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2023年1月10日に発生した護衛艦「いなづま」の座礁にて、海上自衛隊のあわただしい新年が始まりました。
浅瀬を突っ切って、プロペラと舵・さらには艦首ソナーラバーウィンドも損傷した模様です。
まあ事故原因の調査は、これから進められていくのでしょうが単純ミスだったら目も当てられない状況です。
思えば「むらさめ型」護衛艦って、しょっちゅうプロペラ破損をやらかす問題児だったなあ〜。
(関連記事):『 【海上自衛隊】特定秘密漏洩の先陣を切ってどうする! 』
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(1)うお〜い何しとんねん!
最初にニュースを聞いたときは、「じんつう」事故に続いて何しとんねん!と思う状況です。
図1 プロペラ破損
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/FGlXtLZWQAgaJaw?format=jpg&name=900x900
舵とプロペラ破損と聞いて、こんな状況になんでなるねん!と思いました。
1.1 年次検査の機関公試での事故かな?
情報を総合すると、JMU因島での検査で出港した護衛艦「いなづま」が、周防大島の南の海上で暗岩に接触して航行不能となったと思われます。
図2 護衛艦いなづま
引用URL:https://www.mod.go.jp/pco/hiroshima/event/20210731/105_03l.jpg
母港が呉の4護衛隊群所属になっており、活発に活動していた「むらさめ型」護衛艦です。
それなりに古いとはいえ、まだまだ現役バリバリの艦艇が派手に事故ったものです。
1.2 なんで浅瀬を突っ切てるねん!
海上自衛隊の船乗りとしては、周防大島周辺と言えば江田島の近くでもありホームグランドとも呼べる場所です。
図3 周防大島
引用URL:https://kotobank.jp/image/dictionary/nipponica/media/81306024008424.jpg
進路ミスなのか?海図(チャート)確認不足なのか?外力で流されたのに気づいていなかった?
想像される原因は多数ありますが、 『なんで深度7mラインがある浅瀬を突っ切てるねん!』
これはもう、徹底的に事故原因を調査するしかないでしょう。
1.3 呉造修補給所の嘆きが聞こえそう・・・
海上自衛隊の関係では、非常に頭の痛いところとなっているかと思います。
図4 多用途支援艦
引用URL:https://www.mod.go.jp/msdf/equipment/ships/ams/hiuchi/img/main_4301.jpg
現場には、えい航をするための多用途支援艦が到着したようなので何とかえい航して呉港に入港させる形になるでしょう。
呉造修補給所の艦船部は、現在てんやわんやの状況となっているのが目に浮かびます。
ただでさえ2022年度予算の時期内なので、ここから修理費をかき集めてドック入りはかなり厳しい状況かもしれません。
年次検査中であれば、JMU因島工場に引き返すという手段も取れるでしょうが因島工場ではプロペラ軸系の工事はちょっと難しい状況でしょう。
予算があ!予算があああ!と激しく慟哭の涙が流れる状態です。(しらね火災でえらい目にあった)
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(2)むらさめ型護衛艦ってホントにプロペラ飛ばすことが多いなあ!
むらさめ型護衛艦というと、現職時代はほんとに「プロペラ折れました〜(涙)」となることが多かった印象があります。
図5 米海軍プロペラ
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/CZyPxy_WYAAZEvB?format=jpg&name=4096x4096
米海軍もたまにやらかすけど、むらさめ型はほんとにペラ破損が多かったです。
2.1 可変ピッチプロペラは複雑!
護衛艦では標準装備となった可変ピッチプロペラ(CPP)については、かなり複雑な機能です。
図6 CPP
引用URL:https://www.khi.co.jp/mobility/marine/machinery/img/propeller_im01.jpg
護衛艦用CPPについては、通常の可変機構に加えていろんな細工がしているため非常に扱いが繊細です。
1枚のプロペラ翼製造に3か月はかかるため、艦船補給処で予備のプロペラ翼を保管しています。
しかしながら、景気よくぶっ壊すので現職時代に「むらさめ型」の予備品が底をつきそうになったことがあります。
補給本部が、大量に予備品を注文したおかげで何とかやりくりできた部分がありました。
2.2 ソナードームはマジで予備品が少ないぞ〜
問題は、ソナードームも損傷しているという情報があることです。
図7 ソナードーム
引用wiki
写真は、米海軍イージス艦に搭載しているSQS-53のソナードームです。
むらさめ型護衛艦に搭載しているOQS-5は、船底装備ですが強化ゴム(補強用ワイヤー入り)で製造されています。
一応交換年数が定められており、予備品もあるのですがなかなか交換費用が厳しいことになるでしょう。
(中のソナー素子も点検交換が必要かも?)
2.3 運動性が良くなった弊害?
むらさめ型護衛艦は、船体設計が良くなり凌波性も向上したため荒波を乗り超えていきます。
図8 凌波性
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/FUjTjcAVEAAAD_x?format=jpg&name=large
こんな感じで、派手に乗り越えた結果「プロペラ曲がった〜!・折れました〜!」と造補所・艦補処に連絡が来ることがよくありました。
はつゆき型・あさぎり型・イージス艦やDDHではそんなになかったのに、なぜかむらさめ型だけペラ交換が多かったんですよ。
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(3)さらに事故が続かなきゃいいけど・・・
2022年には、護衛艦「じんつう」が横須賀港内で接触事故を起こしており事故が続く印象があります。
図9 護衛艦じんつう
引用wiki
船の事故は結構連続して起きるから、本気で注意が必要です。
3.1 ジャイロコンパスの狂い補正ミスだとやべえぞ!
海図を見ると、一直線に浅瀬を突っ切った航跡になっているようです。
図10 ジャイロコンパス
引用URL:https://pbs.twimg.com/media/D_AuQcvVUAE9ldP?format=jpg&name=large
艦橋での操艦では、ジャイロコンパスを見ながら操艦を行います。
厳正に狂いが無いようにチェックをしながら、航行を行いますがコンパスチェックを忘れていたなら大問題です。
どうも航跡を見ると、ジャイロコンパスの狂いを放置したまま全速航行したような感じしかしません。
今後の徹底的な原因究明が望まれます!
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ご心配の件については、クリテイカルな数字が書いておりませんのでご安心を。
(1艦につき何枚予備プロペラが存在するかはご配慮ください。)
保全に抵触しない程度に、内部事情を知ってもらうのも必要と考えています。
海難事故は、迷信のようになぜか連続して起きることが多くあります。
今回のいなづま事故は、船底全部張替えぐらいの大事故と言えるでしょう。
海自だと、水上艦指揮期課程を含めて操艦能力の向上を図っていたのですが効果が出ていないところがあります。
前配置にて水上艦の副長を経験した人を艦長にするのが一番良いのですが、海幕・陸上勤務を挟んで勤務させる今の人事態勢も見直すべきでしょう。
年次検査・定期検査の公試では、海自側が操艦するのでドック側の運用ミスは発生しませんが航海準備態勢の問題が出そうです。
DE・哨戒艦などの小艦艇から着実にステップアップする態勢が必要になっていると思われます。
(20年前くらいから、海自では艦長の操艦能力不足が叫ばれ続けてきました。)
今回のあとに新潟で巡視船えちごが座礁して、管理人さまの懸念が当たってしまったと思いました(その後も商船の衝突事故があり、なぜ海難事故は連続するのかと)
えちごは軽傷のようですが(以前乗った航洋丸が曳船してました)いかづちは重傷のようですね
今回はドック後の航海試験で起きたので、座礁時の操船がドックか本艦で行っていたか不明なので、責任問題もどうなるのでしょうか?
(操船技術の向上にも哨戒艦を作るのか、とも思います)
最近では、航行不能になるまでの護衛艦の座礁は珍しいと思われます。
座礁事故については、2000年代の事故連発時に徹底的に厳しく見直しがされて数が少なくなっていたのですが多少の座礁事故はちょくちょく発生していますが注目されていなかった部分はあります。
大湊基地出入港では、「しらぬい」配備に伴う浚渫工事が行われるまでは結構あったりしました。
(短時間で離岸できたのであんまり大きく報道されない)
図7については修正いたしました、ご指摘ありがとうございました。
1万年前の日本列島では、瀬戸内海は陸地であったため、浅瀬や島が多かったりするみたいです。
ペンギンさん、図7 ソナードームと書かれていますが、画像が貼れてないです