PR
Calendar
Category
Free Space
Comments
Freepage List
Keyword Search
えー、フィルター話が続いています。写真をアップしていないのは、ネタ不足なだけです(汗)。
さて、エンゾ~さんから 「ゼラチンフィルターってほんとにゼラチンなんですか?」
と質問されたときに思い出したネタを蔵出しします。
ニューヨークで生活していたときのことです。ある撮影をするためにはゼラチンフィルターが必要になりました。そこでフィルムと一緒に買うべく、 アドラマ
へ行きました。
ニューヨークには有名な写真機材屋さんがいくつもあります。アドラマ、B&H、47thストリートフォト、カルメットなどなど。そのほとんどは「ユダヤ人」が経営しています。世界中の経済はユダヤ人が握っている、お金持ちはユダヤ人と言っても過言ではなく、弁護士、医者、ダイヤモンド、そしてカメラなどの大きなお金が動く商売をやっているケースが非常に多いです。ユダヤ人の中で目立つのは「ジューイッシュ」いわゆる「敬虔なユダヤ教信者」さんたちです。彼らは山高帽に長いもみあげをカールにして真夏であろうと燕尾服のような黒い三揃えにコートという民族衣装の出で立ちで生活しています。もちろん生活感も宗教と共にあります。ちなみに一般的な日曜日が休日ではなく、安息日という金曜日午後から土曜日まで労働が禁じられているので、商売の人は閉店しています。
世界で一番有名な写真機材屋さんといえば B&H
でしょうが、何となく殺伐とした店内(現在の住所へ移動前)がイヤで、僕はアドラマを利用していました。
さて、アドラマへ到着し、割と顔見知りのマイクという店員に声をかけました。
「今日は何が必要かい?」
「フィルムとフィルターなんだ。コダックのラッテン・ゲル・フィルターが欲しいんだ。80Cと・・・」
「ちょっと待った。申し訳ない。うちではゲル・フィルターを扱っていないんだ」
「え?どーゆーことだ?」
「私たちはジューイッシュ。豚関係は扱わないのさ。ゼラチンは豚からできているだろう。だから私たちが売っているのはフジのトリアセテート・フィルターだけなんだ」
「はぁ?」
呆れて 開いた口がふさがらない
状態でした。
欲しかったのは色温度変換フィルターです。ならばあきらめてフジのフィルターを買えば良いのですが、買い物メモにはコダックのフィルター数値しか書いてありません。住んでいるのはアメリカ。参考書などの表記は全てコダック方式です。フジは理解しやすい数値を表記しているんですが、コダックは実にわかりにくいんです。したがってメモを見ただけではどれがどのフジ製品の同等品番になるかわかりません。また店員にもその手の知識は無く、「◎◎をくれ」と言わないと出てきません。
仕方がないので、店を出ました。そして同じくユダヤ人経営のB&Hへ行ってみることにしました。なんとなくジューイッシュの対応が知りたくなったのです。
「コダックのラッテン・ゲル・フィルターはあるかい?」
「あるよ。何番が必要だ?」
「あるのか?なぜだ?ジューイッシュは豚関係を扱わないと聞いたぞ」
「うむ。そーゆー店もあるだろうな。私たちのボスは、商売と宗教は別、と考えているのだ。だから売れるのだからゲル・フィルターだって売る」
「へー。商売と宗教は別に考えている割りに土曜日閉店するじゃないか(笑)。土曜日にフィルムが必要な時だってあるぞ」
「商売と宗教は別ではあるが、生活習慣は変えられないのだ。安息日には休まなければならないのだ」
となんだか煙に巻かれたようなやりとりをしました。
僕は宗教を肯定も否定もしません。信じる人たちが信じていればいいと考えていますが、ホント同じ商売でこの違いは何よ、と思いました。世界は広い、人種のるつぼ、千差万別、信じるモノは救われる、とニューヨークで感じた話でした。
ちなみにその日の晩ご飯は、ポークソテーにしました(笑)。
約60倍面積のフィルム 2011.02.01 コメント(5)
感動をすること 2011.01.28