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東京駅が開業百周年だという。その間、戦災を受けて潰滅状態になったことがあるが、新しく建て直したいまの東京駅は、世界の大都市の駅舎と比べても見劣りしない。いや世界一かもしれない。私はこの東京駅が戦災を受けて、オンボロ駅舎になった当時を知っている。空襲でドームが焼け落ち、鉄骨の間から空がまる見えになっていた。いまから約70年前のことだが、そのときはもう東京駅の復興など、専門家以外は誰も考えていなかったろう。それほどひどくやられてしまった。これに対して、新宿駅は戦後すごい勢いで発展したものだった。もちろん大空襲によって大きな被害を受けたが、この辺は地盤が強いため、関東大震災でも助かったくらいの土地なのだ。敗戦の翌日からいまの西口広場に闇市が立ち並び、金さえあれば何でも手に入る有様だった。私は高校生の頃この闇市をさまよい、食べものを手に入れたが、恐らくそんな経験をもっている人は、もうほとんどいないだろう。この新宿駅が、東京駅より歴史がはるかに古いことを知る人は少ないに違いない。新宿は、来年2015年が開駅130周年となる。あの闇市時代を思うと、いまの近代的副都心になったのが、信じられないくらいだ。1つ面白い話をすれば敗戦後の警察は、新宿と六本木の街をやくざ、暴力団に頼って復興したのだ。その後世間が落ち着ついてきたので、暴力団追放に踏み切ったが、これで彼らが怒ってしまった。いまでもこの2つの繁華街が、警察の手に負えないのは、こういう事情があるからなのだ。
2014/12/27
「年収2000万円超の違いがわかる皆様へ」というキャッチフレーズで、熊本市のレストランが「日本一高いというローストビーフ」をネット上で販売しはじめた。「貧乏人お断り」「NO.1の自信あり」と、過激なサイトだが、果してこんなキャッチで売れるのか? 実際の値段は500グラム3万3480円だそうだが、いまのところ、いたずらばかりで、まったく売れていないという。それはそうだろう。本当の富裕層は、こんな下品なキャッチを使う店のものを買うわけがない。それに、これまで100年の歴史があるとか、星のつく店だとか、なにか信頼性を証明するものがなければ、この店主自身が貧乏人だと思われてしまう。おまけにこの店はふだんは、1000円ランチを出しているという。店主のいい分は「化学調味料や添加物を一切使わない、阿蘇産の赤牛で24時間じっくり作る」ので、年収2000万円以上の人なら、その味がわかるのではないか、というのだ。しかしこのいい分は矛盾している。店で出す1000円ランチは、まさに科学調味料や添加物でつくられているからだ。それを毎日客に出している店主に、無添加食品を語る資格はない。いずれ炎上するか、やめるか、どちらかだろう。かつて「貧乏人は麦飯を食え」といって大蔵大臣の椅子を棒にふった池田勇人という政治家がいた。これは経済的に見ると、理に叶っている。また麦飯は白米より消化がよく、安い上に、とろろ飯に最高だ。近頃では、麦飯の価値は上昇中だ。池田はその後総理大臣となり、日本経済を上昇させた業績があるが、この熊本の店主には、理由のない自信が出ていて見苦しい。ネットでは何をいってもいいが、こういう収入差で区別するような考えは、あまり賛成したくない。阿蘇の赤牛も迷惑なのではあるまいか?
2014/12/19
10月9日からスタートしたテレ朝「Doctor-X」の視聴率がすごい。「群れを嫌い、束縛を嫌い、専門のライセンスと叩き上げのスキルだけが彼女の武器」という大門未知子なる女医が主人公だが、多くの視聴者は、こういう女医がいないかという期待感があるからこそ、見てしまうのだろう。このところ、次々と8人も死亡させた群馬大病院がクローズアップされたが、この病院は06年にも、生体肝移植を受けた患者9人のうち6人が死亡するという事故を起こしている。しかしどの病院も、実際は似たり寄ったりだという。それは、実力もないのに、難しい手術をやりたがる医師がいる一方、若手の研修と称して、手術を任せる教授クラスがいるからだという。難手術を成功させたら、医師としての名が高まるし、以後の地位が上がっていく。また教授クラスは忙しいので、若手に任せなければ、眠るヒマもないというのだ。それだけ患者が激増していることはたしかだ。なにしろ高齢者がふえつづけている一方なのだ。それにしても、医師や弁護士にクラス分けはできないものだろうか? ふつうの会社であれば、部長なのか課長なのかヒラなのかで、実力がわかる。建築士でも一級、二級、木造建築士に分かれている。ところが医師と弁護士には、それがない。恐らく、担当医師、執刀医師に「どの医大出身ですか?」と聞く勇気のある患者はいないのではあるまいか? 「週刊現代」によると手術中「あ、やっちゃった」と、あわてて他の医師に助けを求める医師もいるという。9割がそんなクラスなのではあるまいか?医師も弁護士も事故をなくすためには、少なくともどの大学を出て、国家試験で何人中何位だったのか、経験は何年なのかを、患者が知る機会を与えることが大事だ。こういうことこそ「知る権利」なのだ。しかしそれは夢のまた夢だろうなァ。
2014/12/12
いまの時代相を一言でいうと「卑怯な時代」だという。朝日新聞の問題だけでないが、詫びるにしても、責任をとるにしても、なんとなくトップにいさぎよさがない。責任をとったのか、とらなかったのか、はっきりと見えてこないのだ。日産のゴーン体制も似ている。今年の日産は、自動車業界で1人負けの様相を呈しているが、自分は辞めないで、会長を副会長に落として、責任を回避している。帝王ゴーンだけに、社内ではそれで済むだろうが、一般の日本人には、部下に責任を押しつける卑怯な男と映るだろう。上が卑怯なら下も卑怯になって当然だ。このところ警察官僚、マスコミ界、教師、医師などで、女性や子どもたちに対しセクハラを行なう人たちがふえている。自分より弱い相手に対して暴力、暴行をふるう、まさに卑怯な連中だが、これら卑劣な人たちはふえる一方だ。これでは日本人全体が卑怯になって当然ではあるまいか? いまから44年前の11月25日、作家の三島由紀夫は、そんな日本を憂うる気持ちを爆発させて、市ヶ谷の自衛隊で割腹自殺している。この三島の予見はまさに当たってしまった。しかしそうなるのは仕方がないのかもしれない。ネット時代というものは「人の情報を盗む」ことが前提となる。これにより「盗む」という行為は、それほど悪いことだと思わなくなってしまうのだ。ネット上で他人の情報を盗む卑怯な人々がふえればふえるほど、現実の世界でも卑怯なふるまいがふえてしまう。これを少なくすることは相当むずかしそうだ。心理学者は「人に認められたい思いが強まるほど、卑怯なふるまいがふえてくる」と分析する。近頃は「逃げる」という言葉がキーワードになってきた。逃げることを肯定的にとらえると、いくらでも卑怯になれる。そんな男たちがふえてきた現在は、女性には受難な時代なのかもしれない。また恋人のいない男たちが70%近くに達していることは、卑怯な男などいらないという、女性の声なのではあるまいか。
2014/12/05
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