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午後から降ったり止んだりしていた雨が、さきほど午後5時ころから激しく叩き付ける降りにかわった。台風17号が潮岬沖に接近し、近畿・東海地方に上陸するおそれがでてきたようだ。関東地方も明日未明には北東方向へ斜めに通過するかもしれないらしい。我が家は、昨日のうちに一応の準備はしたのだが、無事に通過することを願うばかり。 と、そんな心配をしながら、夕食の支度をしているが、初栗で栗御飯を炊いている。二階の私の部屋にもその香りが漂って来た。 先日は、きのこ炊込み御飯だった。種々の茸をたっぷりつかって、昆布出汁で炊き上げた。季節の変わり目に、旬の素材で炊き込み御飯をつくって季節を愛でようというのが、私の考え。長年、そうしてきた。 日暮れが早くなって、すっかり黒ずんだ山の木々の茂みが、吹き下ろす風に揺れ、雨音が葉を叩きながらザーッ、ザーッ、ザーッと、山上から下へと降りて来る・・・
Sep 30, 2012
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きのうの朝日新聞に「あっ、そうだったのか」と、60年後にして知らされた小さな囲み記事があった。 春には北へ、秋には南へ渡りをすることで知られているアサギマダラという蝶がいる。世界的にはカナダあたりから遙か南米メキシコまで3,000キロの渡りをするオオカバマダラが有名だが、アサギマダラは、日本で唯一の渡り蝶である。 そのアサギマダラが、渡りの途中に長野県大町市の古川孝雄さん宅のフジバカマ畑に立ち寄っている、というのである。 私が60年後に知ったというのは、じつは小学1年生のときに、このアサギマダラを長野県南佐久郡川上村で採集しているからだ。昆虫少年だった私にとって、それが最初で最後のアサギマダラとの出会いだった。おそらく私は、渡りの季節に、渡りの通り路で出会ったのだろう。 当時、アサギマダラが渡り蝶であることは蝶類学会でも知られていなかった。私が小学生時代から使っている保育社の横山光夫著『原色日本蝶類図鑑』(この図鑑は知る人ぞ知る名著である)には次のように記述されている。 「九州から北海道まで全土に分布するが、南方系のもので本種のように北部の寒冷地にまで棲息するものはきわめて珍しく他にあまり例をみない。(中略)かつて筆者が支那海の中央を航行中、船上に舞いおりたこの蝶を見たが、東京や大阪の都心でも度々見受けられて話題となっている。(後略)」 この記述は、アサギマダラが渡りをする蝶であることが知られていなかったことを示している。ちなみに、オオカバマダラの渡りについては、この図鑑はその旨の記述がある。 私は、いまでも採集したときの光景を周囲の景色ともども目に浮かべることができる。しかし、その影像はいわばフレームの端がぼやけていて、川上村のどこであったかを特定することはできない。なにしろ植物や蝶を探して、一人で村のあちらこちらを歩き回っていたのだったから・・・ 資料保存箱をさがせば、60年後の現在でも、その標本はある。そして、添付ラベルには採集日付と場所が記録されているはずだが・・・。
Sep 29, 2012
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20世紀初頭、イギリスの貴族の家で発見され、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」と似ている女性像が、レオナルドが描いた第2の「モナリザ」であるという鑑定結果を、スイスの財団「モナリザ基金」が発表した、と読売新聞(石黒穣記者)が報じている。 レオナルド・ダ・ヴィンチの作だと主張する「モナリザ」は世界に数点存在する。少なくとも私の目には、いずれも容貌に品位がない。もっとはっきり言えば「下品」な女性像で、所有者が如何に主張しようとも、ルーブル所蔵の真筆の「モナリザ」に遠くおよばない。 そのなかでこのたび「モナリザ基金」が発表した作品は、格段にましなもので、ルーブルの「モナリザ」の画像をディジタル処理したら、当該作品は、真筆の顔を11~12歳若返らせてピタリと一致した、と喜ぶのもむべなるかなの出来映えではある。 と、もってまわった言い方をしたが、私が読売新聞オン・ラインに掲載された画像を拡大して見たところ、幾つかの疑念が浮かんで来た。 まず、単純な疑問がひとつ。 ルーブルの「モナリザ」を11~12歳若返らせたものというが、仮に11,2年前のある女性の肖像だとすると、年をとってからの「モナリザ」と髪型も服装も同じなどということがあるだろうか? 右腕の衣服の袖の皺、左の袖の皺・・・それらは真筆「モナリザ」とまったく同じである。年齢がちがうのに、つまりモデルを座らせて10年の差があるのに、衣服の皺まで同じに描く必然性がどこにあるだろう? 年齢がへだたっても衣服そのものや皺が同一でなければならないとしたら、そこにレオナルドは重大な「意味」を感じていたはずだ。しかし、私にはその必然性も意味も推測さへできない。 ルーブル作品と本作品を、同時期にほとんど並べて描いたのだとしたら(年齢が若いか年をとっているかは、この際、措いておこう)、別の疑問が画面のなかに指摘できる。 疑問2。 背景に目を移そう。真筆「モナリザ」と当該作品との背景がおおきく異なることは誰の目にも明らかだ。朝日新聞夕刊によると、鑑定家は、背景は未完成で、別人の手になると言っている。 当該作品を詳しく見てゆこう。 画面左側、女性の肩の斜め上方にシミのように見える黒っぽい塊は、画像を拡大してみると、木々の茂みであることがわかる。その茂みはどうやら水面に反影しているようだ。・・・まあ、ここまではいい。しかし、ここに存在するらしい河か湖、もしくは後方にひろがっているのが海だとしたら、海岸に突き出た小さな岬を囲む海と、手前の山岳ないしは岡のような部分との関係性がおかしくはないか? 遠近感があいまいで、まるで湖水が山の上に浮かんでいるように見える。・・・ここに私の大きな疑念がある。つまり、水があるのは良い。なぜなら、真筆『モナリザ」もここに湖水がある。手前の荒涼とした峨峨たる風景の水を介して奥は、手前とは異なる木々の生い茂る潤んだ景色だ。まるで異なる水気を含んだ風景がモナリザの背後、遙かに存在する。レオナルドはどうもそのような景色に哲学的な意味を付与し、もしくは世界をそのように解釈していたふしがある。しかし、問題はそこからだ。彼があれほど研究し、絵画作品のなかで実現していた「空気遠近法」が、当該作品のなかではほとんど実現されていないということだ。もし空気遠近法が的確に実現されていたなら、木々の茂みが手前の山の上に浮かんで見えるような稚拙な失敗はおこらなかっただろう。たとえば、黒っぽい塊となっている木々の茂みが、青灰色のかすんだ塊であれば・・・。未完で、別人の手になると解釈するゆえんだろう。そして、そう言われてしまえばそれまでだ。残るは人物像だけを検討すればよい、とうことだろうが・・・ しかしもう少しそこに拘ると、第3の疑問がでてくる。 レオナルドの時代、たとえ背景にしろ、風景は「風景画」として確立していなかった。レオナルドがまさにそこに手をつけようとしていた。彼の有名なノートには風景のデッサンが散見する。そして、これは指摘しておいてもよかろうが、その風景は決して田園風景ではないし、平坦な海景でもない。レオナルドが意識してとらえた風景の先には、地平線ないし水平線で、いわば画面をすっぱり上下に分つような景色は存在しないのだ。 しかし、当該作品で目立つのは無造作に画面を横切るその地平線(水平線)だ。画面右の地平線上にかすかに山稜らしき凹凸が窺えるが、それとて空気遠近法を駆使した微妙な色彩の重なりがあるわけではない。 要するに風景のとらえかたが稚拙。ここでは風景の意義について、まるで一顧だにされていないようだ。 ちなみに哲学的に水平線に意識が向けられるようになったのは、たしかにレオナルドの時代からといえる。クリストファー・コロンブス(1451頃ー1506)などが活躍する大航海時代がその目を開いた。文学的に明確になるのはさらに100年後にカンパネッラが牢獄の中で『太陽の都』(1602)を執筆してからである。レオナルドが「モナリザ」を描きはじめたのは1503~5年頃だ。つまり風景画に水平線が登場するには早すぎる。別の見方をすると、当該作品がレオナルド以外の別人によって背景が描かれたとすると、むしろ私はそこに水平線を描いた画家として興味をひかれる。 水平線思想については、本ブログ左フリーページに掲載の私の『城と牢獄の論理構造』の「カンパネッラは水平をめざす」をご覧くだされば幸いである。 稚拙といえば、第4の疑問だ。 女性の両側に描かれている石の柱。このような柱が肖像画に描かれることはこの時代のひとつの特徴である(朝日新聞の写真は、なぜかこの両端をトリミングしてしまっている)。が、その柱の描写のなんとお粗末なことか。円柱というより、板をべったり貼付けたかのようだ。レオナルドの真筆にこのような無様な描写は存在しない。5年前に日本に貸与された「受胎告知」をご覧になったかたはお分かりになるだろうが、あの細部までゆるがせにしない描写へのこだわり。石の机の縁や角のまるみの付け方。石彫装飾の清々しささへ漂う美しさ。私はそれをレオナルドの幾何学的精神のなせるわざだと想っているが、絵のなかに物を存在させる、定着させる、そのためには細部に手抜きがあってはならない。そう、レオナルドの絵画作品はおしえるのだ。 第5の疑問は支持体の問題だ。 真筆「モナリザ」はパネルに油絵の具で描かれている。ところが当該作品は、どうやらキャンヴァスが支持体らしい。朝日新聞によると「米国の研究機関などによる鑑定の結果、キャンヴァスはルーブルのものとほぼ同時期の1500年前後の素材。」と報じている。この文章は少しあいまいで、「ルーブルのものとほぼ同時期」というのは「モナリザ」の支持体を指しているのではなく、執筆された時代というのであろう。つまり、当該作品の支持体であるキャンヴァスの製造年代はルーブルの「モナリザ」が執筆された年代とほぼ同じ1500年前後、というのが正確な意味であろう。支持体を問題にしているのだから、その点は明確にしなければならない。 レオナルドの油彩あるいはテンペラによる真筆作品は、「最後の晩餐」のような壁画以外は、オリジナルの状態はパネルないし木に描かれている。オリジナルの状態と言ったのは、たとえばエルミタージュが所蔵する「リッタの聖母」や「ブノアの聖母」は、それぞれパネルと木から現在はキャンヴァスに移しかえられている。それはオリジナルな状態では保存に適さなくなっていたからの処置である。 当該作品がオリジナルの状態であるかどうかも(もちろん精査したのであろうが)、議論されなければならないだろう。しかしオリジナルがキャンヴァスだとすると、レオナルド作品のなかで唯一のものということになるだろう。なぜ? ルーブルの「モナリザ」はレオナルドがその生涯の終わりまで手放さなかった唯一の作品といわれている。フランソワ1世に帯同されてフランスに移り住んだが、彼の死後、「モナリザ」はフランソワ1世が買い取った。 ならば、当該作品は、・・・未完のまま・・・なぜ、顧みられなかったのだろう。 レオナルドには、「東方三博士の礼拝」(ウフィッツィ美術館蔵)のように未完成の作品がたしかに存在する。そして、(私は実物を見ているのだが)「東方三博士の礼拝」はロウ・シエナで下描きが彩色されている。それは、新聞の画像からは判別しがたいものの、当該作品の(未完と主張されている)背景部分の色調に似ていなくもないけれども。 今回の「モナリザ基金」の発表に対して、読売新聞は次のように伝えている。すなはち、〈この発表に懐疑的な見方もあり、AFP通信によると、英オックスフォード大のマーティン・ケンプ名誉教授(美術史)は「繊細な細部の描写がモナリザと異なっている」と述べ、第2のモナリザは別の画家による模写だとの見方を示している。〉と。 私は研究者ではなく一介の絵描きにすぎないけれども、結論としてはマーティン・ケンプ名誉教授と同じである。【関連続報】毎日新聞 アイルワースのモナリザ:難しい鑑定 真贋以外にも価値 2012年10月06日 14時52分(最終更新 10月06日 15時34分)
Sep 28, 2012
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山の上にある我が家は、ほぼ一年中、鳥や虫の鳴き音につつまれている。今の季節は千草の陰に千の虫の声。エンマコオロギ、マツムシ、スズムシ、クサヒバリ、ヤブキリ、カネタタキ、ウマオイ、アオマツムシ・・・。こうして書いている間にも、ひときわ声高にフィリリリ、フィリリリと鳴きだしたのはクサヒバリである。甲高い鳴き音でチリチリ、チリチリというのは、きっとアオマツムシ。遠い鳴き音はすべてが判別しがたく混じり合って、間断無く、まるで耳鳴りのようだ。 庭草の繁りて近し蟲の声 青穹 草雲雀しのび忍ばず一節切(ひとよぎり) くさひばり今宵一夜の恋の笛 明日はまた秋雨(しゅうう)なるらし月朧
Sep 27, 2012
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COSMOSby Tadami YamadaThe times never come back to me that I know itSometimes I too feel my heart to become weakPlease don't you say to me that it does not befitAs memento cosmoses have bloomed last week In the field where cosmoses bloomedSuddenly by the past I'm given tit for tatThen just as before us parting loomedThe matter came to us as quick as a catAutumn breeze wafted over cosmosesThere was a house which failed to ruinInvisible dust came down without ceaseIt was as if we had nothing what clue inO cosmos, what unaffected flower you were!Petals like Cupid's arrow ringed yellow the sunPointing them, when I turned around herShe went away in cosmoses to leave a son The times never come back to me that I know itSometimes I too feel my heart to become weakPlease don't you say to me that it does not befitAs memento cosmoses have bloomed last week
Sep 26, 2012
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本の雑誌社から大橋博之『SF插絵画家の時代』が送られてきた。このブログではすでに2度、刊行案内をしてきた。日本のSF小説を彩ってきた插絵画家71名について、大橋氏は可能なかぎり本人にインタビューして本書を執筆している。SF插絵画家をこのように綜覧できる本は本書をおいて他にあるまい。けだし労作である。 また本書は、「SF作家クラブ50周年」関連書として、来る10月6日から東京池袋ジュンク堂で開催されるブック・フェアに出品される。是非おでかけになって、SF小説の豊穣な世界をおたのしみください。 なお、本の雑誌社Webサイトから各インターネット・ブック・ストアにアクセスしてお手軽にご購入できます。大橋博之『SF插絵画家の時代』 定価(本体1800+税) 本の雑誌社刊
Sep 25, 2012
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ヴァイオリニスト諏訪根自子さんが今年3月にお亡くなりになっていたそうだ。享年92。 (ということは私の母とまったく同じ年齢で、同じ月に亡くなったということか・・・。) 諏訪根自子氏の演奏を私は実際に聴いたことはないが、子供のころにはそのお名前を知っていた。戦前は海外で活躍されていた。帰国したのは1945年(昭和20)、終戦後。1960年頃に演奏活動から引退されたそうだから、その年月は、私が生まれた年から中学生時代までの間に当たる。中学時代、私は、学校の音楽室の戸棚に誰も関心を示さず乱雑に放り込まれていたSPレコードを勝手に持ち出して、片っ端から聴いていたので、その中に諏訪根自子氏の演奏になる曲があったのかもしれない。あるいは、我が家にはハイフェッツの演奏したレコードがあったので、父もしくは母から、諏訪根自子という天才ヴァイオリニストがいることを聞いていたのだろうか。とにかく当時の私は、日本のヴァイオリニストは諏訪根自子氏と、映画『ノンちゃん雲に乗る』で見た私と同年の鰐淵春子さんしか知らなかった。 ずっと後年も後年、お亡くなりになるまでほぼ十年に余る年月、必ずリサイタルに招待してくださったピアニスト山岡優子氏と、諏訪根自子氏とを、ふと重ねて想うことがあった。ご両者ともに10才12才で演奏家としてデビューされ、その年齢でオーケストラと共演もされたという経歴が、私にお二人を重ねあわせてイメージさせたのだった。 諏訪根自子氏は1981年にバッハの『無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ』を新しく録音されている。この曲は私の好きな曲。たまたま数日前に他のところでその話をしたばかりだ。あらためて諏訪根自子氏の演奏で聴きたくなった。 諏訪根自子氏のご冥福を祈ります。【関連報道】読売新聞 伝説的バイオリニスト…諏訪根自子さん死去 2012年9月24日22時55分
Sep 24, 2012
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終日の雨。 予定していた外出を取り止め、モーツァルトの『魔笛』のヴィデオを観る。 コリン・デイヴィス指揮のロイヤル・オペラ・ハウス・コベント・ガーデン・オーケストラならびに同合唱団の演奏。フランツ=ヨーゼフ・セリング(バス)、ドロテア・ロッシュマン(ソプラノ)、ダイアナ・ダムロウ(ソプラノ)、サイモン・キーンリサイド(バリトン)、ウィル・ハートマン(テナー)。 『魔笛』はドイツ語で歌われるオペラだが、このヴィデオは英語の字幕が付いている。全曲を聴くと2時間50分に及ぶオペラを、私には意味のわからないドイツ語で聴くのは苦痛だが(ライブだと別だろうけれど)、英語の字幕が付いているので便利だ。 ためしに探したら、You Tubeにもアップされていた。『魔笛』 おなじくYou Tubeでおもしろいものを見つけた。『魔笛』のなかの難曲、夜の女王のソプラノ・コロラチュラ・アリアの部分だけを集めた映像。13+1人の歌手。集め方がマニアック。・・・私が美しいと思ったのは、Holle Rach(0分35秒)。最高音が澄んでいる。上記の全曲版のDiana Damrau(1分30秒)も良い。特に歌が力強い(上記のヴィデオで1:30:30のところ)。Clara Polito(7分31秒)は、最高音で声が嗄れてしまう。Mrs. XXXX(8分21秒)は、13+1人の+1の人。おそらくアマチュアだろう。よせばいいのに、調子っぱずれもいいとこ、音程はくるい、声はでない、身振りだけやたらめったら暴れ回って、後ろの第2ヴァイオリン奏者の目が笑っている。 障子戸に流るる影や秋の雨 青穹 秋雨やつくねんとせば猫の息 枝豆を食えば夏逝く手塩皿
Sep 23, 2012
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「暑さ寒さも彼岸まで」とは、よく言ったものだ。彼岸入りして残暑もこれを限りとばかり、今日の東京は涼しさを通り越して少し寒いくらいだ。俳句で「新涼」は8月の季語。実際にはとてもとても新涼どころではなかった。彼岸入りの昨日はほとんど終日雨だった。 秋彼岸雨の御堂のこぼれ銭 綾華 昔の句集に見つけた一句である。作者は女性であろうか。 ぼた餅の餡を煮詰める新涼かな 青穹 猫たちが膝に乗り来る新涼かな 話しは変わるけれど、ヘェ〜?!こんなことあるんだと驚いたのが、今朝BS1で見ていた米・大リーグ、ヤンキース対アスレチックス戦。3回、イチロー選手の初打席、きっちり捉えたボールは相手ピッチャー、パーカー選手の真っ正面へ。パーカー選手がキャッチしたと思った瞬間、手品のようにボールが消失した。なんとパーカー選手のユニフォームの隙間からボールが胸の中へ入ってしまったのだ。取り出すのに手間取っている間に、イチロー選手は一塁セーフ! どうです? みなさん、こんなプレーを見たことありますか? 私は初めて。ビックリしたなモー、でした。
Sep 22, 2012
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『SF挿絵画家の時代』大橋博之 予価1890円(税込) 本の雑誌社刊2012年9月24日発売予定SF小説を彩ってきた挿絵画家たち71名の華麗で濃密な世界。目次はじめに01 古賀亜十夫/02 山川惣治/03 金子三蔵/04 桜井誠/05 鈴木義治/06 武部本一郎/07 中山正美/08 小松崎茂/09 岩田浩昌/10 太田大八/11 南村喬之/12 若菜珪/13 谷俊彦/14 秋吉巒/15 石原豪人/16 依光隆/17 濱野彰親/18 勝呂忠/19 柳柊二/20 白吉辰三/21 中島靖侃/22 祐天寺三郎/23 長尾みのる/24 坂入徳次郎/25 江口まひろ/26 松田正久/27 日下弘/28 真鍋博/29 中村宏/30 金森達/31 佐々木侃司/32 中西立太/33 生頼範義/34 深井国/35 毛利彰/36 根本圭助/37 畑農照雄/38 高荷義之/39 渡辺正美/40 伊藤展安/41 梶田達二/42 木村光佑/43 水野良太郎/44 野田弘志/45 司修/46 長岡秀星/47 赤坂三好/48 松本零士/49 小林弘隆/50 辰巳四郎/51 山野辺進/52 原田維夫/53 林巳沙夫/54 楢喜八/55 岩淵慶造/56 新井苑子/57 畑田国男/58 大西将美/59 山田維史/60 中原脩/61 佐治嘉隆/62 斎藤和明/63 杉本一文/64 角田純男/65 中西信行/66 野中昇/67 宮武一貴/68 加藤直之/69 岩崎政志/70 佐竹美保/71 小阪淳おわりに初出一覧
Sep 19, 2012
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The Rain After Dry by Tadami YamadaIt's been no rain this summerShadow of cloud o'er the bridgeBut the river dried up like a streamerLong long ago the land of pledge The sun was shining no mercyBurning field, withered greensAnd it's blighted the land wealthy Clouds of dust rose in the sceneA farmer is not in joy of harvestShould be reflected on his effortSorrow fills his sunburned breast Although I know him after a sortNow the early autumn skyA cloud has lost its shapeA bird has flown across to cry To northwestern like escapeSuddenly I feel a drop of rainIt falls on the dusty earthI smell slight water like a stainO a drop of rain! Beat a path!Large drops of rain begin to fallParched ground absorbs waterTurn black the earth's surface allAs if man's problem of little matterThe apple trees are rustling in the rainThe farmer's with rapid strides on the pathThe rain is coming down really hardAir get cool down and to be freshO tired men will be on the cardsDownpour by godsend for all freshIntense summer end, a herald of fallThough died fruits do not afresh beBut orchard was not covered with a pallInside of apple trees germs will beThe sounds of rain'er singing their refrainThe farmer toward tomorrow do his math
Sep 17, 2012
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ものすごい雨の音で目が覚めた。時計を見ると午前3時。バケツをひっくり返したようなとか、どしゃ降りという表現があるが、まさにそんなところだ。 暗がりの中で、扉が開いている隣室を見やると、「おやッ?」、窓辺に猫の黒い影が・・・。なんと、サチが窓を細めに開けて、雨を見ていた。自分のからだが入るだけ開けて、窓框に座り、こちらに背をむけて身じろぎもしないで雨をながめているのだ。「サチ!」と呼んでも、返事もしない。 これだけ激しい雨だと室内に吹き込んでくるだろう。隣室にゆき、驚かさないようにやや離れたところから「サチ、おいで、おいで」と声をかけた。サチはもそもそと後ずさりして、隙間を抜け、私の方を見て、鳴いた。 すっかり室内に入るのをまって、窓に鍵をかけた。「おもしろかったかい? さあ、ねんねだ、ねんねだ」 私は一応家の中を見回って、再びベッドに横になった。 雨の固まりは、まもなく通り過ぎていった。 未明の雨は、福岡や長崎、あるいは四国地方に大雨をもたらし北上したようだ。東京は一夜明けて、青空に白い雲が浮かんでいる。今日もまた暑くなりそうだ。 ついでに。 ヘミングウェイに『雨の中の猫(A Cat in the Rain)』という、ごく短い一編がある。何と言うこともないような話なのだが、私の好きな短編。ああ、ここに小説がある・・・と思うのだ。
Sep 17, 2012
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きょうも一日、蒸し暑かった。気象庁によれば今夏の東京の猛暑日は6日だったそうだ。つまり35℃以上の日数が、である。 しかし感覚的、体感的にはそれ以上だったような気がする。私の毎日の血圧日記のメモでは、猛暑日は21日となっている。 先日、エルニーニョ現象が発生した模様と報じられていた。暖冬が予想され、それはそれで私には結構なことなのだが、温暖化現象の影響は決して少なくはないようだ。北海道に出没しているヒグマが餌となる木の実などが不作なのか、ガガラガラに痩せこけた姿の写真が撮影されている(北海道新聞)。ヒグマが人家近辺に出没すれば危険きわまりないが、しかしあの痩せこけた姿は哀れだ。野生動物は、食料がないとなれば最早如何ともしがたい。そこが人間とちがうところ。人間に追いつめられ、自然現象に追いつめられ、死んでゆくしかなかろう。 我が家の秋の風情をつくるのは小庭の柿の木。ことしもすでに実が色づいている。昨年は豊作で、やりばに困ったほどだ。例年どおりなら柿酢に仕込むのだが、放射能物質が心配ですべて廃棄した。たった一本の木なのだが、捨てた柿は大きなゴミ袋いっぱいになった。 今年はどう見ても数が少ない。小さく青いうちからポタポタと落ちていたが、それにしても生っているのが目立たないほどだ。やはり暑さのせいであろうか。 少ないけれど色づいた柿を、さて今年はどうしよう。と、考えるまでもなくやはり捨てることにした。家庭にはセシウムが含有しているか否かを計測する機器はない。計測できない限り、酢を醸造している場合ではない。 捨てられる柿も、また哀れである。
Sep 14, 2012
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自民党の軽薄男、石原幹事長が今朝のTBSテレビでまたまたバカな発言をした。東京電力福島第一発電所の事故で放射性物質に汚染された土壌について、「これ、なんとかしてくれ。運ぶところは、福島原発の第一サティアンのところしかない」と述べた。 第一サティアンだって? 何、それ! サティアンといえば例のオーム真理教事件の本拠地だろ? いったいこの人は、あまりにも言動が軽薄すぎて、前原氏ではないが理解不能です。「これ、なんとかしてくれ」とは、石原幹事長、あなたのことだよ。 例え話をしたのだとしたら、現実を正確にみつめなければならない政治に、例え話をしてはいけない。例え話というのは形容詞と同じで、時間とともに早々と古びてゆくもの。しかも人によって千差万別な解釈がうまれる。まともな政治家がすることではない。 言い間違いだとしても、物事をきっちり見極めていないということを証すだけだ。この人の物言いを過去からたどってみれば、みな同様な、社会に起っている事象をしっかり考えていないことがよくわかる。私の亡くなった老母のように様々なチューブで医療機器につながれた人たちを「エイリアンのようだ』と言ったり、とかく人の痛みに無頓着、根底に重大な問題がよこたわっていても、何かあっさり一言で括ってしまう。つまりは物事を本当には理解していないのだろう。例え話をしたり、重大な社会事象をあれもこれも一緒くたに括ってしまうのは、子供の認識のしかたと似ている。 汚染土壌の処理問題について言えば、「これ、なんとかしてくれ」と如何にも被災者の代弁をしているように言うけれど、党利党略の道具に使って、ただ引っ掻き回しているのは自分たちじゃないか。それを政治だと思っているかもしれないが、たんなる一政党の有象無象の奴らの駆け引きだよ。国政だって? あんたら、そんな上等なことをしていないよ。小沢氏が、大物ぶっているが、結局何もしてこなかったのと同じ。あっち行って壊し、こっち行って壊し、ただそれだけ。何が国政だい。 てなわけで、軽薄な奴らが幅をきかせているうちに、やたらとキナ臭いにおいが、あちらこちらから立ち始めている。危ない、危ない。【関連報道】朝日新聞読売新聞msn産経ニュース毎日新聞 原発事故18カ月:前大熊町長、町民からの電話に涙 2012年09月13日 22時08分【追加情報】読売新聞 「サティアン」発言、石原氏に自民福島県連抗議 (2012年9月15日09時24分 読売新聞)
Sep 13, 2012
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コスモスや店の鉢取りてまた止む 青穹 コスモスやただ一カ所の香を想う コスモスや彼の地彼の日が薫るのみ コスモスや崩れしままに家の跡 コスモスや過(よぎ)り消えゆく面(おも)の数 コスモスや吾は彼方を凝視せり 見せばやと振りむけば亡き秋桜 まぼろしや秋桜(コスモス)の野に風渡る
Sep 13, 2012
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昨夜、男子サッカー2014W杯アジア地区最終予選、日本チームが1−0で勝利した対イラク戦について、試合経過をこのブログで速報のつもりで書き込んだ。 ところが、前半戦まで書き終わったところで、何故か書き出しの数行を残してすべて消えてしまったのだ。しかもまだ入れていないタイトルに、前日の日記のタイトルが表示されている。「???」原因がわからず、復活の可能性をさぐりながら様々操作してみたが、ダメ。結局あきらめてしまった。 試合中のメモをもとに書いていたので、書き直そうと思えば書き直せた。しかし、消えてしまったことにガッカリして、あらためて書き直す気力がなかった。「ア〜アッ↓」と、そのまま寝室に直行。寝てしまった。 今朝、デスクの上に置きっぱなしのメモを見て、ニュースとしては後出しだが、試合記録として残しておこうという気になった。一晩眠って書き直しの気力が出て来た。 というわけで、私のメモをもとにした日本対イラク戦の試合経過である。 (日本チームは、「サムライ・ジャパン」と呼ばれているが、私は今の世にサムライは大嫌い。というのは、サムライ(侍)は、サブライ、侍者という意味。つまり君主やご主人様にお仕えする者。武士道という、いつでも殺人者となる覚悟を強制され、その余は隠忍の奴隷根性を「美学」としてたたきこまれた使用人。・・・そんな武士道文化とは無縁に、安閑と暮らしていた彼らを支配する階級の文化があった事実をわすれるわけにはゆかない・・・。私は、歴史的な事実に大嫌いなどと言うつもりは全くないが、現今、あらゆる欺瞞の隠れ蓑に「武士道」がつかわれているので、あえて時代錯誤を指摘し、「武士道」というものの沢山の要素が縒り合わさったその中心部分の真相は言っておく。・・・私は、すばらしい日本代表選手を、とてもそんな名称で呼ぶ気はナイからだ。) さて、対イラク戦の試合経過だ。埼玉スタジアムにおいて午後7時30分、イラクのキックオフで開始された。【前半戦】 2分 右サイドで岡崎倒されFK(フリーキック)を得る。本田がキックしてゴール前へ送る。イラク、ヘディングではね返す。 4分 イラクCK(コーナーキック)。そのボールをイブラヒムがとらえて強烈なヘディングシュート。枠をとらえるが、GK(ゴールキーパー)川島、よく反応して弾く。 イラク再びCK。本田はね返す。そのボールをイラクはミドルからシュート。ゴールバーの上にそれる。 8分 イラクのカウンターを長谷部がミドルラインでファールで阻止。 イラクCK。日本、はね返す。 イラクのボール保持がつづく。 11分 長友パスを受けて左サイドから仕掛け、中へ切り込んでシュート。イラクGK、パンチングでクリア。 14分 再び長友左サイドからクロス。ボールは相手に当たりファーサイドへ。岡崎飛び込んで合わせるが、タイミング合わず。 15分 右サイドから岡崎仕掛け、相手をかわして左足でクロス。ボールはファーサイドの清武にドンピシャリ、清武、ヘディングシュート。 イラクGKセーブして、はね返ったボールを清武拾ってクロス。前田が飛び込んでヘディングで合わせるが、右へそれる。 日本のボール回しがつづく。 17分 長友から本田へ。本田浮かしてゴール前の岡崎へ。GKからだを入れてボールをキャッチ。 19分 長友、ファールでイラクのパスワークを阻止。イラクFK。川島パンチング。 21分 イラクCK。中央で競り合い、ボールはファーサイドへ流れて、7番アブドラがシュート。わずかにそれる。日本危うし。 23分 日本CK。本田がキック。ゴール前へ。イラク、クリア。 25分 右サイドで駒野がスローイン。ボールはペナルティーエリアに送られ、たくみな動きで相手と入れ替わった岡崎が、左足でダイレクトにレシービングキック、ボールをゴール前へ。前田、走り込んでヘディングでゴールに押し込む。みごとな先制の1点。 29分 長友、左サイドから巧みに勇ましくイラクをかわしながらドリブル、ペナルティーエリアのエンドラインぎりぎりで浮かしたボールをクロス。相手に当たってCKを得る。遠藤ショートコーナーでつなぎ、クロス。イラク、クリア。 40分 遠藤左CK。クリアされたボールを長谷部が拾ってミドルシュート。イラク、ブロック。 41分 本田から清武へ。清武から岡崎へ。岡崎飛び込むがイラクはね返す。イラク、カウンターボールを日本ピッチへ。駒野のデフェンスをかわしてイラクのヤシーンが強烈シュート。GK川島、横っ飛びに空中に舞って見事なセーブ! すばらしい! 44分 岡崎巧な動きで駒野からパスを引き出し、ペナルティーエリアに入ってクロス。相手に当たりCKを得る。本田、ショートコーナーをつないでゴール前へ送る。イラク、クリア。 47分 日本、右CKのボールがペナルティーエリア中央付近でこぼれ、遠藤、ダイレクトボレー。イラクGK、みごとなセーブ。【後半戦】 4分 イラクFK。日本クリア。イラクCK。日本クリア。 6分 日本、ペナルティーエリア左コーナー付近でFKを得て、遠藤がゴール前に送る。イラク、クリアミス。ボールはペナルティーエリアに。本田トラップして、左足シュート。イラク、ブロック。 12分 遠藤、左CK。クリアされたボールを長谷部、頭で落として本田につなぎ、本田、無理な体勢から左足シュート。左へ外れる。 14分 長友、ペナルティーエリアのエンドライン深くで中へ入れる。岡崎レシーブしてゴール前へ送る。前田シュート。はね返される。 17分 日本右サイドでFK。本田がキックしたシュート性のボールは壁に当たり、GKがタッチしてCKに。 本田、右CK。クリアされて再びCK。再びクリアされたボールを吉田が目も覚めるようなオーバーヘッドシュート。しかしボールはバーの上。 19分 イラク、メンバーチェンジ。 24分 遠藤、左サイドの清武へ。それを見極めた長友、フルスピードで清武を追い抜いて、清武から送られたボールを走りながら左足でゴール前へクロス。本田、走り込んでヘディングで合わせてシュート。ゴールバー上へ外れる。 35分 清武左サイドからすばらしいクロス。ゴール前の相手の裏で本田、ヘディングシュート。GKセーブしてボールはポストに当って、惜しくもゴールならず。 38分 日本CK。遠藤、入れる。イラクのデフェンスではね返ったボールを伊野波、反転シュート。わずかに右上に外れる。 41分 イラク13番ジャシム、ミドルからロングシュート。 川島セーブ。 43分 清武、ペナルティーエリア左の深い位置へ送る。本田受けて、柔らかいボールをゴール前へ。岡崎飛び込んでヘディングシュート。しかしタイミングずれて右へ流れる。 44分 清武、アウト。細貝、イン。 45分 前田、アウト。ハーフナー、イン。 46分 日本、ボールを前線に。こぼれて本田が拾い、右サイドからシュート。相手に当り、CK。遠藤コーナーに立つが、長友と話し合って長友がキック。ショートで遠藤に。試合終了。日本1−0でイラクを降す。 これで日本チームは3勝1分、勝ち点10、無敗、グループ・トップでホームでの試合を終了。11月以降のアウェーに臨む。 今日の試合、今野がレッドカードで出場停止となっており、さらに香川が腰の不調とかで登録メンバーからはずれて、埼玉スタジアムに詰めかけた6万余のサポーターとTV観客を驚かせた。2ヶ月後のアウェー試合を期待しよう。
Sep 12, 2012
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長々と残暑がつづく。関東地方は水不足が心配され、先日来、取水制限のニュースが報じられている。秋は目に見えるほどになって来たのだが・・・。 色づくや早くも落ちる柿のあり 青穹 水甕はいよいよ浅き残暑かな 節電の夜長の灯りひとつなり 秋暮れてソーラー電池の庭灯
Sep 10, 2012
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ロンドン・パラリンピックはマラソンが終わり、すべての競技が終了した。明日10日の閉会式をのこすのみ。日本のTV放送は、NHKが再放送をふくめ、あるいはトピックス番組をふくめて一日平均して2度ほど、一回1時間の競技の映像を流しただけだったが、アスリートたちの戦いはすばらしかった。世界中にどれほどの勇気を与え、まだスポーツへの挑戦にまでいたらない障害をもった子供達にどれだけ多大な影響をもたらしたことか。そして同時に、私などは、義肢や車いすや競技用自転車やボートなどの構造に目をみはり、その技術的な進歩とそれらの創造にたずさわってきた方々に深く心をうたれた。器具の発達への努力ばかりではない。アスリートとともに文字通り二人三脚でやっておられる伴走者、介助者、パイロットの方々の努力にも心をうたれた。 とにかく、自分が知らなかったことが如何に多いか、ということにも気づかされた。以下に、あらためてメダリスト及び入賞者の全リストを掲げるけれども、そのメダルに刻印されている文字が「点字」を併記していることさへ私は初めて知った。 南アフリカの義足のランナー・ピストリウス選手は、先のオリンピックに出場してオリンピック史上に新たな一ページを拓いた。そのピストリウス選手がオリンピック後に言ったことは注目に値する。「ロンドンの街を歩いていても、子供達は誰も僕をじろじろ見なくなった。僕を認めたのだ」と。 パラリンピックの会場につめかけた観客は240万人にもなったという。そして観客のなかにはもちろん大勢の子供達の姿もあり、みな夢中で応援していた。私が日本のTV局はなぜこの大会を放送しないのだと言うのは、子供達に障害をもったアスリートたちの激しく美しい挑戦の姿を見せたかったからだ。いま日本各地で子供達の「いじめ」が問題になっている。しかもその「いじめ」は、心胆を寒くするような陰湿さ、残酷さ、犯罪的な暴力性があり、場合によっては一過性の事象とは言えないような心性の根本的欠落さへ感じる。彼らは人間がどんなにか美しい生き物であるかをその心のうちにたくわえる機会を失ってきたのだ。「三つ子の魂、百まで」というのは、人間形成にとって真実なのだ。生物学的な機能形成のうえからも重要な期限なのだ。・・・これ以上は言わないけれど、とにかく子供達の心の涵養のためにもパラリンピックは絶好の機会だったはずだ。言わず語らずにのうちに、深い感動から学ぶものは大きい。ロンドン・パラリンピック日本選手メダリスト及び入賞者全リスト競泳 女子100m背泳ぎ(視覚障害S11) 秋山里奈 金(1:19.50 大会新記録)、小野智華子 8位 女子100m平泳ぎ(切断・運動機能障害SB8) 野村真波 8位 女子100m平泳ぎ(視覚障害SB11) 秋山里奈 7位 女子100m自由形(視覚障害S11) 生長奈緒美 8位 女子100m自由形(運動機能障害S6) 奈良恵理加 8位 女子400m自由形(視覚障害S11) 生長奈緒美 6位(5:53.20 アジア新記録) 男子50mバタフライ(運動機能障害S7) 江島大佑 5位 男子50mバタフライ(運動機能障害S6) 小山恭輔 銅 男子100mバタフライ(視覚障害S11) 木村敬一 銅(1:04.70 アジア新記録)、 河合純一 6位 男子50m自由形(運動機能障害S9) 山田拓朗 4位 男子100m背泳ぎ(視覚障害S11) 河合純一 4位 男子100m背泳ぎ(知的障害S14) 津川拓也 6位、 長尾智之 8位 男子50m平泳ぎ(運動機能障害SB3) 鈴木孝之 銅 男子100m平泳ぎ(運動機能障害SB7) 中村智太郎 銀 男子100m平泳ぎ(視覚障害SB11) 木村敬一 銀 男子100m平泳ぎ(知的障害SB14) 田中康大 金(1:06.69 世界新記録) 男子50m自由形(運動機能障害S6) 小山恭輔 5位 男子50m自由形(視覚障害S11) 木村敬一 5位 男子100m自由形(視覚障害S11) 木村敬一 5位 男子100m自由形(運動機能S5) 鈴木孝之 8位 男子100m自由形(運動機能障害S9) 山田拓朗 6位 男子200m個人メドレー(視覚障害SM11) 木村敬一 8位 男子150m個人メドレー(運動機能障害SM4) 鈴木孝幸 銅陸上競技 女子走り幅跳び(切断・機能障害F42/44) 中西麻耶 8位 女子走り幅跳び(視覚障害F11/12) 渡邉紫帆 6位 女子100m(切断・機能障害T44) 高桑早生 7位 女子100m(車いすT52) 田中照代 6位、 木山由加 7位 女子100m(機能障害T36) 加藤有希 8位 女子200m(車いすT52) 田中照代 5位、 木山由加 6位 女子200m(機能障害T36) 加藤有希 5位 女子200m(上下脚切断などT44) 高桑早生 7位 女子1500m(切断T20) 藤田沙弥香 5位 女子5000m(車いすT54) 土田和歌子 6位 女子マラソン(車いすT54) 土田和歌子 5位 男子走り幅跳び(切断・機能障害T42/44) 山本篤 5位 男子走り高跳び(上下腕切断などF46) 鈴木徹 4位 男子100m(車いすT51) 井上聡 8位 男子100m(車いすT52) 伊藤智也 5位 男子100m(上下腕切断などT46) 田川知希 5位 男子100m(切断・機能障害T42) 山本篤 6位 男子200m(切断・機能障害T42) 山本篤 8位 男子200m(車いすT52) 伊藤智也 銀 男子400m(車いすT52) 伊藤智也 銀 男子800m(車いすT53) 廣道純 6位 男子800m(車いすT52) 伊藤智也 銀、 高田稔浩 4位、 上与那原寛和 7位 男子5000m(視覚障害T12) 堀越信司 5位(14:48.89 アジア新記録)、 岡村正広 8位 男子5000m(視覚障害T11) 和田伸也(ガイド中田崇志) 銅 男子400mリレー(切断などT42ー46) 佐藤圭太・鈴木徹・多川知希・山本篤 4位 男子マラソン(車いすT54) 副島正純 4位、 花岡伸和 5位、 洞ノ上浩太 6位 男子マラソン(視覚障害T12) 岡村正広 4位、 和田伸也 5位、 高橋勇市 7位自転車 男子1000mタイムトライアル(運動機能障害C4) 石井雅史 6位 男子タンディム(2人乗り)1000mタイムトライアル(視覚障害B) 大城竜之(パイロット伊藤保文) 6位 男子タンディム(2人乗り)スプリント(視覚障害B) 大城竜之(パイロット伊藤保文) 4位 男子個人ロードタイムトライアル16k(脳性麻痺・運動機能障害C3) 藤田征樹 銅柔道 男子100kg超級(視覚障害) 正木健人 金 ボート 女子シングルスカル(ASW1x)B決勝 大竹麻里 4位パワーリフティング 男子82.5kg級(運動機能障害) 大堂秀樹 6位 男子75kg級(運動機能障害) 宇城元 7位車いすテニス 男子共通上下肢障害ダブルス 川野将太・諸石光照 4位 男子シングルス 国枝慎吾 金シッティングバレーボール 女子 藤井順子・西家道代・金木絵美・金田典子・粟野幸智恵・岡平ゆかり 7位ゴールボール 女子(視覚障害) 若杉遙・中嶋茜・浦田理恵・欠端瑛子・安達阿記子・小宮正江 金ウィルチェアーラグビー 混合 佐藤佳人・三阪洋行・岸光太郎・仲里進・池崎大輔・官野一彦・若山英史・庄子健・川下直教・荻野晃一・島川慎一・田村学 4位
Sep 9, 2012
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秋来ぬと守武太祇西鶴忌 青穹 秋の雲くずれて流る旱橋(ひでりばし) 新米や碗替えて菜断りぬ【註】 9月に入ると、初旬に、いまでは季語となっている俳人たちの忌日が連日並ぶ。旧暦8月8日(新暦ではだいたい一ヶ月遅れで)は、荒木田守武(1473−1549)の忌日旧暦8月9日は炭太祇(たん たいぎ;1709−1771)の忌日旧暦8月10日は井原西鶴(1642−1693)の忌日 ちなみに、守武は、応仁の乱のさなかに幼年期をすごし、北条だ毛利だ細川だとやっている時代を生き、ザビエルが鹿児島に伝導した年に没した。 西鶴は、江戸幕府が鎖国を完成した3年後に生まれ、由井正雪の陰謀事件や承応の老中殺害陰謀事件、江戸に明暦の大火、伊達騒動や越後騒動、綱吉の生類憐みの令が発布され、大老堀田正俊が江戸城中で殺害される等々、いやはや殺伐とした時代を生き抜いた。 太祇は、生まれる2年前に富士山が噴火(宝永山ができた)、将軍吉宗のほぼ安定した時代に青壮年期を過ごした。晩年には、各地で一揆が起り、田沼時代へと入って行った。
Sep 9, 2012
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私に自作のHaikuを送ってくるアメリカの航空エンジニア(まったく面識がないのだが)からメールがとどき、このところ家族サービスや仕事で忙しかったけれどSaijiki(歳時記)を研究中で、その成果をまた新しいHaikuにつくって送るので宜しくお願いします、と言っている。ずいぶん熱心に頑張っていることに感心し、それに触発されて私もしばらくぶりに英語俳句をつくった。英語詩のように韻を踏むことを考えた。 If you do miss me I'm crying with lots of 'bell-ring' insects grassy grave in the lee Half moon in the fall bittersweet night I feel to miss you remembering mums on the pall
Sep 8, 2012
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激しくも美しいパラリンピックの競技はつづいている。日本選手も大活躍で、これまでに獲得したメダル数は10。そして大勢の入賞者がでている。そのなかで、昨日おこなわれた競泳男子100m平泳ぎ(知的障害SB14)クラスで、田中康大選手が1分06秒69の世界記録を出して金メダルを獲った。すばらし、すばらしい。田中選手、おめでとうございます。 ところで、なでしこの宮間あや選手が、全米の賞賛をあびている。NBC NEWS com.のwebサイトPHOTO BLOGが4点の写真を掲載し、いわく、"A momennt of true sportsmanship, as Japan consoles a defeated France (真のスポーツマンシップの瞬間、日本が敗者フランス選手をなぐさめる)” ナタリア・ジメンズ記者は、「ゲーム終了後に相手チームのところに慰めに行く選手をめったに見ることはない。たいていは友好的に握手をしたり背中をたたくのがせいぜいだ」と書いている。 2枚の写真は、宮間選手が負けた選手をやさしく慰め、あまつさえ自分もピッチに座り込んで相手の気持ちを受け止めようとし、フランス選手も宮間のやさしさを受け入れているようだ。 「宮間あやとカミーユ・アビリーとの間にどんな言葉がかわされたか、私たちは知るすべもないが、彼女たちのボディーランゲージがすべてを物語っている。宮間が取り乱したアビリーをなぐさめようと時間をとり、ついにアビリーが宮間のやさしいジェスチャーを受け入れたらしいことは明確だ」と。 この写真がツイッターで大反響を呼び、なでしこ達は心のそこから滲み出た行為で、日本の株をおおいにあげてくれた。【関連情報】FiFAWomen:Aya MiyamPhoto by fifawomenTWitter Trackback for Aya Miyamamsn産経ニュース;平松庚三「これが日本の文化だ」全米が絶賛した、なでしこの写真 最期の産経ニュースの記事は、タイトルにいかにも産経らしい我田引水的なニュアンスも感じられるが、大筋はNBC記事の紹介である。 と、なでしこ達のように相手を思いやることで・・・その真に美しい行為で・・・ほかには何も示威行動をおこさなくとも国際的な賛辞を得る。 一方、東京都知事は相変わらず下品でヤクザな言葉を発している。その言葉はもはや政治的というより、たんなる無礼者である。 尖閣諸島問題で日中関係はここにきてまたギクシャクしている。そのアキレス腱のようなタチバに東京都知事はいるようだが、9月5日の新聞報道によると石原慎太郎氏は中国のことを「シナ」と呼称している(朝日新聞4版)。 「シナ」とは「支那」と書いていた、太平洋戦時中に日本が中国を軽蔑的に言ったことで、「那(その辺)」の「支(はじっこ、本筋でない)」という意味である。少なくとも、当時の日本人は意識の底にそのような意味を抱いていた。 こう言うと、いやそうではない、明代の漢民族による著作を自ら「支那撰述」と書いているので、蔑称ではないという反論があろう。しかし「支(中国語でzhi)」は、日本と中国では意味が異なる場合がある。中国語で「支;zhi」は「ささえる」のほかに「支配する」とか、日本語には全然無い「燭光」という意味がある。明代(1368-1644)の漢民族が「支那」と自称したのは、蒙古族の元を倒して建国し、「那」の「支(支配)」がはじまったことを考えなければならないだろう。 いや、そんな遙か昔、明代の書物を引き合いに出しての解釈は、せずともよい。1948年をもって国際的に「中華人民共和国」として認知されている国を、「シナ」などと呼ぶバカがどこにいる。国際的な政治の場で、あるいは政治問題に関する発言において我が日本国を、「ジャップ」と言われて黙っていはしないだろう。 石原慎太郎氏は、文筆家として「支那」という言葉についてよくよく承知しているであろう。つまり、今、この人が中国を「シナ」と言い、新聞に引用されたのは、このヤクザな無礼を確信犯としてやっているのだ。かつて石原氏はアジアの諸国を、「第三国」と言った。この言葉も、アジア諸国に対する蔑称だ。弟の裕次郎氏の若い頃の映画作品でしばしば発せられた言葉である。「第三国」あるいは「三国人」・・・。 そうした他者を侮蔑するような言葉をちょいちょいと差し挟む発言を、マスコミが問題視して書き立て、騒ぎ立てれば、こっちのものだとでも思っているのか。この人の言動を見ていると、マスコミの寵児であれば何をやっても許される、・・・許されそうになくなると記者会見で記者を恫喝すれば一件落着、とでも思っているかのように私には映る。 石原慎太郎氏には宮間あや選手やなでしこジャパンのみなさんの爪の垢でも呑んでもらったほうがよさそうだ。都知事として「功」の部分が、だいなしにならないように。
Sep 7, 2012
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男子サッカー、W杯アジア地区最終予選、対イラク戦を5日後にひかえ、その勝敗を占うかのような準備戦ともいうべきキリン・チャレンジカップ2012、対UAE(アラブ首長国連邦)戦が、今夕、キックオフされた。海外で活躍する選手達が勢揃いし、いわば鳴りもの入りで開始された試合。観客数は、新潟・東北電力ビッグスワンスタジアム過去最大の入りとかで、42,000人を超した。 香川、本田、吉田、長谷部、川島、清武、遠藤、酒井(宏)、駒野、酒井(高)、中村(憲)、岡崎、ハーフナー、高橋(秀)、水本、細貝、伊野波、そして右足首を傷めたとかでベンチ入りした長友・・・これぞ日本代表のメンツ。 しかし、私としてはあまりおもしろくない試合だった。シュート数もボール保持率も、日本はUAEを上回っていたが、前半戦は、可も無く不可も無くというところで0−0で終了。 ようやく試合が動いたのは後半24分。駒野の左からのクロスを、ゴール前で待ち構えていたハーフナー・マイクがヘッドで押し込んで先制した。とたんに両チームの動きが激しくなった。 だが、両チーム共に次々とメンバーチェンジはするものの、点数は1−0のまま動かない。日本、私の見るところどうも個人プレーは巧みだが、仲間を動かしたり利用することが少ない。海外でそれぞれが鎬(しのぎ)を削って生きているせいか、数ヶ月も離れているとチームとしての結束が薄いようだ。そのことはメンバーチェンジでベンチに下がったいわばスター・プレイヤーたち、香川や長谷部や本田が、距離をとって座っていたことにも見て取れるのではないか、と私は思った。 試合は1−0で日本が勝利した。しかし、5日後のW杯最終予選の対イラク戦までに、チームとしてどこまで練れてゆくか。私は非常に気になった今日の試合だった。
Sep 6, 2012
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会津のEさんから見事な葡萄がとどいた。毎年毎年、秋の気配を感じるころにとどく有難い贈り物である。昔、私が高校生時代に独り住まいしていたアパートから、ほど遠からぬ地の葡萄園で収穫されたものだそうだ。そう言われると一層懐かしい。昨日、なんとなく人恋しさを感じたけれど、Eさん、それを察したかのようだ。ありがとうございます。さっそく夕食後のデザートにいただきます。
Sep 6, 2012
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きょうも残暑がきびしい。しかし夜になり街の音が静まると、聞えてくるのは秋の蟲の盛んなすだきである。 ふと、人恋しくなり、すると風の便りに亡くなったことを知った子供の頃の学友の顔がつぎつぎに浮かんできた。まるで押し寄せるように空中に・・・と云うか、頭のなかに映像がでてきたので、ちょっとびっくりもし、あわてた。 事務的な仕事があれこれ重なって、その段取りを考えていると、「そうだ、今年は年賀の辞退の挨拶をしなければならない」と、またひとつ仕事を思いつく始末。印刷屋に頼んで形式だけの挨拶状を出すつもりはない。 じつは亡母の葬儀にあたっては、弟たちとも相談して(まあ、ほとんど私の一方的な考えを押し付けたのだが)、型破りなものとなった。寺の娘の葬儀なのに、宗教臭を極力排除したのだ。一連の行事のなかに一度も僧侶を呼ばなかった。大嫌いなのだ、私は。経なら私が詠む。そこに如何なることが説かれているかぐらいは学んでいる。生臭坊主の生説教など御免だ。 後日、親戚の長老(母が長老だったのだが、亡くなったので)が何だか寂しそうだったと、別の親戚から聞いた。私はそんな感情には一切とらわれないのだが、一筆長文の手紙をしたためた。それで理解してくれたかどうかは分からない。しかしその人もかつて大学で仏教を学んでいるので、説明して理解しないものでもあるまい。 そんなわけで、喪中の挨拶状をとっさに頭に想い描いた。たちまち一つのアイデアが浮かんだ。すぐさまコンピューターに向かって、アイデアを実現してみる。ほぼ一発できまった。あとは細部を手直ししてゆくだけでよかろう。一応、葉書にプリントして机の前に貼った。 恋しくば蟲は草葉になきぬらん 青穹
Sep 5, 2012
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FIFA U-20 女子W杯準決勝、日本対ドイツ戦は、国立競技場で午後7時30分にキックオフ。 攻撃的なサッカーでここまで勝ち進んできたヤングなでしこ。しかし相手のドイツは、今大会、無失点連勝で来たチーム。国際試合では11連勝しているまさに強豪、強敵。 どうなることかと固唾を呑んでTV画面を見つめたが、なんと開始早々1分でドイツが先制点をあげた。虚を突かれたかのようなヤングなでしこ、リズムをつくり出せないまま13分に2点目を、さらに19分、ドイツのCKをロッツエンがヘッドで押し込んで3点目を失った。 ヤングなでしこ、ほとんど自分のサッカーができない。わずかなミスを素早く鋭くドイツが突いてくる。後半戦、ヤングなでしこ、やや持ち前の活力をとりもどしドイツ・チームのミスを誘う場面も出て来たが、3点のビハインドを返すことができないまま試合は終了した。0−3、完敗である。「3点獲られたら5点獲ればいい」という監督のいつもの言葉が、今回ばかりは空しく響く。 頂点へ登る旅はここで終わった。しかしまだ3位決定戦がある。来る8日(土)、相手はナイジェリアだ。がんばれ、ヤングなでしこ!
Sep 4, 2012
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パラリンピックの競技者情報を見ていると参加競技の後ろに不思議な記号が付いていることに気づく。さまざまな障害の程度を有する競技者が、できるだけ公平に競技ができるように、競技ごとに細分化されたクラス分けがなされているのである。じつは、私はこの詳細についてロンドン・パラリンピックを見るまで知らなかった。考えてみればなるほど、アスリートの障害の程度は単純にひとくくりにすることはできない。スポーツ競技という場で記録を創造し勝敗を決するのだから、できうるかぎり公平を期さなければなるまい。 そこで、ちょっとパラリンピックのクラス分けについて調べてみた。一部の競技だけですが、ご参考までに。ブログは2部にわけてあります。パート2はそのまま下へスクロールしてください。パラリンピック競技別クラス分け解説(1)【競泳】「S」= swimmingの略。クロール、背泳ぎ、バタフライがこのカテゴリーに含まれる。このカテゴリーはさらに次のように細分化される。 S1(障害が一番重い)~ S10(障害が一番軽い) S11(視覚障害で一番重い)~ S13(視覚障害で一番軽い) ただしバタフライはS1~10 〈註〉数字は障害の軽重を表し、すべての競技について、数字が小さいほど障害が重い。「SB」= swim breastの略。すなわち平泳ぎ。SB1~9。「SM」= swim medleyの略。個人メドレー。細分はSとSBの4種目を総合的に勘案しておおよその平均を決め、公平化をはかる。数字で表されている細分化されたカテゴリーを、S1~10を例に、もう少し詳しく見てみよう。例としてあげた障害事例はあくまでも一つの事例である。 S1 肢体不自由 例:最重度四肢麻痺 S2 肢体不自由 例:重度四肢麻痺 S3 肢体不自由 例:四肢の重度切断や奇形・四肢麻痺 S4 肢体不自由 例:四肢麻痺・三肢あるいは四肢の切断や奇形 S5 肢体不自由 例:体幹と両下肢の完全障害 S6 肢体不自由 例:軽度体幹障害と両下肢完全障害・重度片麻痺・小人症 S7 肢体不自由 例:両前腕切断・両大腿切断・片麻痺 S8 肢体不自由 例:両下肢麻痺・片上腕切断・片上肢完全麻痺 S9 肢体不自由 例:片下肢完全麻痺・片大腿切断・片前腕切断 S10 肢体不自由 例:片下腿切断・片方の上肢あるいは下肢の軽度な障害【陸上競技】「T」= Track(トラック)競技。「F」= Field(フィールド)競技。 T/F11~13 視覚障害 11 重度視覚障害(ガイド付添い、当人は完全遮蔽アイ・マスク装着) 12 視覚障害、ガイド付添いを選択できる。 13 最低限の視覚を有する障害 T/F20 義肢(義手、義足)を装着し、その義肢が各種目(1500m、走幅跳び、投擲競技)において規定尺度に適合するもの。 T32~38、F31~38 30台は麻痺・運動失調・歩行失調・緊張亢進等の運動機能障害アスリートに配分されている。数字が小さい方がより顕著な機能障害となるのは、他のカテゴリーと同じ。 40台クラスのアスリートは、車いすを使用していず、立って競技をする。 F40 小人症アスリート。 T/F42~46 切断のような上肢下肢欠損。 42~44 脚に義足を装着。 45~46 腕に義手を装着(上腕欠損、下腕欠損)。 例:片脚が膝上に義肢装着の投擲競技者はF42にカテゴライズされる。 T51~54、F55~58 50台クラスは車いすでの競技。 T51~54 腕と肩の機能が車いすの操縦に適しているアスリート。そのうちT51~52は、上脚下脚ともに例えば四肢麻痺のように活動制限があるアスリート。T54は、体幹と脚の機能を部分的に有しているアスリートである。 フィールド競技における車いすアスリートのクラスはさらに細分化される。 F51~54は、体幹と脚の機能障害の程度とは異なる肩・腕および手の機能に制限があるアスリート。四肢麻痺の事例がそれである。F54は、腕と手は普通の機能を有するアスリートである。F55~58のクラスを通じて、体幹と脚の機能が増大するにつれて、投擲競技には有利になる。例えば片脚切断のアスリートはF58クラスで競技することになる。(以下、つづく。このまま下へ繰ってください)
Sep 4, 2012
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パラリンピック競技別クラス分け解説(2)【自転車】 自転車競技は使用する自転車の種類(構造)によってクラス分けされる。「H」= ハンドバイク(手漕ぎ自転車) 脚に障害があるアスリート。「T」= トライサイクル(三輪車) 脳性麻痺のアスリート。「C」= サイクル(自転車) 切断やその他の機能障害アスリート。「B」= タンデム(二人乗り) 視覚障害のアスリート。【柔道】 視覚障害者の柔道は、障害の程度ではなく、男女別・体重別にクラス分けされる。男子7階級、女子6階級。【ボート】 ボートは種目、男女・混合、人数、ボートの種類を組み合わせてカテゴライズされる。 ★カテゴリー 「L」= レグ(脚) 脚の力を使って漕ぐことができるアスリート。 「T」= トランク(体幹) 体幹を使って漕ぐことができるアスリート。 「A」= アーム(腕) 腕の力を使って漕ぐことができるアスリート。 「S」= ショルダー(肩) 肩の力を使って漕ぐことができるアスリート。 ★男女・混合 「M」= マン(男子) 「W」= ウーマン(女子) 「Mix」= ミックス(男女混合) ★人数 「1」= シングル(1名) 「2」= ダブル(2名) 「4」= フォア(4名) ★ボート 「x」= スカル 「+」= コックス(舵手)が付く 例えば昨日の決勝記録に登場した大竹麻里選手の「ASW1x」は、「アーム、ショルダー、ウーマン、シングル、スカル」というクラスを意味する。
Sep 4, 2012
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パラリンピックはまだつづいていますが、情報不足を補うつもりで、日本選手メダリストと入賞者のリストを作成しましたのでご覧ください。今後の結果は順次追加いたしますが、とりあえず・・・(最終更新:9月9日、8:15)ロンドン・パラリンピック日本選手メダリスト及び入賞者リスト競泳 女子100m背泳ぎ(視覚障害S11) 秋山里奈 金(1:19.50 大会新記録)、小野智華子 8位 女子100m平泳ぎ(切断・運動機能障害SB8) 野村真波 8位 女子100m平泳ぎ(視覚障害SB11) 秋山里奈 7位 女子100m自由形(視覚障害S11) 生長奈緒美 8位 女子100m自由形(運動機能障害S6) 奈良恵理加 8位 女子400m自由形(視覚障害S11) 生長奈緒美 6位(5:53.20 アジア新記録) 男子50mバタフライ(運動機能障害S7) 江島大佑 5位 男子50mバタフライ(運動機能障害S6) 小山恭輔 銅 男子100mバタフライ(視覚障害S11) 木村敬一 銅(1:04.70 アジア新記録)、 河合純一 6位 男子50m自由形(運動機能障害S9) 山田拓朗 4位 男子100m背泳ぎ(視覚障害S11) 河合純一 4位 男子100m背泳ぎ(知的障害S14) 津川拓也 6位、 長尾智之 8位 男子50m平泳ぎ(運動機能障害SB3) 鈴木孝之 銅 男子100m平泳ぎ(運動機能障害SB7) 中村智太郎 銀 男子100m平泳ぎ(視覚障害SB11) 木村敬一 銀 男子100m平泳ぎ(知的障害SB14) 田中康大 金(1:06.69 世界新記録) 男子50m自由形(運動機能障害S6) 小山恭輔 5位 男子50m自由形(視覚障害S11) 木村敬一 5位 男子100m自由形(視覚障害S11) 木村敬一 5位 男子100m自由形(運動機能S5) 鈴木孝之 8位 男子100m自由形(運動機能障害S9) 山田拓朗 6位 男子200m個人メドレー(視覚障害T11) 木村敬一 8位 男子150m個人メドレー(運動機能障害SM4) 鈴木孝幸 銅陸上競技 女子走り幅跳び(切断・機能障害F42/44) 中西麻耶 8位 女子走り幅跳び(視覚障害F11/12) 渡邉紫帆 6位 女子100m(切断・機能障害T44) 高桑早生 7位 女子100m(車いすT52) 田中照代 6位、 木山由加 7位 女子100m(機能障害T36) 加藤有希 8位 女子200m(車いすT52) 田中照代 5位、 木山由加 6位 女子200m(機能障害T36) 加藤有希 5位 女子200m(上下脚切断などT44) 高桑早生 7位 女子1500m(切断T20) 藤田沙弥香 5位 女子5000m(車いすT54) 土田和歌子 6位 男子走り幅跳び(切断・機能障害T42/44) 山本篤 5位 男子走り高跳び(上下腕切断などF46) 鈴木徹 4位 男子100m(車いすT51) 井上聡 8位 男子100m(車いすT52) 伊藤智也 5位 男子100m(上下腕切断などT46) 田川知希 5位 男子100m(切断・機能障害T42) 山本篤 6位 男子200m(切断・機能障害T42) 山本篤 8位 男子200m(車いすT52) 伊藤智也 銀 男子400m(車いすT52) 伊藤智也 銀 男子800m(車いすT53) 廣道純 6位 男子800m(車いすT52) 伊藤智也 銀、 高田稔浩 4位、 上与那原寛和 7位 男子5000m(視覚障害T12) 堀越信司 5位(14:48.89 アジア新記録)、 岡村正広 8位 男子5000m(視覚障害T11) 和田伸也(ガイド中田崇志) 銅 男子400mリレー(切断などT42ー46) 佐藤圭太・鈴木徹・多川知希・山本篤 4位自転車 男子1000mタイムトライアル(運動機能障害C4) 石井雅史 6位 男子タンディム(2人乗り)1000mタイムトライアル(視覚障害B) 大城竜之(パイロット伊藤保文) 6位 男子タンディム(2人乗り)スプリント(視覚障害B) 大城竜之(パイロット伊藤保文) 4位 男子個人ロードタイムトライアル16k(脳性麻痺・運動機能障害C3) 藤田征樹 銅柔道 男子100kg超級(視覚障害) 正木健人 金 ボート 女子シングルスカル(ASW1x)B決勝 大竹麻里 4位パワーリフティング 男子82.5kg級(運動機能障害) 大堂秀樹 6位 男子75kg級(運動機能障害) 宇城元 7位車いすテニス 男子共通上下肢障害ダブルス 川野将太・諸石光照 4位 男子シングルス 国枝慎吾 金シッティングバレーボール 女子 藤井順子・西家道代・金木絵美・金田典子・粟野幸智恵・岡平ゆかり 7位ゴールボール 女子(視覚障害) 若杉遙・中嶋茜・浦田理恵・欠端瑛子・安達阿記子・小宮正江 金
Sep 3, 2012
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パラリンピックのライブ映像はあいかわらず放映されないが、日本勢の金メダル第1号のニュースが報じられている。 柔道(視覚障害)男子100キロ超級で正木健人選手がみごと金メダル。 競泳(運動機能障害)男子100m平泳ぎで中村智太郎選手が銀メダル。 TV放送がライブ放映無視をきめこむなか、webではYou Tubeなどで断片的に競技の様子を見ることができる。次のHPでは、おそらく若い人であろう、私には分からない言葉で書き込みながら、パラリンピック選手の活躍に率直な驚きと感動を示している。ごらんください。実際、このページで若い人たちが言っているように、パラリンピックの柔道は、私も健常者の柔道より面白いし迫力があると思っている。健常者の柔道はまるで猫の喧嘩、特に国際大会ではその傾向が顕著である。一方、障害者の柔道は、より正当的な組み手柔道で、見ていて気持ちがよい。 パラリンピック柔道凄すぎワロタwwwww なお、上の動画の柔道男子73kg級の高橋秀克選手は、3位決定戦で残念ながら敗れています。 Athletics - 2-Sep-2012 - Morning - London 2012 Paralympic Games 日本パラリンピック委員会 ロンドン・パラリンピックSpecial Site
Sep 2, 2012
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昨夜、寝室の窓がサーッと明るくなったので、何事かと窓を開けて外を見た。照明弾で打ち上げたのかと怪しみながら。・・・正体は、なんと、月だった。雲が払われて真ん丸な月が輝いていた。 名月や畳の上に松の影 其角 名月や門へさしくる潮頭 芭蕉 しかし、明けて今朝は一転してはげしい雨である。遠雷がとどろき、あがっては降り、降ってはあがる。残暑きびしい日がつづいていたので、むしろ待ちこがれていた。こよい名月は見られぬけれど。 ふりかねてこよひになりぬ月の雨 尚白
Sep 1, 2012
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