朝、久しぶりに駅まで歩いていた。
普段10分少々歩く事がほとんどない僕だけど、東京で生活していたので歩くのが早いと言われていた事もあった。
途中喉が渇いたので、自販機で缶コーヒーを買っているとスーツを着た若い女性が僕の横を走って行った。
「乗りたい時間の電車がギリギリなのだろうか?」
「間に合うといいな」
と思いながら缶コーヒーをバッグにしまい再び駅まで歩く。
すると、さっき僕の横を走っていった若い女性と信号待ちで一緒になった。
信号が青になり、若い女性は再び走り出し、僕はまた歩き出す。
ここで異変に気付く。
確かに彼女は走っているのに歩いている僕の方が次の信号まで先に着いてしまったのだ。
「何かがおかしい」
信号が青になり再び僕は歩き出し、彼女は走り出した。
「この謎を解かなければ」
と思い、僕は一旦止まって靴紐を結ぶフリをして彼女を見た時、ついにその謎が解けた。
彼女は前ではなく上に飛びながら走っていたのだ。
常に上に飛んでいるので歩幅が極端に狭い、だから歩いている僕の方が早いんだ。
ようやくその謎が解けた僕は再び歩き出すとまた彼女を抜いた。
僕が先に駅に着いて切符を買いながらふと駅の入口を見たら
彼女が走って改札に向かっていた。?
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