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2008.01.27
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テーマ: いい言葉(574)
カテゴリ: 文学・芸術
▼フランスの薔薇(マラルメ3)


第四節 
それからあなたは、ユリの花のすすり泣く白さを創出した。
それは、ため息の海原の上を転がりながら、
青ざめた水平線の青い香りをかすめるように横切って、
涙流す月に向かって夢見るように昇っていく!

「ユリの花のすすり泣く白さ」というのも、感覚的で美しい表現ですね。色がすすり泣いたり、海原がため息をついたり、香りが青かったりする独特の世界が展開しています。五感が完全に「行っちゃって」ますね(笑)。青い香りとは、アヘンの煙ではないかと思ってしまいます。

相変わらず綺麗なイメージが続いていますが、第四節では「ため息」「涙」「青ざめた」など前節までの「美しい花々」とともに、苦悩も創造されたことが強調されているように思います。解き放たれたパンドラの箱からは、あらゆる災いが飛び出し、最後に「希望」が残ったとされていますが、マラルメの聖杯からは、あるゆる美のほかに苦悩も飛び出したようですね。

ここで訂正です。「かすめるように横切って」としましたが、「かすめる」はその前の行の「転がりながら」にかけるほうが正しいようです。訂正後は次のようになります。


青ざめた水平線の青い香りを横切って、

「それ」とは、具体的には「白さ」のことです。なぜ「qui(英語のwho, whichの相当)」の直前の「lys(ユリの複数形)」ではないかというと、qui以下の節の動詞(monter)が三人称単数形になっているからですね。三人称単数はここではla blancheur(白さ)しかないわけです。「白さ」は女性名詞ですから、次の行のelle(彼女)も白さを指していることがわかります。フランス語では、すべての名詞に性別があるんですね。実に面白い言語感覚です。

第五節
シターン(楽器)に、そして吊り香炉の中に栄光があれ、
聖母よ、われらが地獄の辺境に築かれた庭園に栄光あれ!
そして、天上界の夕べにまで響くこだまとなれ、
眼差しの恍惚、後光のきらめきよ!

ここでようやく、「あなた」の正体が明かされます。それがNotre Dame(ノートルダム)、聖母マリアです。第五節では、ほかにも宗教的な言葉がたくさん出てきます。Hosannahはヘブライ語から来ているカトリック用語で、賛美したり救いを求めたりするときに使う祈りの言葉です。シターンという16,17世紀に用いられた弦楽器や、吊り香炉も宗教的色彩の強い道具です。limbesは神学用語で、旧約聖書時代の善人がキリストの降臨まで留まる冥府、つまり天国でも地獄でもない霊界みたいなところでしょうか。カトリック的には「地獄の辺境」となります。

次の節でも、宗教によりエクスタシーが得られたような描写が続きます。

第六節
ああ、母よ。あなたは正しく強い胎内に、

香り立つ死とともに大いなる花々を使わして
未来の小瓶をそっと揺らす聖杯を創造したのだ。

この最後の節も少し訂正させていただきました。最初「聖母」「胸に」としましたが、「母」「胎内に」のほうがすっきりします。フランス語のseinには胸という意味のほかに胎内や懐という意味もあります。

さて、この最後の節では、聖なる母が母になり、より現実的なイメージも提示されます。「人生に疲れて青白くなった詩人」とは、マラルメ本人のことですね。第二節に出てきた「追放された魂」である月桂樹の詩人のイメージと呼応します。追放されたような疎外感を持っていたのでしょうね。

そして、その疎外感を説明するのが、マラルメ本人の子供時代です。


幼少期、青年期に経験した喪失感はいかばかりだったでしょうね。

その後マラルメは、一人の女性と出会います。7歳年上のドイツ人家庭教師クリスティナ=マリア・ジェラールです。そして20歳となったとき(1862年)、詩作を続ける方便として英語の教師を志し、英国へと二人で旅立つんですね。今風に言えば、駆け落ち的語学留学となるでしょうか。

二人は翌63年、ようやく親にも認められて結婚します。二人はフランスに戻り、マラルメは英語教員資格を取得、同年12月に南仏ローヌ河畔の小さな町ツールノンの高等中学校に英語講師として赴任します。この「花々」は1964年、22歳の英語講師時代に書かれたものです。
(続く)

P.S.
とうとうこのシリーズも100回になってしまいました!
よく100回も続いたと、他人事のように感心しています。だけど安心しないでくださいね。まだまだ、あと10年ぐらい続きますから(笑)。





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最終更新日  2008.01.27 10:51:33
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