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えー、太陽が発した強烈な光は、149,600,000kmの距離をおよそ8分かかって地球へ到着する。地球から見れば太陽は点のようだが、実際は地球の直径が12,756kmで太陽の直径が1,400,000kmであるから、直径にして約110倍太陽の方が大きい。地球よりも大きな面積を持つ光が地球へ届くわけだから、この光は平行に当たると言ってもよいだろう。平行光なので、僕ら人間が通常に移動するぐらいの距離で一定の時間帯では、光量はどこでも同じであると考えられる。
地球は球体であるため、正午の時の太陽の位置は緯度によって違って見える。地球上では正午が1番太陽に近い。しかしながら高度が落ちれば太陽との距離が変化して光量が変わる。つまりアラスカの正午の太陽の位置とケニアの夕方の太陽の位置では、やっぱり球体であるため太陽からの光量は同じになる。(注:理屈で考えているだけである。快晴で赤道直下とアンカレッジでは同じ日の正午だとしても露出が異なると思うんだけど、調べようがないな。)
何を言いたいのかというと、地球上のどこでも太陽から降り注ぐ光の強さは、高度が同じであれば量が同じになるはずであり、太陽光で撮影する上で太陽の位置と露出は密接な関係があるといえる。そのことを写真の露出的、センシトメトリー的に考えると、「フィルムの感度特性上、快晴時日中の露出はフィルムの感度分のF16になる」ということがいえる。フィルムのパッケージにも露出の目安としてこのポイントを基準にケースバイケースを書いてあるくらいだ。
ということで、人間は感覚と経験で露出を算出することができる。つまり「フィルム感度分の1というシャッタースピードと快晴の正午前後はF16になる」を基準に、例えばISO100のフィルムならヤッタースピードが1/100秒で快晴ならF16になって、日陰や明るい曇りは2段落ちのF8になって、曇りや日のある夕方は3段落ちでF5.6になって、明るい室内なら5段落ちでF2.8になるというお約束だ。
これであれば、万が一露出計が壊れても、あるいは古い露出計を搭載していないカメラを使っていても、感覚として適正露出が得られるという寸法だ。よく言われる「人間露出計」というやつだ。逆にいうと「露出を計る」という呪縛から外れてスナップをすると、なんとも爽快感を得られてしまう。
確かにすごい。すごいが、大口径開放撮影が好きな自分には非常にめんどくさい換算が必要になる。ええっと、ISO50で快晴だと、シャッタースピードが1/60秒でF16だ。F1.4で撮影したいから、ひぃふぅみぃ・・・。ああぁ、被写体が逃げる!
そこで快晴時の露出であるフィルム感度分のF16を基準に、人間露出計の基準は見つからないだろうかとを表にしてみた。
うーむ。F1.4とかF1.2とかF1.0だとカメラとしてはあり得ないシャッタースピードになってしまう。ライカであればマックススピードは1/1000秒だ。レンジファインダーの中で最速を誇るヘキサーRFにしても1/4000秒だ。キヤノンF-1などの80年代前半あたりまでの一眼レフでも1/2000秒程度。最高の技術が投入されていると思っているキヤノンEOS-1vにしても1/8000秒。先日教えていただいた銀塩一眼レフ最速のα-9にして1/12000秒だ。
念のため書いておこう。1部コダックからISO64、ISO125という算出が楽々なフィルムがあるが、やや一般的ではない。主なフィルム感度はISO50、ISO100、ISO400である。正直感度をそのままシャッタースピードの分母にしてしまうと、現在のシャッタースピードの段階基準で選択すると、1/3アンダー露出を選ばざるを得ない。まぁ、1/3ならボジでもネガでもラチチュードに助けられる範囲であるとは言える。従って表の右側のシャッタースピードを主に考えてもあながち外したりはしないはずだ。と思っておこう。第一に前提として、絞り値を固定した撮影をしようというのだから、通常のカメラでは中間シャッターなどという選択はできない。ライカはできるらしいがやったことはない。
さて、表をしばらく眺めてハッと気がついた。
ISO50であれば、1/500秒でF5.6
ISO100であれば、1/1000秒でF5.6
ISO400であれば、1/4000秒でF5.6
ライカであれば、ISO100のF5.6で使う1/1000秒ならギリギリの最速シャッターだ。しかもF5.6基準換算ならば室内で5段落ちしても、1/30秒でF5.6となり手持ち撮影可能だ。低速シャッターがいやならば、1/1000秒でF1.0だ。ただしノクチルックスは持っていないので、1/500秒でF1.4だ。F16から指折り数えてシャッタースピードを算出するよりも、絞りの中心的数値であるF5.6から考えた方が使いやすいのではないだろうか。
相変わらず開放撮影が好きであるが、スナイプ感覚のスナップも好きだ。むしろ以前は少し絞った写真が好きだった。しかしながらその時はやっぱり自分らしく、 偏愛していた絞り
があった。
それは F5.6
だった。
一眼レフはコンタックスRTSを主に使っていたので、絞り優先AEしか無かったということもある。ちなみにシャッタースピード優先主義のキヤノンNEW F-1も持っていたが絞り優先ができるAEファインダーを付けていた。
F5.6撮影が好きだった理由は簡単で、レンズの1番美味しい能力がアップするのはたいていF5.6であること。ボートレート撮影の場合は、中距離で眼にピントを合わせた場合に鼻から耳程度までピントがくること。街中スナップをしていると主題中心にピントが合い遠景も形を残しながらボケること。まぁ、最後の理由はアンリ・カルティェ=ブレッソンの受け売りであるが。
そうだ。 F5.6というのは好きな絞り
なのだ。
ならば僕は写真の神様から授かった魔法の呪文のように唱えよう。
感度10倍分の5.6と。
追伸
んじゃ、大口径開放撮影はどーすんの?
約60倍面積のフィルム 2011.02.01 コメント(5)
感動をすること 2011.01.28