全5件 (5件中 1-5件目)
1
(事前にあった活字媒体でのザック、本田更迭論) テレビやネットで、今回のサッカーのワールドカップの完敗の原因分析がテレビ番組や取材者のネットの書き込みにないと前に書いたが、ここにきて、ネットにはサッカージャーナリストからの本音の書き込みが増えてきた。 原稿を読むと、筆者が書いて来たように、チームは空中分解していて、相手と戦うどころではなかったということを具体的なエピソードや事実を踏まえて書いている。 更には、以前は注目されていなかったというか、ほとんど取り上げて来なかった、その他媒体での事前の「このままでは、日本は大会で1勝もできない」という記事がいくつかあったことが、ここに来て明らかになった。ある夕刊紙は「ザックと本田を更迭しないと、日本の勝利はない」とさえ書いていた。 そして、その中で、サッカーの専門家が「本田が中心でいる限り、日本は勝てず、他の選手の良さも失われる」とさえ、言い切っている。見る人はきちんと見ていたのだが、それが事前に大きく扱われなかったことに不幸がある。 ザックも本田も惨敗の大きな理由だが、今回の惨敗の最大の原因はテレビ局の戦争中の大本営発表のような「日本は予選突破は当然、優勝を争う力がある」という馬鹿げた報道だった。1つのテレビ局だけでなく、NHKを含めていくつものテレビ局が、ありえない嘘を繰り返し放送するので、それを信じる事実を知らない人が増え、今回の不幸な結末を迎えたのである。 にもかかわらず、テレビ局サイドから、猛反省の弁は聞こえて来ない。(どうしようもない番組を流し続けるテレビ局) 筆者は今の日本をダメにしている大きな原因にマスコミがあるとずっと言い続けて来たが、その中でも、テレビ局のひどさは論外である。サッカー報道だけでなく、先進国の中で最低と専門家から酷評される、今の日本のテレビ局の番組のお粗末さは何とかしないといけない。 マスコミの最大の使命は、今、日本で世界で何が起き、それをどう考えないといけないかという情報を提供することである。娯楽番組であっても、そこに情報、メッセージがないといけないが、今の日本のテレビ局の番組の8、9割は、お笑いタレントや、テレビ常連のその他のタレントを集めて、どうでも良い話の「井戸端会議」番組である。 それも、テレビ制作者の「視聴者はこんなくだらない番組を欲しているのだから、それを提供しているのだ」という上から目線の番組作りである。 何回も言っているが、9割の人が嫌いなAKB48の話を、「国民的アイドル」と勘違いして、事細かに報道しているし、メンバーを番組やCMに使い続けている。テレビ局や広告代理店で働く人は、周囲にいる普通の一般の人にAKBや武井咲、剛力彩芽をどう思っているか、聞いてみたらよい。 これらも世界の実力で40何位の日本サッカーを優勝争いが出来ると言い続けたのとまったく同じで、普通の日本人にはほとんど人気のない人間やグループを凄い、「国民的アイドル」と持ち上げ、取り上げているのだ。その証拠に、AKBでトップの人気と言われた前田敦子や大島優子がコンサートや個人的に活動をしたら、ファンが集まらなくて困るのであり、武井や剛力が出た番組が視聴率が取れないのだ。 どうしようもない「井戸端会議」のような番組を見続ければ、それこそ脳ミソが腐り、ものを考えない人が増えていく。少し意識ある人は地上波に見限りをつけ、BSやCSに避難するか、テレビを見るのを止めてしまっている。テレビ局は自分で自分の存在を危うくしているのだ。(競争入札に負けたら、経営陣は退陣) 新聞、雑誌は誰でも作ろうと思えば作れるし、政府の世話になる訳ではないから、他の害を及ぼさない限り、何を書いても自由である。しかし、テレビは違う。テレビは公共の電波を使う免許を得て、事業をしているのである。公共のものを使う限り、そこには国民に対して責任があるのだ。 でも、監督する総務省は、これだけひどい番組を作り続けているテレビ局に文句は言わない。マスコミに下手に何かを言えば、それこそマスコミに「言論の自由の侵害」と叩かれかねないからだ。 では、今のどうしようもないテレビ局を改革できないかと言えば、そうではない。問題解決は簡単である。テレビ局の免許を5年単位の更新制にするのである。 現在の経営陣も、新たにテレビ局を経営したいと思う人たちも、5年に一度、自分のテレビ局を経営するにあたっての方針、番組構成、メッセージなどを公表し、それらを役所だけでなく、国民の有志を含めて質疑応答を公開で行い、より相応しいと思う経営陣に、免許を与えることである。 こうすれば、番組の質が改善されるだけでなく、どこのチャンネルを見ても同じような番組、タレントのオンパレードの現状から、局によって大きな違い、差が出て、視聴者には好きな番組を選べるようになる。 新しい経営陣が競争に勝っても、テレビ局の一般社員はそのまま仕事を続けるので、社員が路頭に迷うことはない。更迭されるのは、部長以上の幹部クラスだけである。でも、経営陣が変われば、番組は大きく変わる。 こうすれば、ソフトバンクも楽天も、その他、新興で力のある企業はテレビ経営に進出してくるであろう。何よりも大切なことは競争である。そして、良い番組を提供しないと、経営陣、幹部は排除されるという危機感である。そして、一度競争に負けた経営陣も、5年後に再度挑戦できるので、新たに免許を得た経営者も安閑としていられない。 アメリカで実際にあった話だが、役所のごみ収集や清掃作業があまりにひどいので、市内をいくつかに分割して、それぞれの地区ごとに民間の新規参入を認めて、競争制にした。 それまで独占に胡坐をかいていた役所は、アッという間に、すべての地区で民間の業者に仕事を取られた。日本と違って、アメリカではこうして仕事を取られた役所の役人はレイオフである。危機感を持った役人たちは、仕事の改善に知恵を絞り、次の競争の時に民間企業と競り勝って仕事を取り戻したという。 元々、知識やノウハウを持っているので、危機意識さえ持てば、役人は良い仕事ができるのだ。競争がないこと、危機感がないことが、仕事に緊張感を欠く結果となり、市民の不満を呼んでいたのだが、市長の荒治療で役人が蘇り、指紋もサビースが向上してハッピーとなった。 テレビ局も同じで、何をやっても一度手にした免許は持ち続けられるという慢心が、今のようなテレビ局のひどい状態を招いていると言える。
2014.06.26
コメント(0)
(惨敗の原因分析をしないテレビ報道、取材者のネット書き込み) 予想通り、ワールドカップで日本サッカーチームは惨敗した。 だが、それを伝えるテレビ報道や、ネットでの取材者の書き込みを見ると、「負けたけどよくやった」とか、「日本中を沸かしてくれた」など、惨敗をどう受け止め、4年後に向けてどうチームを改善していくかという姿勢が見られず、このままでは、4年後も同じ光景が見られるのではないかとさえ思える応対ぶりである。 テレビが主力選手に感想を求めているが、マイクを向けられて本音を言う選手などほとんどいない。それは取材ではなく、単に立ち話をしているだけのことである。マイクなしに本音で気持ちを聞くのが取材である。 今の日本にとって、まず、必要なことは前の大会で予選リーグを勝ち抜いたのに、今回は何故勝ち抜けなかったか、その理由は何かという分析ではないだろうか。でも、そうした分析がテレビの報道や、取材者のネットでの書き込みにほとんど見られないのは不思議としか言えない。 仕事で大学生の採用を10年以上経験し、何千人という学生に面接し、選考をして来た経験からいうと、今の若者は全体として、本音は言わないし、問題があった時でも、徹底して議論をするというようなことは避けがちである。子供の時から、争いは好まないという姿勢で過ごしているので、そうなっている。 親も教師も勉強さえして、成績さえ良ければ、叱ることをしないので、叱られることにも慣れていない。だから、採用して上司が叱ったり、注意をしたりすると、ショックを受けて、直ぐに辞めてしまう者が少なくない。 そんな全体のムードの中で育った者がマスコミに入り、取材をし、原稿を書いたり、テレビでコメントをしているので、今回のような惨敗があっても、徹底した分析をしようとしないし、取材でも詰めをしないのだと思う。だから、敗因を分析し、次に向けてどうすべきかというような発想が出てこないともいえる。(戦う前に負けていたチーム作り) 筆者は何回も書いているように、敗因はザッケローニ監督の指導方針、作戦、指揮の仕方、事前の準備などの間違い、そして、すべきではない本田を中心にしたチーム作りが大きかったと思う。何回も言うが、試合を見ていて、チームがチームとして機能していなかったとさえ言える。 断っておくが、筆者は別に本田に恨みがあるわけでも、個人的に嫌いなわけではない。ただ、チームの中心になる資質がない選手で、1プレーヤーとして使う選手であるにもかかわらず、その人間が中心のチーム作りをしたために、チームとしてのまとまりがなくなってしまったのだと言っているのだ。 では、彼を1プレーヤーとして使えるかと言えば、それは無理だ。彼は自分に資質がないにもかかわらず、チームの中心でないと、気が済まない性格なのだ。だから、本田を外せというのだ。 選手として優秀であるということと、全体をまとめたり、司令塔になれるかということはまったく別問題である。たとえば、野球のイチローは選手としては優れているが、マリナーズ時代から選手としては浮いていて、他の選手とのコミュニケーションはほとんどなかった。 だから、川崎がマリナーズに入るという話が出た時に、他の選手から、「あんな日本人がまた1人入ってくるなど、勘弁してくれ」という声が何人もからあがった。 スポーツの選手にはそんな人は珍しくない。そうした人間をチームの中心にした監督が間違っているだけだし、本田自身、自分がリーダーの資質に欠けているという自覚がまったくない。だから、「4年後もワールドカップを目指す」というようなトンチンカンなことを言うのだ。 自分が浮いた存在だと気が付き、敗戦後、代表を引退した中田英寿と大きな違いである。何回も言う。本田がいたから、チームは勝てなかったのだ。(チームに必要なこと) チームがチームとして機能するには、選手の心を一つにして、試合で勝つことに全力で向かうためのメンバー構成が必要だが、今回のチームにはそれが欠けていた。全体をまとめるキャプテン、試合でのしっかりした司令塔、控えの選手たちをまとめ、バックアップする姿勢を持たせる選手の存在、そうしたものがすべてに欠けていた。 代表は23人いるのだ。試合に出てフルに活躍できなくても、半分なら活躍できるベテランもいるし、守備でこの人を入れれば、背の高い外国人とのヘディングのセ競り合いでも対抗できる人も日本にはいる。ベテランだが、まだ現役で頑張っている中村俊輔や闘莉王などを選べば、チームの試合の仕方は大きく変わっていたと思うし、Jリーグで活躍して結果を出している、いわば旬の選手を何故、もっと選ばなかったのかと思う。 また、ロンドン五輪で4位になった時のメンバーをもっと選んで、若手に短い時間でも思い切りプレーをさせるということもすべきだったが、ほとんど選んでいなかったり、選んでも試合に出したりしていない。 ザッケローニの間違いの大きな点に、点を取ることに注力し、守備をどうするかという点が極めて疎かにしたことがある。ヨーロッパの予選でギリシャはとにかく守備を固めて、点を取られないようにして、カウンター攻撃で点を取るという作戦で勝ち抜き、今回のワールドカップでも、予選リーグを勝ち抜いた。 ネイマールやロッペンなど強豪国の主力フォワードのような一人で相手選手を抜いて行き、そのままゴールできるような能力のある選手がいない日本では、点を取られない守備体系は最重要課題なのに、それが疎かになったのでは、試合に惨敗して当然である。
2014.06.25
コメント(0)
(是非読んで欲しいフットボールチャンネルの記事) かつて、マスコミの一員として、多くの取材をし、原稿を書いてきた者として、最近のマスコミの「企業や役所、スポーツ団体の広報媒体的な」あり方をずっとおかしいと感じていたが、今回のワールドカップに惨敗について、やっと、マス媒体に所属する人から反省の原稿が出てきた。 フットボールチャンネルで6月24日に横田路生氏が書いた「日本代表の停滞を招いたサッカー媒体の堕落。1敗1分は”メディアの敗北”である」という原稿である。 内容は筆者は言ってきたことと同様で、マスコミがサッカー協会の広報的な存在になり、事実をきちんと伝えなかったし、代表選手への取材でおかしいと感じたことでも、突っ込みをする記者がほとんどおらず、それが今日の惨状を招いたという内容である。 筆者はテレビ局にこそ、この姿勢が最も必要で、今回のワールドカップを振り返る時、是非、自らの報道について、懺悔の番組を作って欲しいものである。 マスコミは事実を伝えるのが役割であり、取材対象がおかしな言動をした時は、鋭く突っ込み、批判もすることが大切な役割だが、今のマスコミにはその姿勢がほとんどない。(原点の素朴な疑問を聞かない小保方会見) サッカーの話ではないが、小保方晴子氏の記者会見を見ていて、現場にいた記者は何を取材しているのかとイライラした。あの記者会見の場に筆者がもしいたら、質問することはただ一つである。「STAP細胞があるというなら、今、ここでその証拠のデータ、写真、実験の様子を示すノートの3点を示してください。それが理研の研究所にあって手元にないというなら、それを手にしてから記者会見をすべきであったのであり、騒動から何週間も経って、証拠を何も示さずに、ただ、『STAP細胞はあります』とだけ、言葉で言うのはナンセンスで、今日は何のための記者会見なのですか」 でも、こんな質問、指摘をする記者は誰もいなかった。 それだけでなく、記者会見を受けてのテレビや新聞の解説でも、そうしたことを指摘する人は皆無に近かった。事実を事実として追求し、それを国民にきちんと伝えるというジャーナリストとしての原点が失われている、最近の取材者の姿勢がもろに出たのが小保方会見だった。 それだけでなく、評論家や漫画家などテレビで名前が売れている人、何人もがこうした小保方氏を擁護している発言をしていることなど、まったく理解に苦しむ。 取材者の取材の原点は「何故、どうして」という姿勢である。でも、今のマスコミ報道にはその姿勢がすっぽりと落ちているのである。 記者として長年取材をして来た一方で、ある団体の責任者として、マスコミの取材を数多く受けることも体験した筆者の経験から言うと、最近の若手の記者は「マスコミは高給だから」とか、「テレビ局や新聞社は一流企業だから、記入社した」という人が少なくない。新聞社、商社、銀行と受けて、新聞社に受かったので、記者になった。そんな話をする記者に出会い、驚いた経験もある。 筆者が就職する頃は、新聞社、通信社、テレビ局、出版社とマスコミだけを受けて、合格した会社で記者になる者がほとんどだったが、まったく発想が違うのである。 給料が高いから新聞社やテレビ局に入ったという人に、ジャーナリストとしての資質がなくても仕方がない。(「頑張れ」「まだ行ける」だけを言う解説者) サッカーの話に戻ると、事前報道では、日本応援一色ではなく、出場国の説明、特徴紹介などがもっとあるべきだったし、日本チームの問題点、弱点ももっと解説し、それをどう是正していくべきかというような話があってしかるべきだったが、それがほとんどなかった。 試合である以上、相手を知らないと話にならない。でも、今の日本のマスコミにはその姿勢がほとんどない。特にテレビはそうである。 アルジェリアが韓国を4対2で下したことを伝える日経新聞では、アルジェリアの選手はフランス在住のアルジェリアからの移民の二世、三世が多く、フランスでサッカーを長くしているが、フランス代表で出られない人がアルジェリアの代表となって出ているので、レベルが高いのだという話を書いている。 試合直後にこうした原稿を書くということは記者は事前に知っていたのだろう。こうした原稿、情報は重要だが、でも、事前にそうした情報を知らせて欲しかったと感じた。そうした情報があれば、試合の予想も見方も大きく変わったはずである。 スポーツの中継の解説で、最近、特に感じるのは、解説ではなく応援の話をする解説者が多いことだ。オリンピックの試合の中継では、行われている試合の適切な解説や分析を話しないといけない解説者がただ、「頑張れ」「まだ行ける」というような話ばかりをしている。それでは解説ではない。 でも、それは解説者の責任というよりも、そうした話をするようにテレビ局から注文がつくというのだから、テレビ局の責任である。 テレビ局は公共の電波を借りて放送をしている。そうした意味で、公共としての責任がある。今のテレビ局にはそうした公共性をほとんど考えていないテレビマンがほとんどである。それはサッカーだけでなく、今のどうしようもない番組のオンパレードを見ても、そう感じる。(監督に必要なのは名声ではなく、ワールドカップでの実績) 日本サッカー協会の専務理事など幹部が2試合の後、ザッケローニ監督と長い時間話し合いをしたと新聞が伝えている。筆者に言わせれば、ザッケローニを選んだ時点で、今日の結果は予想されたのであり、彼を選んだ協会に大きな責任がある。 外国人で日本チームの監督になった人で、「日本サッカーの父」とさえ言われ、今でも多くの話が伝えられているクライマー氏や、病気で退任を余儀なくされたがオシム氏、日本をベスト16にしたトルシエ氏などは、原点に立ち返り、基本の話をし、選手に明確な方針を示して徹底させ、チーム作りに貢献した。 一方で、選手時代や監督としての名声はあるが、日本に本当に必要なことを説かずに、中途半端な戦略、チーム作りをして、監督として失敗したのはジーコであり、今のザッケローニである。 この2人に共通するのは、日本人の他の選手に人望がなく、チームの中心にしてはいけない中田、本田を中心にしたチーム作りをしたことである。選手として多少能力があっても、他の選手から歓迎されない選手を中心にすれば、チーム競技のサッカーでは、チームはバラバラになり、試合をする前に、負けた状態になっているのである。 1試合が終わった時点で、あるサッカージャーナリストや、かつての名選手、釜本氏が「本田を外せ」と原稿を書いたり、発言したりしていた。実情を知っているからである。でも、2人とも、「ザッケローニは本田が好きだから、外さないだろう」と付け加えあ。そして、現実にそうなり、無様な試合を繰り返したのである。 今回、多くの国で監督のことがクローズアップされている。コロンビアのように、他の国の監督に何人も排出している国もある。日本を破ったコートジボワールのフランス人監督は、「サッカー選手である前に、人間としての約束事、ルールを守ることを厳しく言い、それを守らない選手は置き去りにした」と話をしていた。 こうした監督だから、対日本戦でも、日本の良い点を消す作戦をきちんと実行した。だが、ザッケローニにこうした姿勢は見られなかった。 名声ではなく、ワールドカップでの実績で、次の監督を選んで欲しいものである。
2014.06.24
コメント(0)
(世界レベルと程遠い日本サッカー) 多くの人が日本時間の夜中に行われているサッカーのワールドカップの試合を見ていると思う。筆者もテレビの中継で(録画中継も含め)、多くの試合を見た。そして、感じたことはただ一つ。世界のレベルと日本のレベルがまだこんなにあるのかという、ため息にも近い想いである。 以前に比べて大分レベルアップしたと思っていたが、他の国の試合を見て、まるで役者が違うのだ。 コートジボワール戦で、ドログバが途中出場し、彼が動き出した時、テレビで解説をしていた岡田前監督が「彼だけ次元が違う」と言ったことなどは、まさにその通りで、勝ち抜いているチームを見ると、ドログバ級の選手が数人いるのだ。これでは、日本が勝ち抜いていくことなど夢のまた夢である。 強いのはドイツやブラジルなど世界トップクラスのチームだけでなく、予選敗退と予想されたいくつものチームのプレーを見ても、日本が対戦しても、勝てないだろうという動きをする選手が何人もいる。海外メディアが日本チームについて、「つまらない試合運び」「アイデアがない戦略」などと書くのは当然である。 このことは、欲目でなく客観的に見た多くの人が感じたことであると思う。フォワードの攻撃だけでなく、バックスの守りでも、また、個々の選手の能力だけでなく、チームプレーでも、現在の日本サッカーのレベルが世界の水準からかなり置いていかれた状態であることを多くの人が悟ったと思う。 にもかかわらず、「世界一を真剣に目指す」と冗談とも、笑い話とも取れることを言った本田を笑いながらではなく、真剣に伝え、その結果、事情を知らない多くの日本人に、その気にさせてしまったという意味で、本田も、それを伝えたマスコミも、その罪はとても大きいと言える。 事実を事実としてきちんと伝え、その上で頑張りを期待するというのなら話はわかるが、事実をきちんと伝えず、根拠のない空想とも言える期待を抱かせてしまったのは、国民を愚弄した行動とさえ言える。何回も言っているが、アメリカとの無謀な戦争を「勝てる」というニュアンスで国民を煽った軍部と大手新聞と、今のマスコミは何も変わっていない。(理由があったコスタリカの強さ) 6月24日現在で、これまでの試合で最大の番狂わせと思われたのは、強豪のウルグアイとイタリアを破り、強豪がひしめき、死の組と言われたDグループで真っ先に決勝トーナメントへの出場を決めたコスタリカである。事前予想では、グループで最弱と多くの人が思ったチームである。 ところが、このコスタリカの頑張りは番狂わせではないと、先週末の新聞で書いたのは、ロンドン五輪で日本チームを率いて4位に入賞させた関塚元監督である。 関塚氏によれば、コスタリカは若手選手の育成に力を入れ、ユースの世界選手権で上位入賞を果たしていて、そのメンバーが今回のチームに多く含まれているといたので、フロックではないというのだ。 試合が終わって、それほど日を経ずにして、こうした話を書くということは、関塚氏自身は、事前にそれを知っていたということである。にもかかららず、事前報道がまったくなかったことである。 隣国韓国は、日本同様、日本敗退の見通しの戦いぶりである。 こうした事態になって、選手選びの段階から、海外組と国内組の選考で悶着があり、そのしこりがチーム作りで、統一感を持つことができなかった理由であると、韓国人のジャーナリストの人が書いている。 しかし、この韓国についても、日本のマスコミはこうしたことは伝えず、むしろ、監督が選手として活躍した「伝説の人」で、彼を中心にチームはまとまっていると報道していた。 本田の虚言を伝え、真の実力を伝えず、そして、肝心な他の国の情報を伝えなければ、国民が勘違いをしても仕方がないと言える。(いないチームのコントロールタワー) 日本が以前、ワールドカップで決勝トーナメントに進んだ時と今とを比べると、その差ははっきりしている。 日本が勝ち抜いた時には、中村俊輔や遠藤のように、チームに試合の上でのコントロールタワーがいて、彼らが全体を俯瞰してボールを回し、フォワードは細かいパス回しに加えて、高原や稲本などゴールに突っ込み点を取る選手がいた。 しかし、今の日本には、この試合を進める上でのコントロールタワーがいないのだ。 遠藤は年をとって、かつての動きが見られない。それ以上に、その能力や人望がないにもかかわらず、本田が自分が自分がという態度をとって、その役割をしようとしているために、ボールが他の選手に回らない。 本田が人望がなく、ビッグマウスでも、以前の切れがあれば、嫌々ながらでも、他の選手はそれなりに対応した。しかし、今の本田は、膝とバセドウ病の手術(かなり根拠のある噂だが)に加えて、所属チームで試合に出られないための試合勘の鈍りで、かつての輝きはなく、パスも自分のボールも簡単に相手選手に奪われている。 ゴールに突っ込む選手は岡崎や大久保など人はいる。しかし、肝心なボールが彼らに回らないし、守備などに力をそがれているので、ここぞというチャンスに動きに切れがなく、ゴールを割れないのである。 以前も書いたが、今の日本を立て直すためにしないといけないことは簡単で、監督をワールドカップでチームを率いた経験のある人に一刻も早く変えること、そして、まったく機能していなく、彼がいるためにチームの輪が乱れる原因である本田を代表から外すことである。 彼がいることのプラスとマイナスを比べれば、マイナスの方が遥かに多い。かつての中田英寿と同じように。中田はワールドカップの後、代表チームを去った。本田はどうするであろうか。 ザッケローニは欧州の有名チームの監督を務めた華やかな経歴を持つ。しかし、有能な選手が多く揃い、それをどう使うかという能力と、発展途上のチームを良いチームに育てあげるのでは、必要とする能力は違う。 トルシエ元監督がかつて、日本を予選リーグを勝ち上がるチームにしたのは、試合に勝つにはどうしたらよいかを考え、それを選手に徹底させ、自分の言うことを聞かなかった有名選手を代表に選ばなかったからである。(批評、辛口コメントを封じ込める悲しい風潮) ネットの書き込みを見て、非常に気になることがある。 それは、嘘とも言えるマスコミの盛大なPRを信じ、日本の躍進を信じた人が多いのか、日本チームの現状を書いたり、問題点を指摘する発言をバッシングする風潮があることである。 問題点の指摘や批評は文句やイチャモンとは違う。問題点を指摘し、より強くなるためにどうしたら良いかということを言うのは建設的なことである。でも、そうした書き込みがあると、「後ろ向きなことは言うな」「非難をしてどうなる」というような文句を言う人が本当に多いのは、恐ろしいことである。 政治家の田中真紀子が外務大臣を務めていた頃、彼女の人間として、また政治家としての問題点をテレビで評論家が言うと、テレビ局にその発言を非難するクレームの電話やメールが殺到するため、テレビ局は出演者は田中批判は控えるように言い、それに従わない人は番組に呼ばなくなったということがあったが、全く同じ行動である。 今の日本に一番大切なことは現在の実力をきちんと把握した上で、どうしたら世界で勝てるチームを作っていくかという戦略プランを立てることである。そのためには、現状をしっかり分析し、多くの批評を活かしたチーム作りをすることである。 残念ながら、個人の体力、個人の総合力では、有力国の有名選手には、日本の選手はかなわない。でも、勝つ方法はある。それはある部分で優れた能力を持った選手を集め、その良い点を活かせるチーム作りをすることである。 アメリカンフットボールで京都大学が優勝をし続けていた頃、監督に強さの秘訣を聞いたことがある。その時に、監督が言った言葉はとても参考になる。「選手一人一人の総合力ではスポーツ推薦で上がって来た他のチームの選手にはかなわない。だから、京大の選手には、自分の強い部分だけでチームに貢献することを求めた。足の速い選手はその能力を徹する仕事をしてもらったし、体力がある選手には徹底して守る仕事をしてもらった。この分業作業で、大学でスポーツを始めた人が多いチームを日本一のチームにした」 今の日本サッカーには、この発想が一番なのではないか。 明日、コロンビアとの試合がある。筆者が一番恐れることは、日本が善戦し、引き分けたり、間違って勝ってしまうことである。コロンビアは決勝トーナメントに進むことが既に決まっているので、後の試合に備えて、有力選手を温存してきたり、試合運びでも本気で戦ってこないことは、過去の試合でもよくあることである。 日本サッカー再建のためにも、コロンビアに本気になってもらい、日本が実力通りぼろ負けになることが大切だと筆者は考える。なまじ、善戦したり勝ったりすると、問題点の分析、改革が遠のいてしまう危険があるのだ。
2014.06.23
コメント(0)
(予想通り負けた日本) サッカーのワールドカップで、日本が予想通り、コートジボワールに負けた。 スポーツの世界では、イギリスのブックメーカーと言われる賭け屋がいて、世界中の人が賭けることができるようになっているが、この賭け率は非常に正確で、8~9割で当たる確率がある。当然である。世界中に人が大金を金を賭けているからである。 そのブックメーカーでの賭け率で、日本はコートジボワールに勝てないという結果が出ていて、結果は予想通りだったのである。世界ランクでも、自力でも日本はコートジボワールの格下だったのである。 にもかかわらず、事前に「日本が勝つ」と報道していた日本の新聞、テレビは、「予想外」というトーンで報道し、「次のギリシャ戦、コロンビア戦にはなんとしても勝つ」という話ばかりをしている。(事実を正確に伝えない日本のマスコミ) 日本のマスコミ、特にテレビは事実を事実として伝えず、国民に実態以上の期待を持たせ、結果が出て、がっかりさせるという戦争中の「大本営発表」のような報道を続けている。 これは今回のワールドカップに限らず、オリンピックなどでも毎回のことである。国民を煽り、そして、期待させ、がっかりさせるということを繰り返しているのである。 そして、事実を伝え、厳しいことを言う人間はテレビに出さず、景気の良い話をする人間だけを選んだ出し、かつ、彼らに「日本が負けるという話はしないでください」と注文をつけている。 「事前に厳しい話をすると、盛り上がらないから」というのがマスコミの人間の言い分である。 その結果、組み合わせが決まった時に、「予選リーグで敗退」を予想した週刊ポストには抗議が殺到したという。何も知らされない国民は期待だけしているので、現実を書くマスコミを許さないということとなったのだ。 でも、「景気の良い話をして、盛り上げよう」というマスコミの発想は違うと私は思う。事実を伝えれば、例え、6位入賞でも、「とても頑張った」という評価が出来るのに、入賞かどうかという選手を「金メダル有力」と報道するので、選手が頑張って入賞しても、国民は「なんだ」という反応になってしまう。国民だけでなく、選手にも気の毒な話である。 太平洋戦争では、実際は負け続けているにもかかわらず、朝日新聞を中心とする日本のマスコミは負けを正しく伝えず、悲惨な結果を招いたが、その教訓をまったく生かしていない。というか、その体質はあれだけの戦争の犠牲を招いたにもかかわらず、マスコミは何も変わっていないのだ。 (日本が負けた大きな理由は本田中心のチーム作り) 自力が劣る上に、ザッケローニ監督のチーム作りや、事前戦略で大きな3つのミスをおかした。1つのそして、最大の理由は本田中心のチーム作りをしたことである。 サッカーに興味があり、少し事情を知っている人間は、8年前の2006年のワールドカップのことを覚えている。 イタリアで活躍していた中田英寿中心のチーム作りで、事前のマスコミ予想では、ベスト4も夢ではないという雰囲気だったが、結果は予選リーグでの敗退である。絶望感から、試合を終わった後、中田がグランドに寝転んでしばらく起き上がらなかったシーンを覚えている人もいるだろう。 なぜ、そうなったか。理由は簡単である。ジーコ監督は選手の自由にさせ、中田が自分が中心と名乗り出て、他の選手に指導、命令するような態度に出て、その彼に多くの他のメンバーが反発し、相手チームと戦う前に、チームがバラバラで、敵と戦うどころではなかったのである。 今回のチームを見ていると、8年前とまったく同じである。本田一人が気持ちよくプレーをしているが、他のメンバーとのボールの交換も良くなく、ボールコントロールの中心にいる選手としてまったく機能していないのは、試合を見れば、一目瞭然である。 コートジボワールとの試合で本田が点を入れたので、マスコミは本田を持ち上げているが、あれは見ればわかるように、きちんとしたチームプレーで取った点ではなく、偶然取った点だったのだ。そして、チームプレー、チームの司令塔という意味では本田はまったく試合で冴えていない。 香川の出来が悪いとマスコミは書いているが、香川は本来、現在、本田がいる位置においてこそ輝く人間で、香川の出来を悪くしているのは本田だとさえ言えるのだ。 イタリアの名門チームでレギュラーで活躍する長友がコートジボワールの試合で冴えなかったのも、同じ理由からだと言える。 中田も本田も良く似ている。外国人には受けるが、日本人からは嫌われるタイプである。8年前のジーコ監督も、今回のザッケローニ監督も日本人のチームメートが嫌う選手を中心に据えてことで、チームは機能しなくなったのだ。(弱い相手ばかりだった事前の練習試合) ザッケローニの間違いはまだある。前回の岡田監督の時は、事前に強豪チームと練習試合を何回もして惨敗し、そこから、戦略を変えたことが功を奏して予選を勝ち抜いた。 だが、今回のザッケローニは弱い相手ばかりの練習試合を組んでいたので、その修正ができなかったのである。強いチームと練習試合をして惨敗し、軌道修正をし、強豪ロシアと対等の試合をして、引き分けた韓国と大きな違いである。 ザッケローニを監督に選んだ日本サッカー協会も、今回の不出来の大きな理由である。ザッケローニは欧州のクラブチームとしては名監督という評価があったが、ワールドカップの監督の経験がない。クラブの試合と国と国がぶつかり合うワールドカップは雰囲気も、戦略もまったく違う。そのワールドカップに経験のない人間を監督に選んで、ものの見事に失敗したのである。 日本人に人がいないなら別である。ユースチームを育てて結果を出している監督もいるし、2回もワールドカップの経験があり、実績もある岡田もいる。外国人でも、きちんと対応すれば、経験者が日本の監督になる可能性は結構あったのに、未経験のザッケローニを選んだのである。 コートジボワールでリードされたザッケローニは慌てて、選手が戸惑う采配をして、選手の自由を奪った。彼の罪は大きいと言える。だから、欧州のマスコミでは「ザッケローニ更迭か」という報道がすぐになされたのである。 8年前の時は、事前の期待が大きかっただけに、予選リーグでの敗退は、国民にショックで、サッカー熱は冷めて、日本サッカーはしばらく冬の時代を迎えた。今回もマスコミの煽りで盛り上がった国民にがっかり感だけが残り、サッカー熱が冷えることがないことを祈るのみである。(日本サッカー再建は本田外しから) 最後に、日本サッカー再建の方策を言えば、簡単である。 本田を日本代表チームから外すことである。外国では本田くらいの「ビッグマウス」はいくらでもいる。でも、日本人は違うのだ。特にチームプレーが要求されるサッカーでは、「腐ったリンゴ」は取り除かないといけないのだ。 日韓大会の時、韓国はワールドカップの監督経験豊富な名監督を、韓国チームの監督に招き、成績は日本を上回った。日本再建のためには、話題つくりの意味でも、同じくらいの名監督の招請が必要と言える。 そして、日本代表23人を選ぶ時のルールを作るべきだと思う。例えば、Jリーグの得点ランキングで、日本人として1位と2位を得た人間は、自動的に選ぶなどという誰もが納得するような規則を作るのだ。 欧州ではバックスでも、どれだけ相手の攻撃を防いだかという得点の仕方があり、ドイツ、シャルケでプレーしている内田はドイツのリーグでバックとして2位の評価を得たという。日本でも同じような点数の付け方をして、それで上位の2人は自動的に選ぶなどとすべきである。 勿論、右が得意、左が得意などの選手もいるし、監督の方針もあるから、23人全員を自動的に選ぶのは現実的ではない。ただ、10人くらいはそうした客観的なデータで選ぶべきである。 そうすれば、鳥栖の豊田などは23人に入っただろうし、大久保が選ばれて当然という話になる。チームプレーだけに、納得が重要なのだ。 そして、海外のチームにいる選手はレギュラーとして活躍している選手を優先するルールを作るべきである。前大会優勝で、今回も優勝の有力候補と言われたスペインが敗れた理由の1つに、所属チームでレギュラーでないGKのまずい守備がある。 その他の選手でも名選手でも、所属チームでレギュラーでない選手は、試合勘が鈍って、精彩を欠いていた人が多かった。 レギュラーでないということはそれだけハンディなのであり、選手の側も名声だけでトップチームに移籍して。、レギュラーが取れないという愚を繰り返さないことになるだろう。
2014.06.19
コメント(0)
全5件 (5件中 1-5件目)
1