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2024年10月23日
【短編小説】『なぜ学校にはお金の授業がないの?(リメイク)』4
⇒ 【第3話:お金は国家の商品】 からの続き
【第4話:お金が紙切れになる時】
<王宮>
近衛兵
『国王さま!王宮の入口に国民が集まっています!』
国王
『反乱か?』
近衛兵
『いえ嘆願です。』
『”物価が高過ぎて食料が買えない”と。』
国王
『今のパン1個の相場は?』
近衛兵
『1個1000エレクトです…。』
国王
『原因は粗悪なコインの価値の低下…だな?』
近衛兵
『申し上げにくいのですが…。』
国王
『よい、私の責任だ。』
『国民にできる限りの支援を。』
近衛兵
『御意…。』
『国王さま助けてください!』
『子どもがお腹をすかせて…。』
『ママー!おなかすいたよー!』
王宮には連日、
国民の悲痛な叫びが響きました。
国王の懸命な支援もむなしく、
戦況も国民の生活もどんどん悪化しました。
高まる王家への不信感が
コインの価値をさらに下げ、
物価高と治安悪化が進みました。
<さらに数ヶ月後、王宮>
国王
『…国民は全員、避難できたか?』
財務大臣
『はい…。』
国王
『ならば良い。』
財務大臣
『申し訳ございません…。』
『コインの流通を制御できなかった私の責任です…。』
国王
『私の失政だ、顔を上げてくれ。』
『財務大臣、真知、すまなかった。避難してくれ。』
財務大臣
『ですが…!』
国王
『お前は必要な人材だ。』
『新たな長とともに国の財政を支えてくれ。』
真知
「王さま…私、無知でした…!」
「お金はたくさん出回るほど幸せなんて勘違いして…!」
国王
『若者よ、ここでの学びを後世に活かすのだ。』
『行ってくれ、じきに隣国の兵士が来る。』
真知
「待って!王さま…!」
パァァァ
まばゆい光とともに
王宮から真知の姿が消えました。
<現代>
メルクリス
『おかえりなさい。』
真知
「戻ってきたの…?」
メルクリス
『ええ、危ないところでした。』
真知
「王さま…大臣さん…無事かなぁ…?」
メルクリス
『…無事だといいですね…。』
『…”お金は商品”だったでしょう?』
真知
「お金は商品でした…。」
「お金を安く作って、高い価値で流通させる。」
「国王さまの権力への信用あっての商売。」
メルクリス
『まさに国家の商売ね。』
真知
「それで気づいたんです。」
「国は国民をタダ働きさせられるって。」
メルクリス
『…続けて?』
真知
「あの国の王さまは立派でした。」
「けど、悪い王さまはもっと粗悪なコインを与えて…。」
「タダで国民に戦争をさせることもできる…。」
メルクリス
『…。』
真知
「もしかして…。」
「だからお金は”はしたない”んですか?」
「国民をボロ雑巾みたいに働かせるから?!」
メルクリス
『確かにそれは人間の醜さの1つです。』
『が、一面だけで判断するのは早いと思いませんか?』
真知
「そうですよね…。」
「私、もっとお金の歴史を見てみたい。」
「お金は”はしたない”の起源を知りたい!」
メルクリス
『勉強熱心ですね。』
『次は紀元前1世紀頃、場所は中東。』
『行ってらっしゃい。』
⇒ 【第5話:お金という必要悪】 へ続く
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