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2018年06月06日

独占的利益を脅かす5つの力

敵対関係を5つの力で表現

レントはもともと地代のことですが、

地主が土地を持っているだけで、

働かなくても入ってくる不労所得のようなイメージから転じて

経営戦略論では、普通以上に得られる

利益良率のことをレントと言います。



経済学ではレントの源泉は市場です。

ポーター 氏も市場での独占・寡占による

独占のレントから

発想した戦略モデルを展開しました。

市場で集中が進むと、独占企業は生産量を減らして

品薄状態を作り出し意図的に価格を釣り上げてることで

利益を上げることができます。



この独占のレントを脅かす新たな敵対関係を

?@新規参入者の脅威

?A代替製品の脅威

?B顧客の交渉力

?C供給業者の交渉力

?D競争者間の敵対関係

の5つの力で表現したのが

ファイブ・フォース・モデルと呼ばれるものです。



価格を釣り上げて利益を出すために業界分析すべし・・・

実際は違ったようです。

アメリカの経済学者 デムセッツ 氏は、

一見すると独占のレントが

発生しているように見えたデータが

注意深く分析すると、実は因果関係が逆で、

高効率で低コストの企業がシェアを伸ばしたことで

産業の集中が進んでいたことを明らかにします。

そしてレントの源泉を企業自身に求め、

希少価値のあるレントのことを

リカードのレントと呼びました。


自社内部にあった競争優位の源泉

異質性と隔離メカニズム

1980年代に登場した 資源ベース理論(RBV)は、

リカードのレントが発生する

メカニズムを明らかにしました。

まずはレントを生み出す資源のユニークさ、

?@ 異質性が必要です。



例えば、青色LEDの開発に成功した日亜化学を例にしますと、

蛍光体メーカーなら出羽のユニークさです。

それまで誰もが光の三原色で

「赤+緑+青=白」だと思い込んでいました。

それを「赤+緑=黄」なので「黄+青=白」

つまり青色LEDと黄色に

発行する蛍光体だけで白にしたのです。

LED3色だけでなく青色LEDだけで

済む低電力の 白色LED

カラー液晶携帯画面のバックライト

として爆発的に売れ始めます。



こうした異質性を維持させるには、

隔離メカニズムが必要になってきます。

もちろん多くの特許やノウハウで固めた

?A 模倣不可性は重要です。

しかし、それよりも功を奏したのは

クリーン・ルームが完備した工場を

先に作っておいたことでした。

工場建設には時間がかかるので、

この?B 競争の事前制限のおかげで、

爆発的に伸びる需要を一手に

引き受けることができました。

しかも青色LEDチップの製造装置は

自製していたので、製造装置に

?C 取引不可能性もあったのです。



この?@異質性、?A模倣不可能性、

?B競争の事前制限、?C取引不可能性が

競争優位の遇石となって、

日亜化学に高いレントを発生させたのです。

競争優位を見極めるための自社分析

企業を「活動の塊」とみるか、「資源の塊」とみるか

経営戦略論では、1970年代くらいから

企業内部の強み(Strengths)弱み(Weaknesses)と

市場環境における機会(Opportunities)

脅威(Threats)の適合という視点から、

競争優位獲得を分析する

SWOT分析がありました。



このうち企業内部の強み・弱みを見る場合、

企業を活動の塊とみるか

資源の塊とみるかで立場が分かれます。



ポーター 氏は『 競争優位の戦略 』で

個別事業を活動に分解して 価値連鎖を考えました。

価値連鎖を使って強み・弱みを表現した例としては

スマイル・カーブがあります。

横軸に価値連鎖を取り、

縦軸に付加価値を取ると、

価値連鎖の両端にある

製品企画開発/アフターサービスよりも、

中央の製造の方が収益性は低く、

笑った口の形になることを表したカーブです。



それに対して バーニー 氏の『 企業戦略 』では、

資源ベース理論(RBV)に基づいて、

資源が競争優位をもたらすかに関する

?@経済価値(value)

?A希少性(rarity)

?B模倣可能性(imitability)

?C組織(organization)

に関する4つの問いに応えることで

資源の視点で強み弱みを分析しようという

VRIOフレームワークを提唱します。



ポーター氏は企業を「活動の塊」、

バーニー氏は企業を「資源の塊」ととらえたのです。

製品の一生を3つのステージで表す

全ての商品が熟成し、衰退する?

製品のにも人と同じような一生があり、

導入期 成長期 成熟期・衰退期というステージが

あるというのが 製品ライフ・サイクルの考え方です。

今ではほとんど見かけない

レコード、テープレコーダー、ブラウン管式テレビなど

製品として一生を終えたものを懐かしく思うはずです。



導入期には宣伝教育を含めて創業者的な先行投資が必要ですが、

成長期を迎えると、どんどん設備投資が必要になり、

マーケティング費用もかかります。

しかし成熟期に入ると、消耗や破損をおぎなう程度の投資で済むようになります。

PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)の

成長率とお金の関係はここから出てきた経験則です。



しかし、すべての商品が成熟し衰退するのは、果たして本当でしょうか?

鉄や石油にはライフサイクルはあるでしょうか?

さらには一度熟成したはずの製品がさらにもう一度サイクルを

はじめるなんてこともありそうです。



ハーバード・ビジネススクールの アバナシー 氏らは

インダストリアル・ルネサンス 』で 脱成熟化を唱えました。

例えば自動車ではT型フォードの時代で一度成熟し、

次に「走るリビングルーム」の時代、

さらに石油ショック後の日本車の時代と

何度ものサイクルが回っているといっています。
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