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Nova(1)大森望編「NOVA1」河出文庫オリジナルの日本SFアンソロジー。●北野勇作「社員たち」得意先から帰ってきたら、会社が地中深くに沈んでいたとぼけた味の落語っぽい話。冒頭に置くにはちょうどいい軽さ。★★★●小林泰三「忘却の侵略」「冷静に観察すればわかることだ。姿なき侵略者の攻撃は始まっている」作者お得意の「シュレディンガーの猫」もの。「記憶に残らない侵略者」というアイデアがなんといっても秀逸で怖い。それと「波動関数の収縮」ネタをうまく結びつけて、シュールな青春SFに仕上げている。★★★★●藤田雅矢「エンゼルフレンチ」ひとり深宇宙に旅立ったあなたと、もっとミスドでおしゃべりしてたくて「夜のオデッセイ」風の深宇宙探査船テーマに、人格コピーのアイデアと、「終りなき戦い」風の壮大な時空を股にかけたラブストーリーを結合させ、ブラッドベリ的な絶妙なセンチメンタリズムで仕上げた絶品。★★★★★●山本弘「七歩跳んだ男」その男は死んでいた。初の月面殺人事件か? 本格SF的と学会的本格ミステリ開幕月面を舞台にした「逆密室」殺人事件を扱い、真っ向勝負の本格ミステリに仕上げた傑作。直球勝負の本格ミステリのコアに本格SF的思考が不可分に結びつき、かつ、と学会の研究成果が盛り込まれた作者ならではの作品になってる。シリーズ化希望。★★★★●田中啓文「ガラスの地球を救え!」……なにもかも、みな懐かしい……SFを愛する者たちすべての魂に捧ぐファーストコンタクト(宇宙戦争)ものに手塚治虫をからめた、作者お得意のドタバタギャグ小説。少々ふざけすぎであまり好みではないが、普通に面白い。★★★1/2●田中哲弥「隣人」家庭を襲い胃を満たし脳に染み入るこの臭い……恐ろしい非常識が越してきた「迷惑な隣人」ものの不条理ファンタジーに始まり、次第にグロテスクで異様なエイリアンもの風のホラーにエスカレートして行く話。文体がちょっと筒井っぽ過ぎるのが個人的に好きではないが、まあ普通に面白い。★★★●斉藤直子「ゴルコンダ」先輩の奥さん、めちゃめちゃ美人さんだし、こんな状況なら憧れの花びら大回転ですよ不幸の手紙の書き間違いで嫁が28人に増えるというドタバタ喜劇だが、後半のロジカルな展開が言語SF的で面白い。★★★1/2●牧野修「黎明コンビニ血祭り実話SP」戦え! 対既知外生命体殲滅部隊ジューシーフルーツ!!テキストの解読と書き換えによって人類を既知外人類から守る秘密戦隊を扱った、形而上的なドタバタ言語SF。隊員視点からの「人間のテキスト解読」の描写が抜群にシュールですごいし、支離滅裂な解読テキスト、上書きや脚注による攻撃など細かいネタも笑える。ただし、オチが若干投げやりなのが残念。★★★★1/2●円城塔「Beaver Weaver」海狸(ビーバー)の紡ぎ出す無限の宇宙のあの過去と、いつかまた必ず出会う様々な公理系を貪欲に飲み込んでは整除しなおす「ビーバー」について夢見る男の話。自同律多用の論理ギャグ文体で、過度の論理欲求を抱く男の内面、夢世界を例によってだらだらと羅列している。しかし、結局はこの男の私小説的な日常描写に収斂するのがこの作者らしい。★★★●飛浩隆「自生の夢」七十三人を死に追いやった稀代の殺人者が、かの怪物を滅ぼすために、いま、召還される。メタフィクションのスタイルで、Googleを思わせる自動検索システムによる言語空間の大規模な組織化の進行(一種のシンギュラリティものとも見ることができる)と、その中における「言語の癌、ウイルス」とでも言うべき「忌字禍」の蔓延との対立状況を描き、言語が世界を埋め尽くそうとすればするほど、逆説的に存在が明確化していくカオス、言語・論理で語りえぬ余剰の存在を浮き彫りにして、老荘思想的な不可知論の領域にまで踏み込んだ、形而上的な言語哲学SFの力作。「言葉で人を自殺に追い込む能力者」は表面的には伊藤計劃の「虐殺器官」の虐殺言語と類似するが、そのメカニズムはまったく似て非なるものである。★★★★1/2●伊藤計劃「屍者の帝国」わたしの名はジョン・H・ワトソン。軍医兼フランケンシュタイン技術者の卵だ。――圧巻の絶筆、特別収録SFマガジンで既読。冒頭のみのため評価は控えるが、続きが書かれていたら傑作になっていただろうと思われる。総じて、粒ぞろいの作品集でした。創元文庫の年刊アンソロジーのように既に書かれたものの再録ではなく、編者の注文と厳しい推敲をくぐり抜けてコントロールされた作品群だけに、「SF」としての核(=科学性、論理性)をしっかり持った作品が多く、より読み応えがあった。
2009.12.20
ついでにPS3本体も大幅値下げしている。これはさすがに買わないとな。
2009.12.17
作SF再録○「凍った旅」 フィリップ・K・ディック ★★★移民宇宙船で冷凍睡眠装置の不具合により覚醒状態になった男の気を紛らすため、船のコンピュータが男の記憶を呼び起こすと、様々なトラウマ体験が明らかになるという話。普通レベル。○「明日も明日もその明日も」 カート・ヴォネガット ★★★★1/2不老薬が開発され、超過密社会となった未来の大家族の物語。爺ちゃまが最強すぎて笑った。ベタなギャグ小説だが、めちゃくちゃ面白い。○「昔には帰れない」 R・A・ラファティ ★★★★月と称される巨大な岩が地上に散在し、笛を吹くと浮き上がる未来。この岩の上には町がある。子供の頃、竪穴を通ってこの月を探検した子供たちが成人後、「あれは本当に月だったのか?」と疑問を抱き、ヘリコプターで再び探検に赴く話。こうストーリーを紹介するともっともらしいが、実際に読んでみると、作者らしく相当に「ヘンな話」である。ファンタジーのようにも読めるしSFのようにも読める、人物の言動といい、この異常な舞台設定の情景描写といい、予測どおりに進むものがほとんどない。教訓のようにオチで記される「昔には帰れない」というせりふにも、いったいそれがどういう教訓になるのかさっぱり見当がつかないナンセンスさである。「想像領域拡張性」という点から見るなら、ラファティ作品というのは相当にポイントが高い。○「いっしょに生きよう」 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア ★★★★★名作。他の生物に入り込み、共生関係を作っている生物と人類が接触する。転落死した隊員の脳に生物が入り込み、生き返らせることで共生関係が成立。隊員たちは恩返しに、この生物を故郷へ返してやるため奮闘する。圧倒的な孤独と異質なものとの共感へのあくなき欲求という作者の真骨頂が表れている。前向きなエンディングがとてもさわやかである。○「記憶屋ジョニイ」 ウィリアム・ギブスン「クローム襲撃」で既読のため省略。
2009.12.15
SFマガジン2010年1月号50周年記念号2500円を図書カードで購入。○「息吹」 テッド・チャン★★★★★さすがですね。100%仮定で構築された世界での理詰めの真理探究談。空気の詰まった肺を毎日交換する機械的構造の生物が、意識の謎を探究するため自らの脳を解剖し、恐るべきエントロピー宇宙の真理を悟る。機械生物の身体構造が珍妙かつ精巧で面白いし、意識の本質、エントロピーに関する比喩的舞台設定を駆使した思弁は深く、読み応えがある。エンディングも決まっている。SF以外の手法では表現し得ない独創的な作品。○「クリスタルの夜」 グレッグ・イーガン★★★イーガンはどうもマンネリ化の兆しが見える。コンピュータ上でAIを進化させ、彼らに移住先の新宇宙生成の研究をさせる話。AIたちが新宇宙を製造する過程の科学的ディテール説明にイーガンならではの科学知識が生かされているところにオリジナリティはあるが、ストーリー展開もキャラクター設定もどこかで見たようなものでいささか退屈に感じた。○「スカウトの名誉」 テリー・ビッスン★★★★1/2これは面白い。ホモサピエンスとネアンデルターレンシスの遭遇ネタを、時間ループのアイデアと絡め、なおかつ、電子メールという身近なメディア、孤独癖のあるヒロインという親しみやすい主人公と組み合わせて、ミステリアスに話を進行し、綺麗なオチへと収斂させている。物語作者としては断然イーガンよりも上だろう。○「風来」 ジーン・ウルフ★★★★★資源が枯渇し衰退した未来の人類の下へ、「風来」と呼ばれる姿を自在に消せる種族が現れる。彼らへの憎悪から、人類は互いに裏切りものを焚刑に処するようになる。ある孤独な少年が風来の子と接触したことから、彼の祖母が刑に処せられることになるが──という話。オースン・スコット・カードを思わせる繊細な少年心理の描写、叙情味がすばらしい。SF的な仮設の設定をくどくど説明せずさらっと断片的に言及するにとどめることで、かえって作品世界の日常的リアリティが感じられるし、途中の展開からオチにいたるまでの物語構成も実に手練れている。名作といっていい。この作品を読んでいる間、SFを読む快楽の本質について考えていた。本を読む快楽の本質は、私の場合「想像できない物を想像できる物に変える」ところにあると感じている。そして私が特にSFというジャンルに面白さを感じるのは、まさにこの「想像できないものが想像できる物に変わったという実感、驚き」が、SFというジャンルの作品において顕著に強いがゆえである。この観点から、上記4編をみてみる。テッド・チャンの作品は、完全に想像だけで構築した環境の中での科学的思弁を展開しているという点で、まさに私が読書に求める上記快楽の本質そのものを提供してくれる典型的作品だ。次のイーガンも本来の作風は同様であるのだが、上記作品に限っていうなら、「既存の作品の焼き直し」の域を出ず、要するにそこで提供されている意味体系の中に私が個人的に「想像できない物」が何一つ含まれていないがゆえに、今ひとつつまらなく感じたのである。次のビッスンの作品は、「ネアンデルタール人とホモサピエンスの邂逅」という場面が私個人の知識の範囲では「想像困難なもの」にあたる(ただし、ゴールディング「後継者たち」を既読なので「想像不可能」とまではいえない)し、電子メール・タイムループといった素材は「想像可能なもの」であるが、それとネアンデルタール人の話との結び付け方、あるいは謎解きの過程における情報の小出しの仕方がよく工夫されていて、このような展開での物語進行は、私個人の力だけでは容易に想像し得ないものであるから、面白く感じた。ウルフ作品に関して言えば、衰退した未来と新人類という素材自体は陳腐であり、「想像困難なもの」ではない。登場人物のキャラクターや心理の動きなども特異なものではない。ではなぜこの作品を面白く感じたのだろう? 第一には、「登場人物のキャラクターや心理」がむしろ「想像しやすい」がゆえに親しみやすいものであることから来る、感情・情緒レベルの移入による快感である。これは、「想像できない物を想像できるようにする快楽」とはまったく別種の、世間ではより一般的な(人気のある)タイプの快楽だ(この快楽は、ビッスン作品における主人公の造形においても作用している)。では、「想像領域拡張的快楽」がないのかといえば、そんなことはない。「風来」と呼ばれる新人類の謎めいた描写、主人公の犯した不文律違反によって祖母が処刑され、ある結末に至るまでの意外性を含む物語展開、この2点に「想像領域拡張的快楽」があると思う。要するに、快楽には、知的快楽と情的快楽とがある。想像領域拡張的快楽とは、知的快楽のほうを指し、ある意味体系の有する快楽は、知的快楽と情的快楽との相乗によって決せられる、ということが分かった。SFにおいては通常前者の比重が高い作品が多く、またそれがSFの独創性でもあるわけだが、必ずしもすべての作品が知的快楽のみを重視するわけではない。上記分析によるとウルフ作品のように情的快楽重視の作品もSFジャンルにおいては傑作として成立しうるのである(とはいえ、ウルフはどちらかというと、物語構成技術上の知的快楽依存型の作風であるが)。対して、知的快楽と情的快楽の両方とも提供できずに終わると、イーガンの作品のような凡作に終わってしまうというわけだ。今後、作品の評価基準として、ある作品を「厳密に」評価する必要があるときには、「想像領域拡張性」と「情的快楽提供性」の2本柱で評価するようにしたいと思う。これによると例えばイーガン作品は、想像領域拡張性 ★★★情的快楽提供性 ★★程度が妥当であろう。ところで、「情的快楽提供性」もよく考えてみれば、一種の「想像領域拡張性」ではないだろうか。なぜならば、ある感情的イベントが快楽と感じられるためには、常に意外性、新鮮さが必要だからであり、もし仮にそれが物語素材の助けを借りなくとも自らの想像力だけで脳内再生産できる類の陳腐なものであるならば、おそらく情的快楽の提供性が弱いだろうからだ。つまり、われわれが自らの想像力だけでは想像困難な「感情的イヴェント」を提供して「想像可能なものに変える」という性質を、情的快楽提供性の強い作品のすべては当然に具備しているはずなのだ。そうすると結論的には、知的快楽も情的快楽も、最も広義における「想像領域拡張性」に止揚される、ということができるのではないだろうか? 例えばウルフ作品も、「登場人物が親しみやすい」としても、そこで発生する事件が陳腐なものであったとしたら、そこから得られる情的快楽は限定的なものにとどまるはずであって(陳腐であざとい「お涙頂戴もの」としか感じられない)、やはりそこで起こっている事件の異常さ、新奇さ(意表をつく物語展開)のあったればこそ、高い情的快楽が提供されていると考えられるのである。要するに、「想像領域を拡張」することを通じて「知的快楽または/および情的快楽を得る」こと。これが物語を読むなど、人が何らかの意味体系を摂取しようとする行為の動機なのではなかろうか?○「カクタス・ダンス」 シオドア・スタージョン ★★★★★サボテンに魅せられた植物学者が生態系の織り成す幻覚とおぼしき娘に魅了されていく話。メインの共生ネタが「人生における人と目標との共生関係」の隠喩にもなっていて、深みがある。サボテンの生えるアメリカ西部の風景の魅力、幻想的事象の妖しい美しさ、程よく俗物な登場人物の親しみやすさ、人生の本質に対する新しく深い洞察など、想像領域を拡張するファクターを多く含み、かつ、情緒喚起的である。名作といっていい。○「秘教の都」 ブルース・スターリング ★★トリノでの環境保護運動家魔術師の活躍話。魔法の設定が陳腐だし、環境保護運動という題材も食傷気味、主人公の思想に共感もできず、非常につまらんかった。○「ポータルズ・ノンストップ」 コニー・ウィリス ★★1/2観光バスツアーがジャック・ウィリアムスンの自宅周辺を名所として案内する話。内輪受けでつまらない。○《ドラコ亭夜話》 ラリイ・ニーヴン ★★★1/2玉石混交だが総じてまあまあ面白い。特に複数の所有格を使い分ける言語が戦争を遠ざけるという「言語と思考・思想との関係」をえぐった「文法のレッスン」は、言語が思考や文化に影響を与えないと言い張る西洋の馬鹿言語学者どもに読ませてやりたい傑作。地球人類の戦争風習が極めて特異で珍しいものとしてエイリアンの好奇心の対象となり大人気を博するという風刺ものの「戦争映画」もすばらしい。この2編がずば抜けた傑作。○「フューリー」 アレステア・レナルズ ★★★何万年も生きながらえ、現在は巨大な鯨のような姿になっている皇帝と、彼に使えるロボット。ある日、皇帝が遠隔操作している人の形をした「代わり身」が銃撃される事件が起こる。護衛ロボットはその犯人を追って、廃墟となった火星の都市を訪れ、そこで兄弟のロボットと出会う。そして、太古の昔に皇帝が犯したある犯罪と、自分たちの起源を知る、という話。脳や身体の改変などのガジェット類が非常に面白いのに、ただの道具立てとしてとしか使っていないのが作者らしい。メインのストーリー自体はややありきたりでイマイチ。それとラスト、皇帝が銃弾を割って泣き出した理由が不明。再読してみないと。○「ウィケッドの物語」 ジョン・スコルジー ★★1/2戦艦同士の闘いを、船のAIが調停するという話。機械知性に対する捉え方が素朴で古臭いし、話もありきたりでつまらなく、飛ばし読みしてしまった。○「第六ポンプ」 パオロ・バチガルピ ★★★1/2環境汚染によって多くの人類が「トログ」と呼ばれる白痴と化してしまった近未来を舞台にした、汚水処理員の話。問題解決しようとして大学を訪れた主人公が目にする大学生の惨状は圧巻。「トログ」というショッキングな素材はとてもいいのだが、ストーリーがやや淡々としすぎていて、オチらしいオチもついていないのが残念。この続きこそが面白そうなのに。○「炎のミューズ」 ダン・シモンズ ★★★★グノーシス神学的な宇宙を舞台に、シェイクスピア巡業劇団が、人類の進化能力を証明するため神々の前で4大悲劇を演じる話。ディテール描写が魅力的だし、ミッションクリア物の定石にのっとったストーリー展開も普通に面白い。最終試験のロミジュリで主人公と女が本当にセックスしてしまうというくだりは笑った。2段組90ページという長さだが、物足りなくて続きを読みたいほど。さすが物語巧者。名
2009.12.15
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ラナークアラスター・グレイ「ラナーク」冗長でつまらない。途中から斜め読み。間の回想風の2章がつまらないため斜め読みし、最後の章に入ったところで「そのまま斜め読みで済ませ楽をする」か「普通に読むモードに戻す」かで迷っている。そして、このクオリアは前に確かに経験したことがあるが、デジャヴュかと思いつつ、そんなはずはない、ほかの本で実際にそういうことがあったというだけだろう、なぜなら俺の思考回路はパターン化されているからだ、と思い直す。***読了、最後まで面白くならなかった。あからさまなメタフィクション構成が陳腐だし、とにかく無駄に詰め込まれた膨大なディテール描写に魅力がない。3,1,2,4章という順番に構成されていて、1,2章が作者自身の生い立ちをもとにした半分自伝的な小説、3,4章が、その主人公のその後、という設定での、ラナークという人物が奇妙な世界で遍歴を重ね、妻子を得て市長となり、時を超え、老いて死ぬまでを描くSFファンタジー的な内容になっていて、全体がメタフィクションとなり、作品終盤で「この物語の作者」が登場するという構成。だが、メタフィクション性は序盤である程度ネタバレしていて意外性がなく「やっぱりか」という感じだし、まったく新しさを感じない。そして序盤からメタフィクション性がにじみ出ているのが災いして、話の内容に素直に没入する気になれないし、ストーリー展開もグダグダで、退屈そのものである。3,4章の世界設定やグロテスクな描写(巨大な口が出てきて、その中に飛び込むなど)、SF的なアイデア(暦のない地帯という設定など)に若干、魅かれるものもあるものの、それがストーリーにまったく生かされず、退屈なグダグダストーリーの中にうずもれてしまっている。はじめは1,2章と3,4章を別の作品にしたらどうかと編集者に勧められたそうだが、まったく同感である。どうしてもこの構成にするのならもっと無駄を省いて半分ぐらいの長さにすべきだったと思う。ただし、オリジナリティは感じるので、最大限甘く採点し、4/10点とする。
2009.12.07
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