行モデルは5代目で2017年7月発売。 内外装はエンブレム類の変更のみでTNGA採用の10代目カムリとほぼ共通。 エンジンをA25A-FXS型に換装したことにより、JC08モード燃費が28.4km/Lに向上。 「平成32年度燃費基準+50%」を達成した。 2020年8月、一部改良により「平成30年排出ガス基準75%低減レベル(☆☆☆☆☆)」認定を取得。 燃料消費率はWLTCモードに移行したことにより「2020年度燃費基準+40%」となった。 シャルマン アルティスは2017年7月~19年12月で60台製造されたということ。 20年以上の続いているのに、今回のリコールに車名が出てなければ、全然知らなかった。 きっと他にも全然知らない国産車いっぱいあるんだろうな。 OEMの世界は奥深い。 メビウス
2020年11月03日
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2020年3月のリコールと同様の、低圧燃料ポンプのインペラがポンプケースと接触して燃料ポンプが作動不良となり、走行中エンストに至る恐れがあるというトラブルで21万台のリコールを届け出た。 3月のリコールは、対象期間が2019年9月から2020年3月で対象台数は合計で322万台。 デンソー製の燃料ポンプ。 このリコールについて、米国で新たに152万台を対象に加えたと発表し、全世界でのリコール対象台数は584万台となった。 その後世界で745万台が対象であることが明らかになった。 しかも、事態は収束するどころか、さらに悪化する方向に進んでいるという。 トヨタはデンソーなしに車を作ることはできない。 トヨタ21万台リコール=走行中エンスト恐れ2020年10月28日 時事ドットコム トヨタ自動車は28日、走行中にエンストする恐れがあるとして、乗用車「ノア」や「アルファード」など39車種計21万363台(2017年7月~19年12月製造)のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。 対象車にはパトカーや救急車のほか、OEM(相手先ブランドによる生産)供給したダイハツ「アルティス」60台も含まれる。 海外での販売台数は約245万台。 ― 引用終り ― 【ダイハツ・アルティス】 ダイハツ・アルティスはダイハツの最上級車種。 アルティス(ALTISの名は「Altitude、地位が高い」に由来する。 中身は親会社トヨタ・カムリで「バッジ・エンジニアリング(死語)」版。 アプローズ 2000年3月から販売されたアルティスは、日本国内でのみ販売される国内販売専用車。 2012年5月発売の4代目からハイブリッド専用車となった。 現行モデルは5代目で2017年7月発売。 内外装はエンブレム類の変更のみでTNGA採用の10代目カムリとほぼ共通。 エンジンをA25A-FXS型に換装したことにより、JC08モード燃費が28.4km/Lに向上。 「平成32年度燃費基準+50%」を達成した。 2020年8月、一部改良により「平成30年排出ガス基準75%低減レベル(☆☆☆☆☆)」認定を取得。 燃料消費率はWLTCモードに移行したことにより「2020年度燃費基準+40%」となった。 シャルマン アルティスは2017年7月~19年12月で60台製造されたということ。 20年以上の続いているのに、今回のリコールに車名が出てなければ、全然知らなかった。 きっと他にも全然知らない国産車いっぱいあるんだろうな。 OEMの世界は奥深い。 メビウス
2020年11月03日
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JSSJ(東京都品川区)は、自動車用安全部品メーカーである米 Joyson Safety Systems(JSS)の日本法人。 前身は欠陥エアバッグのリコール隠しを行ったタカタ。 日米中心の大規模リコールで1兆円を超える巨額の負債を抱えたタカタは2017年6月に経営破綻。 2018年にエアバッグ事業は清算会社が継承。 その他の事業を買収したのが、中国の自動車部品メーカー寧波均勝電子の子会社JSS。 JSSJは親会社を含めてシートベルトで世界シェア約30%、日本で約4割のシェアを持つ部品メーカー。 品質不正が発覚したのは、JSSJの彦根製造所(滋賀県彦根市)。 法令で定められた安全機能部品であるシートベルトのウェビングについて、20年以上前から強度データの改ざんを繰り返していたとされる。 ウェビングは、強度の高いポリエステル繊維を材料に使った織布。 前部座席、後部座席の各々に破断時の強度と伸度の範囲が指定されている。 定められた保安基準を満たさないものは販売してはならない。 JSSは保管されているタカタ分を含む20年分の関連データを収集し、検証中。 国交省の試算によると、品質基準を満たしていないシートベルトは国内だけで900万本、リコール対象車は200万台に及ぶ可能性があるとしている。 この数字に北米納入分が積み増される可能性がある。 また、国際規格を承認する認証団体「国際自動車産業特別委員会(IATF)」へのデータでも実際と異なる内容があったとされ、欧州分が加算される可能性がある。 各車体組立メーカーは、該当部品と車両の紐付けを調査中。 JSSと車体組立各メーカーの調査を終了し、データを突合した後、リコール対象車が決まる。 20年前であれば現在ほど納入部品のトレーサビリティが確立してない可能性もあり、調査に時間を要することが考えられる。 データ改ざんの旧タカタ、欧州品質認証機関向けでも不正-関係者堀江政嗣2020年10月20日 Bloomberg …(略)… JSSJの米親会社JSS広報担当のブライアン・ジョンソン氏は14日に公表した声明で、過去20年以上にわたり入手可能で関連性があるデータについて調査を行っているとコメント。 2018年に同社がタカタ事業を継承した以前から起きていた問題であるとし、現時点では同社は走行中の不具合は確認していないとしている。 寧波均勝電子は上海証券取引所向けに発表された19日の声明文で、メディアで指摘されている「データの整合性に関する問題」は、おおむね問題の工場がタカタによって保有されていた00年から10年の間に起きたものだとした上で、現在、工場の生産設備が同社の管轄下に入って以降の慣習について調べているとした。 ― 引用終り ― JSSJは事業継承後に体質改革を実施しておらず、旧タカタの偽装体質まで継承してしまったようだ。 タカタの主要製品はエアバッグ、シートベルト、チャイルドシート。 タカタがチャイルドシート用ベルトのデータを改ざんしていたことも報告で判明している。 米国でエアバッグの欠陥が発覚してから、マスコミの指弾にも関わらず長い間タカタの経営トップは記者会見に現れなかったが、社内全般にわたる偽装・不正の事実を知っていたからでは、と思いたくなる。
2020年11月03日
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2015年11月、米国運輸省の国家道路交通安全局(NHTSA) は、タカタのエアバッグの欠陥を企業の不祥事と位置づけ、同社が適切なリコールや情報開示を実施せずに米国内で被害を拡大したとして、最大2億ドル(約240億円)の民事制裁金を科すと発表。 同じく11月、最大顧客のホンダが、タカタの提出データに不適切な報告の形跡があると指摘して今後は開発中の新型車にタカタ製インフレーターを用いないと発表。 マツダや富士重工業など国内自動車大手もタカタが製造したインフレーターを使わないと相次いで表明した。 2017年6月、欠陥エアバッグ問題が引き金となりタカタ株式会社は負債総額1兆円を超えて製造業としては戦後最大の経営破綻をした。 日本企業が手を出さない中、2018年4月、キー・セイフティー・システムズがタカタの事業買収を完了してジョイソン・セイフティ・システムズと改称した。 買収後、社員の待遇、働き方もほとんど変わらず、高田重久会長の側近も駆逐されずいいポストに残っていると報じられていた。 経営主体と名称が変わっても、不祥事を隠蔽する企業体質は変わらなかったと見受けられる。 旧タカタ、懲りない隠蔽体質…シートベルト不正常態化の恐れ[新聞ウォッチ]2020年10月15日 Response …(略)… 昨日、すでに一部のメディアが報じていたが、欠陥エアバッグ問題で2017年に経営破綻した、自動車部品大手のタカタの事業を引き継いでいだジョイソン・セイフティ・システムズ・ジャパン(JSSJ)で、今度は、法令で定める強度を満たしていない品質不正の疑いのあるシートベルトを、自動車メーカーに出荷していたことが発覚した。 きょうの各紙にもその続報を取り上げているが、JSSJ社は「過去20年分の製品の数値を調査中」と発表。 旧タカタの時代からデータ改ざんが行われていた疑いもあるという。 つまり、常態化していた不正までそっくり引き継いだ可能性もあるようだ。 日経は「タカタは18年に米社による買収で再出発したにもかかわらず、不正の温床は放置されていた」と指摘。 「自動車向けに人命を守る商品をつくる企業でありながら、染み付いたガバナンス(企業統治)不全の根は深い」とも伝えている。 …(略)… 旧タカタの継承会社のJSSJ社はシートベルトの国内シェア4割のトップメーカーで、日経によると、トヨタなど大半の自動車大手と取引があり、不正対象のシートベルトは数百万本にのぼるとみられている。 10月末からは自動車各社の2021年3月期の中間決算発表が予定されているが、新型コロナの感染拡大に伴う業績への影響とともに、タカタ製“欠陥エアバッグ”の時のように、問題のシートベルトのリコール対応についても追及されそうだ。 ― 引用終り ― 1960年12月、旧タカタは 日本初の二点式シートベルトの製造・販売した。 シートベルトはタカタにとって祖業にあたる。 リコールに要する費用は、通常車体組立メーカーと部品メーカーとの協議で負担比率が決まる。 データ不正であればJSSJ社の負担比率は、最大限となる可能性が高い。 ただしJSSJ社はタカタ株式会社に関する費用を負担しないと主張すると思われる。 JOYSON SAFETY SYSTEMS 公式サイト
2020年10月16日
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タイヤ業界の利益率の継続的低下に強烈な危機感を持っているブリヂストンは、2020年7月8日発表した「中長期事業戦略構想」の中で2020年を「第3の創業」に位置付け、ソリューション企業への進化を図るとした。 まず将来性の低い低採算部門、不採算部門からの撤退戦を演じるようだ。 8月21日、南アフリカで農業機械などのタイヤを製造するポートエリザベス工場について、関係者と閉鎖に向けた協議を開始したと発表。 9月4日、ブリヂストンが米子会社ブリヂストン・アメリカスのファイアストン・ビルディング・プロダクツ部門を約25億ドル(約2650億円)で売却することを検討しているとブルームバーグが報じた。 9月16日、フランス北部にある乗用車用低インチタイヤを製造する工場の閉鎖に向けて関係者と協議を始めたと発表。 ブリヂストン、カート用タイヤ撤退22年末で供給終了2020年09月25日 JIJI.COM ブリヂストンは25日、主にレーシングカート向けに製造・販売しているカート用タイヤについて2022年末で供給を終了すると発表した。 生産本数や売上高などは開示していないが、業績への影響は軽微という。 ― 引用終り ― ブリヂストンは、国内ではJAF(日本自動車連盟)、海外ではFIA国際自動車連盟傘下の国際カート委員会(CIK-FIA)公認のカート用タイヤを中心に、初心者からエキスパートまで多くのユーザーを支えてきた。 それだけにカート界にもたらす衝撃は大きい。 カート用タイヤの供給終了について2020年09月25日BURIDGESTONE ニュースリリース モータースポーツからの撤退は暫くの間ないようだが、収益率が高いとは思えない二輪のタイヤはどうなのだろう?
2020年10月02日
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2020年コロナ禍で人の動きが止まれば、動かなくなる車も増える。 JAFのデータによると、4月以降バッテリー上がりのトラブルが急増した。 原因と理由は何か。 対策はどうしたらよいのかの記事。 「暗電流」とは何かを初めて知った。 コロナ禍でバッテリー上がりなぜ急増?加藤久美子2020/09/27 くるまのニュースバッテリー上がり急増の理由はやっぱりコロナ? …(略)… JAFのロードサービスの出動理由における「バッテリー上がり」の各月の割合を見ると、2020年4月は41.76%(前年:35.98%)、5月は42.46%(前年:33.74%)、6月は35.35%(前年:31.84%)、7月は29.91%(前年:29.56%)、8月は29.85%(前年:29.75%)となっています。 7月以降はだいぶん落ち着いてきていますが、とくに多い5月は9ポイント近くも増えています。 バッテリー上がりが増えたのは、ちょうど外出自粛から自粛解除の時期にほぼ重なっているようです。 4月から5月は高速道路の交通量も激減しており、高速道路の平均交通量は全国平均で昨年の3割から4割程度にまで減っていました。まさにその減少した交通量に比例するかのように、バッテリー上がりの救援依頼が集中していたのです。 外出自粛でクルマでの長距離を走行する機会も大幅減少、バッテリーの走行充電を十分おこなうことができず、過放電状態となってエンジンがかからなくなり、JAFのロードサービスを呼んだ人が増えたと考えられます。 …(略)… バッテリー上がりに、とくに気を付けるべきクルマは?――バッテリー上がりに気を付けるのはどんなクルマでしょうか。 最近多いのはドラレコによるバッテリー上がりです。 とくに、駐車時の監視装置(駐車モード、パーキングモードなどの使用時)がついているドラレコの場合、設定によってはバッテリーの限界ギリギリまで使えてしまうものがあります。 また、エンジンを切っていても、カーナビやカーステレオには「暗電流」が流れているので、電装品が多いクルマもバッテリー上がりには気を付けてください。 ――暗電流とは何でしょうか。 キーを抜いた状態でもクルマにはわずかな電流が流れています。 ドラレコなどがついていなくても、キーレス電波の受信や時計を動かすための電流として流れているもので、一般的な車両で5ミリアンペアから10ミリアンペアとわずかですが、常時流れ続けている電流を「暗電流」といいます。 ――乗っているクルマのバッテリーがどのような状態かを調べる方法はありますか。 バッテリーテスターなどで診断することは可能です。 バッテリーの健康状態が分かります。 カー用品店のなかには無料でチェックしてくれるところもあります。 ― 引用終り ― ガソリン自動車を含む多くの車が、電気の流れなしにはまともに動かなくなっている。 長期間エンジンをかけなかった場合やバッテリーの劣化が著しい場合は、暗電流によりバッテリー上りを起こす可能性が高くなる。 対策は、定期的に車を動かすこととバッテリーの劣化度チェック。 自動車に関係する様々なものが10年間、10万kmメンテナンスフリーになる中、ワイパーブレード、潤滑油、バッテリーは、使わなくとも経年劣化する消耗品。
2020年10月01日
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ブリヂストンは1988年、世界最大の自動車市場だった米国でグッドイヤーに次ぐシェアを誇るファイアストン社を買収。 その後もシェア拡大を続け、タイヤ業界のグローバル売上ランキングで、2008年から世界No.1 を継続している。 トップ3のシェアは低下傾向に2018年タイヤメーカーランキング2019年9月25日 自動車春秋社 米専門誌タイヤビジネスが各社の2018年のタイヤ事業の売上高を基にまとめた世界のタイヤメーカーランキングによると、1位はブリヂストンで11年連続でトップを守った。 また、業界全体の売上高は前年比1.8%増の1686億2500万ドル(約18兆5488億円)となった。 ブリヂストンの売上高は2.6%増の249億8200万ドル、2位の仏ミシュランは1.2%減の232億7500万ドルで、両社の差は17億700万ドルだった。 …(略)… 1位から3位の米グッドイヤーまでの売上高は合計626億4900万ドルで全体の売上高の37.2%を占めた。 一方で、“ビッグ3”のシェアは前年より0.3ポイント、10年前と比較すると約10ポイント低下した計算だ。 ― 引用終り ― 世界一のブリヂストンは「業界において全てに『断トツ』」を目標に掲げているが、2010年1月、「脱シェア競争」、安売り競争からの離脱に転換したと報じられて久しい。 そんなブリヂストンが生産拠点の再編成に着手。 欧州の乗用車向けタイヤ生産の拠点のフランス・べチューン工場を閉鎖する協議を始めた。 自動車生産の伸びが大きい地域での生産の資源を集中する取組の一環だろう。 ブリヂストン、仏タイヤ工場閉鎖に向けた協議を開始2020年9月17日 Response ブリヂストンの欧州グループ会社であるブリヂストン フランスは9月16日(現地時間)、ベチューン工場の閉鎖に向けて関係者と協議を開始したと発表した。 ブリヂストングループは、中長期事業戦略の実行に向けて、「コア事業」であるタイヤ・ゴム事業と、「成長事業」であるソリューション事業による同社独自のビジネスモデル構築を進めている。 タイヤ・ゴム事業では、生産拠点の最適化を含めた経費・コスト構造改革とともに、プレミアムビジネス戦略強化等を進めて「稼ぐ力の再構築」を図っており、本件は欧州グループ会社におけるその取り組みの一環だ。 近年、欧州の乗用車用タイヤ市場では業界の収益構造が悪化傾向にあり、加えて需要が伸び悩む低インチ(18インチ未満)タイヤの供給能力が過剰気味になるなど競争環境は厳しさを増している。 一方、高インチ(18インチ以上)タイヤの需要は堅調に推移しているため、欧州グループ会社は、プレミアムビジネス戦略として、高インチタイヤの販売強化を進めつつ、低インチタイヤの供給能力を見直して生産性の改善を図るなどの改革に取り組んでいる。 ― 引用終り ― フランスは雇用確保の観点から工場閉鎖に政府が介入する。 カルロス・ゴーン氏はルノー時代、新しく生産効率がよいベルギー工場を閉鎖し、フランス工場を残した。 ブリヂストンもまず閉鎖の方向性を宣言した。 9月21日、フランスのパニエリュナシェ経済・財務副大臣は、ベチューンのタイヤ工場について、同社やその関係者と今後2-3週間のうちに代替シナリオを議論する考えを示した。 フランス・ベチューン工場の閉鎖に向けた協議を開始2020年09月16日BRIDGESTONE ニュースリリース
2020年09月29日
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世界的コロナ禍の拡大で、失業者は激増し、消費は減退。 8月の国内の新車販売台数は前年同月比16.0%減となり、11か月連続で前年を下回った。 世界市場に進出した日本の自動車産業では、財務体力の少ない部品メーカーが危機に陥っている。 カーエアコン用のコンプレッサーで世界シェア2位のサンデンHDが事業再生ADRを申請。 ミツバは希望退職500人を募る。 萬松は自己破産を申請し、破産手続きを開始した。 企業の財務体力差が露わになる。 トヨタ、日産、ホンダ……自動車産業の「コロナ破綻」は避けられないのか部品メーカーの現場で見た「惨憺たる状況」の真実2020/9/1 週刊エコノミストOnline 「暗いトンネルに入ってしまった。遠い先に明かりは、全く、見えない」──。 SUBARU(スバル)の城下町である群馬県太田市で、エンジンや変速機部品の研削を担う2次下請けの金属加工会社「アミイダ」の阿久戸洋希社長(47)は落胆を隠せない。 新型コロナウイルスは、まずは、外食や小売り、輸送などのサービス産業に大きな打撃を与えたが、その魔手は、いよいよ、日本のものづくりの「心臓部」である自動車産業を侵し始めた。 …(略)… 自動車向け空調部品のサンデンホールディングス(HD、群馬県伊勢崎市)が6月30日、私的整理の一種である事業再生ADRを申請し、受理された。 同社はカーエアコン用のコンプレッサーで世界シェア2位を誇る。 サンデンHDの広報担当者によると、ADR申請の理由は「欧州市場でガソリン車向けの需要などが減っていたところに、コロナで各地の工場が休業に追い込まれ、売り上げが落ち込んだため」という。 サンデンHDはフォルクスワーゲンやダイムラー向けなどの欧州、中国でも事業を拡大してきた。 帝国データバンクによると、サンデンHDの1次、2次の下請け企業は全国に2134社あり、特に群馬県内には401社と全体の約2割を占めるため、地元経済への影響は計り知れない。 群馬県商工会議所連合会の曽我孝之会長は「地元にとってサンデンの存在はあまりにも大きい」と強調し、スポンサー企業との提携による事業再生に期待を寄せる。 サンデンHDだけではない。 群馬県桐生市に本社を置く自動車電装部品製造の「ミツバ」も7月15日、グループ内から500人規模の希望退職者を募ると発表した。 また、老舗自動車部品メーカー「萬松」(東京都新宿区)は4月、東京地方裁判所へ自己破産を申請し、破産手続き開始決定を受けた。 ◇秋口からさらに悪化 SBI証券の遠藤氏は「世界の自動車販売が9000万台へ回復するには、この先3~4年かかるかもしれない」と厳しい見通しを示す。 仮に、販売台数がコロナ前の水準を回復しても、環境規制や自動運転への対応で電動化が進めば、自動車1台当たりの部品点数は、ガソリン車の3分の2から半分程度になると見られている。 自工会によると、18年の全製造業の製造品出荷額のうち、自動車の割合は約19%。 自動車製造の設備投資額は1兆5349億円で、18年度は全製造業のうち約23%を占めた。 雇用で果たす役割も大きく、自動車産業への就業人口約542万人は、日本全体の約8%を占めている。遠藤氏は「自動車が落ち込めば、関連する鉄鋼や電機、機械、化学など他の産業も落ち込むが、それに代わる産業が日本にはない」と指摘する。 すでに、ドイツでは、フォルクスワーゲンが約1万2000人、BMWが6000人、ダイムラーが1万5000人規模の人員を削減すると報じられている。 ― 引用終り ― パワーユニットの電動化の拡大は、新型コロナ感染拡大以前から決まっていた。 内燃機関のエンジン関係の部品が不要になることも分かっていた。 これらにコロナ禍による新車需要の減退が加わった。 いずれにしろ、得意分野に左右されるが、自動車部品メーカーは車体組立メーカー以上に事業存続に危機が起こる。 さらに自動車メーカーによる、大消費地中心の生産体制の集約と自動車部品の現地調達がすすむことが予想される。 危害進出していない部品メーカーは、さらなる危機が予想される。
2020年09月12日
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自動車部品の部品単価の上昇を抑制するため、共用することで量産効果で原価低減をはかっている。 コストだけが選定の焦点になるような技術的に熟成された部品、「枯れた部品」に起因するリコールはメーカーの枠、系列を超えて広がる。 トヨタで発生した340万台超、2200億円とされるデンソーの欠陥燃料ポンプ問題は、国内各メーカーに波及した。 不具合を確認した後もデンソーが各メーカーに部品供給を続けたため、リコール台数が増加した。 ホンダが5月下旬に届け出た「シビック」や「CR-V」「HR-V」「NSX」など世界で137万台を数えるメガリコールの原因も、デンソー製欠陥燃料ポンプにあることが8月に報じられた。 中国市場で77.5万台の、アジア市場(中国市場を除く)で35.9万台の、米国市場では16.4万台のリコール、ユーザーに対策品への交換を強いる。 デンソーが479万台リコール、「タカタに続く日本自動車部品メーカーの不祥事に?」と中国メディア2020年 08月25日 Record China 2020年8月25日、中国経済網は、デンソーの欠陥燃料ポンプ問題が深刻化しており、タカタ製エアバッグ問題に続く日本の自動車部品メーカーの不祥事になりつつあると報じた。 記事は、デンソーの欠陥燃料ポンプ問題によりトヨタ、マツダ、三菱、ホンダ、スバルなど多くの日本ブランド車を巻き込んだ世界的な大規模リコールが発生しており、現在までにすでに479万台がリコールの対象になっていると伝えた。 また、中国では昨年9月から現在までに128万台以上が「燃料ポンプの欠陥により走行中にエンストする」理由でリコールされており、マツダ、トヨタ、ホンダ、三菱などのメーカーが対象になっているとした。 さらに、デンソーによれば欠陥燃料ポンプは日系ブランド車以外にフォードなどの海外ブランドにも供給されているほか、2016年時点ですでに潜在的な欠陥を見つけていたにもかかわらず対応が遅れたため、いまだに相当数の車がリコール対象になっていないという大きな問題点を抱えているとの報道を伝えている。 ― 引用終り ― 自動車部品のメガサプライヤーであるボッシュ、コンチネンタル、デンソーが製造した共用の部品がリコールの原因である場合、メガリコールになる可能性がある。 「大きすぎて潰せない」という言葉があるが、今回のリコールはデンソーほどの企業であっても「多過ぎて公表できない」ことらしい。
2020年09月12日
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