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自賠責保険の支払基準と裁判所自賠責保険は強制保険であり、政府管掌保険である。自賠責保険には支払基準があり、最高額が3000万円であるが、3000万円以下の算定しかされない場合、訴訟で自賠責保険に対し、それ以上の請求をすることができるか。自賠責保険に対しては被害者請求という形での請求となる。事案車両対車両の事故 Aが運転していた車両に衝突されたBが死亡自賠責保険からは1809万2496円が支払われた。Bの相続人は自賠責保険に対し、支払額以上に損害賠償額が存在するとして自賠法16条1項に基づき、本件事故による損害賠償額の残額の支払を請求した事案自賠責は「法16条の3第1項を受けた定められた自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金の支払基準」平成13年金融庁・国土交通省告示1号に従って算定した損害額を支払済みであるから、原告に対するさらなる支払義務はないと主張した。最高裁第1小法廷平成18年3月10日判決自動車損害賠償保障法法16条の3第1項が、保険会社に支払基準に従って保険金等を支払うことを義務付けた規定であることは明らかであって、支払基準が保険会社以外の者も拘束する旨を規定したものと解することはできない。支払基準は、保険会社が訴訟外で保険金等を支払う場合に従うべき基準にすぎない。したがって、法16条1項に基づいて被害者が保険会社に対して損害賠償額の支払を請求する訴訟において、裁判所は、法16条の3第1項が規定する支払基準によることなく損害賠償額を算定して支給を命じることができる。と判示した。加害者が任意保険にも入っておらず、資力もないときは、自賠責に請求するしかない場合がある。この場合には、この判決によって重要な差をもたらすのである。 判例タイムズ1245号95頁ブログランキング参加してます。↓ クリック、よろしく!
2007.11.29

失火法 重過失民法709条の特則である失火責任法によれば、失火の場合には、重過失のある場合に限って不法行為責任を負い、軽過失の場合は免責されているところ、一般的には重過失と軽過失は同質のものであり、ただその程度に相違があるに過ぎないと解されている。そして判例は、重過失の意義につき、「通常人に要求される程度の相当な注意をしないでも、わずかの注意さえすれば、たやすく違法有害な結果を予見することができた場合であるのに、漫然これを見過ごしたような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如状態をさす」と解している(最高裁昭和32年7月9日判決)もっとも、重過失の有無は、個別事情を総合的に評価することによって判断されるから、その認定が微妙となる場合が少なくない。東京地裁平成18年11月17日判決は、アセチレンガス切断機を用いた作業に起因する火災について作業員に重過失を認めた事案であるが、無炎燃焼を経て火災が発生したこと、アセチレンガス切断機から発生する火花は遠くまで飛散し、なかなか消えにくい性質を有していること、作業員はガス溶接技術者であったこと、可燃物である板壁から近接した位置で切断作業が行われたこと、本件作業場の存した建物が築40年以上の老朽化した木造建物であったこと等の事情があり、本判決はかかる事情の下で失火につき重過失を認めたものである。事案は作業員がアセチレンガス切断機を用いて鉄骨製の梁を切断した際の火花が、本件作業場の杉板張り内壁の隙間から1階天井裏にたまっていた埃に飛び着火して、無炎燃焼を継続し、時間の経過とともに出火したものである。 判例タイムズ1249号 145頁 頭注尚、賃借物件についての火災については、失火法で免責されても、賃貸借契約による義務である賃借物件の返還義務が免除されないので、失火した場合、損害賠償の義務がある。アパートなどの場合、自分の借りている部屋が対象となるのか、躯体部分にまで及ぶのか議論がある。(私見)ブログランキング参加してます。↓ クリック、よろしく!
2007.11.27

暴対法 暴力団員の判断基準青森地方裁判所平成19年2月23日判決廃棄物処理法では、産業廃棄物の収集運搬業を営むことができる者を県知事の許可を受けたものに限るとしており、暴対法2条6号に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年えお経過しない者と、これに該当する者が役員となっている法人を許可の欠格要件とし、許可を受けた業者が上記欠格要件に該当した場合は、許可を取り消さなければならないと定めている。不動産業者や貸金業者についても同様の規定がある。本件は廃食油等の産業廃棄物の収集運搬業を営む有限会社である原告が代表取締役である原告が、代表取締役であるAが暴力団員であることを理由として青森県知事から許可の取消処分を受けたことにつき、誤った事実認定に基づく処分であり、Aを暴力団員と認定した根拠が示されておらず、憲法31条の適正手続の趣旨を没却し憲法22条1項の職業選択の自由を侵害するなどとして青森県に対し、取り消し処分の取消を求めた行政訴訟である。本判決は、暴力団の構成員に該当するか否かは客観的に判断すべきで、当該暴力団が構成員でないと言明したからといって直ちに構成員該当性が否定されるものではないとした上Aが、本名のほか原告名や別称を使って長年にわたりB会(指定暴力団系の暴力団)の会長に対し継続的に合計約450万円を送金していたこと、AがB会の内部行事と見られる新年会に「特別相談役」の肩書きで出席し、その際指定暴力団の代紋のバッチを付けていたなどからAは客観的にみてB会に所属する者であると認められると判断して原告の請求を棄却した。 判例タイムズ1249号68頁 頭注ブログランキング参加してます。↓ クリック、よろしく!
2007.11.26

共有物分割による形式的競売と法定地上権の成否土地建物 共に父親の所有父親死亡 遺産分割協議 建物はAが取得 敷地はAを含む相続人5人の共有となった (Aの持分6分の2)その後AはBに対し、土地の持分に抵当権設定 建物について譲渡担保を原因として所有権移転登記その後A以外の相続人から敷地につき共有物分割請求 形式的競売に付される敷地を競売で取得した原告から建物所有者(Bから購入したとする者)に対し、建物収去と地明け渡しの請求被告は法定地上権の成立を主張して争った福岡高裁平成19年3月27日判決 法定地上権の成立を認めなかった。 判例タイムス1250号335頁ブログランキング参加してます。↓ クリック、よろしく!
2007.11.24

いわゆるゼロスタートについて松山地裁西条支部 平成19年4月20日判決 中島功 裁判官 その4本件の取引に関しては、被告から提出された取引履歴(甲1)においては、昭和63年11月28日において、借入残高を18万1592円として、原告が1万円を弁済した取引から開示されており、途中の取引からの開示であることは明らかである。そうすると、その時点で残額が存在している可能性がある反面、過払い金が生じている可能性もあるところ、証拠(甲32)によれば原告は、前記アイク株式会社と取引を開始したのが昭和61年頃と記憶しており、事実であれば昭和63年11月28日までに過払い金が発生していた可能性も高い。そして本来貸し金業者である被告は、完全な取引履歴を開示すべき信義則上の義務を負っていること(最高裁平成17年7月19日判決参)法律的知識及び取引経過の資料に関する保管能力において優越している被告側が、貸付額を含めた残額の存在について主張立証責任を負うと解すべきであるから取引経過に鑑み利息制限法による充当計算を行っても残額が残存していることが明らかな場合等特段の事情がない限り、冒頭において残額が存在しないこと(いわゆるゼロスタート)として計算することも許容されると解される。 兵庫県弁護士会 判例検索システムブログランキング参加してます。↓ クリック、よろしく!
2007.11.21

その3消滅時効について松山地裁西条支部 平成19年4月20日判決 中島功裁判官 その3消滅時効は、権利を行使することができる時から進行し(民法166条1項)、これは法律上の障害がないことをいい、事実上の障害(債権者の病気、不在その他個人的な事情)は含まれないものの、事実上の障害であっても、権利を行使することが現実には期待し難い特段の事情がある場合には、その権利行使が現実に期待することができるようになった時以降において消滅時効が進行すると解すべきである(最高裁昭和45年7月15日判決)そして過払い金である不当利得返還請求権は、法律上の規定によって生じる期限の定めのない債権であるから、その発生と同時に消滅時効が進行すると解されるものの、本件のように、基本契約により継続的に貸付と弁済が繰り返されていく一連の取引においては、もともと充当計算によって過払い金の発生及び消滅が繰り返されて変動していく性質の取引であり、当事者もこれを前提に取引を継続させているもので、また、取引の途中において個別に過払い金が発生したとしても、利息制限法を十分理解していない一般の借主がその時点で充当研鑽を行って返還請求を行使するということは、現実には期待できず、このような状況の中で、権利行使しなかったことが権利の上に眠れる者であると評価することもできない。そうすると、前記継続的な取引が終了し、借主の権利行使が現実に期待することが可能となった時点、すなわち、最終取引日から消滅時効が進行すると解するのが相当である。 兵庫県弁護士会 判例検索システムブログランキング参加してます。↓ クリック、よろしく!
2007.11.20

松山地裁西条支部 平成19年4月20日判決 中島功裁判官 その23 前記2の点に関しては、被告はa,前記1の3つの最高裁判決では、弁済当時存在する債務についてのみ充当の問題が起こ り得る立場を堅持していることb、将来その発生すら不確定な債務について過払い金発生当時弁済充当の指定があったり、 法定充当が行われると考えることはできず民法488条、499条の文言上も弁済当時 充当すべき債務が存在することを前提としていることc,貸金業を営む被告としても、新たな貸付金について、既発生の過払い金に充当されるの であれば、貸付を行うはずもなく、原告としても、過払い金に充当するつもりで新たな 貸付を受けたものでもないので、当事者の合理的意思解釈から将来の借入金債務に充当 するのは妥当でないことd,解釈によって充当計算を認めることは、もはや不当利得とか充当といった民法解釈を大 きくはみ出し、司法が新たな立法を行うのと同様であり許されないことを主張している。しかしながら、前記最高裁平成15年7月18日判決では、弁済当時存在する他の借入金債務に充当されることを判示しているものの、弁済当時存在しない借入金債務に充当することを否定している趣旨と限定的に解釈することはできず、少なくとも、この点は判断されていないと解される。また、充当計算が許容されるのは、基本契約によって継続的に同様の貸付と弁済が繰り返される取引に限定されているため、前記継続的取引において、同様の貸付が将来も繰り返されていくことは当事者間で予測されているといえ、将来の発生が不確定である債務を対象としていたり、指定をすることが合理的意思に反するとか、貸主にとって予想外であるということもできない。確かに、民法488条1項は、数個の債務を負担する場合における債務者の充当指定を規定しているものの、前記1及び2のとおり、過払い金を充当によって処理する法理は、民法488条等の弁済充当を規定する民法の任意規定に優先する強行法規である利息制限法の趣旨の徹底という面から導かれ、その他、具体的な適用場面を限定した当事者の公平や合理的意思を基礎とする理論であるので民法の文言のみによって限定していくことは相当ではなく、少なくとも類推適用の余地はある。また前記2のような充当理論の必要性や要請により、適用場面が極めて限定された中で、継続的な取引上で同様に発生すべき将来の借入金債務への充当を認めることが、民法解釈の枠を大きくはみ出し、司法が新たな立法を行うのと同様であるなどとはいえない。さらに、現実の取引の場面では、貸付の際に、既発生の過払い金充当した上で貸付を行ったり、借入れを行ってないないことは当然であるが、このことは、過払い金発生時点で充当されるべき借入金債務が存在している場合も同様であり、将来の貸付による借入金債務の充当を否定する根拠にはならず、しかも問題とすべき当事者(特に借主)の合理的意思とは、前記2bのとおり過払い金発生を借主が認識していることを前提に、その処理をどのように望むかを合理的に推認した意思を問題としているのであって、過払い金自体認識しない状況での現実の意思を前提とする被告の前記主張は採用できない。 裁判官 中島功 松山地裁西条支部 平成19年4月20日判決 (2)(3)へ続きますブログランキング参加してます。↓ クリック、よろしく!
2007.11.19

過払金 中断期間298日と686日がある場合 一連計算松山地裁平成19年4月20日判決 中島巧 裁判官同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき基本的に貸付と弁済が繰り返される金銭消費貸借取引において、その取引継続中に発生した過払金は、少なくとも民法489条、491条の類推適用により、将来の貸付による借入金債務への充当を認めるべきである。(1998年11月28日から2006年8月28日まで旧アイクないしCFJとの取引で、以下の中断期間があるケース 平成9年11月20日から同10年9月14日まで298日 同12年9月5日から同13年8月20日まで349日 同15年10月28日から同17年9月13日まで686日)過払い金の充当方法について1 利息制限法所定の利率を超過する利息が支払われた場合、残存元本が存在する限りは、 過払い金は不当利得返還請求の対象となるのではなく、残存元本に当然充当され(最高 裁昭和39年11月18日判決参照)残存元本に充当していき、元本が消滅してもなお過払い 金が存在する場合は不当利得返還請求の対象となる(最高裁昭和43年11月13日判決参照) そして同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付と弁済が繰り返される 金銭消費貸借取引においては、借主は、借入総額の減少を望み、複数の権利関係が発生 するような事態が生じることを望まないのが通常と考えられるので、弁済金のうち制限 超過部分を元金に充当した結果当該借入金債務が完済され、これに対する弁済の指定が 無意味となる場合には、特段の事情がない限り、弁済当時存在する他の借入金債務に対 する弁済を指定したものと推認され、過払い金は民法489条及び491条の規定に従 って、弁済当時存在する他の債務に充当される(最高裁平成15年7月18日判決参照)2 そこで同一の貸主と借主との間で基本契約に基づき継続的に貸付と弁済が繰り返される 金銭消費貸借取引において、その取引継続中発生した過払い金は弁済当時存在しない将 来の貸付による借入金債務に充当できるかが問題となるが、次の理由により、民法489 条及び491条の類推適用により、これを認めるべきである。 ア、最高裁判例により過払金の充当によって処理する法理は a,強行法規である利息制限法に違反する過払い金の存在は、公序良俗違反性が認めら れ、直ちにその是正が要請されること b,過払い金を貸主の下に留めておくと、貸主が過払い金をさらに原資として借主又は 第3者へ貸し付けて利益を獲得させることを許容することになり、公平の原則ない し法的正義に著しく反すること を実質的な根拠にしているものと解される。 そうすると、前記継続的な取引において、過払い金が発生した当時、充当すべき借入金 債務が存在せず、後に存在するに至った場合でも、充当計算することで、利息制限法に おける強行法規の趣旨を徹底させ、違法状態を可能な限り早期に是正する必要性や過払 金を貸主に保有させることで生じる不公平を早期に解消させる要請は十分存在しており、 前記のような場合に充当を否定すべき実質的な根拠はない。 イ、借主は、できるだけ充当計算によることで借入総額の減少を望み、借主の過払い金に おける不当利得変換請求権と貸付による貸金返還請求権という複数の権利関係が発生し 併存するような事態が生じることを望まないのが通常であり、このことは過払い金発生 後に新たな貸付による借入金債務が生じた場合も同様であり、過払い金発生時点で充当 すべき借入金債務が存在していたか否かによって違いはない。ウ、前記継続的取引においては、借入と弁済が相当な頻度で繰り返されていくものであるし 貸付自体が、借主の資金需要によって、何時、あるいはどの程度の頻度で行われるかも 左右され、この関係で過払い金発生時点で充当すべき借入金債務が存在していたか否か については、偶然の事情に左右されることは否定できない。 そして、前記のような事情は、利息制限法の法令に精通し、日常的に業務として同様の 取引を行っている貸金業者である貸主の方が熟知している。それにもかかわらず、偶然 に充当すべき借入金債務が存在しない場合のみ充当を否定し、借主の過払金返還請求権 のみ消滅時効が進行し、他方、貸主は新たな貸付については充当を免れるばかりか、充 当されない過払い金を再び貸付原資として前記アのとおり利益を獲得することができる というのは、明らかに当事者間の公平に反する。 また、前記のような場合、借主は、充当されない過払い金について不当利得返還請求権 を取得するといっても、現実には、一般人である借主が過払い金発生時点で利息制限法 によって過払い金の計算を行い、返還請求権を行使していくというのは期待し難く、そ のまま前記アのとおり貸主が過払い金を保有した違法状態を継続していく可能性が高く 結果として、強行法規である利息制限法の趣旨を徹底させることができなくなる。 以上(1) 次の(2)へ続く (2)は次回 兵庫県弁護士会 判例検索システムブログランキング参加してます。↓ クリック、よろしく!
2007.11.18

高利貸金業者との契約における期限の利益喪失約款 貸金業者との金銭消費貸借においては、高利を前提として分割弁済の約定をしており、この分割金の支払を2回怠ったときは期限の利益を喪失し残債務を一括で払うとの約定がなされていることが多い。最近1日でも遅れることが2回あると、それを理由に一括請求する地方所在の貸金業者が散見される。この約定について、利息制限法で計算すると遅れていることにならないのではないかという問題がある。横浜地裁平成17年10月13日判決は控訴人は「被控訴人らは平成11年11月10日の経過をもって期限の利益を喪失した」と主張しているが、この点については、同日までの支払を利息制限法の制限利率に引きなおして計算すると、平成11年11月10日までに支払うべき元利金は、既に同年10月12日までに支払われているものと認められるから、本件において被控訴人は期限の利益を喪失していなかったということができるので、この点に関する控訴人の主張は理由は採用できない。 と判断している。 兵庫県弁護士会 判例検索システムブログランキング参加してます。↓ クリック、よろしく!
2007.11.14

民法256条 各共有者はいつでも共有物の分割を請求することができる。民法258条 共有物の分割について共有者間に協議が整わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、または分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所はその競売を命じることができる。共有物の分割は上記条文に記載されているように現物分割が基本である。現物分割できないときには競売に付して、その売得金を共有者で分け合うことになり、この競売は形式的競売というが、どうせお金で分けるなら、共有者の一人が金を出して、その物を引き取ってもよいのではないかということとなる。最高裁平成8年10月31日判決共有物の性質等の事情を総合的に考慮し、またその価格が適正に評価され、取得者に支払能力があるなどの特段の事情が存するときは、共有物を共有者の一人または数人の所有とし、他の者には持分の価格を賠償させる方法、すなわち全面的価格賠償の方法による分割も許される。最高裁平成10年2月27日判決いわゆる全面的価格賠償による分割を認める余地があるかにつき判断することなく、競売による分割を命じた判断には違法があるもちろん、共有者の間で、自分は金を出して引き取ってもいいという人がいる場合であろう。嫌がる人に強制的に持たせることはできないと思われる。共有物の分割であっても、相続により共有となった場合については遺産分割の手続きによるべきで、いきなり共有物の分割請求はできない。最高裁昭和62年9月4日判決共有地が公道へ至るための共用通路の場合共有物分割請求は権利の濫用で許されない 福岡高裁平成19年1月25日判決 判例タイムズ1246号 186頁ブログランキング参加してます。↓ クリック、よろしく!
2007.11.12

粉飾決算を続け破産した商工協同組合から預け金等の払い戻しを受けることのできなかった元組合員が、同組合の理事らに対する損害賠償請求及び事業認可者である県に不適切な行政指導があるとして求めた国家賠償請求が認容された例本件協同組合の理事長は地元出身の参議院議員で元法相を務めた知名人。本組合は昭和35年組合員に対する事業資金の斡旋、県商工共済協同組合連合会の委託を受けてする各種共済事業の代理業務などを目的とする中小企業協同組合法により設立された事業協同組合であるが平成15年自己破産申し立てをして破産宣告を受け、破産手続における配当は33.59パーセントであった。原告らは組合に貸付金を有し、右配当金を乞える返還金について損害を蒙ったこと本組合における貸付業務は、地方銀行、消費者金融などの市中の金融機関との競争により低減し、収入源の多くを有価証券収入に依存したため損失が発生し平成3年から粉飾決算を繰り返し経営が破綻しているのに、組合員にはその事情を隠して貸付金などの受入をしていたこと本組合の理事ら3名はこれらの事情を知っていたから民法709条により損害賠償責任を負う本組合の監督機関である県の担当課長は、遅くとも平成8年には調査の結果、本組合が粉飾決算をしており、今後、取得有価証券の処分損の発生が見込まれる一方、本業の共済事業に関する手数料収入も減少する状況にあることを把握していたのであるから、県知事に報告し、同知事は、すみやかに粉飾経理の是正などを指示すべき義務があったことしかるに県知事は平成8年以降もこれらの規制権限を行使せず漫然と放置したことは、過失により許容される裁量の限度を逸脱したものであり原告との関係で県は国家賠償法1条1項に基づく損害賠償義務を負うとした 佐賀地裁平成19年6月22日判決 判例時報1978号53頁 頭注 控訴されているブログランキング参加してます。↓ クリック、よろしく!
2007.11.09

貸金業者の営業譲渡と譲渡先に対する過払い金返還請求S会社とH会社は、いずれも被告との間で平成12年3月29日付で営業譲渡契約を締結し、(各営業譲渡の基準日はいずれも同年6月1日)営業貸付債権などの債権を被告に譲渡した。S会社とH会社は、いずれも本件営業譲渡契約に基づき被告に対して営業の承継に必要な書類(融資契約書、コンピューターデータ、移転する従業員の書類など)の一切の引渡しを行うとともに、S会社・H会社ともに営業を終了して破産宣告を受けた。被告は、S会社・H会社と貸金にかかる各債務者との間の当初からの取引を前提にしてそのまま取引を継続するとともに、これを基に各債務者に対し残高を主張してきた。原告は、平成7年年7月24日から平成12年5月5日までS社との間で借入れ返済を繰り返し、平成12年6月6日から平成17年6月27日までの間被告との間で借入れ返済を繰り返した。鹿児島地裁名瀬支部平成19年6月27日判決貸金業者と消費者金融を利用する者との間の取引によって生じる貸金債権は、一般の債権と異なり、貸金業法43条1項の要件が満たされた場合には、貸金業者に貸金債権が認められるが、その適用がないため利息制限法による引き直し計算が行われた場合において、過払い金が発生したときには、貸金業者がその返還義務を負う性質のものであるから、このような性質の債権債務は表裏一体の関係にあるというべきである。としてS社の原告に対する過払い金返還債務を被告は承継するとした。 兵庫県弁護士会 判例検索システムブログランキング参加してます。↓ クリック、よろしく!
2007.11.06

動物の占有者等の責任民法718条動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。占有者に代わって動物を管理する者も、前項の責任を負う。東京地裁平成18年11月27日判決飼い犬を連れて散歩中に他の犬同士の喧嘩を止めようとして、その犬に咬まれた事故について、被害者の加害犬の飼い主に対する動物占有者責任に基づく損害賠償請求が認められたが、その喧嘩の原因は被害者が飼い犬のリードを離していたことにあるとして6割の過失相殺がされた事例動物占有者責任を肯定した判例としては最高裁昭和58年4月1日判決 判例時報1083号83頁、最高裁昭和56年11月5日判決 判例時報1024号49頁のほか犬の占有補助者につき民法709条を適用した最高裁昭和57年9月7日判決時報1055号45頁がある。民法718条1項本文の免責事由が認められた事案は少ないようである。 判例時報1977号106頁 頭注ブログランキング参加してます。↓ クリック、よろしく!
2007.11.01
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