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同世代の音楽愛好家、それも筋金入りの知人と久しぶりに話したら、オーケストラのコンサートにはもう興味がないと言っていた。詳しくは聞かなかったが、決まり切ったプログラム、巨匠音楽家の不在、世代交代による演奏技術の向上とトレードオフの関係にある音楽的感興の減少といった複合的な要因からそう思うようになったのだろう。それは同じだが、1931年生まれのチェコの名指揮者がドヴォルジャークの「新世界から」を指揮するとなれば聴いておかなくてはならない。また、首席フルート奏者が交代したので札響の音がどう変わったかを確かめたいという好奇心もあった。日本のオーケストラの団員が定年までに最も多く演奏するのがこの「新世界より」と「第九」だろう。リハーサルや練習を含めたら1000回は演奏するにちがいない。したがって、「この曲はこう演奏するもの」という暗黙の前提ができあがっていて、それがルーティンな表現になりがちだ。ラドミル・エリシュカの、日本のオーケストラから慣習的な表現を取り除こうという努力は、一日目を聴く限り途上という印象をぬぐえなかった。小手先の表現を避け、風格あるスケールの大きな音楽を作ろうとするエリシュカに対し、いわゆる「走って」しまう部分が散見されたからだ。前半の「スケルツォ・カプリオーソ」と交響詩「野鳩」ではそういう部分はなかったので、この2曲にリハーサルが集中し、「新世界から」は練習不足のまま本番を迎えたのかもしれない。この指揮者は、多くの指揮者が煽りに煽る部分でも、決してテンポを動かさず一回性の感興を求めることを志向しない。それが地味な印象を与える反面、落ち着きと風格を生む。この指揮者がマイナーな存在にとどまってきたのは、旧共産主義国で活躍していたという事情ばかりでなく、こうした音楽作りの姿勢のためもあるのだろう。首席フルートの交代は好ましい。今までの首席は積極的すぎる表現がオーケストラに求められる調和を破壊していたケースが多かった。新しい首席奏者は、逆に自己主張が乏しすぎるような気がしないでもないが、オーケストラ・プレイヤーに求められる安定性や確実性は万全に近い。オーケストラで重要なのは、指揮者とコンサートマスターを除けば、まず第一にティンパニ奏者であり、次いでオーボエ首席、ホルンとフルートの首席と続く。現在の首席オーボエ奏者が悪いわけではないが、国際級の奏者に交代したとき、札響は10年前とはまったく別のオーケストラに生まれ変わるだろう。このコンサートのライブ録音は今までのエリシュカと札響の演奏と同じようにCD化されると思われる。ライブ特有のミスやアンサンブルの乱れはかなり耳ざわりではあるが、手元にあるクーベリックのチェコ復帰を記念した歴史的ライブや、アンチェルからノイマンに至る多くのチェコの大指揮者による「新世界から」の名盤を凌駕する演奏になっていることが客観的に検証できるだろう。
April 28, 2012
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「温泉と健康」を読んだことから思いついた、定山渓温泉4週間日帰り湯治が終わった。結局、一日おまけがついて29日連続で通った。訪れた温泉施設は6カ所。いちばん多く通ったのは日帰り客用の大広間がある「渓流荘」。次が循環濾過、加水、塩素消毒なしで宿主の手作りの温泉サウナもある「山水」。あとの4カ所は1回ずつ訪れた。「山水」は成分が濃いので連日だと少し負担なほど。循環濾過している他の温泉は体に「軽く」感じた。期待したヘルニアへの効果は少しあったかなという程度。ただ、明らかに効果があったのは皮膚に対する作用。長年あった頭皮のかぶれのようなものが1カ所を残して消えたし、その一カ所も小さくなった。体の変化を如実に感じたのは4日目、8日目、15日目。8日目には乾燥したのか寝ている間に体をかきむしったらしく、傷ができていた。15日目には体全体がかなりリラックスしたのと、湯疲れが軽くなり温泉に体が適応したのを感じた。第4週は温泉がすっかり日常化してしまい、よほど長湯しない限り湯疲れをしなくなった。振り返ってみると第2週が精神的に最も辛かったような気がする。効果があるだろうかという疑心暗鬼に痒みが重なった。3週間は、割ときちんとした自分なりのプログラム(2回目の入浴でストレッチするなど)にしたがって規則的に行っていたが、4週目にはだれてしまった。だから湯治は3週間が適切な期間かもしれない。35キロ、片道1時間かけて通ったが、一日2回とか、入りたいときに温泉に入ることのできる環境があったらどんなにいいかと思った。定山渓に住むようになった温泉教授こと松田忠徳氏の気持ちが少しわかった気がする。
April 14, 2012
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大ざっぱに言えば「パン食に典型な欧米型の食生活をやめ、ご飯とみそ汁の伝統的和食に戻ろう」ということを繰り返しているだけのつまらない本。油脂のとりすぎが問題で、和食の欠点である塩分過剰などは無視してよいといった暴論も見られる。もっとも、それはこの本の読者として想定している、たとえばスナック菓子を主食にしているような若い母親に対するアドバイスとしてなら有効だし大事かもしれないが、少しでも食事に気をつけている人にとっては疑問だらけの「提案」が続く。ただし瞠目させられる記述もある。著者は1953年生まれの管理栄養士で、医療現場での経験が長いらしいが、「乳がんの患者さんの食生活を調べると、乳製品を好んでたくさんとる人が多い」という。こういう私的観察というのは意外に重要で、ずいぶんあとになって科学的なデータで「証明」されることが多い。こういう、自分にとって自明のことばかり書いてある本は、目次を見て「おや」と思うところだけつまみ読みするとよい。
April 1, 2012
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